アイコンタクトの基本
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学をポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。
『視線のコミュニケーション、アイコンタクト』。今回は、「視線のコミュニケーション、アイコンタクト」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。その見方、活かし方をご紹介します。
今回は、「視」線のコミュニケーション、アイコンタクト」について。
人間関係でコミュニケーションによるやり取りは大切ですが、目は口ほどに物を言う、何も話さなくても、アイコンタクトで成り立つコミュニケーション。どんな意味があるのか、何が起きているのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は誰もが持っている原点」。第8回目「承認欲求を満たし合う、コミュニケーション3つの法則」とも、リンクするお話です。
さて、アイコンタクト。皆様は、アイコンタクトは得意ですか?苦手ですか?それとも、自然としているので、特に意識もせず。でしょうか。
アイコンタクトは、コミュニケーションの原点と言えるもの。今回は、その始まりについて掘り下げてみます。
まずはスタート、赤ちゃん。接する機会があると、何気なく目が合って、にっこり。つい、多少面白い顔をして笑わせようとしてしまうのですが、それを見て笑ってくれる子、じーっと見つめ返す子、目が潤んできて思わず泣いてしまう子、などなど。同じようにこちらが見つめても、それぞれ違う反応。
私たちの人格、個性というのは、生まれつきと、その後の適応の結果で出来上がるらしい。のですが、赤ちゃんの反応を見ていると、生まれつきでそれぞれ違うんだな、ということを実感します。
そして小学生ともなると、適応の結果、適応は適切に応ずるという漢字を書きますけれども、適応の結果があれこれと現れてくるようです。例えば、参観日。ずいぶん前のことになりますけれども、私は、後ろをちらちらちらちら見ながら、目が合うと嬉しくて、良いところを見せようと頑張る子。でした。
自分から手を挙げていたのか、先生から指名されたのかは、今となっては全く覚えていませんが、国語の時間、教科書を読み上げる番。張り切って、集中して読み上げたりしたものです。
その時も、読み終わると振り返って、アイコンタクト。心の声はきっと、「聞いてた?一回もつっかえないで読めて、すごいでしょ。」 そんな声だったように思います。
アイコンタクトを返してもらって、得意満面。やったぁ。
ただ、喜んで家に帰ったところ、こんな言葉を言われて、呆然。「一回もつっかえなかったけど、上手かったのは、後から読んだ子の方だね。気持ちがこもってたもん。上手かったね。」
「え?気持ちがこもってるって、何?どういうこと?」
その後、気持ちを込めた読み方をかなり練習し、しばらく、妙に感情が入りすぎた、感情を込めなくてもいいところでも、ちょっとやりすぎかも。な、読み方になったりしたものです。
アイコンタクトは、お互いを認め合う、大切なコミュニケーションの第一歩。ただ、それだけでは伝わらないこともある。アイコンタクトの後の反応や言葉で、それに気づいたりもします。
夏休み期間の、とある広い場所。庭にビニールプールを出してもらい、何人かの子どもで、遊んでいたときのこと。
はしゃぎまくって、楽しく、きゃあきゃあ。決められた時間になって、いったん出たものの、何かの流れでまた盛り上がり、再度プールに入り始めたタイミング。
プールは好きなので、私も再度入ろうと歩き始めたところ、ふと、その場についていた大人と目があったんですが。
「あっ、怒ってる。」
そのアイコンタクトで、不穏な気配を察知し、後ずさりしました。
「あ~、そうだ。夏休みの宿題をしなくちゃいけないんだった。」とか何とか言いまして、そそくさと部屋に戻り、着替えて着席。
すると、その後大きな声が聞こえてきます。
みんな叱られ始めたわけなんですが、私一人は、安全圏。それどころか、「ちゃんとわかってる。見習いなさい。」と、これはアイコンタクトがうまくいって、褒められたケースです。
アイコンタクトの意味と受け取り方
アイコンタクトは、動作自体は視線が合うだけのことでも、相手の存在を認めて、する行動。承認欲求を満たす刺激=ストロークとして考えれば、お互いにアイコンタクトをする、それだけでも、十分なストロークになります。
ただ、そこに含まれている意味や受け取り方については、あれこれ違う。
例えば、先ほどのプールの例。他の子たちも、その場についていた大人と、しっかり目は合っていました。
ただ、受け取り方が違ったのかも。
「こっちを見てくれてる。」とか、「まだまだ大丈夫だよね。」とか。
それなのに、アイコンタクトの意味がうまくかみ合わず、怒られた。
そんな流れ。
こんな経験を通して、どうなるか、どうするかは、本人次第。
アイコンタクトは、相手の存在を意識した上での行動。
その上で、そこに含まれる意味は、人によって違うもの。
生まれつきと、適応の結果。
周りの人とのやりとりや反応、環境に合わせ、経験や決断を積み重ねて、出来上がるもの。
中には、たまたま見て、目が合っただけの場合もあれば、深い意味を持っている場合もある。
アイコンタクトで、良好なコミュニケーションが取れているなら、良し。
うまくいっていないなら、あるいは、何か違和感を感じるなら、そこは、他の方法で補う必要がありそうです。
単なる勘違いで、違う解釈をしていることもあれば、軽く取りすぎていたり、重く取りすぎていることもある。
相手や時期、場所など、条件によって変わってくる場合もある。
見すぎるのが失礼だったり、不適切な場合もある。
大切なコミュニケーション手段だからこそ、臨機応変に柔軟に、トライ&エラー&トライ。情報更新などもしながら、適応の幅を広げていきたいものです。
では、今回覚えていただきたいポイントは、「視線のコミュニケーション、アイコンタクト」。まずは気づくこと、そして、いつもと違う変化を味わってみませんか?
ここまで聞いていただき、ありがとうございます。
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お相手は、遠藤美保でした。ありがとうございました。