月額賃金の地域差拡大とその背景
この時間はズームアップ。毎週火曜日は経済です。
2025年の月額賃金の平均について、1位、東京都と最も低かった地域との差が、現在の推計方法に変更された2020年以降で初めて15万円を超えたということですね。
地域差15万円の賃金の差があったということです。
また、先週金曜日には、2026年度の最低賃金の改定をめぐる議論が、厚労省の審議会で始まりました。
今日はこの賃金にズームアップしていきます。
明治大学教授でエコノミストの飯田泰樹さんです。
飯田さん、おはようございます。
東京都の一極集中といいますか、地域との差が15万円ということでしたけれども、これどう見たらいいですかね。
はい、一つはですね、2020年からの比較ですので、2020年といえばコロナショックの年であります。
こういった大きなショックがありますと、一番大きく動くのって大企業のボーナスなんですね。
ですから、ボーナスであったり、その他残業、こういったものの変化があるので、
単純に言うと2020年の東京がちょっと発車台が低めになってたというところもあるんですけれども。
その一方で、この賃金構造基本調査という調査なんですけれども、これは東京に住んでる人の賃金ではないんですね。
東京に給料をもらってる場合の賃金、つまりはですね、埼玉、千葉、神奈川から東京に通勤されてる方、
むしろ下手したら多数派かもしれないんですけれども、関係によっては。
その賃金も入っての数字ですというのが一つ。
そしてもう一つはですね、東京の平均賃金が上がってるというんですけれども、
これ結構な部分が非常に高い給料をもらってる人、要は本社の専門職であったり、
本社の上級管理職の方、中級管理職の方まで含んだ数字なんですね。
いわゆる普通の人、雑に言うと真ん中ぐらいの順位の人を表す中央値というのがあるんですけれども、
つまり一番上から一番下までカウントした真ん中ぐらいの人の給料を見るとですね、
これは民間の調査なんですけれども、ぐっと差は縮まります。
平均だと東京一人勝ちだったのに、中央値だと東京エリアと愛知であったり、
またはその他の製造業が非常に多いエリアも割と高めになるんですね。
これっていうのはやはり東京にかなり本社の集中が激しいと。
それがすごく年収の高い人っていうのを一部に生んで、平均値の差をかなり広げてる部分っていうのがあるんじゃないかと思います。
これは経営者も含まれてるんですかね。
これは経営者含まれてないです。
そこは覗いてるんですね。
はい。実は経営者も入れると平均ってもっと上がるんですけれども、
そうするともうほとんど東京の平均値は何の実感にも合わないようになっちゃうので。
比較にならないですよね。
なんですけれども、これ非常に大きな課題で、中央値があまり変わらないってことは、
普通の人にとっては東京都地方で給料そこまで変わらないってことなんです。
一方で明らかに変わるのは住居費なんですね。
ちょっと東京近郊の場合、家賃の上昇が激しいので、
一つはこの高い家賃に耐えるか、もしくは長距離通勤に耐えるかという形になってしまってるので、
実はこういった報道で東京の方が圧倒的に稼げますみたいなイメージだと、
それはちょっと誤りが含まれたりするんですよね。
ちなみにですね、九州エリアですと福岡がそういう性質を持っていまして、
単純に平均して割るとですね、意外と福岡は上の方になる一方で、
普通真ん中ぐらいでどうだと比べると、そんなに他の県と変わらなかったりする。
高い一方で、やっぱり九州の中ですと福岡、土地とか住居費はやっぱり高いと。
少し九州地区、または九州中国地区だと、福岡県が少しミニ東京感みたいなのがあるかもしれないですね。
製造業復活と海外企業の動向
なるほど。
その一方で、やはりこれから産業自体が増加してくる。
例えば政府も戦略17分野を公表したりと、製造業シフトを進めてくるときに、
やはりそういった製造業は都会の真ん中には作れませんから。
そうですね、広い土地が必要ですよね。
今、熊本へのTSMCの計画に見られるように、
こういった製造業の復活で地域、地方、大きな田舎というよりは工業地帯の雇用と年収がどう変わっていくのかが、かなり重要なポイントだと思います。
正直、アメリカの防衛系企業も横須賀の日産工場跡地、かなり大規模な展開を発表しましたけれども、
今、世界が日本の製造業で働く人材に目を付け始めています。
圧倒的に技術水準に比べて賃金が非常に安い。
なるほど。
これをどう活用して賃上げに結びつけていくか、所得の増加に結びつけていくか、
特にTSMCもそうですし、国防系の企業もそうですけれども、海外なので、
工場の給料はこのぐらいみたいな相場感無視で、とにかく必要な人を集めるという方式できますから、
これはね、かつて日本金融業等で外資系が入ってきて、資金の相場感がまるで変わった。
これが今度は工場についてもやってくるんじゃないかなと思いますね。
なるほど。
日本の賃金構造と今後の課題
昔は日本が海外に工場を作るときに、日本よりも人件費が安く済むからというのが、今逆になってきているんですか。
はい。もちろん一つは円圧ですけれども、
特にあとは、そういった先端的な、例えば軍艦の整備をできるかとか、
最新鋭の機械を扱えるかっていうと、海外ですとそういう技術を持っている人は極めて高級なのに対して、
日本の場合は何か、あり程に言えば、事務職管理職の給料は高く、現場労働者の給料は低くっていうのが、相場として定着しちゃった感じがあるんですよね。
で、みんなそういうもんだと思ってるし、会社側もそんな感じだろうと思って賃金決定してしまってるんですけれども、
米系の企業とかですと、今まさにですね、ブルーカラーとホワイトカラー、会社内で給料逆転してるっていう会社もあるぐらいで、
足りないとかその技術を持っている人がいない、イコール当然高級というふうになりますので、
ちょっと日本も、日本は日本でいいところあるんですけれども、少しそういった今足りない人、技術を持っている人っていうのの待遇を、
日本全体がちょっと考え直すべき時期に来てるのかなと思います。
なるほど。またその技術を持っている人っていうのは、AIが取って変われない部分ですもんね。
そうなんです。後ろですね、フィジカルAIと呼ばれるんですけれども、
そのAIを使ってどうやって工場を上手に回していくかなので、工場ではたくさんの人が必要なんですよね。
ですから今ちょうどですね、この産業自体の大きな転換点ですし、
西側諸国こぞってですね、どうやってもう一回製造業を復活させるかというのに前のめりになってます。
日本もこの流れに遅れを取らないように、またむしろリードするようにしていくべきかなと思いますね。
そうですね。ぜひ不要していくきっかけにしたいところですね。
飯田さんありがとうございました。
ありがとうございました。
この時間は明治大学教授でエコノミストの飯田康幸さんでした。