そこでさらにウクライナのことが追いついてきたりというか、現実がなったりって。ご自身の中にそういうジレンマみたいなのってあるんですか?
やっぱりエンターテインメントとして提示しなければ、多分これは読者から受け入れられないだろうという思いはありました。
かなりドラマチックだし、ストーリーラインもわかりやすいし、エンターテインメントにかなり振り切って描くスタイルでやろうとは思ったんです。
ただそれやるとどうしてもヒロイズムになっちゃうっていう危険性もあるなと思った。
それはもうジレンマの塊でしたね。戦争小説の中のノビみたいなものを見出してるわけじゃなかった。
ただ、それでもってエンターテインメントとして戦争を語ると、果たして何が起きるんだろうかっていうことを常に悩まざるを得ない。
だからこそ結局、ラストに集約されるんですけれども、何もやるところなかったっていうところに尽きるんです。
目的を達したとしても倫理を貫徹したとしても、何もやるところは実はなかった。
なんだけど最後にささやかなある種の幸せというのは得られるかもしれないっていう。
だからエンターテインメントとしてはある種の復讐劇なんですけど、わかりやすく言えば。
復讐劇を描き、ドラマチックになんとか生き抜こうとする冒険単を描き、なおかつ反戦文学でなければならないっていう。
それはどの要素が欠けてもダメだというふうには思ってましたし、それはなんとか頑張ったつもりです。
これエピローグ、僕は個人的には良かったと思うんですけど、エピローグっていうのは最初から入れる予定だったんですか?
一瞬悩みましたけどやっぱり入れるべきだと思いましたね。
それはなぜですか?
というのは構図を見るとわかると思うんですけど、エピローグを外してラストの場面でストンと終わったら、なかなかいい終わり方をするようにできてるはずなんですね。
物語のテンションの問題だけで言えば緊張度の。この場合はそれではダメだと思ったんですね。
それはやっちゃうと、要するに戦争が終わりました、めでたしめでたしって話になっちゃうんです。
でも現実の戦争ってそうじゃなくて、戦争が終わった後も苦難は続いていくし、あるいは戦争がもたらした社会構造の変化とか、
あるいは個々のレイヤーに落とし込んで考えれば、女性兵士というものが白眼視される時代が来たりだとか、人生は続いていくし、
国が勝ったこととは別に個人に対する辛さ、悲しみやそれを何度か乗り切れるかもしれないささやかな幸せっていうのは必ずある。
戦後パートがあって初めて戦争というものを語り切ったことになるっていう。
そこで主題としてのアレクシエビチという要素としてやっと出てくるんですけど、そこまでいってやっと語り切れるし、
よく考えたらいいなっていう人はそういうことを望んでいるキャラクターだったなっていう。
誰かに戦争のことを語ってほしいっていう。
自分が経験した戦争というものを自民のこぶのためでもなく、自己弁護のためでもなく、
ただ語る日が来てほしいっていうようなものを提示できる人だと思ったので、
それが最後にやってきたっていうところで話が終われるっていう。
これはやっぱり書いてよかったと思います。
やっぱり今、うかがえてよかったですっていうのも、
やっぱりさっきおっしゃったように、もちろんその前で終わってもすごく楽しめたと思うんですけど、
あえて言うと、戦争とエンタメっていうところではそこで完結してると思うんですけど、
やっぱり最後のエピソードがあったからこそ、評価が全てじゃないと思いますけど、
いわゆるいろんなショーもそうですし、本当に幅広い人に、
ただ戦争、エンタメじゃなくてというところなのかなっていうふうに。
やっぱりさっき僕が質問させていただいた、この作品の本当のティッピングポイントというか、
個人的にはエピローグにあったのかなっていうのはちょっと思いますね。
そうですね。画流転生的なものになっててくれればいいですけどね。
締めとして最後に、これは戦後パートが絶対に必要なものだなっていうのは途中で確信しました。
それはやっぱり書いてよかったです。
先ほど小説書き始めっていうのは、大体就職して2008年ぐらいからということだと思うんですけど、
いろいろインタビューを読んでいても、やっぱりそうするとこのデビュー作、本当に世に出たっていうのは、
この2021年、13年かかってるわけじゃないですか。
それを長いと見るか、短いと見るっていう人はあんまりいないかもしれないですけど、
あえてこういう聞き方しちゃいますけど、なかなかそういう世に出るっていう意味では目が出なかったというか、
単純に言うのですが、やっぱり一番些細なと思ったのは何だったんでしょうね。
やっぱり小説書いてる時間が楽しいんだっていうことですよね。
あんまり私生活をエンジョイしてなかったんで、逆に言うと。
これは他のインタビューでも一回言ったことがあったと思うんですけど、
会社の中で立心主政を遂げていくようなタイプじゃ全然ないっていうね。
仕事をしててそれが楽しいとか、あんまり残念ながら思えなかったし、
もちろん真剣に働いてはいたんですけども。
何をしてる時が一番楽しいかって言ったら、
小説書いてる時が楽しいんだから、
時間をゆっくりとれるために小説家になろうっていうのが自分の考え方だったんですね。
最後の方はもう極論仮に一生プロになれなかったとしても、
もうこれでいいじゃんっていう、
生き方としてとにかく小説書いてる時間があれば、
自分は幸せなんであるから、
あとは自分が思う、そして人に評価される小説の完成度を上げていけばいい。
結果だからプロになれるかどうかって本当にただの結果だからっていう。
それはオシリー監督に、メルーマがやってた時にオシリー守監督にちょっと質問したら、
わりとその考え方合ってますよっていう感じのお返事いただけたこともすごく励みになって、
小説家、小説書いてる時間が好きで、その時間を長く取りたいからプロになろうっていう発想はまっとうだし、
目が出なくて焦るっていうのもわかるけど、
世の中に出られるかどうかっていうのはあなたの才能以下の問題であるとともに、
世の中の事情であったりもする。
だから10年続けられてるっていうのはそれだけの環境があるってことだから、
それは周囲の励ましかもしれないし、家族の理解かもしれないし、
そういったものを大切にしながら、肩の力を抜いて奮励努力されたしっていうふうにおっしゃってくれたんですよ。
これはものすごく励みになって、
まさにそういう力の加減でいこうっていうふうに決めて、
これを決めないと俺はダメなんだみたいな感じで毎回やってたら、
多分どっかで力尽きちゃったんで。
楽しんで書いて、結果は結果だっていう。
プロになれるかどうかそれは人が決めてくださいっていう。
そういう気持ちで、よーく仕上がってきたのがまさにこの小説を書いたと思うんですよ。
そういう意味ではもちろん波はあったんでしょうけど、今の話を聞くと、
あいさかさんの中では基本的に書くことの過程、
それそのものがある目的で楽しいみたいなのがずっと続いてきた感じですか。
もちろん結果としてプロになりたいっていうのはあったでしょうけど。
そうですね。もちろんなかなか結果が出なくて苦しいと思ったのは、
特に最初の寸断はすごくそうで、
そもそも長編を書いても送る先がなかなかなかったりもしたんで、
苦しかった時期の方が長かったかもしれないです。
でもやっぱり根本的には書いてるのが楽しいっていう思いがあるから続いていくわけですね。
プロになりたいっていうのが目標で書いてるのが辛いっていうか苦行だったら、
多分もう途中でこれはもう慣れないんでやめますっていうふうな結論が余韻に出てきてしまう。
いやそうじゃなくて小説を書いてるのがまず楽しいから、
それを時間として長く取れるところを目標にして、
一生書き続けられるようにプロになりたいっていう順番で考えると、
そこを目指して小説を書いてる時間そのものが楽しくなれるわけですよね。
目標に向かって前進していければそれは書いてる限りは必ず前進していくわけだし、
今書いた小説そのもので必ずプロになれなかったとしても、
書いてることそのものが楽しくて、
そしていつかプロになれるという過程に少しでも前進できるならば、
その落選してる過程も多分楽しいものなんだろうっていう。
そういうふうな結論というか境地に至ったのが半分ぐらいですかね。
後半の7年ぐらいです。
エンディングのお時間です。
インタビューでは皆様からの早川さんへのご質問や番組への感想、
取り上げてほしいテーマなどを募集しております。
いただいたご質問等は番組内で取り上げさせていただきます。
概要欄のURLからお寄せください。
そして人と一体一で会う前、会った時、会った後に何をするか。
著名人から資生の人に至るまで18年間、
2000人以上にインタビューし発信を続けるプロインタビューは早川陽平が、
そのすべてを余すことなくお伝えしているアウチから養成講座。
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早川さん、真田さん、今回もやってきました。
5月にリリースしたPodcastブランディング講座にあたりまして、
このインタビューチームでPodcast音声配信について
いろいろお話ししてみたいなと思っております。
3回目の今回はPodcast、ラジオだったり音声配信をやっていて、
やっているとこんな良いことが起きるよということを
シェアしてみたいなというふうに思うんですけども、
なんていうんですかね、これ早川さんに聞いた方、
聞くのが間違いないのかなって思うんですけども、
早川さんもう10年以上Podcastを続けてこられていて、
Podcastを配信する中でいろんな良いことたくさんあったと思うんですけど、
その中でももう人生の一冊ではないですけど、
Podcastを配信していて起きたベスト1ってどんなことがありますか?
やっぱり会えることですね、一人。
三宝よしのメディアって言い方もよくしてますけど、
僕からすると2者、会える人がいるわけですよね。
そのインタビューしたいお相手と、
実際番組を聞いてくださっているリスナーの方々なんですけども、
まず言うまでもなく、インタビュアーとして世界中のこの人に会いたいという人がいたら、
このPodcastという自分のメディアを持つことによって、
その箱を通して、哲子の部屋を持つようなもんですよね。
ちょっとあの、僭越な言い方ですけど、自分の毎哲子の部屋。
そこに人をお招きできるってことです。
箱がないとお招きできないですからね、ましてや無名な自分が。
そこにまずお招きできるっていうことが一つ。
つまりその箱を使ってどんどん箱を、最初はもう本当にボロボロの箱でしたけど、
十数年もやっていると、今ありがたいことにいろんな方に出ていただいて、
そういう箱にどんどん磨きがかかってくると、
そのデロリアンが本当にどんどん性能が上がってくるという感じです。
で、もう一つは、やっぱりインタビュアーとかアウチから来ているので、
その会いたい人に会っている、そのイメージ強いんですけど、
もう一つやっぱりすごく貴重なのは、この番組を聞いてくださっている、
見てくださっている皆さんとですね、本当にあんまり繋がるとか言葉好きじゃないんですけど、
でもSNSとかそういうことよりも、よっぽど繋がっている感があってですね、
やっぱり会う前に会っている状況がいつもできていると。
今までもお話ししたように、僕があんまり表出ないですけど、
公開収録やったりとか、たままち歩いてたら、
早川さんって声かける、僕は存じ上げない方なんですが、
僕の声を普段聞いている方なので、
すでにファンみたいになってくださっているということで、
僕以上にある意味僕のことを最初から知って、
そこからすごくコミュニケーションがスムーズにいったりもしますし、
例えば海外にまた行きたいねなんて話してますけど、
自分の番組の中でね、海外に行きたいって言った時に、
そのために言ってるわけじゃないんですけど、
やっぱり本当に世界で聞いている方がいるので、
自分のことに何らかの興味とか、
共感を持って聞いてくださっている方なので、
基本的にさっき話したように、いい人が多い。
自分をポジティブに見てくれる方が多いので、