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2024-10-09 33:28

#7−6 強敵ブロックバスター陥落!生き残り競争を左右する顧客ファースト精神

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ブロックバスターとの熾烈な競争やネットバブル崩壊後の困難を乗り越え、月額制モデルで事業を拡大するNetflix。競合の攻勢を受けながらも、レコメンドエンジンの強化とユーザー体験の最適化で成長していく過程を掘り下げます。


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▼MC:

尾原和啓(IT批評家) https://twitter.com/kazobara


京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、内閣府新AI戦略検討、産総研人工知能研究センターアドバイザー、現在13職目 、近著「アフターデジタル」は11万部、元 経産大臣 世耕氏より推挙。「プロセスエコノミー」はビジネス書グランプリ イノベーション部門受賞


▼サブMC:

けんすう(アル株式会社代表取締役) https://twitter.com/kensuu


アル株式会社代表取締役。学生時代からインターネットサービスに携わり、2006年株式会社リクルートに入社。新規事業担当を経て、2009年に株式会社nanapiを創業。2014年にKDDIグループにジョインし、2018年から現職。


▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。

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▼音声編集:株式会社BOOK


▼アドバイザー:株式会社BOOK代表取締役 樋口聖典

サマリー

このエピソードでは、ネットフリックスがサブスクリプションモデルを導入し急成長を遂げる一方で、ブロックバスターが競争や厳しい状況に直面している様子が描かれています。また、AI技術の導入やビジネスモデルの変革を通じて、顧客ファーストの精神が企業の成長にどのように寄与しているかが探求されています。さらに、ブロックバスターがネットフリックスに苦しめられ、最終的に敗北する経緯が語られています。特に、顧客ファーストの精神とユーザー体験の重要性が強調され、ブロックバスターの倒産に至る経緯が解説されています。ネットフリックスの解約プロセスが簡素化され、顧客の帰属意識が高まる結果がもたらされています。また、顧客ファーストの精神がビジネスの成功にどのように寄与しているかについても考察されています。

ネットフリックスの成長と競争
けんすう
はい、というわけで第6回目でございますが、前回はサブスクリプションモデルを開始して、うまくいき始めたよというところなんですが、
ちょっと一旦この辺りで今までの流れを簡単にまとめていただこうかなと思うんですけれども、お願いします。
尾原
そうですね。第5話まで来て、1997年の創業から1999年のサブスクリプションの開始で、
サブスクリプションの成功方程式が成り立ってきたのが2001年ぐらいなので、そこまでをギュッと詰めて話しているわけなんですけれども、
簡単に言っちゃうと、今までNetflixって、今見てみるともう王者、覇者みたいな形なんだけれども、
彼はメインプレイヤーから逃げて、次に活路を見出して、次の中心を見出してやっていくということを続けていて、
具体的に言うと、実はDVDレンタルから始まったということは結構知っている人は知っていたりするんですけど、
実は創業当時はDVD販売とレンタルの並列で始めましたよという話から始まって、
レンタルというのもそれまでは1本借りるのにいくらというので始めていたので、
それだとやっぱり郵送だと遅いし、店舗より面倒くさくないという話になってきて、
じゃあ定額制を入れます。定額制を入れた時にビジネスというのが、今までは1本いくらで借りるっていうビジネスかな、
たくさん見ないと損だよね、どうせ同じ月額払ってるんだからというところで、
事業の本質が変わっていって、じゃあどういう映画を見たくなるかとか、
じゃあずっと借りるという中で裏側の構築というものがどういうふうにバリューアンバンドルさあって変わっていくかというところで、
いよいよサブスクリプションを定額制として見たところから、
けんすう
次ストリーミングに向かうところまでというところがいよいよ始まるわけなんです。
なるほど、じゃあこの辺から動画をインターネット経由で見るみたいなところがスタートするんですよね。
尾原
はい、ですがそこに至るまでの波乱、波乱、波乱っていうのが実は今回のネットフリックというのが真骨頂でもあるので、話していきたいんですね。
まずさっき言ったように1999年にサブスクリプション型を見つけていったことと同時に、あとDVDが主流になっていくんですよね。
そういうこともあって、借りなきゃ損だからということで、どんどんどんどんネットフリックスがユーザーを順調に増やし始めるし、
かつそのタイミングになってきたときに、あともう一個大事なことがですね、そのタイミングでライバルのブロックバスターっていうのが各店舗にいっぱいありますよねみたいな話をしてたわけですよね。
でもやっぱりブロックバスターから見ると、このタイミングで言えば2つの障壁っていうのがあって、
彼らはビデオを中心だから、そのDVDを中途半端に始めるとビデオとDVD両方持たなきゃいけないから、それってちょっと面倒くさいよねっていう話。
あともう一個、実はその月学生になったときにですね、大きな話っていうのがあって、言い方悪いんですけど、ブロックバスターからするとですね、円帯金ってめっちゃでっかいビジネスなんですよね。
けんすう
なるほどね。そうですよね。
尾原
ネットフリックスって、実は2000年になって、1998年から低学生を始めて、わずか2年間で低学生で円帯料ないし、何回でも借りる人っていうお得感からすごい事業伸びて、
2000年で500万ドル、だから当時のレートで言うともう5億円ぐらいの売り上げが見込めてたんですよ。
それに対してブロックバスターは時価総額で60億ドルだから、当時の円レートで言うと6千億円ぐらいの時価総額がいて、6万人従業員がいる会社になってるんですね。
そうすると質問です。円帯料だけで、彼らブロックバスターはいくら売り上げてたでしょうか。
けんすう
なるほど。10億円。
尾原
答えは800億円です。
けんすう
そんなに、みんなめっちゃ円帯するんですね。
尾原
そうなんですよ。結局言い方悪いんですけれども、どうしてもレンタルビジネスっていうのは借りてすぐ返す人よりも、大体ビジネスっていうのはちょっとレイジーな人の方から儲かる。
怠け癖のある人の方から儲かるみたいなところがあって、単純に言って16倍ブロックバスターは円帯金だけで、そのNetflixの売り上げがあったんですよね。
けんすう
どんだけサブスクが盛り上がっていると言っても、800億捨てて5億を取りに行っても全然意味ないよねって見えちゃいますよね。
尾原
そうなんですよ。
IPOとその影響
尾原
っていうことがあって、Netflixっていうのは買い進撃が行われるんですけれども、こっからのハードシングスが非常に皆さんのインサイトを提供するところだと思うんですけど。
話をしていくと、Netflix、2000年に順調に、さっき言ったようにもう5億円売り上げる急成長ということで、上場申請をします。
2000年何がありましたか?
ヒットバブル崩壊。
はい、その通りです。まさに煽りを食らっちゃうんですよね。
けんすう
ちょうどこの頃なんですね。
尾原
そうなんですよ。上場ができない。でもNetflixは、さっき言ったようにサブスク型としてむちゃくちゃ伸びるということを信じてたので、むちゃくちゃ集客にお金をかけてやるわけですよね。
そうすると赤字が積み上がってるわけですよ、この段階で。なので上場が止められるってことは資金調達ができなくなるので、やばいっていう話になりまして。
けんすう
なるほど。
尾原
実はブロックバスターに売却を申し出るんですね。
その時の値段が55億円。
けんすう
絶対買っときゃよかったって思ってるでしょうね、当時の人たちは。
尾原
現在Netflixの時価総額は40兆円。
けんすう
40兆円。
尾原
約1万倍ですね。
けんすう
でもネットバブル崩壊前はどこの会社も広告費をとにかく積み上げて、どんなに赤字でも上場したら時価総額つくって言われてた感じなので、当時の感覚で言うと別に変なことやってるわけじゃないんですよね。
尾原
そうなんですよ。
なので結局Netflixは余儀なく社員の3分の1をレイオフ。
ということをやらざるを得なくなりましたよね。
でも実はこれがノールールズと呼ばれる有名な本がありますけれども、Netflixの強靭なカルチャーを生み出した。
良い人しか残らないから、その良い人たちは100倍の生産性が起こるので、いろんなことができるように実は逆になったよっていう形でNetflixのカルチャーが生まれていくので。
けんすう
これはまた別の回をきっちり話していきたいと思います。
尾原
楽しみです。
ちょっとだけ言い訳をさせてください。
実は前回ですね、バリューアンバンドルっていう話でDVDを月額制にしたことによって、次から次に借りたいという需要が生まれるから、
じゃあ後ろの保管スペースを削減するために、お客様に次は何かやりたいんですかっていうウェイティングリストを作ることによって、次、次、次って配送するようにすれば、
お客さんから返してもらったら、じゃあ次はこの人に送ればいいのねっていうことで、保管スペースが削減できるよねっていう話だったりとか。
じゃあそれをやるために、全国各地にちっちゃなハブを作れば、
アメリカってでっかいから全土で郵送しようとしても3日ぐらいかかっちゃうんですよね。
でも各地域に人気作品はハブとして置いておくと、すぐに地元で次に誰に送るっていうのが分かるので、もう翌日配送されるというようなシステムを作っていったことによって頑強なシステムを作りましたよねっていう話を前回バリューアンバンドルにしたじゃないですか。
あれね、レイオフの後なんですよ。
けんすう
そうなんですね。時間軸的には全部が一緒だったわけじゃないってことですね。
尾原
つまり何かっていうと、さっき言ったレイオフで死にもどぐるいでいけなきゃいけない定額制でっていう風になった時に、コストをできるだけ削減しなきゃいけなかったし。
何よりも地元ですぐに配送されると翌日にはお客様に届くから、返したらもう次の人気作すぐ来るんだみたいな形になっていくので、すごくいいようになっていったっていう話だって。
そういうふうにハードシングスを乗り越えていくことによって、ネットフリックスっていうのは何とか定額制の中で活路を見出して成長していこうっていう風になるんですよね。
でもそれでも足りなかったんですよ。
なのでネットフリックス何やったか。
DVD販売事業の方をAmazonに譲渡します。
けんすう
結構売れてたあれですよね、クリントン大統領の。
尾原
そうです。ただもうこの月額制になった時にはもう8割がレンタルの方に変わってきてる。
けんすう
なるほどなるほど。
尾原
要は都度でやる場合は、どうせ時間買うんだったら買う方がいいやみたいな形で初期の頃の販売の売上げは9割だったんですけども。
この頃には月額制で安定して成長してきたので、レンタル事業は中心になってきてはいるんですけども。
っていうぐらいにもうあれやこれやっていうことをやって、ネットフリックス上場を迎えたのが2002年の5月2年後なんですよね。
そこでは順調に事業を延ばせたので、時価総額は300億円。
だからまだユニコーンじゃないんでしょうね。
けんすう
アメリカにしてはかなり小粒な感じがしますね。
尾原
そうですね。ネットバブルの影響があって、それでも83億円ぐらいを調達して動くわけですけど、ここでまた悲劇が襲います。
なんと、ネットフリックスを買わねえよって言ったブロックバスターが、このIPOのタイミングにぶつけてオンラインレンタルサービスをぶつけました。
けんすう
なるほど、このタイミングなんですね。
尾原
このタイミングです。
なので、ネットフリックス上場1週間で時価総額が60%下落。
けんすう
なるほどな。それは勝てんやろって思われたわけですね。
尾原
そうなんですよ。
さらにもう一個苦渋がきます。
Amazonにネットフリックス、さっき言ったように、DVD販売の方売却したじゃないですか。
競争とAIの活用
尾原
普通そういう時って、レンタルの方はしばらく入らないでねっていうことをするんですけど、なんとAmazonもレンタルに参入。
けんすう
なんと、ひどい。
尾原
そう。っていうところの切磋琢磨っていうこともしてくるし。
さらに言うと、結局AmazonがDVDレンタルに入るっていう話が、実はまだ入らないんですよ、このタイミング。
けんすう
なるほど。
尾原
けど、ネットフリックスはそれを信じちゃって、価格下げちゃうんですよ。
みたいなことの中で、もう本当にきつい戦い方を仕入れざるを得ない、みたいなことをやっていく中で、
さっき言った宅配のハブを作ったりとか、あとはこのタイミングでAIの投資をしていくことによって、
ロングテールでお客様が借り続けたいっていうような作品をどんどん見ていく、みたいなことを苦渋の中でどんどんやっていって、どうにかどうにか成長していくってところをやっていくんですよね。
けんすう
この時のAIって、要はリコメンドエンジンを強化していくみたいな、そんな感じですか?
尾原
おっしゃるとおりです。だから、リコメンドエンジンっていうのは、次これを借りるといいですよってことを推薦するっていうものなんですけれども、
このためには3つの要素が必要なんですよね。
1つは、この作品を借りた人は次これを借りるよねっていう傾向を得るっていう話と、
ネットフリックスの成長とブロックバスターの挑戦
けんすう
あともう1つは、当たり前だけど、次借りていい作品じゃないと困るじゃないですか。
尾原
そのためにお客様からレビューを得て、傾向がマッチするものをやりましょうよねっていうことと。
あと3番目が、このタイミングだとまだAIが万能じゃないので、どっちかっていうとデータサイエンティストって呼ばれるような、
こういう監督を見た人はこういう監督を見るよなとか、こういうジャンルを見る人はこういうジャンルを見るよなっていうようなデータチームがいて、
そこから性能を上げていくっていうようなことをやっていくっていうことをするっていうことを2001年に導入して、
けんすう
やっていくってことで、粘り越しの中でどうにかどうにか成長体制を作っていくわけなんですよね。
尾原
さらにここからまた苦渋が続きます。
けんすう
ずっと苦渋ですね。
尾原
そうなんですよ。2006年、Netflixがですね、そうやって成長体質を作ることによって、加入者400万人超えました。
けんすう
すごいおめでとうございます。
尾原
時価総額1500億。
けんすう
すごいすごい。
尾原
このタイミングでブロックバスターまた嫌がらせてきます。
けんすう
トータルアクセスというサービスを始めるんですね。
尾原
要はブロックバスターのいいところは、要は全国に3000店舗のレンタルストアがあるわけなので、
なんと店舗でレンタルの月額制に入っている人は、店舗でも返して店舗で借りることを含めて無制限に借りれますよ。
けんすう
じゃあNetflixのサブスクの上位版みたいな。
尾原
そうなんですよ。
けんすう
終わった。もうダメですよ。
尾原
終わったっていう感じなんですよ。
ということをやって、一方トータルアクセスっていうブロックバスターのほうは月額がだいたい2000円ぐらいで。
そうすると無制限でDVDが借り替えれる。どんどんどんどん。
あと店舗で無料交換もできるし、さらに言うと店舗で無料交換したやつもオンラインでレンタル利益が管理される。
けんすう
絶対そっちのほうがいいじゃん。
尾原
そうなんですよ。
その当時で言うと、さっき言ったようにNetflixは同じ2000円で、一度に4枚のレンタルが可能とはいえオンラインみたいな話なので。
一方で安さ勝負に向かうために、一度に借りれるのは1枚っていうものが月額5.99ドル。
だから600円ぐらいでしょね。っていうところでやっていくみたいなところまで追い詰められる。
けんすう
やばいっすね。
尾原
ただ、この先すごいことが起こります。3年後どうなったでしょう。
けんすう
ブロックバスターが潰れた。
尾原
はい、それは知ってるよね。
それはね、なんとなく知ってます。潰れちゃうんですよね。
そうなんです。だから逆に言うと2007年のタイミング、2006年にトータルアクセスっていうことをやってきたわけなんですけど。
当たり前ですけど、ブロックバスターの収益も減るわけですよね。
けんすう
そうですよね。
尾原
で、なんとその3年後の2010年9月にブロックバスターは、連邦倒産法第11章、いわゆるチャプター11を申請して、倒産に追い込まれるわけなんですけど。
この間にあったのが何ですか?
けんすう
え?その間にあったの?
尾原
ディーマンショックだ。
けんすう
いやいやいや。
尾原
ディーマンショックは2009年だから。
実はさっき言ったトータルアクセスの翌年にストリーミングを開始するわけです。
けんすう
ネットフリックスがね。
尾原
ここが勝ち切れるのかっていうところが、どういう戦略の中で勝ち切ったのかっていうことなんですよね。
けんすう
ブロックバスターとかアマゾンが後追いで脅威に見えるっちゃ見えますけど、逆を返して言うと彼らのほうが後手に回っちゃってて。
ようやくサブスクとかをやって、より良いサブスクを作ってる間にネットフリックスはストリーミングみたいな次のイノベーションをちゃんと掴んでたっていうのがポイントですね。
尾原
おっしゃる通りですね。
実はこれは今ちょうどAIで起こっている競争の戦略方針でもあるんですよ。
戦略の中にはですね、僕ネットワークエフェクトが大好きなわけなんですけれども、
The Profitっていう素晴らしい本があってですね。
これは英語で言うとアート・オブ・プロフィット。
いわゆるアート・オブ・オーの孫子の英語台を用いたものなんですけれども、
この中には34個の持続的に利益を作っていく戦略っていうのが書かれていて、
その中の一つが工学投資先行回収モデルっていうのがあるんですね。
つまりもう一つの先行投資によってダイナミックにゲームチェンジが起きちゃうんだったら、
一番最初のプレイヤーしか生き残らんわっていうゲームがあるわけですね。
けんすう
なるほど。
尾原
これの典型例が今のNVIDIAさんで、
結局彼らが出しているH100っていうGPUのチップが、
生成AIとめちゃくちゃ相性がいいので、
彼らがあらりで75%取るっていうね。
けんすう
すごい。すさまじい。
尾原
そうなんですよ。4分の1しか減価がかかってないって状態でやってるから、
NVIDIAって半分利益が取れます。
ただもうちょうど今ぐらいのタイミングで他社が性能が追いついてきたわけなんですけれども、
ちょうど今年の年末からもう性能が2.5倍になるけれども、
価格は1.2倍にしか上がらないよっていう、
次のブラックウェルが出ると。
それはなぜできるかっていうと、
H100の間にむちゃくちゃ収益を回収してるから、
そんだけ次の投資にぶっ込めるから作る。
けんすう
なるほどね。なるほどな。
尾原
みたいなモデルがあるわけですね。
ただ悲しいことに、残念なことで言えば、
Netflixっていうのはこれはどっちかっていうと、
DVDとか次のストリーミングっていうのは、
あくまで他のインフラが投資してくれて初めて実るわけですよね。
だからやっぱり他社依存だったから、ここまで振り回された。
けんすう
他社依存っていうのはDVDの普及率とか?
尾原
DVDの普及率だったりとか、
あともう一個はコンテンツプレイヤーが、
DVDをどれだけ出してくれるか。
けんすう
そうですよね。
尾原
そういったものに依存してたところで、
ここまでやっぱり振り回されて、
でもその組織を3分の1解雇してでも、
もう勝てるためのやり方っていうことを、
もう絞って絞って絞って絞ってどうにか、
とはいえ月額っていうものは、
お客様からしてみると、
もう次から次に見れるっていう非常にお得なサービスだから、
どうにか生き残って、
時価総額で言えば、
先ほど言ったようにアメリカの中で400万人超えて、
時価総額で1500億ドルまで行くことができたっていうところまで来れたわけですね。
けんすう
ブロックバスターのトータルアクセスは何でダメだったんですか?
尾原
単純に言えばトータルアクセスはユーザーがめっちゃ入ったんです。
けんすう
なるほど。
尾原
なんだけれども、全体の収益性がまず下がっていったんですね。
けんすう
さっきの引退金の800億とか当然なくなってしまうし、
コストも膨れ上がるしっていうところですね。
尾原
っていう話が一個と、
あともう一つは、やっぱり結局ユーザーからしてみると、
一見無制限に借りれるよ、店舗で返せるよって便利なように聞こえますけれども、
やっぱり次に借りたい映画がちゃんとあるっていう状態が
なっていることの方がずっとユーザーにとって重要じゃないですか。
けんすう
確かに確かに。
借りれないといくら無制限でも意味ないですもんね。
尾原
そうなんです。
だから結局さっき話したように、ネットフリックスっていうのは
配送っていうことに言えば、店舗で返せるのもいいけど、
郵送で、しかも当時のネットフリックスって日本でもありましたけれども、
もう返信封筒がそのまま郵送されてきて、そこにDVDを入れて、
しかもポストですよね。
DVDでかくないから、普通のハガキとか封筒と同じポストに投函すればそのまま返すし、
そうすると最短2日間で次の作品が、さっき言ったように地方ハブに1回返送されて、
地方ハブに自分のウェイティングリストに入っているものがあれば届くから、
もう2日後に届くわけですよ。
そうすると出かけなくても、次から次へと楽しめることができるわけですよね。
けんすう
ユーザー体験がそもそも店舗行くのと郵送が全然違うので、
店舗が増えたところであんまりユーザー体験の向上がなかったんですかね。
尾原
っていうところですね。
AIと最適化による新しい戦略
尾原
でも一番大事なことは、さっき言った本質的価値として低額制になったら、
次見たい映画が決まるっていうことが結局魅力ですから。
けんすう
そうですよね。
尾原
この部分の圧倒的な投資というものが、
トータルアクセスという一見すると便利なものに対して、
けんすう
Netflixの方が本質的なユーザーの価値を増やしてたっていう話なんですよね。
想像に過ぎないですけど、Netflixの方が全然使ってて気持ちよくて、
トータルアクセスとかで話だけ聞くとブロックバスターの方がすごそうだけど、
使ってみるとなんかしっくりこないなとか使いづらいなみたいなのが、
多分大量にあったんでしょうね。
尾原
そうですね。だからちょっと今日路線変更をして、
ストリーミングの話は来週に持って行って、
なぜそこがやっぱすごいかっていう話をすると、
Netflixの画面って今何%がAIによって表示されてるかっていう話なんですけど、
何%だと思います?
けんすう
90%?
尾原
90%です。
すごい。
つまり今Netflixの画面を開けていただくと、
あなたへのおすすめっていうコラムだったりとか、
最近の日本のランキングだったりとか、
あと僕だったらアニメがとか、今年始まったシリーズはとか、
賞を受賞した映画はみたいないろんなブロックが出るんですけど、
実はこのブロックがどういう順番で表示されてるのかっていうのが実はAIなんですよ。
けんすう
なるほど。
尾原
だから一見するとなんかおすすめのやつは固定で出すとか、
ランキングは固定で出すっていうふうに考えちゃうじゃないですか。
けんすう
違うんですね。
尾原
そういうのも結局1日に何回もアクセスする人だったりとか、
毎週アクセスする人にとっては固定欄ってうざかったりするわけですよね。
けんすう
確かにね、同じ情報ですからね。
尾原
っていうことも含めて全部実験しながらですね、
最適化を進めていくっていう、本当にユーザーが毎日アクセスしたくなる、
次に借りる映画があるっていうことを追求していくっていうことが、
AI企業であるNetflixの本質的に選ばれたってことですし、
あともう一個象徴的なエピソードが、
これこのタイミングじゃないんですけど、
Netflixの顧客ファースト戦略
尾原
Netflixって解約をめちゃめちゃ簡単にしてったんですよ、データ経営。
けんすう
珍しいですね。
尾原
これなぜか。
なぜか。
けんすう
まあ、解約しやすくすると入会しやすくなる。
尾原
はい、正解。さすがですね。
結局、Netflixがデータ経営をしていくとですね、
やっぱり月額サービスって言ったって辞めるわけですよね、一部の方は。
でも、辞めて帰ってくる人って結構いるよなっていうことを分かってきたわけですよ。
そうすると結局、辞めて帰ってこない人って、やっぱり解約するときすげーめんどくさかったとか、
っていうことのクレーム比率が高いので、
いっそのことを、解約をむちゃくちゃ簡単にしてみようっていう話をやってみたら、
解約した人の50%が帰ってきたんですよ、データで見てみると。
つまり結局、お客様っていいコンテンツがあればギュッと見て、
で、辞められて、だけどまたスポーツの大会がありますとか、
早々のフリーレンの2期が始まりますとか、そういうようなときにまた帰ってこられるときに、
前辞めるときにひどい体験をしてると、他のとこ行っちゃうわけですよね。
けんすう
確かになー。
尾原
こういったことを含めて、全て実験をして、数字ベースで見てみて、本当にいいサービスっていうものを疑いなしに。
どうしても短期的に見ると、解約ページって一般的には間に本当に辞めるんですかとか、
何種類か解約ページそのものが分かりにくくて諦めさせるとか、
けんすう
あるある。
尾原
いうようなことをやった方が、一見するとそのタイミングの解約は3割4割防げるかもしれないんだけれども、
辞めた人が帰ってこなければ、ロングで見たときには損だよねっていう話になってきて。
けんすう
全企業の担当者に聞いてもらいたいですね、これは。
尾原
そうですね。ただ大事なことは、これはユーザーにとっていいことをすればビジネスとしていいっていうような話に終わらせたくなくて、
ちゃんとデータを取って、結果的にいいことだからやり切るっていうことをやってるってことですね。
けんすう
そうですよね。倫理観とか本当にユーザビリティみたいな観点だけじゃなくて、
データで見たときにそっちの方が合理的だからやれるっていうのがNetflixのすごいところっていうことですね。
ブロックバスターの教訓
尾原
そうなんです。なのでさっき言ったように、やっぱりこの定額制っていうビジネスはレンタルビジネスっていうものから変わっていったんだけれども、
安さ勝負っていうところの泥沼に引きずっていかれたんだけれども、
結局きちんとユーザーとデータを見て、ユーザーにとって次の映画を借りたい、次の映画がすぐ来るっていうようなところを
AIだったり配送対象だったりとかをしっかり最適化したNetflixが残っていったんだよ。
じゃあ2007年ストリーミング開始っていうところで、どうやって彼らストリーミングの中で覇者になってたのかという話につなげていきたいと思います。
けんすう
これちょっと最後にブロックバスター結局どうすればよかったんですかねっていうのをちょっと聞いてみたくて。
尾原
僕だったら今だから言える話でしょうね。
結局ビジネスを考えるときに2つの流派があるんですよ。
1つはユーザーにとって本当に欲しいものは何だっていうマーケットから考えていくっていう考え方と、
既に俺たちこんなに経営資源を持ってるんだから、経営資源を生かして他のビジネスをしようぜっていう考え方で。
後者の典型例はTSUTAYAですよね。
けんすう
そうですね、確かにね。
尾原
元々レンタルビジネスっていうところからとはいえ良い場所っていうものを設置してるし、
あともう1個がやっぱりコンテンツに対して愛と関係性がめちゃめちゃあるので、
ある種大関山のTSUTAYAみたいな形で良い居場所になるっていう方向で進化していくっていうのが1つと。
あともう1つはリクルート編でやったように、マーケットインパクト型でいくのであれば、
やっぱりリクルートがインディードとアルバイト情報サービスっていうものを2つ並列で持ったように。
ある程度分社化するなりして健全な競争で戦わせるっていうことが大事だったんじゃないかなって。
けんすう
なるほどな。TSUTAYAはシェアラウンジみたいな、その居場所を特化してそこでお金を取るが、
今めちゃくちゃ当たってて各地にできてますけど、あれとかすごいですよね。
尾原
そうなんです。そういう考え方を、これはどこかでちゃんと話したいんですけど、リソースベースドビューっていう言い方をして。
マーケットからじゃなくて、自分たちが持ってる経営資源の中から最もユーザーに選ばれて勝てる場所を考えていきましょうっていう考え方で。
いわゆるビジネスって、ポーターの競争の戦略っていう形で、マーケットから見て考えていこうっていうSCPモデルが多いんですけど、
それに対して資源から着目してやりましょうっていう2人のリソースベースビューみたいなのが2つあって。
実は日本企業がDXとか新規事業をやるときって、個人的にはもうAIとかどんどん普及品になってるんだから、
もっと自分たちにある経営資源から別の事業にスライドしていくってことを考えたらいいのになって個人的には思ってます。
けんすう
富士フィルムさんが化粧品とかでしたっけ、全然フィルムではないところにやってるとかは経営資源から。
そうです。
変わってるやつですもんね。
なるほど。
ブロックバスター側の気持ちで考えたらこれ相当難しかっただろうなと思ったので、面白かったですが、
次回はいよいよストリーミングでどうNetflixがやっていったかみたいな話ですかね。
尾原
ところに入っていきたいと思います。
けんすう
楽しみです。じゃあ次回よろしくお願いします。
尾原
よろしくお願いします。
33:28

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