上場の基本とプロセス
みなさん、こんにちは。フリーアナウンサーの石井哲也です。
監査法人コスモスの新海智之です。
上場IPO最前線、地方企業の挑戦。
この番組は、多くの企業を支援してきた監査法人コスモスの統括代表社員、新海さんが、
日本全国の企業が今、抱えている経営課題を分かりやすく解説、企業がより飛躍するためのヒントをお伝えしていきます。
では、新海さん、今回は、上場とは一体何か、というテーマで伺っていきたいと思います。
まず、上場と聞きますとね、やっぱりハードルが高いなっていうイメージがあるんですけれども、
上場するまでのプロセスを改めて教えていただけますか。
はい、ありがとうございます。
そうですね、上場というね、まず言葉、それからIPOという言葉ですね。
そうですね。
非常に皆さんにとって、中小企業の皆さんにとって難しいというイメージがあります。
確かにね、難しいです。
しかし、上場というところでいきますとですね、我々2年程度でですね、監査証明という業務をするわけですけど、
監査法人としては、監査証明というお仕事をさせていただいて、
そして上場にですね、協力する、上場を支援していくという、そういったお仕事をさせてもらっています。
そういう中でですね、きちっと、実はルール通りに、会社がガバナンス体制、役員会とかですね、経営管理体制ですよね。
こういったものをきちっと整備していけば、そして会社が経営するにあたって、守らなければならない法律ありますよね。
業務上の法律、行政上のですね、取扱いであったり、もっと言えば会社法ですとか、それから商業等規模法とか、
これは当たり前に守らなければならない法律だと思うんですけれども、
ここをですね、なかなかおだなりにしておられる経営者さんというのは多いと。
もっと言うとほとんど全てと言っていいと思います。
これは我々が上場に向けて、短期調査というのを実施させていただくんですけども、
ショートレビューとも言います。
この中ではですね、本当に99%の中小企業の皆様が、そんなことをやらなきゃいけないの?みたいなことで、
非常に基本的なことではあるんですけれども、
守らせている、そういった法律から見た場合の逸脱行為というのはたくさん出てきます。
そうなんですね。
ただ、それらは皆さんが経営していく中で当たり前に実施していたり、
形式的に取り揃えていくだけだというところもありますので、
ここをしっかりと自分たちがやらなければならないことというのを整備していけばですね、
必ず上場会社としての手を出してくるんですね。
そして手を出したところでそれを実践していただく。
それだけで上場というところに対する要件を満たしてくる。
改めて言いますけれども、しっかりと役員会の機能を果たす。
ガバナンスの機能を果たしていって、そして内部管理体制を整えていく。
そして決算数字の開示ですよね。
ここを適切に行っていく。
そして我々は監査法人として、公認会計士として、
その財務書表に監査証明を付けするわけですので、
そういったことができるようになると上場ってできるんですね。
経営者の不安とアドバイス
そうなんですね。おそらく経営者の中でも、
上場はちょっとなかなか難しいなと思っている方たくさんいると思うんですよね。
その中でもそういったものもあるけれども、大変なのはあるけれども、
監査法人に頼めば何とかなるんだよっていう部分は思っても大丈夫ですか。
そうですね。監査法人の方でもちろん監査証明を出しするという業務と、
それから指導助言ということで、
それまでの管理体制を適切に整備していく。
そして運用していくというところは繰り返し申し上げますけれども、
指導助言ということが我々の監査という領域の中に含まれておりますので、
適切にこうあることが大事なんですよ。
こうあらねばなりませんよというところはお伝えしながら、
そして我々監査を実施させていただいて、
適切に会社の経営体制やあるいは財務諸法が適切であれば監査証明をお出しすると。
そして上場に向けて活動していくというところですので、
上場ということに関して言いますと、
我々決して中小企業の皆さんが難しく考えていただく必要はありませんし、
ぜひ積極的にチャレンジしていただきたい。
そして上場することこそがですね、
皆さんが適正に経営をして本来の株式会社、本来の経営ができる姿になっていくんだという、
そういったふうに考えていただけますとね、
我々としてもありがたいし嬉しいですし、
これが皆さんの地域や日本経済の力になると思っていただけるといいなと思います。
この番組を聞いていらっしゃる経営者の皆さん、
敷居が高いとかハードルが高いって思わずに、
前向きに上場に向けて考えてほしいなという。
これもですね、我々の日本の中小企業の皆さんはですね、
特に会計の領域でいきますと、
税金計算をするための機能があるだけとかですね、
それと思っておられたり、
会計というのを税務会計で行っていて、
もうそれでいいんだというふうに思っておられる経営者さんは多いと思うんですね。
でも会計というのはそれだけではないです。
やはり月次で決算を組んでいく、早く数字を見る、
そして今の状態を早く分析して将来に手を打っていく、
こういうための未来会計のために使っていくツールですし、
言ってみれば、その数字というのは経営者の通信法なんですよね。
月次、月次、そして年度で業績を測る経営者の通信法。
これをですね、より常にブラッシュアップ、
いいものにしていくというのが経営者の責任ではないでしょうかね。
そういう中で、ぜひ上場ということを目指す中で、
管理体制を整えるということの中で、
これは当たり前に経営者がやらなければならない。
人に例えると、まだ中学校、高校生、もっといえば大学生レベルの経営を皆さんしておられるとすると、
ぜひですね、大人の経営という、成人してですね、
責任ある経営者になっていただきたいというのが、
実は上場の意味だというふうに私どもは捉えています。
そういった意味もあるんですね。
それだけ大変な部分も上場あるんですけれども、
上場したからこそ得られるものもきっとあると思いますが、それは何でしょうか。
これは一言で申し上げますと、圧倒的な信用力だというふうに思います。
どれぐらいの信用力が得られるのかと言いますとですね、
これは中小企業庁が出している統計で明確なんですが、
中小企業者の皆さんですね、全国で330万社以上あると言われています。
個人事業の方ももちろん含みます。
しかしですね、東京証券取引所に上場している企業、この数は4000社に満たないんですね。
そう考えると本当にごくわずか。
そうです。
しかしその上場会社になるということは、どれぐらいの価値があるのかというのは、
今の数字からしてもですね、皆さんイメージしていただけるんじゃないでしょうかね。
そうです。星の数ほどあるような会社の中からの4000ですから、それだけ特別スペシャルなイメージがありますよね。
それが普通に努力をしたらどの会社さんもそこに至るんですね。
そうなんですね。
この辺りのですね、イメージを持っていただけるといいと。
もちろんですね、上場できない業種、特別な業種であったり、それから上場できない状態の会社というのはあります。
ありますが、そういう特殊な状態を除けばですね、本当に多くの日本全国の中小企業が上場に挑戦することができるし、実際に上場していっている会社がたくさんあります。
そうなんですね。
そういった現状が本当にわかりやすくご説明いただいたんですけれども、今度はですね、上場することへ不安を持っている経営者が多分たくさんいると思うんですよ。
その方に対してのアドバイスメッセージありますか。
上場するという時にですね、経営者さんの中にはどうでしょうね、大きく2つですね、あるいは3つかな、めんどくささとか不安を感じておられる経営者さんがおられると思います。
だいたい一つはですね、まさに管理体制を整えなければならない。
もう少し言いますと、文書家ですよね。
経営をしていく中でのその経営の程度をですね、文書化していく、規定を作るとか、その活動状況を記録していくとか、ここはちょっとね、煩わしい部分ではありますよね。
あとですね、まさに数字を出していくというね、数字を開示していくっていうところもポイントなんですが、ここについてもですね、あんまり数字を開示したくないなっていう経営者ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
ここは文書家というところとも関係してくるんですけれども、決算書を開示していくということ、そこに抵抗感を感じる、そういう経営者もいらっしゃるかもしれません。
しかしぜひ堂々とですね、会社の数値をですね、決算数値を開示していく、そして上場会社になっていただきたいと思います。
そして最後に一番、経営者の皆さんが上場ということに対して抵抗感を覚えるのが、多くの株主がですね、一般的にはですね、これまでの日本の株式市場においては多くの株主を招き入れなければならないと。
基準があるんですね。例えば東京証券取引所のグロース市場においては、まず上場する前に150人以上の株主を揃えなければならないとかですね。
それからそれに加えて株式を市場で流動的に売買してもらうわけですけれども、その割合は25%以上なければならないという、そういう形式的な基準があるんですね。
ですので一般の市場というのは株主をどうしても絶対に招き入れて、そして一定の流動性を持たせて、そういう基準の中で上場をする準備をして、そして上場していくという、そういうプロセスを踏みます。
ですのでこれを実は上場するときに資金調達を皆さんできると思い込んでいる領域なんですが、これは一般市場に上場するときは、上場したときに資金調達をしなければならないという、そういうルールというか、強制的な基準なんですよね。
これが形式基準の一部になっています。ここが大変ですね、株主を迎え入れていくということが中小企業の経営者にとっては大変不安なことではないでしょうかね。
プロマーケットの紹介
資金調達というキーワードが出たんですけども、これはマストであって、そもそも資金調達どういったものになるんですかね。
ありがとうございます。私どもですね、今ずっと上場、上場というふうにお話をしていますが、あえてIPOというふうにあまり表現していないんですね。
上場だけしてくださいということを我々はお伝えしています。上場とIPOは何が違うのかと。IPOは何の略かと言いますと、イニシャルパブリックオファリングということで。
パブリックオファリングというのは資金調達のことを言います。公に調達をしていくということでパブリックオファーという。そしてそれがイニシャルであるという。
すなわち上場するときにパブリックオファーをしていくということでIPOというふうに言うわけですけど、一般市場はこれがルールなんですね。
すなわち上場するときには必ず資金調達が必要になるということなんですね。裏返せば上場するときに資金調達できるというふうになるわけですけども。
実は我々がやっている活動というのは、まずは市場で資金調達するという一般投資家向けに資金調達するという前に、まずはプロマーケットという市場で上場だけしてほしいと。
すなわち資金調達をしないのでパブリックオファーないですよね。すなわち上場時にパブリックオファーしないのでIPOはしない。すなわち上場するだけということで、我々はIPOのことを上場と資金調達を兼ね備えた状態をIPOというふうに言っています。
そして上場だけする市場があるので、ぜひ上場だけするということを皆さんに挑戦、チャレンジしていただきたいというふうに感じている、考えています。
ですので上場イコールIPOではなくて、その前にIPOではなくて上場ができるのがプロマーケットということ。
そうですね。実際には基準が実はないので株主を招き入れても招き入れなくてもどちらでもいいんですね。しかしそれが基準がないがゆえに株主を招き入れないことができる。そうするとオーナーシップを維持して経営できる。さらに上場できるという市場が15年前に日本でできたんですね。
それがプロマーケット。
そうです。
そうなんですね。
その市場のことをまた後日しっかりとお話をしていきますが、その株主を招き入れなくてもいい市場がある。そして経営者が持っておられる不安をそこで解消しながら、しかし絶対的なというか高い信用力を圧倒的な信用力を持って経営に取り組んでもらう。
こんなことができたら経営者の皆さんいかがでしょうかね。
そうですよね。資金調達がなくても上場できるんだよって思えば経営者の方も、だったらやってみようって思う方も。
プロマーケットの重要性
そうですね。資金調達ができないということが比較的ネガティブに受け止められることがあるんですけど、これは資金の調達というのは株式市場で資金を投資家から調達するというケースもあれば、金融機関から借り入れで調達するというケースもありますので、これはプロマーケットに上場すれば、申し上げましたように圧倒的な信用力がつきますから。
金融機関からの借り入れもすごくしやすくなりますので、資金調達というのは一つではないということですよね。株主からの調達だけではない。これはもちろん中小企業の経営者の皆さんよくわかっておられると思いますが、しかしもっともっと他にも多様な調達のあり方はありますので、これを効率的に効果的に実現するのが上場という信用を持った状態で経営するというところから生まれてくることではないかなということも感じています。
ということは、まずはプロマーケットという上場を知っていただいて、そこでまず上場を始めてみようということが大事ということですよね。
そうですね。
最後なんですけれども、やっぱり経営者の皆さんもご自身の会社がある程度の規模がないと上場できないんじゃないかなと思っている方も多いと思いますけれども、そういった点はいかがでしょうか。
そうですね。上場というと実はですね、私もこの業界に入って30年を超えますが、最初の頃ですね、いわゆる上場、当時IPOしかなかったわけですけれども、そういった会社というのは売上規模でいうと本当に何百億とか何千億という会社がですね、経営の執着点、経営の我良転生のように、いやもうね上場したらどうなんだというふうに上場していって、
というのがですね、我々の昔のですね、上場感。30年前の専門家や金融機関の皆さん、証券会の皆さん、それから中小企業、あるいは経営者の皆さんが持っておられた上場感ではないかなというふうに考えています。
しかしですね、2000年を前後にして新興市場というですね、市場が出来上がってきました。ちょうど今からそれでも25年ですね。東京ではマザーズという市場が立ち上がり、そして名古屋ではセントレックス。その前にですね、大阪でNASDAQ JAPANというのをね、立ち上がったのを皆さん覚えておられる方もいらっしゃるかもしれません。
そして九州ではQボード。札幌ではアンビシャスという市場が立ち上がって、そしてその中小企業をですね、とにかく成長させながら、そして上場してもらってさらに成長していく。そういうような市場体系にしていこうという動きが2000年前後からですね、動きが出てきた。
30年以上前とはですね、少しイメージが変わってきたんですね。しかしそれでもなかなかIPをしていくというのは難しかったということもあってですね。
今ではですね、この15年前にはプロマーケットという市場、前身は東京エイムという市場なんですけどね。こういった市場ができてですね、さらに上場して次の市場へステップアップしやすくなってきたということもありますので、実際に売上が数百億とかですね、ないと上場できないということはないんですね。我々が支援しているお客様のほとんどは売上10億前後です。
あ、そのぐらいでできるんですね。
もっと言うと売上2億、3億、4億の会社が直近ですね、我々の支援もありますし、証券会社の支援もあってですね、東京証券取引所に上場していっているという、そういう規模でですね、上場していってますので、どうでしょうね、皆さんの中には売上3億や5億では上場できないんじゃないのと思っておられる経営者さんの皆さんもいらっしゃると思うんですけど、イメージどうですか。
上場に対する難しさというか、企業規模感というのは印象いかがでしょう。
やっぱり売上は本当にね、十数億ないととか、従業員もね、たくさんいなきゃとかっていうイメージがまだありましたけれども、今そんなこともなくなってきてるんですね。
そうですね、まずはプロマーケットなどですね、一旦ですね、上がっていただいて、ですから我々スタートアップですよね、設立2年目、3年目、4年目の会社がプロマーケットにまず上がり、そこでの信用力を得てですね、どんどん成長していって、そして時価総額を高めていって、マザーズや今であればグロース市場ですね、それからスタンダード市場、こういったところに上場を果たしていこうとしている。
あるいは上場を果たした、そういった経営者さん、会社さんが生まれてきています。
はい、今たくさんの新幹線経営者の方ともお会いしていると思うんですけれども、そういった部分で意識って変化はありますか?
やはり今ですね、実際にそういったところに上場している経営者さん、累計で200社ぐらいなんですね。
今、上場市場のプロマーケットに上場している会社の数を見ますと、6月末現在145社ぐらいですかね、145社、146社なんですね。
そういう意味では非常に少ない、まだですね。
一般市場の他の市場を見ますと、グロース市場で600社を超えていますし、それからスタンダード市場やプライム市場では1500社を超えているという、そんなような市場ですので、まだまだですね、プロマーケットは認知度が低いなというふうには感じていますが、
多くの経営者はですね、実は上場をしたいと。一般市場は大変難しいので、プロマーケットにまず上場して成長のきっかけをつかもうという会社はですね、毎年増えておりまして、昨年2024年は50社のプロマーケット上場会社が生まれました。
そしてその前はですね、32社。そしてその前の年ですね、は24社ということで、どんどんこれプロマーケット市場に上場しようとする経営者は増えてきていると。少ないながらもですね、今上昇傾向にありまして。
2025年は60社を超えるという勢いでですね、今増え続けていますし、一般のグロース市場はですね、基準が上がったこともあってですね、報道レベルのお話ですけども、30社ぐらいになるんじゃないかという、大変厳しい状況になってきてまして、一気にですね、プロマーケット上場会社がですね、増えていくんじゃないかという、そういうような流れにありますので、
ぜひですね、皆さんご存じない方はですね、この放送でしっかりですね、どんな市場なんだろうということを興味を持ってですね、お聞きいただけるといいかなというふうに思っています。
はい、ありがとうございます。本当今日は上場とは一体何かというテーマでお届けしたんですけれども、なんか夢が広がりますね、聞いてますと。
ありがとうございます。本当に私どもですね、中小企業の皆さんにぜひ成長してもらいたい。そして地域の皆さんにもぜひ貢献したい。職員の皆さんがですね、自信を持って自慢できる会社になってもらいたい。
そして日本経済が本当に良くなるような、そういう中小企業群を我々もですね、その成長に関わっていきたいということで、監査法人として、公認会計士として関わっていますので、
ぜひですね、この辺りはですね、認識をですね、新たにしていただいて、そしてぜひ何かあればお声掛けをいただきたいというふうに思います。
今日は貴重な話ありがとうございました。そろそろお時間になりました。次回は上場によって解決できる経営課題というテーマでお送りする予定です。
新海さん、来週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
上場IPO最前線、地方企業の挑戦は毎週木曜日に配信しています。番組の感想や新海さんへの質問もお待ちしています。
番組概要欄のお便りホームからぜひお気軽にメッセージをお送りください。
そして監査法人コスモスでは一緒に未来をつくるメンバーを募集中です。
この番組を聞いて監査法人コスモスの取り組みに興味を持っていただけましたら、ぜひホームページの採用情報をご覧ください。
最後までお聞きいただきありがとうございました。それではまた来週お会いしましょう。