大学院で開発金融を専攻していたのぞみが、みきさんにおすすめした本書。 2019年のノーベル経済学賞受賞者、エステル・デュフロがフランスで行った開発経済学に関する講演録。面白いです!
直感を裏切る実験データ:貧困層の学校通学率を上げるには?/直感を裏切らない人間のバグ:ワクチン接種率を上げるには?コミュニティを形成するには?
--書籍紹介--
開発経済学の最前線をコンパクトに紹介。いま世界で最も注目されている経済学者の一人が、開発経済学の最先端の成果を、簡潔かつ詳細に語る入門書。
インド、マラウィ、ケニア、メキシコ、バングラデシュでの実践が明らかにしたのは……ワクチン接種キャンペーンをもっと効果的にするには? 低コストで子どもたちの教育を改善するには? 出勤しない教師や看護師にどう対応する? マイクロクレジットは貧農を救う魔法の処方箋か? 村落集会はほんとうにコミュニティの自己決定を強化しているのか?
「そのコンセプトの明快さ、その柔軟性、そしてそれが政策と研究の交差点に位置していることによって、ランダム化比較実験は特別に豊かで汎用性が高い道具になった。…本書では、こうした実験について報告することで、人間開発の挑戦に新たな光を当てることにしたい。私たちは、伝統的な政策はどの程度まで目的を果たすことができたのか、そして、これほどまでに進歩が遅いのはなぜなのかを、理解しようと試みる。この探究を進めるにあたって、私たちはアクターの行動や動機の豊かさを明らかにしようと試みる。これらをよく理解することによって、私たちは、より効果的な政策を立案するための道筋を提案できることになるだろう」(第I部の序)
貧困削減の成果を計測するRCT(ランダム化比較実験)という精緻な手法を、貧困のただなかにある現地の人々と実践していく、泥臭いフィールドが生んだ知の成果。常識を覆す成果によって、貧困削減のための具体的な政策を提示する。ベストセラー『貧乏人の経済学』とは一味違った筆致で、医療、教育、マイクロファイナンス、政治制度といった開発経済学の核心的な主題に切り込む一冊。
「貧困との闘いを持続させようと望むならば、試行錯誤、創意、そして根気が不可欠である。これらは、存在しない魔法の杖を見つけるためではなく、今日からでも最も貧しい人々の生活を改善するような一連の小さな前進を実現させるために、不可欠なのである」(第II部の結論)