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9月3、4、5まで本番だった展示の準備をずっとしていて、8月はすごく忙しかったんですよ。
その疲れ覚めやらぬまま、翌週からクライアントワークに走ってしまい、1週間ぐらい休めばよかったじゃないか、自分っていう。
反動を吸収する時間がないまま、今やられている。
9月3から5の盛り上がった展示はどうだったんですか?
すごい楽しかったですし、まさにこの本とかにも、今回の断片的なものの社会学っていう本なんですけど、
ちょっと共通するテーマっていうか、その展示が半分アマチュアみたいな、表現のプロとかではないみたいな人たちの作品を30個くらい集めたみたいなコンセプトの展示だったので、
そういうものをどうパッケージングするかみたいなことをすごい考えた時間でした。
なるほど。
見栄えの良いわけじゃないものを、見栄えが良くしないでそのまま出して、それで面白く見せるってどういうことなんだっけみたいな。
それをめでるってどういうことなんだっけみたいなことを考えました。
なるほど。まさにこの本を読んだり考えたりするのはいい時期、いいタイミングだったってことですね。
そうですね。でも私この本だから読めなくて終わってから読んだんで、もっと早く読んでおけばよかったって思いましたけど。
追体験とかこういうふうに解釈するんだなみたいなのが終わった後に来たんでしょうね。
そんな流れでみきさん、本の紹介までいっちゃいますか。
簡単に私がわかっているところでご利用すると、2015年に出ている断片的なものの社会学っていう本で書かれているのは岸正彦さん。
立年科の教授。
そうですね。
私この人、名前見たことあるなと思ってたんですよ。みきさんがこの本を紹介してくれたときから。
何度も話をしている、私がよく見ているNHKの100分で名著シリーズの、ブルリューのディスタンクシオンっていう、これ発音合ってるかわかんないですけど、ディスタンクシオンって本の紹介の回で解説されてたのがこの岸正彦さん。
NHKの番組なんですけど、絶妙に標準語と関西弁が入り混じる回答される方で、こういう印象だったのと、
あと、Twitterを見ていたら、Twitterの自己紹介欄にいっぱいあるじゃないですか。
バイオン。
バイオンのところか、私が見た日ベースだと、現文ままで読みますけど、お客さん何名様ですか?見ればわかるだろう。一人だよっていうのが書いてあって、もう自己紹介でもなんでもないんですけど、
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これをこの美容欄に書く、その心意気が最高だなっていう。そんな岸正彦さんの2015年の著作ですね。
そうですね。私は社会学部卒っていうことも関係ないかもしれないんですけど、この本は2015年発売されてすぐ読んでいて、その時すごく面白かった記憶があったんですけど、
なんでこれを久しぶりに選んだかと言いますと、6年ぶりに選んだかと言いますと、最近その岸正彦さんが、東京の生活史っていう、東京に住んでる100人の人が、自分の身近な人にインタビューして、その生活史を書いてまとめたっていうだけの本を出版してて。
100人の東京に住んでる人。
それは岸さん本人が書いたんじゃなくて、プロジェクトになっていて、東京の生活史のインタビューをしてくれる人っていうのをまず募集して、それでえりすぐりの100人がいて、その人たちが100人100用の原稿を書いて、それをまとめたっていうのが東京の生活史っていう本なんですけど。
それ知り合いもインタビューで参加してたりとかもしたりして、最近発売もされてちょうど。おもしろい取り組みだなって思って、そういえば岸さんの短編的なものの社会学っていう本好きだったなって思って思い出してやってみました。
なるほど。今回のこの本は、書かれてるのは沖縄の人とか、一部東京とか大阪の方も入ってますけど、同じように話を聞いて、そこの中から何が見えてくるかみたいなことが取り上げられてる本ですね。
そうです。岸さんの社会学的なアプローチかもしれないですけど、個人の生活をそのまま記述して、そこから立ち上がってくるものを考えるっていうようなアプローチが多くて、短編的なものの社会学もそういう。
だからその個人の生活をただそのまま取り出すっていうのは、短編的だっていうことで、そういう一見何も言えなさそうなこの短編っていうものを厚い目で見たときに何が立ち上がるかっていうのを考えた本かなと思ってます。
めちゃくちゃそもそものこと聞いてみてもいいですか?
はい。
社会学って何がテーマになることがあるんですか?
短編的じゃない社会学ってどんな印象でとられているんですか?
例えばターム家族とかそういうものについて家族社会学って言って、時代に応じて家族像っていうものがどういうふうに変わってきたかとかを研究する社会学があったりとか、もうちょっと時代背景とか生活に社会がどう影響してきたかとかを考えたりするのが社会学だと思いますし、
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多いのはちょっと哲学よりかもしれないですけど、自己像とかアイデンティティみたいなものをどうやって人が獲得していくかみたいなところとかも社会学だと思いますし。
本当に扱うものは幅広くあるんですね、社会学っていう。
多分もう私は大学の卒論も書いてないような人間だから、本当に私に学問のことを聞かないでくれっていう気持ちがめっちゃあるんですけど。
だから大学に入った時に社会学入門みたいな授業はあるんですか、概論のやつ。
あったと思います。でももう授業は出てないんで、本当に。私は大学で勉強は何もしていっぺんにしてないんで、本当に。
この収録のちょっと前に確かに改めて社会学ってなんだろうなみたいなことを見ていて、結構いろんな大学で社会学とはみたいな学部紹介とか書いたりするんですけど、結構幅広くあるなと思って見てて。
例えば同志社大学、京都の大学ですね。そこの社会学部の社会学って何?みたいなページを見ると、世の中で当たり前と思われていることをほんま?と問い直す学問ですと。
やっぱり調べたら常識通りだったねっていうこともあるけど、それを鵜呑みにせずに意識してなかった部分にスポットライト当てて、どうなってるんだっけみたいなことを調べますみたいなことを書いていたり。
私が生まれた新州大学、長野ですね。長野の新州大学の人文学部が出している社会学のおすすめ本っていうページがあったんですけど、そこは社会学とは何かみたいなものがあれば、社会学の古典を読むっていうコーナーがあって。
そこの中で取り上げられている一冊目が、エミル・ギルケムの自殺論みたいな。それも社会学のテーマになるんだと見て、本当に幅広いなと思って。マックス・ウェーバーのプロテスタンティズムを読むとしました。
経済学部の中でもたまに読んだりはするので、色々と本当に幅広くまたがっているのが社会学っていう。
そうですね。私って総合人間学部と社会学部と総合人間科学部社会科学科っていうその3つの学部しか受験してないんですけど、その理由は18歳の時に文学部とか経済学部とか決められなくて。
どうしてみんな決められるんだろう?文学をやる?経済をやる?わからなくて、調べてた時に社会学部とか総合人間学部みたいなのは何でもやりますって書いてあって、これだって思って選んだみたいなのはあります。
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懐の深さっていうので、こう選んで。
そう、興味を持ったものは全部学部ですみたいな感じがあったので選びましたね。ということを思い出しました。
今さっきのこの新州大学のページをスクローブしながら見てると、ポスト311のそもそも社会科学ってどうあるべきかみたいなこともあれば、
もうちょっと数学よりの数理社会論みたいなネットワークをどう考えるかみたいなこととか。
確かにそういう授業もありました。統計的に調査の方法の授業とかもありました。
あと社会階層みたいな、労働とか教育の不平等をどう捉えるかとか。
おっしゃってたさっきの家族論とか結婚とか関係性みたいなこともあったような感じですね。
そんな中でもこの本自体の断片的なものの社会学っていう。
一番ミクロな視点の社会学っていうか。
この本の中の断片的なものの意味合いとしては、記者さん自体は実際に公開されてるオープンデータとか文献とかを調べるんじゃなくて、
足を運んで話を聞いてっていうフィールドワークでいろんなものを集めていくっていうことと、
さらにフィールドワークで例えば30人に聞いたものを共通化してこういう要素がありましたとか、
こういう傾向がありますっていうことじゃなくて、一個一個の事例がグワっと入っていくっていう感じの本ですよね。
こういうことです、こういう人がいます、こういうシーンがありましたっていうことをすごい丁寧に書いている本ですよね。
これも社会学っていう。
人にフォーカスを当てるので、いわゆるマイノリティみたいな、スマホとかも持たずに島の中で暮らしてますみたいな30人とかに行くんじゃなくて、
大きく括ってしまえばマジョリティみたいな方だろうっていう人たちの生活をでもすごいつぶさに見ていくことで立ち上がっていくことを見るみたいな本ですよね。
イントロダクションの一番最初は沖縄で聞き取り、フィールドワークをしているときに、
インタビューする最中に全然関係ない家族が入ってきて、犬が死んでるよみたいな話をしたときに、そうかみたいな。
その話が立ち上って中断して、話がほとんど戻ってきて、その話が消えちゃいましたみたいな。
断片感がある。
これって沖縄の社会は構造がこうなっていて、それは死とはこういうものでみたいなところを分析するでもなく、
まず断片として取り出して捉えてみる、そういうテーマなんだなっていうイントロダクションが伝わってくる本でしたね。
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しかもすごい想像できますよね。
なんか人が話してて、犬が死んでるって言われて、一瞬なっちゃうんだけど、また降って戻ってくるみたいな。
そのとき何があったんだろうってゆっくり考えることはないけど、そういうことって結構起きてるかも。
Kindleの本を読み終えるまでこれぐらいで読むと、一冊だいたい2時間半ぐらいで読める本って言いましたけど、
みきさん、通読してみて改めて読んでいかがでしたか?
私の価値観みたいな、どんな人も絶対面白いとか、何事もないことにこそ面白さが詰まってるみたいな価値観って昔からあると思ってたんだけど、
結構この本を読み始めてから原稿化され始めてたのかもって思うような、結構自分の中に言葉として持ってる大事なものみたいなのがまさに書かれてて、
私のこの本きっかけでいろいろ考えるようになった問いとか結構まだ持ってるなみたいなことを改めて思ったなって思いました。
なるほど、みんな面白いって言う?
なんか一番面白いのは隣の人みたいな。
へー、なるほど。特に印象的に、印象に残ってる、下りとかお話とかどんなところが、いろいろあると思うんですけど、一個一個最後にキックを押していただけると。
断点的なモノサカイ学を読み直す前からずっと覚えてて、あの話めっちゃ面白かったなって思ってたのは、
架空の夫婦の話で、キッさんが書いて、結構本の序盤でこういう設定があるとしようみたいなことで書いてある架空の夫婦がいるとしまして、
夫婦は普通に普段は東京で生活しているんだけれども、2人で旅行に行きましょうという計画を立てて、旅行に行くことにしました。
だけど旅行に行っている間に家が無事になっちゃう、1週間くらいいなくなっちゃって、家が無事になるのはちょっと防犯上不安だから、
防犯対策として私たちの普段の生活のとか会話を録音して、旅行に行っている不在の間ずっとテープで流しておきましょうっていうことをしました。
でも実際その夫婦は飛び先で死んでしまって、ずっと1週間だけのはずだったテープっていうのはずっと流され続けていて、
しばらくしてから人に気づかれて止められましたみたいなことがあったとします。
そういう時に私たちはそのテープに何かを見出してしまうし、何かロマンチックなものを感じてしまう。
だけれども本当にそれが面白い瞬間っていうのは、私たちすら何もそのテープに気づかずに、
ただそのテープっていうのが普通に存在して、
夫婦も普通に旅行から帰ってきて、2人で笑い合ってテープを止めて、
でもそんなことがあったってことすら知らないっていうことが一番面白いみたいなことを書いてあって、
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めちゃくちゃわかるって思ったんですよね。
- 同じとこ読んでめちゃくちゃ怖いなって逆に思ったんですよ。
面白いことがあったのに。
なんていうんですか、亡くなっているわけじゃないですか、この2人って旅行中に。
- 架空の設定だとね。
- 架空の設定だと亡くなっている人がいて、亡くなった人の声が延々と繰り返しその日からしてくるみたいな、
結構ホラーだなみたいな、こういうふうに読んでて、
面白いか、そっち側か、みたいなのを読んでるときには、
確かに印象のすごい強い、ちょっとSF味のあふれる本だったんですけど、
確かにインパクトの強い部分ですよね。
- そうですね、あと旅行中に機神が立ち上がっているときは若干不気味さがあるんですけど、
私的に面白かったのはその後の、私たちはそれに物語性を見出してしまうけど、
本当に面白いのは、そんな事実すら気づかず、私たちはそこのロマンチックな文脈を見出すこともなく、
ただそういう人がいたっていうときが一番面白い、みたいなことが書いてあって。
- 何も見出さずに?
- 私たちは今こういう設定を妄想して、文脈を共有してるから、
そういう変なちょっと変わった夫婦がいたってこととかをシーンを想像して、それを楽しんでるじゃないですか。
そこに少し怖いなっていう文脈とか、ちょっとエモいなみたいな文脈とかを載せて、
消費するじゃないですか、そのエピソードをね。
だけど本当に面白いのは、一般的なドラマの構造っていうのはそういう風になりますよねって書いてあって、
だけど機神さんは、この凡庸なものが凡庸であったとしたらっていうことを考えるって言っていて、
だから私たちがそんな夫婦がいたこととかも知らずに、勝手に二人がそうやってやって、
ただそういう事実があったっていうことが一番面白いかなっていうことが書いてあって、
私はそれが、そもそも私たちがこの二人のこと何も知らないこととかっていうのが一番面白いって思ったんですよね。
- へぇー。
ただ現実がそうやってあるっていう、その現実があるっていうことが面白いなって思った。
何も消費されずに、何も発表されずに、ただ普通にその二人がいるっていうこと。
私たちが何も気づかずにただそういう人たちがいたっていうことだけがどこかにあるっていうことが面白いと思った。
- へぇー。
- 特別じゃないっていうことが面白いって思ったってこと。
こうやって本にしてエピソードにして妄想にして感想を語り合ったらもうそれは特別な話じゃないですか。
- そうですね。
- だから特別じゃない方が面白いって言ってることがすごく面白かった。
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- へぇー。特別じゃないことが面白かったか。なるほど。
- 私はそこに共感できた。語り合わない方がいいっていうか、いいというか、
そういうことがあるかもしれないっていう可能性を含みながら、
でも私たちは全くそういうことに気づかずただ生活していくっていう感じが面白いなって思ったんですけど。
- へぇー。聞いててどういうことなんだろうと思ったのは、
そういうことが面白いって思っちゃうのって最初のところで意味をつけてたのと何が違うんだろうって考えていて、
もちろんキスさんとか兄さんの中には何かあるんだと思うんですよ。
- さっきのホラーだよねとかエモいねっていうのを仮に除いたとして、
最後そういうことがあるっていうのが面白いっていうのはどういう?
- 格好の夫婦のエピソードは一例であって、こういう文章を読むことによって、
私たちの知らないところでそういう人たちがいるっていうことを想像できるのが面白い。
世の中そういう断片であふれてるっていうことを感じられるというか。
- これ全然違ったらあれなんだけど、たまに商店街みたいなと歩いていると、
ものすごい人数とか向かいから来たりするわけじゃないか、振れ違う人として。
普通に歩いてるとただの群衆なんだけど、
もしかしたら100人が振れ違ったら100人が100人がそういうことをやってるかもしれないなって想像することがあって、
めちゃくちゃ特殊な性癖を持ってますとか、
自分が家を出てる間に死んでも困らないように音声を録音してる人がいるとか、
100人何かちょっと変わったことをしてるかもしれない。
変わったことというか、その人なりには普通なんだけど、
そんなにみんなやってるわけじゃないこと。
- 仮にあったとしたら、それはすごい社会だな、みたいな思うことはあるんですね。
それは面白いなっていうか、すごいな人類って思うことはあるんですね。
そういうことなのかしら。
- そういうことに近いと思います。
- 確かにな。
- 兄さん、自分だったらやります?旅行に行ったとき防犯署とか。
- やらない、やらない、やらない。
- やっぱりやらない。
- やっぱりやらない。
- やらない、やらない。