ホテル業界の特徴とトレンド
インベストメントブリッジがお届けする、いろはにマネーのながら学習。
この番組では、インターン生2人が、株、投資、経済関連の気になる情報を分かりやすくお伝えしていきます。
インターン生の会話を、ながら劇する感覚で一緒に勉強していきましょう。
おはようございます。インターン生のましえです。
おはようございます。インターン生の斎藤です。
斎藤さん、まさに夏休み真っ只中なんですけれども、旅行の予定とかありますか?
そうですね。私、来月に福岡に行こうかなと思っています。
斎藤さん、どこかに行ったりしますか?
そうですね。僕もこの前大阪に行ったんですけれども、
ホテルのシステムが多言語対応になっていたり、機械でチェックインができるようになっていたりと、すごい変化を感じました。
確かに大阪は万博なので、外国人観光客がさらに増えていて、ホテル業界も変わっているっていうのを聞いたことがあります。
まさにその通りです。今日はそんなホテル・リゾート業界の注目ポイントについて詳しく解説していきます。
斎藤さんの福岡旅行も少し変わっていくかもしれません。
はい。楽しみです。その前に恒例のチャコット株式店のコーナーです。
今日の用語は何でしょうか?
今日の用語はレブパーです。レブパーとはレベニューパー・アバイラブルームの略で、
日本語では客室収益率や客室あたり売上高と呼ばれます。
ホテル業界では最も重要な経営指標の一つなんです。
レブパーですか。初めて聞きましたね。
計算方法としては客室稼働率×平均客室単価で算出されるということなんですね。
ということは例えば稼働率が80%で平均客室単価が1万円ならレブパーは8000円ということになりますね。
おっしゃる通りです。この指標が重要な理由は、
ホテルの客室は在庫を翌日に持ち越せないという特殊な商品だからなんです。
例えば今日空いている部屋を明日に繰り越すことはできないというように、
いかに効率よく客室を販売できているかがこの指標でわかるということです。
なるほど。レブパーが高いホテルほど経営効率がいいということですね。
投資判断でも重要な指標になりそうです。
それでは本編に入っていきましょう。
今日はいくつかのポイントでホテル・リゾート業界を分析していきます。
お願いします。
まずホテル・リゾート業界がどのような特徴を持つ業界なのか、
基本的なビジネスモデルから見ていきましょう。
他の業界と比べてホテル・リゾート業界ってどんな特徴があるのでしょうか。
まさに先ほど話したように最大の特徴は固定費が高く在庫を持てないというようなモデルです。
建物や設備への初期投資が大きく一度開業すると維持費用も継続的にかかります。
そして何より今日空いている客室を明日に持ち越すことはできないということですね。
なるほど。生物みたいなビジネスですね。
そうですね。だからこそ先ほど紹介したレブパーが重要になるんですね。
ホテルの経営効率をいかに上げていくかが重要になってきます。
なるほど。他にも業界特有の特徴ってありますか。
業界の動向と投資機会
はい。やはり季節変動が大きい、地域特性に依存するというような点も挙げられます。
例えばリゾートホテルは夏や冬の繁忙期と観山期で売り上げが大きく変わりますし、
立地によって客層や需要も全く変わってきます。
確かにこれって皆さんも想像つきやすいと思いますけど、海に近い地域って夏がメインになってくるし、
スキー場周辺のホテルとかってどうしても冬に客室稼働率が偏ってしまいますもんね。
そうなんですよね。そういった点も特徴になってくるかなと思います。
では続いて最近の業界の動向を見ていきましょう。
帝国データバンクは2025年3月に2024年度の国内旅館ホテル市場が5.5兆円に到達する見込みだと発表しました。
5.5兆円ですか。すごい規模ですね。これって過去と比べるとどういう感じなんですか?
そうですね。こちらは過去最高水準となっています。
コロナ禍で宿泊需要が大幅に落ち込んだ2020年度の3兆円と比べると、なんと1.8倍規模に拡大しています。
コロナ前の2018年度も上回る水準なんです。
なるほど。コロナ開けて完全復活どころか、コロナ前以上の成長を遂げているんですね。
何がそんなに好調な要因なんでしょうか?
最大の要因はインバウンド需要の回復です。
観光庁によると、2024年の外国人延べ宿泊者数は1億6千万人を超えていまして、2019年と比べても4割以上増えました。
まさに円安降下で外国人にとって日本旅行はかなりお得になっているということなんです。
なるほど。円安が追い風になっているんですね。大手の業績はどうでしょうか?
ホテル不動産の運営を行う投資法人であるジャパンホテルリート投資法人は、
2024年12月期の営業収益が前期比26%の334億円。
営業利益に関しても昨年比38.4%増の207億円と大幅な増収増益を達成しています。
こちらからもホテル業界のトレンド性が高いとわかると思います。
なるほど。ホテル・リゾート業界に勢いがあることがすごくわかりました。
具体的にはどのような取り組みが注目されていますか?
まずは大きなトレンドとしてTX推進による業務効率化・非接触サービスの普及があります。
スマホでのチェックインやAI技術を活用した多言語対応、清掃や配膳でのロボット導入など
テクノロジーを活用した施策が急速に進んでいます。
なるほど。効率化であったり多言語対応を進めるということは
私たち利用者にとってもメリットがありますもんね。
まさに使いやすくなっているというところがポイントだと思います。
そして面白い取り組みとして東急が始めた次々というサービスがあります。
これはサブスクリプション性の関与型住み換えサービスで
定額料金で東急グループの様々なホテルを利用することができるんです。
すごい画期的ですね。
ホテルの定額サービスというのは新しいビジネスモデルのように思えます。
そうなんですよ。また、底部プリンスホテルはアセットライト戦略への転換を進めています。
これまでの所有直営モデルからホテルの資産を持たず運営に特化する
マネジメントコントラクト事業への転換です。
なるほど。リスクを抑えながら事業拡大を図るという感じですかね。
そして、人手不足対策としては、2024年に東急リゾーツ&ステイは
外国人社員を10年間で5倍に増やす計画を発表しました。
グローバル化と人材確保を同時に進めていきたいというような戦略なんです。
なるほど。すごいですね。5倍に増やすなんて。
そうですね。これから注目だと思います。
では、投資の観点からホテル業界について見ていきましょう。
現在、この業界は投資家からも大きな注目を集めています。
そうなんですね。具体的にはどんな感じなんですか?
日本経済新聞によると、2024年の日本のホテル投資額は1兆円を突破していまして、
これは統計開始以来最多となっています。
また、ホテルのリート市場も非常に好調でして、
2025年の1月から3月に関しては、
ヒルトン・コーカシーホークやホテルユニバーサルポートビーターを
投資法人が取得したことで、投資額は3カ月に上がりました。
1千億円を超えています。
すごい投資熱が高まっているんですね。
今後、5年から10年の展望はどうでしょうか?
現在開催中の大阪・関西万博なども相まって、
しばらくは成長のトレンドが継続すると思います。
まさにホテルユニバーサルポートビーターは大阪にもありますし、
こういったトレンドが続いていくと思います。
リスクと長期的視点
ただし、投資家としては注意すべきポイントもあります。
注意する点もあるんですね。
どのような懸念点があるんでしょうか?
まずは加熱感です。
人気が高まりすぎて投資利回りが低下するリスクというものがあります。
また、金利上昇によるリスクも懸念されていまして、
日銀の金利引上げなどに応じまして、
借り入れに依存しがちなホテル投資には逆風となる可能性があります。
なるほど。長期的な業界の課題というのはあったりしますか?
こちらはやはり深刻な人手不足の問題があります。
先ほど統計の取組を紹介しましたが、
帝国データバンクの調査では旅館・ホテル業界の人手不足割合は5割を超えていまして、
各社は対応を進めていますが、
それでもホテル建設が先行して運営や管理が追いつかないという事態も予測できます。
なるほど。建設をしても運営とか管理が追いつかなかったら元も子もないですもんね。
このインバウンド依存の脆弱性というのもありそうです。
勢いのある業界ではあるものの、社会情勢に伴う人手不足の影響によって
リスクは大きそうだなという印象を受けました。
おっしゃる通りですね。
ホテル・リゾート業界は2024年度に過去最高の5.5兆円規模に成長しまして、
インバウンド需要の劇的な回復により非常に活況となっています。
投資の観点では、ホテル・リート市場が統計市場最高の投資額を記録するなど注目できますが、
やはり加熱感や金利上昇リスク、さらにも人手不足といった懸念要素にも注意が必要です。
そうですね。成長中の業界にはよくあることですが、長期的な視点での慎重な判断が重要ということですね。
本日ご紹介した内容は、情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。
投資判断はあくまでご自身の責任にてお願いします。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
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