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2022-10-18 30:45

ノーベル経済学賞受賞者の講演録『貧困と闘う知』#3

大学院で開発金融を専攻していたのぞみが、みきさんにおすすめした本書。 2019年のノーベル経済学賞受賞者、エステル・デュフロがフランスで行った開発経済学に関する講演録。面白いです!

実験でわかったこと→さて何を読み取るか/面白い論文は最後のディスカッションパートが豊潤/長期・大規模の実験、若手経済学者は取り組みにくい/貧困への解像度をどう高めるか

--書籍紹介--

開発経済学の最前線をコンパクトに紹介。いま世界で最も注目されている経済学者の一人が、開発経済学の最先端の成果を、簡潔かつ詳細に語る入門書。

インド、マラウィ、ケニア、メキシコ、バングラデシュでの実践が明らかにしたのは……ワクチン接種キャンペーンをもっと効果的にするには? 低コストで子どもたちの教育を改善するには? 出勤しない教師や看護師にどう対応する? マイクロクレジットは貧農を救う魔法の処方箋か? 村落集会はほんとうにコミュニティの自己決定を強化しているのか?

「そのコンセプトの明快さ、その柔軟性、そしてそれが政策と研究の交差点に位置していることによって、ランダム化比較実験は特別に豊かで汎用性が高い道具になった。…本書では、こうした実験について報告することで、人間開発の挑戦に新たな光を当てることにしたい。私たちは、伝統的な政策はどの程度まで目的を果たすことができたのか、そして、これほどまでに進歩が遅いのはなぜなのかを、理解しようと試みる。この探究を進めるにあたって、私たちはアクターの行動や動機の豊かさを明らかにしようと試みる。これらをよく理解することによって、私たちは、より効果的な政策を立案するための道筋を提案できることになるだろう」(第I部の序)

貧困削減の成果を計測するRCT(ランダム化比較実験)という精緻な手法を、貧困のただなかにある現地の人々と実践していく、泥臭いフィールドが生んだ知の成果。常識を覆す成果によって、貧困削減のための具体的な政策を提示する。ベストセラー『貧乏人の経済学』とは一味違った筆致で、医療、教育、マイクロファイナンス、政治制度といった開発経済学の核心的な主題に切り込む一冊。

「貧困との闘いを持続させようと望むならば、試行錯誤、創意、そして根気が不可欠である。これらは、存在しない魔法の杖を見つけるためではなく、今日からでも最も貧しい人々の生活を改善するような一連の小さな前進を実現させるために、不可欠なのである」(第II部の結論)

00:11
役者の頭だけでも触れられてたけど、すごく直感を裏切ってくるタイプで面白かったのが、蚊帳の話。
蚊帳ね。
蚊の病気がすごく流行っている地域は、予防として蚊帳がすごく有効だから、みんな蚊帳を使ってほしいと。
その時に蚊帳を使ってほしいんだったら、無料で蚊帳を配ればいいんじゃないかっていう人と、無料で使ったら無料タダだからいいやって言って、使わないよみんなっていう派閥がいたから、結果として無料の蚊帳を配る村と有料の蚊帳を配る村が出ました。
そういう時に、結果が変わらなかったんですよね、蚊帳の用率の。
全然変わらない。
無料でも有料でもみんな使ったっていう。使う率は変わらなかったっていうのが、めっちゃ面白かった。
これは直感を裏切ってくる感じがしました。
みきさんの直感的には、有料にした方が使う人減るだろうっていうこと?
私は無料の方がみんなもらったらしいって言ってもらって、みんな使うと思ったんですよ、せっかくらしいって。
そうですね。
それが示唆していることは何かっていうのを考えると、すごい面白いと思っていて。
役に立てばみんな使うし、周りの人が作ったら使うんだっていうことかなと思ったんですけど。
もうそうだし、例えば変わらなかったっていう時に、20%で変わらなかったのか、80%で変わらなかったのか、100%で変わらなかったのかっていうのは、それぞれ意味が全然違うんだなと思うんですよ。
どっちも100%でした、だったらいいなって感じだと思うんですけど、結局20%で変わりませんでしたみたいなやつだったら多分、何て言ったらいいんだろう。
結局必要な人は必要だと思うから、無料だろうとなんだろうとやるし、残りの8割の人は無料だろうと有料だろうと、何かいらないからやりませんみたいな。
よく分かってないんだよみたいな話になるので。
なんかそこの数字によっても、何で変わらないんだろうっていうのが変わりそうですよね。
でも今回カヤはもう66%ですよ、3分の2だから。
66ねー、66か、難しいな。
無料でももらえない34%の人が何やってるかなんだよな。
使ってなかった人は後で使うために保管してたとは書いてあるから、実質使おうという意思はあったのかな?
うんうん。
網にしちゃうとかそういう人いますもんね、漁業の網にしちゃうとか。
なるほどね。
ちょっと話それちゃうかもしれないですけど、このエステル・デュフロとかバナジーの論文って、その一番最後のディスカッションがめちゃくちゃ面白いんですよ。
論文の最後にディスカッションっていうのがついてる。
そうそう、経済学のよくある論文の構成って既存研究みたいなのが並んでて、この分野にはこういう研究がありますと。
03:10
そこに対して私たちはこういう仮説を立てましたとか、こういう問題意識を持ってますみたいなのがあって、
その後やったメソドロジー、こういう実験だったらこういう実験しました、モデルだったらこういうモデルですみたいなのを書いて、
データ、分析結果、仮説のどうだったかという検証っていうまでがワンセットであって、一番最後に議論っていう項目があるんですよ。
何かっていうと、その結果をどう解釈するかみたいな。
なんでこの仮説が合っていたのか、なんで間違ってたのかみたいなことを書くんですけど、
さっきのカヤみたいなところでいうと、いや変わるんじゃないかなと思ってたんですけど、変わりませんでしたっていうので一応論文にはなるんですよ。
カヤの研究がこう、カヤのプログラムがあって、過去こういう研究がありました、けどこういうのはないのでやってみましたみたいなのがあって、
こういう条件でカヤをこうやって配布したらこうでした、変わりませんでしたみたいなのがあって、一番最後にそのディスカッションっていうのがあるんですけど、
なんでそういう結果になったのかっていうのを言ったら、仮説みたいなのを書いていくんですよ。
さらにこうじゃないかと思いましたとか、こういうことが起きてるんじゃないかなと思うんですけど、
それは今回の論文の中では検証できなかったので、未来の皆さんよろしくお願いしますみたいなふうにしてまとめていくっていうのがあるんですけど、
まさにゆきさんがおっしゃってたみたいに、66パーなんだみたいな。
使って保つって人って結局なんで言ってんだろうなとか、嘘ついてる人いないかなとか、
回答してくれてる人が物事を正しく把握できてない可能性はないんだろうかみたいなことをいろいろ考えるじゃないですか。
そのディスカッションが豊かな論文ってやっぱり読んでて楽しいんですよね。
そういうこと確かにありそうだなみたいなのがあるので、この人たちのこういう実験系の論文って楽しいんですよね、読んでて。
なるほどね。
なんか、すごく知識を得ることとか、勉強することって大事なんだなみたいな当たり前のこととかも気づかされますね、私は。
いい気づきを得ている。
そういえば思い出しましたけど、結構初め読んでて、教育を受けた方がいいっていうのは当たり前だと思ってたんですけど、
そもそも貧困であるってことは教育を受けることが当たり前で、教育を受けた方がいいとすら思ってないことから始まるんだみたいな。
なんかそれやっぱり自分の貧困への解像度がけっこう乏しいことも自覚しましたね、その本を読みながら。
自分の中の日本バイアスみたいな。
外国まで行く方がいいに決まってんじゃんみたいな、なんか思ってたから。
そうね、確かにね。
行けるならみんな行くでしょみたいな、って思ってたから全然そう思ってない。
行けたとしても行かなくていいと思ってる人とかがいるみたいなこととかを知らなかったなって思いました。
06:00
教育を受けて何に何年って思う人はいるでしょうからね。
キャッサは育ててますみたいな人とかね、ニワトリ育ててますって人は別に、学校の勉強で英語勉強したから何に何年みたいな視点は普通にありそうですよね。
それがマジョリティー都市になるみたいなことが貧困の一つの状態なんだっていうことが面白いというか、知らなかったって思いました。
確かにな。
この人たちはこういうちょっとミクロの、ミクロっていうのは一人一人とかに着用したの?
現場目線みたいな。
そうそう、個々人、家系とかそういう人に注目した研究をやってるんですけど、同じ開発系の中でももうちょっと大きい単位の研究っていうのをやってる人がいて、
その人の方もすごく売れてる、ダロン・アセモーグルっていう研究者がいて、イスラエル人かな?
このアセモーグルっていう人も怪物なんですけど。
もうさっきのトップジャーナルって言われる、この上4つぐらい。
アメリカエコノミクスレビュー?
そう、AERって言われる論文とかそういうやつとか、トップ4に毎年7、8本出すっていう、笑っちゃうぐらいエグいっていうおいちゃんがいるんですけど、
その人が、私が大学院ぐらいの時にやってて、なんかすげーなこの人と思った研究の一個が、
新興国は特許保護をした方がいいのかっていう論文のテーマで書いていて、
トップ保護?
特許保護。
あ、特許保護?
そう、言ったら薬とか、地剤とか、そういうものを保護すべきなのかっていうことを言っていて。
そこが問いになるんだ。
私たちからすると、著作権って守った方がいいよねとか、特許ってあった方がいいでしょみたいな風になりがちじゃないですか、当たり前のこととして。
だってあった方がいいから特許って概念が生まれたんじゃんとか思いますよね。
思うんじゃないですか。
やっぱりアセモーグル先生、トップ研究者っていうのはそういう感じで物事を見ないんですよ。
新興国の立場からすると、特許保護しない方がめちゃくちゃパクれるじゃないですか、いろんなものを。
だから経済成長したい新興国、インドとか中国みたいなことを想像すると、
彼らからすると特許を保護しないでパクりまくる方が自分たちが好きなものを使えるじゃないですか。
っていうベネフィットと、特許保護をしていろんな国とかに怒られるっていうリスク、不便益っていうのを考えて、観覧すると結局どっちがいいんだっけっていう研究をしていて。
マクロ目線だから特許を開発した人のクリエイティビティーはどうなっていくかそういうのは考えないってこと?
09:02
考えない。国としてどっちの方が成長できるかっていうことを考えるんですけど、一定の条件下では全然保護しない方が国としては成長しますよっていうのが確か論文になってたんですよ。
でもなんかそれはさ、新興国ではっていうふうに区切ることに意味もある。
特許を保護しない方が先進国であろうと新興国であろうと国は成長しそうじゃない?
一応なんていうんだろう。なんでかっていうと新興国の方が自国の中にあるテクノロジーの水準が低いっていう前提がある。
あーなるほどね。
アメリカとかだったらパクれるものもあるけど自国の中にたくさんあるものもあるから、
言ったらこう、何て言うんですか。
織田英一郎先生がパクる。誰か他のやつをパクるっていうのと、
ポッとでの人がパクるっていうと、織田英一郎先生ってどっちかっていうとパクれるけどパクられる側じゃないですか。
っていうのとポッとでのやつだったらパクり放題じゃないですか。
そうしたらパクることの弁役って当然織田英一郎先生以外の人の方が大きいわけですよね。
なので新興国ってそういう立場にやっぱりいるから、保護っていうことをあんまりしない方が合理的になるっていうワークロン研究をやってるっていう。
限定しているわけじゃないけど、そういう立場にいる人がいる国っていう研究をしてました。
彼は別にそういうことを推奨したいってわけではなくて、そういうインセンティブにある国にも特許保護をしてもらうとしたらどういうふうにしなきゃいけないのかっていう。
ハードルがもっと高いわけじゃないですか、新興国に守ってもらうっていうのは。
じゃあどうするんだっけっていうのをガバナンスって簡単に研究するとかそういうことをやってるんですけど、もうねえぐいぐらい論文出てるんですよね。
おじいちゃんだけどな、そこそこの。
みんなちょっとあれですね、若い頃の写真載せがちですよね。
それはそうね。それは潜在写真あんまり撮り直さないんじゃないですか、やっぱり学者は。
本質的じゃないもんね、そこが最新かどうかって別に。
まあそうね。
論文が最新であればいいから顔は見せる途中でも。
顔写真論文に載らないしね。
確かに若い頃のやつ載せがちはありそうな気がするな。
話があれになっちゃいますけど、クライアント先とか行った時にたまに首から顔写真付きの社員証とかかけてる人いるじゃないですか。
その人だいたい新入社員の時に撮った写真をそのまま社員証とかにつけてるから全然一致しないっていうのが毎回あって爆笑してしまうんですよね。
たまに男性社員とかで坊主で撮っちゃうみたいなおふざけをする人がいて。
私入社した時しか撮ってないな。
俺嘘かも。
一応BCGの時にも社内ネットワークみたいなのがあって、社員検索みたいなのができるんですけど。
日本の東京オフィスは大きい会議室でこれくらいの画素数いくらやねんみたいなやつで適当にパシャっと撮っちゃう。
12:08
写真を使うんですけど。
ソウルオフィスはもうすごいんですよ。
こういうやつね。
音声で届けるコンテストでこういうやつでやっちゃうって一番よくない。
あのピカピカの。
斜めの角度からキメ顔やとか。
肩斜め、顎引きがち、目パッチみたいな感じで。
パッチっていう。
みんな揃ってるし。
B式の国ですね。
男性は肩幅ガーみたいな。
ウィス!みたいな感じの写真で揃っていてちょっとやっぱり。
私がいる途中に東京とソウルオフィスが一個のシステムみたいになって交流がすごい盛んになったんですけど。
なんかカルチャーが合わねえなみたいな。
写真のカルチャーでも。
なかなか大変だなみたいな感じでしたね。
でもダロン・アセンボーグル今もっと白髪なはずなんだけどな。
結構だってまだ中級みたいな顔してるよ。
まだね。
順教授みたいな顔してますよね。
顔してる順教授みたいな顔してる。
いやいやいやもうそこそこあれよ。
そこそこの人なんだけどな。
このデュフロの最近の論文。
最近の論文。
Depressing of Loneliness? And Loneliness?
それがワーキングペーパーなんですけど。
あ、そっかそっか。
論文の方だと。
論文は何?
最新のやつのChanges in Social Network Structure in Response to Exposure and Penetration。
これ超面白そうだな。
金融手段っていうのに触れた人たちっていうのが、
その人たちがどういうネットワーク?
情報のネットワークだったり、人のネットワークだったりっていうことがあるんですけど、
そのネットワークがどう変化したかっていうことを言ってる論文なんですけど。
ネットワークが縮小した。
へー、これはすげー。
直感に反する系の論文な気がするな。
へー、ちょっと後でじっくり読みたいな。
難しい、難しそうだけど。
へー、でもやっぱりあれですね。
この当時あんまりなかったSNS的なものだったり、
そういうものを研究の中に取り入れてる感じがするですね。
すごいな。
こういう、なんて言ったらいいんだろうな、
15:01
経済学やってますっていう、やってましたっていう時に、
私が大学院の時やってたのも、こういう系ってちょっとおかしいんですけど、
開発金融っていう分野の研究をやってたんですけど、
全く経済学のものだとあんまり認知されないんですよね。
開発金、こういう金融ファイナンスってこと?
私がやってたようなやつは、こういうアメリカとか日本ではないような国における企業ってのがあるわけじゃないですか。
例えばフィリピンの会社、インドネシアの会社、マレーシアの会社とかいろいろあると思うんですけど、
そういう会社の資金調達ってどうやってるんだっけっていう研究をやってたんですよ。
貧困っていうテーマではないんですけど、開発っていう分野には一応入るっていうテーマの研究をやってたんですけど、
一般にイメージする経済学ってなんだっけっていうものとはちょっとイメージが遠くてですね、
なかなか理解してもらえないっていうのがあったんですけど、
こういうあれですね、リュフロ頑張ってみたいな、こういう研究私も好きだよっていうのをやると、
良心とかに説明がしやすくなるっていういい効果がありますね。
こういうのも私は何も知らなさすぎて、こういうのも経済学なんだ、へーみたいな感じで読んでたんですけどね。
でもそうですよね、イメージそうなりますよね。
経済学の知識がなさすぎたから、なるほど、こういうのがあるんだ。
でもすごいあれだったんですね、インターンというか、従来的なアプローチじゃないアプローチで切り込んでいく方だったんですね。
そうね、面白い。やってることは超真っ当なんですけど、今見ると真っ当に見えるんですけど、
当時としてはあんまりこういうことをやってる人って、さっきもおっしゃったみたいな実験っていうもののハードルがあったりして、なかなか手を出す人がいなかったっていう。
あとなんか実験的である、誰かを下品してる感覚があるっていうこともあるけど、普通に大変ですよね、これ。
そう、みきさんそれね、超いいことを言って、めちゃめちゃいいことを言ってます。
そう、大変。金かかるし、時間かかるし、大変なんですよ。
え、なんかこういう実験のスポンサーみたいなのが本当に見つかるもんなんですか?
みきさん、超グッドポイント。超グッドポイントだよね。いないんですよ、金出してくれる人は。
あ、やはり?
そう。で、金かかるっていうスポンサー見つけるのが大変っていうのもあるし、さらに何が大変かっていうと、
経済学者の就職事情みたいなことを考えると、生々しいところを考えると、彼らって言ったら博士号をまず取って就職をしていくってことをやるわけですよね。
18:03
で、その時には一定の論文何本とかクオリティが高いものっていうのを一定持ってなきゃいけないんですよ。
で、実験って金かかるし、これ中にもみきさんさっきもおっしゃってくれましたけど、実験2年3年普通に続くみたいなやつあるじゃないですか。
だから時間もかかるんですよ。で、実験なんで失敗する可能性もあるんですよね。結果出ませんでしたみたいな。
っていうのを若手の時にやれるかってことなんですよ。
やれないよ。
博士課程で、もう金ない、就職しなきゃまずい、論文たくさん出さなきゃいけないっていう時に、1本論文書くためにめちゃくちゃでかい金かけて時間かけて実験の分野に踏み込んでいくかっていうと、やれないわけですよ。そんなことは。
リファとバナジーは本当に情熱の人なんだね。それでもやりたいっていう。
そうね。だし、もしかしたら違うスポンサーが実はいてとか。
売れてるしね。
他のところで論文出せてるからみたいなことあったのかもしれないですけど、若手の時に担当教官みたいな上の人たちに、実験のこういうことやりたいんですけどって言ったら間違いなく止められると思います。
指導教官の人からしても、自分のところからそんなやつを出すわけにはいかないわけですよ。
就職できませんでしたってなると、研究室に出しちゃうと大変になるので。
どの分野でもそうなんですけど、時間かかるお金もかかる実験系の、心理学とかでもそうらしいんですけど、でかい研究を若手がやりに行くことのリスクっていうのは相当あって、
なかなか周りとしては進めづらいから、そういう研究は出てこないし、例えばそういうのをやらずに40になったとするじゃないですか。
そうするとその人の研究スタイルってもう確立しちゃってるわけですよ。
実験を使わない方法でね。
そうするとその人のモチベーションとしては、そんなもう40になって、そんなことをやろうとは思わないじゃないですか。
自分がやってきたことと違うんで。キャリアが違うんで。
そうなると実験っていうのは若かりし頃はやりたかったけど、今やってることとは違うなっていう中でもやらずに終わっていくっていう。
演劇の道に進みたい若者みたいな構図はらんでるじゃないですか。
まったく同じ構図。演劇の世界の構図はどういう構図になってますか。
単純にお金がかかるんだけど、そうじゃいなくて、自分でバイトとかしながら演劇の俳優とかの訓練しなきゃいけないんだけど、
そうするとバイトするうちに疲れちゃって、俳優業になるんだからなくなって、
っていうのをたくさん見てきてるから、自分は才能あってもちょっと自分は違うかなと思って就職しちゃって、
そのまま40歳とかになったときにやっぱり役職やりたいとか思っても、変な役職とかしかない。
21:00
そうなるわなぁ。そうなるわなぁ。そうなんすよ。
国が俳優とか、ニューヨークだと結構演劇の仕事とかにもユニオンとか最低賃金とかあって、
割と送ってきるような制度があるんですけど、日本は制度がないから、自己正規にみたいになっちゃう。
しんどいねー。
みたいなのとちょっと違うけど、でもそういう本当はやりたいかもしれないのに、
研究スタイルが確立する時期のうちにやりたいかもしれないのに、時間とか金がかかりすぎてできないっていう。
本当にやりたいのに外部的な要因でできないっていうところだけが出てるんですけど。
そうね。そういうのってこう言ったら意思決定の、もうちょっとメタにすると意思決定の問題じゃないですか。
そのときになんでそういう意思決定をしてしまうんだろうか、個々人はっていうテーマだと思うんですけど、
そういうものってあらゆるものが経済学の研究のテーマになるんですよ。
なるほどね。
労働経済学っていう分野もあるし、19のマッチングみたいなこともいろんなテーマがあるんですけど、
たぶんみきさんが言ってくださってるみたいなところは、研究してる研究者いそう。
どういう制度にしたらアーティフティックな分野に行きたい人が行けるようになるかとか、
それから現実的にどういう制度設計をすると持続可能なのかみたいなことを研究してる人は絶対にいる気がしますね。
経済学者の分野でもいるんですかね。これから生まれていくんですかね。
若い経済学とか長期的な研究、長期的なコストのかかる研究とかに若いうちから時間を費やせるようにするためにはどういう制度が必要かっていう。
たぶんめちゃくちゃいると思います。そういう人。
そうなんだ。
まず実験のコストっていうのが一昔前より圧倒的に下がってるんだと思うんですよ。デジタル環境をうまく使えるんで。
そういうのでシミュレーションで解きますみたいな人たちも増えているし。
プラス、実験の手法を確立するといったらこういう人たちが実験っていうのって必要だしインパクトでかいよねっていうことをやり続けると、
結局そういうのをやっても良い論文の良いインパクトファクターを取れるんだっていう実績が積み重なっていくじゃないですか。
そうするとその道を取りやすくなるっていうのは側面は明らかにあるので。
若手、今これやる人たちは結構実験やりたいっていう人は多いっていうのは聞きますね。
本当に期待ですね。
余談中かあれですけど、さっきのエステル・ディフロンもさっき紹介したダロン・ワンセン・ボーグルもみんなMITの経済学者なんですけど、
MITの経済学者ってよく演劇とのダブルメジャーって人いるんですよ。
24:02
そうなんだ。アメリカという土地を操作してるのかしら。
何ですかね。
ハーマーブが教えてくれたものみたいなやつとかにもそういう人いましたよね。元バンドマンみたいな。
そうですね、いましたね。本当にいいよな、向こうのそういう制度。
どうですか、ダブルメジャーで経済学やりたくなりました?
やるのは大変すぎることがよくわかったから、こういうおいしいとこだけまとめてくれた本をいっぱい読みたい。
そうね。
一番いいとこ取りですよね。本当に学術書じゃないと思った。本当に面白い。
それでも読める。高校生でも読める。高1から読める。
高1で読めるし、こういうのを読んで大学の学部を選ぶようにしたらすごくポジティブですよね。
確かに。こういう本を勧められる先生はいい先生だ。
確かにね。本当そうね。本当そうだな。
もう一個経済学推しの本を紹介しておくと、「年収は済むところで決まる」っていうタイトルがあって。
これ書いてるのは、カリフォルニア大のバークレーの本校で経済学の先生をやっているエンリコモレッティっていう、
カリフォルニア系のアメリカ人なんですけど、その人が書いてる都市経済学っていう分野の本で、
10年くらい前の本なんですよ。ここで直感に反するかどうかは別にして、そうかって思うファクトとしては。
年収は済むところで決まる。雇用とイノベーションの都市経済学まで読むと、その土地ごとの相場とかあるから、それ済むところで決まるわなって思ってた。
って思うじゃないですか。
そういう話じゃない。
そういう話なんですけど、そういう話はそりゃそうなんだが、なんでそういう構造になるのかっていうのを同じようにこの人も確か実験とかやってたんじゃないかな。
結構いい感じの分析をして書いてるんですけど、
例えばその地域に一つの雇用が生まれることの波及効果みたいなのが都市によって全然違う。
どういう仕事が、例えば東京っていう、これ二つの構造があるんですけど、
例えばソフトウェアエンジニアという雇用が一単位その地域に生まれることと、自動車整備工っていう人の仕事が一単位その地域に生まれること。
当然違いそうじゃないですか。
その人本人も違うんだけど、その雇用が一個生まれることの周りへの波及効果も全然違うんだって話をするんですよ。
27:08
何を言ってるかっていうと、ソフトウェアエンジニアが1雇用生まれると、その地域に3雇用ぐらい生まれるんですよね。
なんでかっていうと、その人ってめちゃくちゃお金を使うんで。
ヨガーの人にお金を使う、コーヒーショップ行く、新しいもの買うとかでめちゃくちゃ雇用が生まれると。
一方で整備工みたいな人ってあんまりお金使わないから0.2ぐらいしか生まれないみたいな。
つまりそうすると、ソフトウェアエンジニアの人が1人生まれると3単位追加の雇用が生まれるじゃないですか。
3単位追加の雇用が生まれたら、その人たちが1単位生まれることでさらに別の雇用も生まれるっていう関係性ができてきますと。
なので職種一個一個によって、都市に生み出される効果って違いますよねみたいな。
まず主題が一個。
あともう一個は、同じ人っていうのを固定したときに、その人が大学院まで出て、アメリカの田舎町のオクラホマとかそういうところで就職するパターンと、
高卒のまんまカリフォルニアで働く場合っていうのだと、カリフォルニアで働く場合の方が圧倒的に収入が高くなるっていうことがあるんですけど。
でも直感的によって、普通に比べちゃうと、カリフォルニアで高卒の人とオクラホマで大学院出た人って別の人だから当然収入違うのは当たり前じゃんってなっちゃうんですけど。
確かこのエンリコモルティの研究って、同じ人であったとしても、高卒でそっちで働いた方が収入が高くなるっていう研究を確かしてるはずなんですよ。
ただ別の軍だったら別の人たちだから能力も違うし、バックグラウンドも違うし、良心も違うし、そりゃそうだろってなっちゃうんですけど。
同じ人であってもそうですっていうのが面白いっていうやつだった気がする。
経済学ってそんなこともできんだ。
頑張ってやってるんですよ、いろんなこと。
こういうのを通じて経済学ってすごく面白い学問なので、資本主義嫌いだからみたいな理由で避ける人が減るといいなっていうのが個人的な思いですね。
すごいイメージが変わったやつでした。ご紹介ありがとうございました。
いいえいいえ。
次はみきさんのご紹介ターンですね。
生存する意識にしましょう。
生存する意識。
同じミスズ処方から出ている。
貧困と戦う地と同じくミスズ処方から出ている。
エイドリアン・オーベンという方の生存と生存する意識。
植物状態の関係を対話するというやつにしてみたいです。
ミスズ処方ってハードないい本作るよな。
ずっと読みたいと思ってて、ハードで遠慮してたので一緒に読みましょう。
30:03
よし。そうしましょう。
意識がどこにあるのかという話が書いてあるんじゃないかなとか、
意識がないと思っている人たちの中でも意識があるとか、
私たちが持っている意識というもののもうちょっと輪郭みたいなものを掴む
ヒントになる本なんじゃないのかなと思って、そういうのが気になる。
やってみたいなと思ってます。
よし。じゃあ次は生存する意識のハードなテーマが続きますか。
またお会いしましょう。
今日はありがとうございました。
はい。お疲れ様です。
はい。じゃあね。
30:45

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