1. 石田衣良の大人の放課後ラジオ
  2. 【著者の声 #11】『同志少女よ..

【著者の声シリーズ】
人生を豊かにする一冊を書いた著者のお話を届けることで、
ひとりでも多くの人に本と著者の方の魅力を知ってもらいたい。
そして本の世界を元気にしたい......

石田衣良と編集部の思いから立ち上がったプロジェクトです。

【逢坂冬馬さんへのインタビュー(全編)】
Talk.1 戦争、女性......「体験していないこと」を書くには? 〈7月5日(火)公開〉
https://youtu.be/FKCKhjD1hRg
Talk.2 ソ連が女性兵士を生んだ理由 〈7月12日(火)公開〉
https://youtu.be/NUvu_lQlPJI
Talk.3 戦争を小説として書くジレンマ 〈7月19日(火)公開〉
https://youtu.be/SmvJ9LhlHUo
Talk.4 私の人生を変えた一冊 〈7月26日(火)公開〉
https://youtu.be/barXM-T7qzs

再生リスト | https://bit.ly/3xZJHJo

【プロフィール】あいさか・とうま/1985年生まれ。明治学院大学国際学部国際学科卒。2021年、『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞してデビュー。同作は22年本屋大賞を受賞し、第166回直木賞の候補作にもなった。

『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房) https://amzn.to/3NovDig

【聞き手/早川洋平】はやかわ・ようへい/プロインタビュアー。キクタス株式会社代表。羽生結弦、よしもとばなな、横尾忠則らトップランナーから戦争体験者までジャンルを超えてインタビュー。声のメディア(Podcast)のプロデュースにも注力し、手がけた番組の累計ダウンロードは 2億6千万回を超える。『横浜美術館「ラジオ美術館」』『多摩大チャンネル』などプロデュース多数。
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現実の戦争ってそうじゃなくて、戦争が終わった後も苦難は続いていくし、女性兵士というものが剥がしされる時代が来たりだとか、戦後パートがあって初めて戦争というものが語りきったことになる。
さあ、今日は小説家の愛坂冬馬さんにいろいろお話を伺いたいと思います。愛坂さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
さあ、今日はですね、このやはりね、「同志少女よ、敵を撃て!」これを中心にいろいろお話を伺いたいんですけども、
Twitter拝見していたらですね、ちょうど6月3日頃ですかね、書店の全国巡り、案件をされていて、それがちょうど終了したというふうに拝見したんですけど、
結局全国回ったんですか?
そうですね、確か最初に書店巡りが始まったのは発売直後の福岡からだったんですけれども、北は北海道から南は沖縄までっていう感じで、
全国あちこちを。
飛び回っておりました。
実際ね、この同志少女よ、敵を撃て!にいよいよ入っていきたいんですけども、ズバリ僕なりにちょっと感じたのが、当然この同志少女よ、敵を撃て!っていうのは、
愛坂さんにとって体験していないことを2つ書いていると思うんですよ。
1つは当然ですけど、戦争。もう1つは女性っていうことだと思うんですけど、それぞれにおいて、なんて言うんでしょう、一番こだわったことっていうのを挙げるとしたら何でしょうね。
これは難しいんですけども、戦争については体験していない世代しかいないんですよね。はっきり言って現在の世代で言えば、日本人の錯覚に関して言えば。
戦闘を描くときにどうしても絵空ごとになりがちになってしまう。
なんでかっていうと、一番安易なのが映画から参照してしまったり、あるいは先行する小説から参照してしまうということなんですけども、
でもそれだとやっぱり今一つ追体験にはならない。結局自分が体験していないものを小説としてどう展開するかといったら追体験するのが一番いいんですけれども、
追体験するときに、
追体験するもとっていうのは多分フィクションではなし得ないというふうに思ったんですね。
オーラルヒストリーっていうものがそこで重要になってくる。だからこそ戦争は女の顔をしていないもそうなんですけども、
その他にもいろいろありがたいことに、今は日本語で読めるものもありますので、
赤軍兵士がどういうふうに戦ってたかっていうことであるとか、逆にドイツの兵士たちがどういう手紙書いてたとか、
捕虜になってどういう会話してたとか、そういうこともわかるようになってきたので、
そういったものから戦場にいる感覚ってどういうことなのか、
っていうことを少しずつ学び取って、それを小説に展開したらどうなるかっていうことを考えていった。
例えば、自分たちが戦っている局面がよくわからなかったりするっていう、
どういう局面で今対局を見ると戦っているのかわからないままとりあえず突っ込めって言われたりするのが結構実情だったりとか、
あとはこれはそんなに強調しなかったけど、
とにかく移動する、待ってるっていうことがすごく重要だったりするとか、
そういうふうにやっていくと本当に臨場感に優れてるっていうふうにいろんなことにおっしゃっていただいて、
それがやっぱり人に資料を読み込んで、そこに戦争のリアルというものに自分なりに想像力を働かせる。
03:02
そこに自分がいたらどう感じるんだろうっていうことを考えてから五感にまで訴えていくっていう、そういう手法でしたね。
もう一つ、やっぱり女性っていうところではどうこだわったというか、書けたんでしょうね。
これも悩みました。
一つ大きな問題として、一体これ何を描こうとしている小説なのかっていうことが問題としてあったんです。
モチーフとしては、
普通にやると、下手するとこれフェティッシュになっちゃうっていう、男性にとってのフェティッシュになっちゃう。
若い女の子が銃持って戦うのがフェティッシュになってるって割とよくあるもんになっちゃう。
それを回避しつつ、ではどうしたらいいかって言ったら、女性が戦場に行ったときにその視点からしか見えなかったものを描く。
それをやってみたいと思ったんです。
戦争小説の質を高めるだけじゃなくて、どうしてもやっぱり戦争小説って、現実がそうだったこともあって、
主人公も、戦争小説の質を高めるだけじゃなくて、
同僚もみんな男で、男たちの物語で完結してることが多かった。
っていうことは、史実に依拠して女性兵士の立場から独創性を描けば、戦争小説としてもなかなか新しいものが描けるんではないのかなって思ったんです。
であるからには、戦争とジェンダーっていう大テーマを持ってきて、これから逃げないで描いてみようと思った。
ところが、やっぱり描いてる自分が男性だっていうことからは逃れられないですし、果たしてそれって描けるものなのかしらっていう疑問はあったんです。
ただ、すいません、私男性なんで、戦争とジェンダーについては、
女性の視点からは描けないですって宣言しちゃったら、多分テーマからだいぶ後退してしまう。
いや、描ける。戦争において一番露骨に出るのが性犯罪なんだけど、それだけじゃなくて、
当時の実際の女性兵士が味わっていたどことなく屈辱的な扱い、二戦級の扱いされたりとか、
そういったのは戦争は女の顔してない、繰り返し登場するんですけど、
いや、自分たちは戦えるっていう気持ちであるとか、
そういったものをきちんと汲み取って、
で、今の、
この世に問うに、恥ずかしくない小説にできるはずだと思ったんです。
ありがたいことに、現代的な小説だっていうふうに言っていただいたこともありました、その結果として。
だから、そこはもう本当に、世に出すまでは、それでもこれで合ってますかっていう気持ちがすごくあったんですね。
ただ、ありがたい反応として、戦争小説としては、
かなり入れなほど女性の読者からの支持が強いというお声をいただきまして、
そもそもそうですね。
間違ってなかったかっていうふうな気持ちでいます。
そういう意味では、こう、なんて言うんでしょう、
まあ、手法的な話なのか、それこそ編集者の方との何度もの遂行を通してのかわかんないですけど、
いわゆるその、女性的な目線とか視点できちんと書けてるかっていう、
まあ、出すまでの段階の時の検証というか、
なんかそういうのって結構やられたのか、
まあ、結構それはもう普通に書き切ったのか。
これに関しては、新人賞受賞作なので、
あの、途中でアドバイスもらえなかったわけですね。
あ、そうか、そうですね、そうか。
だから、とりあえずやりきるしかないっていう。
800字一気に書き切って、
はい。
ディティールに関しては、
たまにまあ、あの、出すまでの間で直していくっていう、
はい。
セリフなんかおかしくない?みたいなのがたまにあったんで、
06:02
そこはもう自分の信じたい方法でやり切ったっていう感じですね、
この小説に関していえば。
うん。
今、改めて、そうか、
なんか僕の中で勝手にもう1年以上ね、
ほんと出版されてる感じですけど、
はい。
まだ全然、今日の時点でも半年ちょっとだと思いますけど、
はい。
改めて、
はい。
執筆において、
はい。
後から振り返ったら、
まあ、ティッピングポイントというか、
ターニングポイントだったなと思う、
はい。
具体的なその創作に関する、
この、例えばよく2割8割の法則ありますけど、
なんていうの、
この2割とか2%があったから、
これがこうなったんだな、
うん。
ちょっと抽象的で恐縮ですけど、伝わってますかね、
もし、あれば教えていただきたいなと。
うん。まあ、あの、書いてた時に、
いくつも意識したポイントがあったんですけども、
はい。
その中に、小説として戦争を語る時に、
うん。
あの、現代の読者から切り離せない構造にしようって思ったんですね。
はい。
それはあの、ジェンダーもそうなんですけども、
もう一つの問題に、戦争っていうところもそうなんですね。
過去を語って、昔々こういう話がありましたっていう風な構造にならないようにしようと。
戦争とジェンダーの問題にするならば、
ジェンダーについても、あの、現代に何かを語りかける構造にし、
そして、戦争も何かを語りかける構造にしようと思ったんですね。
では、その、あの、独創戦を現代の日本人に提示する意味は何かって考えた時に、
うん。
今も続いていく何かっていうものを、あの、戦争で提示しなければならなかった。
はい。
それがウクライナだったんですね、僕にとっては。
うん。
2014年に、あの、クリミア半島の、あの、併合がありまして、
ドンバス紛争、まああれも実態としては内戦というよりは、あの、ロシアの介入戦争でしたけども、
あの、あれがあった、外交的にほぼ破綻に等しい関係になったわけですね。
うん。
で、2020年の段階で意識したかったのは、
はい。
独創戦を通じて勝ち出た、その、ソ連内部でのロシアとウクライナの友好っていう、
うん。
で、それはソ連が崩壊してからも、実はずっと友好国としての時代の方が長かったんですけども、
はい。
それを強調していくことによって、ラスト、特にラストについては、
ラストですね。ありました。
はい。あの、それらが、あの、失われていく現代に対しての、ある種の何かメッセージを放ちたい。
うん。
戦争を通じて勝ち取られた、あの、過労死で勝ち取られた2国家の友好ですらも、
今、崩れていってるっていうことを言いたかったし、
うん。
あの、ウクライナとロシアの関係、あの、単純に友好国であったと、
はい。
いや、もう言い切れない、何度も言い渡る関係というのは、現代に連綿と続いていくんですよってことを言いたかった。
うん。
それ、2014年から2020年までの関係を念頭に言いたかったわけですね。
はい。
ところが、それが、あの、結果的に、
はい。
非常に、あの、繰り返し引用されるのが、その、一番最後のロシア、ウクライナの、あの、友情は永遠に続くのだろうかっていう一文は、
ものすごく引用されるようになっちゃったんですね。
僕は別に、戦争を予期したわけじゃないというか、むしろ書いてるときに、いきな、いくらなんでも、全面戦争はないだろうけども、
あの、2014年からの、その、友情が破綻していくことを、念頭において読者が読んだときに、
あの、戦争の無情さと世の無情さっていうものを感じてほしいというふうに思ってたんですよ。
はい。
それがもう、今では全然違う意味合いで読まれてしまう。
うん。
多分、ここで、あの、現代、戦争というテーマを現代に接続するために、ウクライナの、あの、出身の、コサクのオリガっていう子を、
09:02
ね。
配置して、主要な登場人物として扱おうって決めたことが、
はい。
執筆当時としては、あの、ストーリーラインとはあんまり関係ないところにいる人なんですけども、
うん。
ただ、これを、まあ、あの、途方もなく現代的な小説にして、
はい。
しまったし、まあ、よく言ってたのが、最悪の時代で獲得した同時財政っていうふうに言ったんですけども、
うん。
あの、最悪の形で同時財政を獲得して、させてしまった要因になった、そういうふうに思ってます。
ただ、まあ、あの、小説に関してはやってよかったんだけど、ただ、それがこういう形で、なんとか、ある種、なんか裏付けのようなものを得てしまうのは、本当に悪夢でしかない。
うんうんうんうん。
まあ、だからこそ、寝込んでしまったというのもあると思うし、
本当に。
まあ、さらに言い方あれですけど、まあ、やっぱりね、その、ウクライナでさらに多くの人に読まれたっていうのは、まあ、まあ、まあ、複雑ですよね。やっぱり、正直。
もう、これだけは本当に来てほしくなかった。
気象広報になって、あの、予備的な記者会見があったんですけど、あれって、あの、まあ、受賞した人以外使われないんで、あんまり表に出ないんですけど、確か、あの時には、もう、もう、かなり、これ、危険だなと思ってたんで、
あの、今、あの、ロシア、ウクライナ関係が大変なことになってますんで、なんとか平和的に解決してほしいと思うんですが、っていうようなことを、ちらっと言った覚えがあるんですけど、あの時から、もう、これは、もう、危険かもしれないと思ってました。
ただ、この小説を書いたときに、根底には、やっぱり、その、この小説を通じて、現代も繰り返される戦争や、あの、紛争に対する痛苦に対して、あの、思いを寄せる、一つの契機になってほしいっていう考えはあったんです。
まあ、確か、アクサクリスティー賞を取ったときのミステリーマガジンの挨拶でも言ってたと思うんですけども、ですから、あの、そういった意味での、あの、小説の働きという意味では、あの、読まれてほしいとは思うんですね。
ただ、そのきっかけとして、あの、あの、戦争が起きるんだけは、もう、絶対に嫌だったので、どう受け止めればいいのかっていう、その後で、自分の本が、あの、売れ行きが一時に加速したことがあって、まあ、それが、まあ、どうしても、やっぱり、嫌だったんですね。
あの、だから、まあ、いきなり、税、この分に。
寄付しますというふうに言い出したりもしたのが、それはもう、あの、どうしようもなかったから、自分なりに決着つけようとしたら、そのぐらいしか思いつかなかったというふうなんですけども。
そういう意味では、こう、まさにおっしゃる通り、その、ね、キャラ設定というか、登場人物っていうところは、決定的な違いだと思いますけども、この、どうしようもない敵を打てたと、最初にもう、やっぱり、このね、主人公の、一番大事なセラフマ、セラフマから、やっぱり、まず出てきたとか、なんか、意外と全然違うところからまず出てきたとか、なんか、どんな感じだったんでしょう、経緯としては。
そうですね。
で、実際に、いざ実戦に行ったときに、どうやって変化して、本物の兵士に変化していくのか。それは成長でもあり、破綻でもあるんですけども。そういったところを描けるっていう。
12:06
イリーナなんかは、もう、最初からもう、完全に戦勝に適合した状態で出てくるんで、完成された兵士なんだけど、人間としては破綻しきった人として出てくる。
その周辺は、まあ、いろいろ考えましたけどね。
基本的には、ソ連における立場っていうものから作っている。
旧貴族。
娘だったりとか、カザフ人、ウクライナー、ジューナーウクライナーとか、その中でもちろん、それではない、失われた母性を求めている人だったり、看護師のターニャーっていうのは、実はすごく好きな登場人物なんですけど。
そういったところから、主題から発展して、描くべき人間を導き出したときに、必ずその人たちが体現する価値観っていうものがある。
で、問題はあまり独創戦というのは、なじみ深いとは言い難いもの。
で、問題はあまり独創戦というものを提示するのに、これはなるべくキャラクターは分かりやすく提示していこうっていう、やりすぎなくらいちょっとポップに明るく出していく。
特に最初に出てくるとき。
そこから変化していくところっていうのを見届けてほしいし、その方が読みやすくなる。
当然、これ、手法っていうのは賛否両論あって叱るべきだと思ったんですけど、幅広く読まれるならその方がいいと思った。
それは実際出したら本当にその通りだった。
個人的にはやっぱりターニャーがすごく、
自信だったというか、やっぱり戦争って言うと、僕も戦争体験者の方の話聞いてると、戦争するか、要は直で関わるか、姿勢の人で普通に関わってないかっていう、そのどっちか。
やっぱりややもすると、今世の中でも100か0かみたいなものが多いじゃないですか。
なので、ああいう形で当然関わるってあるんだって、いろんな意味でちょっと考えさせられましたね。
そうですね。戦争における衛生兵のモラル、看護師のモラルって果たしてどういうところにあるんだろう。
っていうのが悩むところなんですけども、実際ああいう悩み方する人っているんですよね。
超有名なところでは、あの名誉勲章をもらった人が、アメリカに一人いて、
イオジマの戦いに参加した、白草リッチっていう映画にもらった人ですけども、
あの人は宗教的な信念が理由で、銃を軍隊に行って協力することはできるけど、銃を撃つことはできませんって言われていて、
それは散々否定されるんですけど、最初。
結局衛生兵として、戦い抜くことを決めて、
ひたすら人命救助をして、名誉勲章をまでもらったっていう。
ただそれとはまたちょっと違う考え方なんですけども、この人の場合って。
ただあのターニアを配置しないと、多分この小説って、
かなり配慮しても、序盤で言ったらリーナの戦うのか死ぬのかっていうところから逃れられないと思ったんです。
確かに。
だからもう敵が来たら武器取って戦うっていう、それが正しいんだって。
だからもうその覇行しかなかったですよね。
なかったっていう。
だからそこを最後に、
スポンと誰かが打ち砕いてもらえないと困るんですね。
実はどっちでもない人がいましたっていう。
だから常にあの人が出てると、主人公たちが維持してる価値観みたいなものも、ちょっと外で行動してるから。
15:07
でもそういうのを出すのっていいことなんですよ。
なんかみんな兵隊しかいないんだけど、ちょっと価値観が違うから、出てくるとちょっと空気が変わってくるっていう。
なんかこう、
さっきその調べて書くことの意味っていうところも少し、
あの話ありましたけど、
やっぱりちょっと伺いたいなと思うのは、
その論文との決定的な違いで、やっぱり人物が出てくるっていうところもありましたけど、
いわゆる、
登場人物、今名前出てきませんでしたけど、歴史小説。
はい。
この中に、
要は、まあそもそも歴史小説って、
現実と虚構の狭間でどこまで通すかってあるじゃないですか。
で、世界観としては当然現実を出してると思いますけど、
キャラクタードっていってことで、そこで、
実在の人物、まあね、リュウミドラ。
ああ、リュウミドラ。
出てますけど、リュウミドラをやっぱり出すっていうことが、
相坂さん、どういうことだったのかなっていうのをちょっと伺いたいんですよね。
あの、リュドミラ・パウリチェンコを、
あの、まあ、必ず出す枠だったんですよね。
やっぱりそうなんですか。
あの、というのは、
ソビエト女性狙撃兵っていうものの症状みたいな存在ですから、
309人殺害っていう、
その結論だけ見ると、
本当にただただ当惑するばかりなんですけども、
ただ、まあ、途方もない人物だったことは間違いないわけですね。
でも、
それ、
それは必ず出す枠だった。
いわば、その、
登り詰めたと思われてる人なわけですね。
主人公が女性狙撃兵ならば、
必ず、
その頂点として、
仰ぎ見る存在として、
リュウドミラ・パウリチェンコは、
出てくるべきだし、
そこに何を投影してるのかって言ったら、
完成された狙撃兵としての境地なんですよね。
特に精神的な、
主人公はそれを求めるんだけど、
実はそんなもんはないよっていうふうにあっさり言われちゃう。
そんなもんはないよっていうのは、
たぶん自分が得た、
狙撃兵たちのいろんな手記とかを見て、
得たものであるし、
だからこそ苦しんだろうなっていう、
そういう気持ちですね。
だからそれを体現してもらうために、
多少無理を言って出てきてもらったし、
会話もしてもらった。
そういう意味では、
まさに、
中に、
みんなキャラクターとしては、
作り上げたものの中に、
リュウドミラさんを出すというところで、
単純に、
僕は、
現地、
ショーの方は見えてないんですけど、
アイソカさんがタイトル微妙じゃないかと言ってた、
ロシアンスナイパー。
ロシアンスナイパー。
僕もこの間、
でもすごい面白かったんですけど、
あそこでね、
逆に、
同志少女の中で出てますけど、
彼女がルーズベルト夫人とのやりとり、
その映画の中では結構詳しく出てましたけど、
あの辺、
どこまでエピソード一つ取っても、
アイソカさんの中では、
彼女のリアルと、
フィクション作り上げの、
どうバランスがあるのかな。
あれはですね、
実はあんま、
映画としてはあんま出来が良くなくて、
もう一つですね、
リドミナパブリーチェンコについて、
ぜひ参照してもらいたいのが、
リドミナパブリーチェンコの開口録、
自分で書いた本が、
18:00
翻訳されて読めるんですよ。
あれが非常にいい。
あれ読んでるから、
映画見ると、
史実とだいぶ違うところがあるのと、
妙に過度に弱々しく描かれちゃってて、
僕の思っているリドミナパブリーチェンコ像とは、
だいぶ違うなっていう風に、
思います。
思ったんですよね。
ルーズベルト夫人と友達だったのは、
本当の話で、
開口録なんかも出てくるんですけど、
庭の池でボート乗ってたら、
ひっくり返って、
一緒に着替えた話とか、
あれの辺も本当だし、
なんかよく分かんない、
大金持ちと見合いさせられそうになったっていうのも、
本当にそういうエピソードが出てくる。
結構凄まじいなって思ったのが、
その時に、
ソ連代表の特使として、
アメリカに行くんですけども、
最初のリドミナパブリーチェンコのリアクションって、
スターディングラード行きたいんだけどな、
っていうようなことを言ってるんですよ。
当然激戦地で、
行ったら地獄だってことも分かってるんだけど、
その辺の価値観っていうのが出てきた。
小説の中には出てきた。
自分が置かれてる立場っていうものが、
なんていうか、
凄く外交的なものだっていうのも理解してるし、
結構ね、
開口録に出てくるリドミナパブリーチェンコは、
圧巻です。
そうなんですね。
結構身も蓋もない性格をしてるんだなっていうのが、
思ってて。
確かにロシアンスナイパーだとね、
映画としてはすごいエンタメって言っていいか分からないですけどね、
面白いですけど、
309人殺すような感じにはちょっと見えなかったなっていうのは率直にありました。
あの映画について触れたのが、
多分キノベスっていうキノ国のベスト10のスピーチだったと思うんですけど、
あそこで何を言いたかったかっていうと、
あれ2012年撮影で2014年公開なんですね。
それがロシア・ウクライナ合作映画だったんですよ。
これを言いたかったんです、僕は。
そうなんですね。
そうですね。
かつてクリミア半島で戦ったウクライナ市民にしてロシア人のリドミラ・パブリチェンコっていうのは、
わずか10年前までロシアとウクライナに共通する英雄だったんです。
明らかに。
今この情勢をリドミラ・パブリチェンコが見たら何というでしょうっていうことなんですよね。
あえて映画のことを出したのはそうだったんです。
そういうことだったんですね。
これエピローグ、僕は個人的には良かったと思うんですけど、
エピローグっていうのは最初から入れる、
予定だったんですか?
一瞬悩みましたけどやっぱり入れるべきだと思いましたね。
それはなぜですか?
というのは構図を見るとわかると思うんですけど、
エピローグを外してラストの場面でストンと終わったら、
なかなかいい終わり方をするようにできてるはずなんですね。
物語のテンションの問題だけで言えば緊張度の。
この場合はそれではダメだと思ったんですね。
というのはそれをやっちゃうと要するに戦争が終わりました。
めでたしめでたしっていう話になっちゃうんです。
でも現実の戦争ってそうじゃなくて、
戦争が終わった後も苦難は続いていくし、
本当そうですね。
これは戦争がもたらした社会構造の変化とか、
あるいは個々のレイヤーに落とし込んで考えれば、
女性兵士というものが迫害してされる時代が来たりだとか、
人生は続いていくし、
国が勝ったこととは別に個人に対する辛さ、悲しみや、
21:01
それを何度か乗り切れるかもしれないささやかな幸せというのは必ずある。
戦後パートがあって初めて戦争というものが語りきったことになる。
そこで主題としてのアレクシエビチというものが要素としてやっと出てくるんですけど、
そこまで言ってやっと語りきれるし、
よく考えたらいいなという人はそういうことを望んでいるキャラクターだったなという、
誰かに戦争のことを語ってほしいという、
自分が経験した戦争というものを、
自民の小部のためでもなく、
自己弁護のためでもなく、
ただ語る日が来てほしいというようなものを提示できる人だと思ったので、
それが最後にやってきたというところで話が終われるという、
これはやっぱり書いてよかったと思います。
よかったです。
やっぱり今、伺えてよかったですというのも、
なんて言うんでしょう、
やっぱりさっきおっしゃったように、
もちろんその前で終わってもすごく楽しめたと思うんですけど、
やっぱりあえて言うと、
戦争とエンタメというところではそこで完結していると思うんですけど、
やっぱり最後のエピソードがあったからこそ、
評価が全てじゃないと思いますけど、
やっぱりいわゆるいろんなショーもそうですし、
本当に幅広い人に、
ただ戦争、エンタメじゃなくて、
というところなんですけど、
というところなんですけど、
というところなんですけど、
やっぱりさっき僕が質問させていただいた、
この作品の本当のティッピングポイントというか、
個人的にはエピローグにあったのかなというのはちょっと思いますね。
そうですね。
我流転生的なものになっててくれればいいですけど、
締めとして最後に、
これは戦後パートが絶対に必要なものだなというのは途中で確信しました。
それはやっぱり書いてよかったです。
ちょっと意地悪な質問ですし、
多分聞かれたこともあると思うんですけど、
やっぱり、
デビュー作、
もちろんめちゃめちゃ売れて、
受賞もして、
そして時代も追いついてきてというところで、
いきなりすごいデビューじゃないですか。
やっぱり、
イラさんなんかも今後、
アイサカさん何出すのかなって気にはしてたみたいで、
やっぱり、
とにかくデビュー作めちゃめちゃ売れて、
しかもやっぱり、
戦争とかロシアとかイメージやっぱりつくと思うんですよね。
それについてやっぱりなんか、
プレッシャーとか、
なんかそういうのあるんですか?
そうですね。
将来的にはどっちかというと幅広い作家になっていきたいっていう気持ちのほうが強いんですね。
ロシアっていうものを引き続き主題にしていくとは限らない。
ただ戦争には関心があるから、
もちろん戦争についての小説も書くであろうっていう。
次が、
2本目が具体的にどういう長編を出すのかっていうのはなかなか難しいんですけど、
なんであれ、
多分ジャンルとしては広がっていくんじゃないかっていうふうに思ってます。
プレッシャーはもうプレッシャーでちょっと受け続けてて、
もう考えるのきついんですけど、
ただですね、
ある時期を境に、
逆にプレッシャーにならなくなったとなって、
ある時期までは2本目で売り上げ、
これガクンと落ちたショックだなと思ったんです。
でも本屋大賞を取って、
この売り上げだと次で超えていくわけがないから、
いくらなんでも、
これ超えなくて正常だから、
24:01
それは考えないで済むなっていうのは、
書いて楽になりました。
それなんか自分でストンと落ちたんですか?
誰かに言われたとか?
いや、もともと言ってたんですけども、
早川商務の塩沢さんにも言ってたんですよ。
いや、これ次こんな売れるわけないですよ。
っていうふうにもともと言ってたんですけど、
本屋大賞を取った時に、
大丈夫です。
これ次こんな売れるわけないですからって言っていただいて、
安心したら、
確かにこれを超えるのはもう無理だし、
内容的な意味じゃなくて、
売り上げっていう意味では、
いや、超えなくていいわ、これっていう。
そういう意味ではね、
次回作というかね、
ちょうど早川商務でもね、
2084年のエーセイドでしたけど、
短編も僕が、
タイトルが目覚めよ眠れということでね、
読ませていただきましたけどね、
もちろん全然また違うジャンル、
短編化っていうのもありますけど、
ちょうど最後にリスナーの方から質問来ているんで、
今ちょっと答えていただきつつだったんですけど、
読みますね。
20代の男性から、
今後もヨーロッパを舞台にした作品を書き続けるつもりですか?
もしも書いてみたいジャンルや時代などがあれば、
教えてください。
いろいろありますね。
ナチス大聖火ドイツの少年たちについて書いたっていうのはあるんですけど、
あれは今もってやり残したことがたくさんあるし、
雨が来たかった人たちがたくさんいる。
ああいうのはまたやってみたいっていう。
まだまだやってみない、
やってみていないものとしては、
例えばスペインとかがあるんですけど、
あの国の歴史っていうのは本当にいろんな側面がありますから、
それこそナポレオン戦争もそうだし、
もちろん内戦もそうだし、
そういうふうにヨーロッパを舞台にしたものっていうのも、
中でやりたいものとしてはそういったところがあります。
他にもいろいろあると思いますけど、
デンマークなんかもね、
実は面白い動きがいろいろありますからね、
あんまり知られてないんですけど、
戦争自体はものすごく明けなく終わったんですけども、
中立国フィンランドに何とかして、
フィンランドじゃないな、スウェーデンか、
に対して何とかユダヤ人脱出を手伝ってた人たちとかがいてですね、
あんまり抵抗の歴史としてもそれほどかりみられてはないんですけど、
そういうところ、
占領下での市民生活とか、
それはフランスとかもそうなんですけど、
そういったところでね、
注目したいところっていうのはたくさんあります。
やっぱり、
それも決めきって、
決めきっているわけでは当然ないと思いますけど、
今さらっとおっしゃった、
やっぱり歴史に基づくものとか、
やっぱり世界っていうのが、
思いっきり、
時代小説で、
日本とか、
僕個人的にはやっぱり、
目覚めの眠れすごい好き、
SFというかね、
全然また対極だったと思うんですけど、
長編はやっぱりまず、
今なんとなくうさがれた、
歴史とか世界っていうのはやっぱりある感じなんですか?
いや、
それは、
いろいろあります。
今、質問があったのは、
ヨーロッパはして、
やっとしたらどうかっていうことだったんで、
何ようにも答えましたけど、
そうですね、
テロだ、警察だっていう話だと、
未来に行った方が、
話が進めやすかったりするんで、
そういったものも書いてみたいですし、
SFにももちろん関心がある。
27:01
長編で書き切れるかどうかは、
今、現段階で書き切れるかどうかは別として、
長編でもSFはやってみたいと思うし、
現代日本でやってみたいテーマもあるんです。
だから、
いろいろ拡張してやっていく。
何にしても下調べしてから書くスタイルの方が、
自分にとってやりやすいのは確かだなとは思いますけども、
必ずしも歴史に基づいたものだけではないと思う。
やはりこの定番の質問ですけど、
藍坂さんの今までたくさん、
そんな小説、
昔そこまで読んでなかったとおっしゃいましたが、
本当にノンジャンルでいいです。
誰も知らない、
マニックな本でもいいんですけど、
やっぱり人生の一冊を挙げるとしたら何でしょうね。
先ほど申し上げた中に入ってたんですけども、
ジョン・ダワー博士の敗北を抱きしめてだと思います。
あれは何ていうか、
何が良かったのか分からないんですけど、
ものすごい衝撃を受けた。
歴史を語る、
終戦直後の日本というものを語っているんですけども、
すごく真面目な内容なのに、
ものすごく面白いんですね、
あの本って。
なんでこんなに面白いんだろうというくらい、
歴史上なのに面白い。
ストーリーがあるような感じもするし、
仕掛けがあるような感じもする。
それはジョン・ダワー博士の、
軽妙な文章のセンスというものももちろんあるんですけども、
歴史を語る、
あるいは現代日本に連なる政治を語るということは、
こんなにも楽しいんだよというふうに学ばせてもらった。
それをフィクションで再現するのは骨が折れる作業なんですけども、
読書戦を語るにあたって、
全体のテストをエンターテインメントに振り切れるというふうに考えたのも、
かなり影響を受けていると思う。
読書体験として一番素晴らしかったのはあの本だ。
ぜひ皆さんも、僕もですけど、読んでみたいと思います。
はい、ということで、
小説家の相方東馬さんにお話を伺いました。
相方さん、ありがとうございました。
ありがとうございました。

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