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  2. 『円』 劉慈欣短篇集 #2
2022-03-08 18:38

『円』 劉慈欣短篇集 #2

栄光と夢:北京五輪のこのタイミングで/スポーツと代理戦争とDon`t Look Up/国境とか所属とかと自意識ってどうやって紐づくのかな/EU統合の意識


--本紹介--

十万桁まで円周率を求めよという秦の始皇帝の命により、学者の荊軻は始皇帝の三百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機を編みだすのだが……『三体』抜粋改作にして星雲賞受賞作「円」、デビュー短篇「鯨歌」など、全13篇を収録した中国SFの至宝がおくる短篇集。

◆収録作品◆

  • 鯨歌
  • 地火(じか)
  • 郷村教師
  • 繊維
  • メッセンジャー
  • カオスの蝶
  • 詩雲
  • 栄光と夢
  • 円円(ユエンユエン)のシャボン玉
  • 二〇一八年四月一日
  • 月の光
  • 人生
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今、我々が撮っているのが、北京オリンピック期間中の最後の写真です。
栄光と夢ね、栄光と夢ね。
これは、本当によく描けた短篇ですよね。
確かに、こんなこと言っちゃっていいんだって思った。
設定としては、戦争の代わりに、
戦争って言って、本当に人を殺す目的な戦争をするのは野蛮だから、
スポーツを戦争の代わりにしようっていう設定ですよね。
オリンピックでは、もはや戦争です。
オリンピックで勝った国が覇権を握れるし、オリンピックで負けた国が奴隷ですみたいな、
すごい極端に言うという設定になった時に、どうなるかっていうことを描いた小説のような感じですよね。
一気にギュッとまとめましたね、Mikiさん。
読んでいて、後半ぐらいで、真ん中ぐらいで分かってくるやつをギュッとまとめるとそういうことですよね。
それ分かってても楽しめますよね。
それは本当にそう。
オリンピックっていうのが、今でいうと200以上国連関連国があって、
じゃあ参加国100いくつとかあるわけじゃないですか。
めちゃくちゃ小さい国と、アメリカの2国間で行われるオリンピックですっていう。
何年かっていうのを、このめちゃくちゃ小さい国の、とっても貧しい難民出まくりの国。
スポーツなんてやってればいいじゃねえよっていう国から代表団が出ていってっていうお話なんですけど、
これは40年ぐらいの単位で言うと、全然笑えねえなっていう。
そう。
全然笑えないですね、これね。
めちゃくちゃ普通に、これ確かそのほうが良くないって顔で言う人いるんじゃないかな。
戦争するぐらいだったら、スポーツ戦争の代わりにしたらみんなハッピーじゃんとかっていう人ってすごいいそうだなって思って、ゾッとする感じだった。
そうね。
実際、戦争もサイバーテロみたいな、技術力の競い合いで戦争の代わりみたいな部分も若干あるじゃないですか。
そうですね。
物理的な、もちろん捨てる国もあるけど、どっちかって言ったら物理的に本当に攻撃するっていうよりかは、こういう技術力を持っています。
こういう核技術がありますっていうことだけで戦争になっているとか、こういうAIがありますっていうことだけで、戦争チックな雰囲気を出しているみたいな雰囲気が若干あるなと思っていて。
普通にこの10年とかの間でも。
それを行き過ぎたり、対象にゲームをしようとするとロジックがスポーツにしますっていうふうになるんじゃないかって思った。
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全然あるんですよね。
だからこれしかも開幕、開会式みたいなところで、我々は戦争をやめてスポーツをやることにしましたみたいなことをすごい高らかに言う人もいれば、軍の人も出てくるし。
そうするとオリンピックの前のほうの競技でも言ったら、ほとんど結末が決まってきちゃうと残った人たちってどうするんだっけとか。
そこの選手ってどういう思いというか、気持ちでその競技に臨めばいいのかみたいなのが全然変わってくるよな、確かになって思いながら読むとそういうことが書いてあるっていう。
読まれてたみたいな。
リュウジキに読まれてたみたいな。
これを東京に行くとかのごたごたを知らない前に書いてたっていうことがすごすぎますけどね。
そうですね。
と思いましたという。
冷戦の時にあれなんですよね。
もともとチェスはロシアがすごい強いんですけど、当時のソ連がめちゃくちゃ強くて、
アメリカにすごい強いチェスプレーが出てきた時に、その人とソ連の世界一のグランドマスターが対決するっていう企画があったんですけど、代理戦争みたいになってましたもんね。
そうなんだ。知らなかった。
だから場所をどこでやるかで揉めまくってみたいな。確かアイルランドかどっかでやったんですけど。
そうなんだ。
もうどっちかの国でやると、それはほぼ戦争みたいになっちゃうからみたいな。
本人たち絶対思ってないと思うんですよね。ただチェスやりたいっていうだけだと思うんですけど。
追わされる方は不幸ですよね。
そうそう、その短編でもスポーツ選手はただスポーツがしたいだけだったのに、いつの間にか追わされてたっていう構図でしたよね。
そうですね。
っていう雰囲気もありましたよね。
そういうところとかもすごい今っぽいっていうか、ほらだから言ってることは何も悪くないでしょみたいな顔をしてスポーツに戦争させるんじゃないかって思った。
今あれらしいですよ。私全然今回の北京オリンピック見れてないんですけど、スキーのジャンプでなんちゃらだとかあるんでしょう?
中国出身のアメリカの選手がみたいな話を見ると、スポーツしたいだけだろうになみたいなかわいそうだなっていう感じがしちゃうんですよね。
なかなかどうして、話ずれちゃいますけど、私2年くらい前からテニスを始めまして。
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それ初めて以来やると見るのも好きになるじゃないですか。
1月にゼンゴオープンっていうオーストラリアでやってる4大大会のうちの1つを追って見てたんですけど、2人対2人でやるダブルスっていう競技の男子ダブルスですね。
2つと言ったら2対2で決勝戦とかやるわけじゃないですか。
どっちもオーストラリア人ペアだったんですよ。
それってめちゃくちゃ珍しくて、強い人たちの上位の人、いろんな国籍の人いるんですけど、オーストラリア人ペアが上位のシードの人、第1シード、第2シードみたいな世界ランクの人、1位、2位みたいな人たちをどんどん倒して結局オーストラリアペア同士になったんですよ。
そうなんだ。
めちゃくちゃ盛り上がってて、やっぱり。
オーストラリアでやってるんですもんね。
そうなんですよ。オーストラリアでやっていて、かつそこにはいろんな文脈があり、なんていうんですか、ジョコビッチっていう男子シングルスのすごい強い選手がワクチン打ってる、打ってないとか、書類を偽造したどうだみたいなやつでめちゃくちゃ盛り上がりまくってる中で、オーストラリア人同士のペアが世界中から選手を集めたオーストラリアのやつになりっていう。
うおーって盛り上がるし、結局優勝したペアの片方の男の人って、もちろんオーストラリアで生まれオーストラリア国籍なんですけど、お父さんお母さんマレー系なんですよね。東南アジア系なんですよ。
そうなんだ。
もしあれ日本でやってたら、我々どういう気持ちで、日本人同士のペアです。片方は海外の人のハーフでもないんですよ。もうピュアに移民のことですね。
そうなんだ。
こうなった時にどうなるんだろうなーみたいな。と思いながら見ていると、スポーツっていうのはまあ難しいですね。
日本だったら本当に両親とも韓国人ですが、両親とも中国人ですよみたいな感じですよね。もし日本に置き換えたとしたら。
ああもうまさにそういう感じです。
一人は。めちゃくちゃ難しいですね。見た目はすっごい日本人っぽくて、かわいいとか言ってたのに、後からその事実が分かった時にどう思うのかっていう。めちゃくちゃ難しいですね。
そうなんですよ。
この本の栄光という意味の中でも、多分長編とか中編ぐらいに長くなると、この舞台になっているシーア共和国っていうところが、二国間オリンピックの片方の三か国じゃないですか。
はい。
中編とか長編になると、ここから出てくる選手の一人が、アメリカからの移民の子どもだよとか多分なるんだと思うんですよね。そういうテーマを中に入れてくるんだと思うんですよ。
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確かに。
難しいっていう、そうやって広がっていくんだなぁ諸説っていうのも感じられる短編ですね。
確かになるほどな。私はこの栄光の夢だと結構、選手が国を背負ってたりとかする、国を背負ってられるかよみたいな選手はあんまりいなくて、結構丸っと背負って運命に寄り添うみたいな選手が多かったんですけど、
あんまり所属意識とかって日本だと希薄じゃないですか。だからそこまで背負う必要はあるのかなとか、国、国籍とかって不思議だなとか思ったりはしましたけど。
そんないきなり、すごい苦しい暮らしをしたのに、いきなりポンって晴れ晴れ舞台に乗せられて、国を背負えって言われて、自分その国を代表できるんだろうかとか思ったりしました。そこちょっと中国っぽいと思った。
なるほど。例えば夏のオリンピックの日本の柔道とか見てると背負いまくりな感じがしますよね。
スポーツにイマイチ乗れないのってみんな日本だけだってことで、ナチュラルに日本を応援したりとか、日本人なんだよとか、大阪直美ちゃんとか全然日本人要素ないのにみんな好きだったりするじゃないですか。
大阪直美自身が全然日本をルーツに思ってない感じがすごいするのに、私たちは好きじゃないですか。
そういうところとかってすごい変な感じがするなって、スポーツにおける国籍、つまり日本、愛せようものとか国籍が同じだったら応援するものみたいな文脈ってすごい不思議だなと思います。
この短編の2018年4月1日っていう後ろから3つ目ぐらいのやつは、まさに自分の国籍を変えるっていうか選ぶみたいな話じゃないですか。
このIT共和国っていうデジタル上の国に所属することを宣言する周りのゴタゴタみたいなやつだと思うんですけど。
多分そういう問題意識はもうあったんでしょうね。リュージキンおじちゃんはこの時からね。
そっかそっかそうですね。そういう意味ではラスト納得だな。
私大学の学部の時にヨーロッパ経済のゼミにいたんですよ。
その時に見た面白いなと思ったアンケート結果みたいなのがあって。
そのEUってものができてから定期的にとあるアンケート項目を取っていると。
それは何かっていうと、例えばフランスの人に聞くとすると、あなたの心情は以下のどれに近いですかと。
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私はフランス国民だがEU市民ではない。フランス国民でもありEU市民でもある。フランス国民ではなくEU市民である。
あるいはどちらでもないみたいなやつを継続的に取っていくと。
やっぱり最初ってEU市民だと思ってる人全然いないんですよ。もちろん。
だんだんにEU市民だって思う人が増えていくんですけど、その時の増え方っていうのが国によって全然違うと。
例えばドイツみたいな、ああいう国だと結局全然ドイツですみたいな感じ。
なんて言ったらいいんだろう。そんなに国を解体してもそんなに問題がなさそうな国って言うとちょっと言い方おかしいですけど。
EUってものからベネフィットを受けている国であればあるほど、だんだんEU市民ですっていう人が増えていくっていう。
それを名乗ることのベネフィットが大きければ大きいほど自然にそっちに寄っていくんですよね。
勝手なもんだなっていうのをその時思ってましたね。
でも私たちの認識とか気分なんてそのぐらいふんわりした枠組みに影響されながら決まっていくもんなんですよね。
我々日本人だと思っても今のところあんまり得なさそうですもんね。
だから不思議なんですよね。
あんまり日本って政治も終わってるし自己責任みたいなものがまっかり通ってる。
結構自分のことは自分でなんとかしなかったらしょうがないみたいな気分じゃないですかと思ってるですね。
だから私あんまり日本人ですとかって言ったら日本人だから応援するみたいなことに別に全然共感はできないけど
スポーツの文脈だとめちゃくちゃそれまっかり通っているなと思って不思議だなって思ってます。
確かにね。
どうなのかな?スポーツでやってる人ってぶっちゃけなんでもいいと思ってんのかな?
なんか便利かもしれないじゃないですか。
そう言っておくと得だからっていうことなのか、それとも本当に心からやっぱり日本がなんちゃらだと思ってるのかわかんないですよね。
でもスポーツって対立関係がはっきりしてた方が盛れるみたいな構図ではありますよね、試合だから。
そうするとポジションをはっきりしてた方がいいっていうことなのかな?
これまたテニスの話になっちゃうんですけど、今この季節冬じゃないですか。
なのでさっきのオーストラリアもそうですけど南半球で試合がいくつかあるんですよ。
その上のランクのATPっていう男子プロテニスのツアーレベルだと南半球でいくつか試合があるんですけど。
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最近見てたのはアルゼンチンで試合があって、その試合を見てたら戦ってたのが確かブラジルの選手とスペインの選手なんですよ。
もちろん全部のトーンは、細かいことは全然わかんないんですけど、ブラジルの人がポイントを決めても結構静かでスペインの人が決めたらすっげー盛り上がってるんですよ。
南米マインドとかじゃないの?みたいなことを思ったりはするんですけど。
あるいはその選手の人気とかかもしれないですけど、スペインの方が心理的に近いのかな?みたいなことを思ったりするわけですよ。
日本で言うとちょっと近いところで言うと、韓国の選手とちょっと心的に近いみたいな、どこなんだろう?パッと出てこないけど、どっかの国が日本と仲のいい国があったとして、そこがやってたら、距離的な近接性というよりかはそうなるのかな?みたいなことをまた思ってたんですね。
国ってわからないですね。自分のところもそうだし、国っていう概念で近さ遠さを測るみたいなのも、そうかあるのか?って感じがしたっすね。
でも国の単位じゃなくてもあるのか?県民性とかいう話も似たようなもんですもんね。
出身大学とか。
好きですよねみんなグルーピングするのはね。
好きねー好きねー。
知らねーよって思いながら聞いちゃってるもんな。
安心しますけどね。私はこの輪の中に入ってるって思うと安心する気持ちはわかるものの。
そうねー。
そういうことを思った栄光と夢でした。
いい、いい。栄光と夢は本当に私も読んでて、ドントロックアップを映画で見てた時に近い感情を持った。
見ました見ました。今だけ面白い皮肉映画でしたね。
今だけ面白いだって欲しいですね。10年後には本当に心の底から笑い飛ばしたいですねあれはね。
10年後にはなんだこのくだらない映画はって言われたいですね。
言われたいねー。
あれの脚本を書いた人が40分ぐらいのロングインタビューに答えてて、それポッドキャストに上がってたので聞いたんですけど、なんか暗い気持ちになりましたもんね。
なんかアメリカの中にいる人たちのトーンを生で感じるわけじゃないですか。
で、あの人脚本家じゃなくてジャーナリストなんですよね。
で、政治のこともやっているしスピーチライターかなんかもやってるから、本当にアメリカのなんていうか、我々はなんかこうアホっぽいなアメリカの政治みたいなことをちょっと笑ってみれるところもあるけど、
それを生々しく体験してた人が込めた脚本への思いみたいなのを聞くと。
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はい、みたいな。そうですかっていう。
確かに距離感が違うんだろうな。私たちちょっとまだ距離遠くコメディとして見れますもんね。少しは。
そうなんですよね。そうなんです。
なのでやっぱり強い感情をもらうこともありますみたいな話してたんですよね。
なんかこんなことが起きてないみたいなこと言う人ももちろんいるし、アメリカだとね。
いやはやっていう気持ちになりましたけどね。
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