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スピーカー 1
どうにか月額サブスクリプションを立ち上げてきたときに、2000年になってネットバブルが崩壊しかけて、彼らからすると月額モデルだから最初新規会員をどんどんどんどん集めるわけですけれども、初月無料でやってたんですよ、彼ら。
そうすると当たり前だけど、新規会員が増えれば増えるほど、1か月目が無料だから赤字がしゃべらないように溜まっていくわけですよね。
それの構造がおかしくなって、ライバルであるブロックバスターに売らなきゃいけないかもみたいな話になったりはするわけなんですけれども。
結局この買収提案というのが帰却されて、どうやったかっていうと、実は従業員の3分の1を解雇するみたいなことになっちゃったんでしょうね。
でもここから先面白いのが、120人いた従業員の3分の1を解雇して80人になったんだけど、逆にそこでやっぱり少人数で、クレイジーなアイデアでもいいから、突入していかないとダメだっていうものが生まれてきて。
そこで結局、今日話すバリューアンバンドルっていうようないろんな打ち手が出てきたりして、再生していくっていう話に繋がっていくんですよ。
しかもその時に結局できた文化であるロックスター文化。これは後の方で解説するんですけれども、ノールールズっていう本がめちゃめちゃ売れたのって覚えてる?
スピーカー 2
ネットフリックスの組織についての話ですかね。
スピーカー 1
そうですね。実はこの組織文化っていうものの源流ができたのは、このネットバブル崩壊のタイミングで。
スピーカー 2
なるほど、このタイミングなんですね。
スピーカー 1
要は少数の1人のロックスターがいれば、普通の社員10人分の働きができるぜっていう原型が、ある種、強制的に社員を減らさざるを得なくなって、
死活問題の中で何でもやってやろうぜという外部環境の中でロックスター文化が生まれるっていうところとかは、歴史の面白いところっていう。
なるほど、なるほど。
そういう中で、じゃあ今日のバリューアンバトルっていう話に入っていこうと思うんですけれども。
前回、月学生サブスクリプション制を導入するときに、3つの話を同時に考えたんですよっていう話をしたの覚えてる?
スピーカー 2
覚えてます、はい。
スピーカー 1
3つなんですか。
スピーカー 2
3つですよね。
サブスクリプションにします。サブスクリプションにして、もうわかんないですね。
スピーカー 1
1つ目は月学生で好きなだけ映画を借りれるようにしましょうということと、2番目が好きなだけ借りれるようにするのを円滑にするために、配送っていうものを全国に分散させるということをやりましょうっていう話と、
あと3番目が待ち行列を借りたいリストっていうのを使っておいたら、それで自動的に次が配信されるっていうシステムっていうこの3つなわけなんですけれども、
この3つを打ち手として考えて全部やったらうまくいったっていうのは、結局これをうまく考えられたのがバリューアンバトルがあるからっていう話なんですね。
スピーカー 2
バリューアンバトル?
スピーカー 1
バリューチェーンっていうのは割と使われる用語だと思うんですけど、どんな定義で知ってますか。
あんまりバリューチェーンも最近言われないのかな。
スピーカー 2
昔の経営の本とかによく出てくる、メーカーさんとかでよく使われる、全然説明できないです。
スピーカー 1
要は単純に言えば、価値の鎖がバリューチェーンですね。
価値の鎖って何かっていうと、ユーザー様が価値っていうものを出会うまでにどういうプロセスに分解していってやればいいのかなっていうことがバリューチェーンってことで。
例えば従来のビデオレンタルで言うと、店舗に行って商品を選択してレジで支払って返却して返却したときにまた店舗訪問になるから商品選択レジ支払いに戻るっていうようなものがバリューチェーンですよね。
スピーカー 2
これがバリューチェーン。
スピーカー 1
それに対してバリューアンバンドルっていうのは、この商品選択っていう部分とかレジ支払いっていう部分を、今の状態って店舗に訪問して商品選択してレジに支払って返却してっていう工程がビデオレンタルの中でチェーンのように鎖で縛られてて他のプロってないじゃないですか。
スピーカー 2
はい、確かにね。
スピーカー 1
これをバレすことによって、この工程を全く違うものに変換できるんじゃないかっていうのが、バリューを繋がってる、バンドルされてるものを外して作り直すっていう意味でアンバンドル。
スピーカー 2
なるほど、完全に理解しました。要は再構築みたいな感じですね。
スピーカー 1
今までは繋がってて当たり前って思ってたことをバラバラにし直したら、全然価値作り直せるじゃんってことなんでしょ。
さっき言ったように、前回大事だったバリューバーチャライゼーション、実質的な価値の変換をちゃんと見ましょうっていう話で言うと、
都度払いでレンタルしてた時から月額でサブスクリプションになると、月額で払ってるからたくさん借りた方が得っていう風に実質価値が変換されてるじゃないですか。
そうするとたくさん払った方が価値っていう風になった時に、このビデオレンタル屋のバリューチェーンって再構成できんじゃないかっていうのがアンバンドルの考え方なわけですね。
スピーカー 2
面白い。
スピーカー 1
つまり何かっていうと、ビデオレンタル屋さんって基本的に在庫があるものの中から借りるしかないので、1回1回店舗訪問した時に、その時にお店であるものをピックアップして返却して、また行った時にまたあるものの中から選択するわけじゃないですか。
スピーカー 2
なるほど。これもうピンとこない人もいるかもですね。昔は当たり前ですけどレンタルビデオ屋さんとか行って借りられてたら借りれなかったんですよね。
スピーカー 1
そこがみんなわかんないかもしれないのか。
スピーカー 2
そうなんですよ。当たり前なんですけどね。在庫がないのでっていう。これが実はかなりボトルネックにもなってて、超有名な新作とかだと30本とか入れても全部貸し出し中です。
ないんだって言って買えるとかってよくあったんですよね。昔は。
スピーカー 1
そうなんですよ。それが結局、月額制になったところで在庫がなかったら貸せないっていうのは変わらないわけですよね。
だとしたら、在庫がなくても貸せないっていう状況は変わらないけれども、できるだけお客さんが借りたいものをパッと借りれるようにするっていうところで、商品選択っていうバリューチェーンを、
じゃあ事前に自分が借りたいものをリストにしときましょうっていうもののクエリー性にしちゃいましょうっていうのが転換なわけですよ。
スピーカー 2
要は順番待ちじゃないですけど、自分の中でこれ借りたいですっていうのがあったら、空いてたらそれも送りますよみたいなことですよね。
スピーカー 1
そう。そうすると、さっきのバリューアンバンドルとして、もともと商品選択っていうのは行ってから決めるものかな。
前に乗って、どんどんリストに追加しておくと、そこから送られるようになりますよっていうふうに変わるわけですよね。
スピーカー 2
今までだったら店舗に行って、店舗に行って探すっていうのがアンバンドルされて、全然違うフローになってるってことですね。
スピーカー 1
そうです。そうすると、ユーザーの行動がどうなるかっていうと、今までのビデオレンタルのやり方で月額制に変えると、
ビデオを見ました。ビデオを返却しました。そしたらサイトに行って、次のビデオを借りますになるわけじゃないですか。
でも、事前にリストアップしておくとどうなるかっていうと、ビデオを返却されましたと同時にリストアップされてる作品の中で、在庫があるものの一番優先順位上を送ってあげるだけでいいから、ユーザーがサイトにアクセスする必要性なくなるわけでしょ。
スピーカー 2
そうですね。自動的に来ますからね。
スピーカー 1
そうすると、ユーザーからすると待望のものが来てくれるからOKって満足度高いじゃないですか。
かつ、Netflix側からすると、実は在庫を倉庫に貯めなくて良くなるので。
スピーカー 2
ああ、そうかそうか。置いてる必要がなくて常にユーザーの手元にあるみたいな状態が作りやすいですね。
そうなんです。
スピーカー 1
しかもこれリストアップされたデータベースがあれば、受け取ったらそのまま次はこの人に送り返すんだよねって貼り直して送ればいいだけなんですね。
スピーカー 2
すげえ、面白い。
スピーカー 1
そうすると2番目のシナジーの話に聞いてきて、じゃあこの送り返していくっていう作業っていちいちアメリカってめっちゃ広いじゃないですか。
それを1個の倉庫に集めて1個の倉庫から出してたら郵送かかっちゃいますよね。
スピーカー 2
なるほど、ちょっと分かってきました。
スピーカー 1
やっぱりどんどんどんどんネットがリアルをアップデートしていくDXの時代のほうが、結局リアルのオペレーションって複雑じゃないですか。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
実はそこに秘伝のダレが溜まったりするんでしょうね。
スピーカー 2
うーん。
スピーカー 1
こういうことってすごい大事だなっていうこともあったりするわけです。
スピーカー 2
いや面白いな。でもこれはいろんなところで今起こってそうですね。
スピーカー 1
この手の話で有名なもので言うと、Amazonのワンクリック特許ですよね。
結局AmazonってもうIDに送付先の住所とクレジットカードの決済情報が入力されてるから、じゃあ普通だったら一回ECってものをカートに入れます。
カートに入れて配送先の確認と決済手段の確認があって、それで買いますって言って、買うまでに2クリック3クリックかかるわけですよね。
それをECって1回配送先も登録されてるし、決済のクレジットカードの内容も登録されてるから、もうユーザーがいつもの場所に送ってって言ったらワンクリックで買えるじゃないかと。
これをAmazonがある種、これもバリューアンバンドルのショートカットなわけですよ。これを特許取ったんですよね。
そうするともうこれ特許だから、後発のECは1回間に確認画面挟まないとAmazonの特許侵害になっちゃうわけですよ。
だから他のサイトはAmazonはワンクリックでものが買えるのに、他のサイトってもっさりしちゃうなってユーザーが思っちゃうわけですよね。
でも実際は後発はやりたいんだけど特許取られちゃってるからやれないし。
さらに言うとこの2000年代とかって通信速度遅かったですから、間にワン画面入れさせるって結構ユーザーストレスなんですよね。
スピーカー 2
これね今だとピンとこないかもですけど、まあまあインパクトありますよね。
スピーカー 1
ジーって出てくるのを待たなきゃいけない。
スピーカー 2
そうなんですよね。今だとあれなんで特許取るのかもしれないですが、1ページ表示するのにすごい時間がかかってた時代とかだとかなりクリティカルだったりしたんですよね。
スピーカー 1
この件とかは先にちゃんとユーザーのバリューチェーンを考えて、ここはもう消却できるよなとか、ここは全く違う価値に変えれるよなんていうバリューアンバンドル思考があるからそういう打ち手ができるし。
そこを戦略的に考えてるから、じゃあここの部分を特許取っとけばユーザーにとって一番快適な道を通れなくするわけですね。
この辺はなかなか日本の中だと相手に対する、相手の足を留めるような言い方は悪いですけど嫌がらせ的な戦略ってあんまり語られないんですけど、相手が一番快適な道を通れなくするっていうのはもう特許戦略の王道なんですよね。
なのでMBAの教科書の中ではこういうことをペインリリーバーって言ったりします。お客さんにとって今までペイン、これめんどくさいなって思ってたところをもうなくしちゃう。
そのペインをなくしちゃうことによって、そのサイトのユーザー体験をめっちゃ快適にするっていうのでペインリリーバーっていう言い方ですよね。
スピーカー 2
このフローを変えちゃうみたいなところって身近な例で言うと、漫画とWebtoonは全然作り方が違ったりするんですね。
スピーカー 1
なるほどね。
スピーカー 2
でも漫画についての知識がある人ってWebtoonも漫画っぽく作っちゃうみたいな発想で考えて、全然違うんだなって後で気づくっていう話を聞いたんですけど、漫画ってやっぱり作家の方がアイディアを出して、ネームとかを作って編集者に見せていいねってなったら作画するって形なんですが、
Webtoonってそもそも複数人でやってたりするので、プロデューサーがいて、ディレクターみたいな人がいて、企画を作ったらその企画を元にネームを切れる人に発注して、ネームが出てきたら今度は作画する人に別の人に発注して、色をつける人に発注して、リリースするんだけどそれらは全部工程をディレクターが管理していて、
出してみて、この辺で離脱してるからここ差し替えようみたいなものをやっていくみたいな、全然違うものなんですよね。
漫画の編集者の方とかに言わせるとやっぱりWebtoonと漫画、似てると思われがちだけど、もう全然別物で、なので別に編集者とかのノウハウが使えると思われがちなんですけれども、なんかだいぶ違うんですよっていう言い方をしてましたね。
スピーカー 1
そうですね。ちょっとこれ横道にそれちゃうけど、時間が長くなっちゃうけど、ちょっとこれ大事な話なので、バリューアンバンドルを使う時のもう戦略的な王道を今ケンスが言ってくれたんですよ。
スピーカー 2
バリューアンバンドルのもう1個大事なことは、今までは繋がってる工程だから、その工程を1人の人がやるっていう形になってるところをアンバンドルで分けちゃうと、それぞれの工程が得意な人に分ければいいじゃないかっていうふうにゲームチェンジするから、プレイヤーを入れ替えることができるんですよね。
スピーカー 1
つまり今まで漫画っていうものは、原作と漫画を描くっていうぐらいの役割分担あるものを、基本的には原作をラフなコマに落とすネーム作りみたいなところから、じゃあそこの中身を作っていくみたいなところを1人が全部できないと、なかなか漫画家が育たなかったわけですよ。
それをネームだけを切る人っていうのは、言い方悪いんですけど、絵が1個1個は汚くても、小回りだったり構図がかっこよく決めれるっていうことの方が大事な能力なわけじゃないですか。
それだけできる人であればいけるし。さらに言えば、それの後に構図とかは描けないんだけれども、めちゃめちゃ綺麗な背景が描ける人とか、めちゃめちゃ綺麗な迫力ある人の顔が描ける人とかっていうふうに、
スピーカー 2
一箇所得意なところがあれば、その得意な人同士を組み合わせれば価値を出すことができるっていうのが、実はバリューアンバンドル戦略におけるうまみで、それをビジネスとして再構築したのがある種ボカロなんですよね。