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2021-02-02 18:44

「フォークの歯はなぜ4本になったのか」第2回:"Form Follows Failure"

失敗が次の道具を生む。クリップ、フォーク、生まれる失敗。今では笑い話だけど、当時は真剣なわけで。

みき(@miki_apreciar
のぞみ(@CobeAssocie

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書籍紹介(Amazonより)

人間が加工してつくる道具やモノ、その形は、どうやって進化してきたのか―この問いに、要求される機能に沿って、と答えるのでは不十分。実用品の変化は、それが出来ることではなく、出来なかったこと、不具合や失敗の線を軸に歴史を刻んできた―デザインと技術の歴史に豊富な事例をもって新しい視点を据えつけ、“失敗”からのモノづくりを教える著者の代表作。

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哲学とかではないですもんね、確かに。 まあそうですね。そうですね。
でもなんか、本としては明確なすごい主張があって、 あんまり普通に生きてると聞いたことないけど、よく言われる、設計とかするときに、
形は機能に従うっていう考え方というかコンセプト、みたいなのがあって、 なんか不自然に日本語なんですけど、英語にすると、フォームフォローズファンクションになるのって、FFF。
なんかこう韻を踏む感じで、すごくリズムよくよく言われる。 フォームフォローズファンクション、機能、形状、形は機能に従う。
そんなの全然違います、みたいな。 機能に従うわけじゃなくて、逆にフォームフォローズフェイラー。
フェイラーなので失敗ですね。形は失敗に従うんですよ。 いかに物事の失敗を通じて、そのものっていうのが
進化してきたかとか、形状が変わってきたかを読み取りましょう、みたいな。 そういう意味では結構、思想といえば思想なのか、
この辺の書き方というか、 へぇーと思ったのが、
私が10年前読んだ時に唯一覚えている、何かですね。 そうですね、でも失敗に習うってことが最初は私は結構よくわかんなくて、その事例を読む中で、
確かに失敗に習っているな、とか、 目の前のものとかももう失敗に習った結果だな、とかって思ったりするようになりましたけど。
これ結構いろんなもの出てくるじゃないですか。 いろんな失敗というか、いろんな形が作られる、
ボロボロの物事。ミキさんが読んでて、これになるほど印象に残っている、
失敗例というか機能例というか、どんな感じのものがありましたか?
私がもうめちゃくちゃ感動したのはゼムクリップで、 ゼムクリップってあまりにも簡単にできそうだし、
針金チュチュチュって丸めただけじゃん、みたいな感じだったんですけど、 あそこに行くまでにすごいいろんな失敗といろんなチャレンジがあるじゃないですか。
そんなチャレンジを積み重ねてここにたどり着いたのか、お前は、っていう感動がありました。
今、本を手元に持ってくるのを忘れちゃったんですけど、最初は何でしたっけ? 釘で突き刺すみたいな、あれですか、紙のまとめ方。
まずそもそも、ゼムクリップは紙をまとめたいという欲求から生まれてるんですけど、 そもそもは紙を束ねるときにはピンで刺してたっていうところから始まって。
10ページとかあったらグサッと刺すみたいなことですね。 刺してた。
刺してて、だんだん穴が開いちゃうの嫌だなとか、ピンで刺すだけだとすぐ落ちちゃうなとかがあって、じゃあ2箇所刺しましょうとか、
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もっと細いピンにしましょうとかっていうのがあって、だんだん穴開いちゃうのも私もっといいやり方があるんじゃない?って言ってハサミ、ハサミ方を考え始めたりとかするんですよね。
でもその時もまだクリップの形になってなくて、すごい変な形にねじねじした針金とかで頑張って、角を止めようとするみたいな。
針金を三角形に加工したものとかで、角を束ねるみたいなことで抑えようとしてて。
四角い紙の左端の90度になっているところを直角三角形のやつでカポッとはめるみたいな。
そうそう、はめるってやり方でまずは束ねようとしてて、そうするとやっぱ枚数が多いと中の紙が落ちちゃうみたいな問題があったりとかして、
じゃあ三角形良くないねってなって、今のジェムクリップに近い形のものとか出てきたりとか。
その三角形型を諦めて、もっと丸いやつで挟もうってなった後も、真ん中の芯をウェーブ状にしてそれで抑えるみたいな。
なんか意味わかります?
うんうん、わかりますわかります。
ウェーブ状にしてそれで抑えるっていうクリップが生まれて、今のクリップとちょっと違うけど、さらに複雑な形になったやつがあって。
紙を抑えるたびにこんな大変なの作らなきゃいけないのかっていう思ったりとか。
っていう試行錯誤を経て、最終的な形になった。
なるほど。紙を抑えるっていう機能から、そのままダイレクトに生まれてるんじゃなくて、間のこういう突き刺すっていうことをやったらこういう失敗があって、
その失敗を対応しようとクリアを半角にしてみたり、止まらんなーみたいな、何々してみたり、失敗続けていったら今の。
今の形になって、この形だと結構マイスを挟めるし落ちないねってなるっていう。
いやほんとそうだよなー。それでも今クリップやったら落ちたわーみたいなのやってるじゃないですか。
はいはいはい。
まだこれから進化の途上にあるのかもしれないけどね。
そういう人のためにホッチキスというものがね、あるんだと思うんですけどね。
なるほど、なるほど。
そしてホッチキスで、穴が開いちゃうなーとか、抜きにくいなーってなるとか、よしじゃあ針を噛まないホッチキスをみたいな。
出てくるわけですね。あと目玉クリップとか今あるからね。
目玉クリップって何ですか?
目玉クリップとか、あと何ていうの、もうちょっと圧の強いゼムクリップじゃない、ハサミ型のクリップみたいなのあるじゃないですか。
あーありますね。これ目玉クリップっていう名前なんだ。
違うかな?
でも目玉クリップで出てきますよ。
あーじゃあ目玉クリップ。
あの銀色のちょっとこう、何て言うんですか、圧が強そうなやつ。
あ、そうそうそうそう。
これ目玉クリップって言うんだ。
多分通称。
はー、なるほど。
なんかクリップなんて針金ねじねじってしただけで、すごい簡単に作れそうじゃんって思って、なんか最初からあるものと思ってたんですけど、結構何十年もの積み重ねがあって。
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しかもそのゼムクリップの前はすごい複雑な形だったっていうのがすごい面白くて。
はいはいはい。
いきなりこういう風にシンプルにはいかないんだっていうのが面白かった。
物事ってどんどん複雑になっていくようなイメージがなんとなくあったから、最初は複雑なものから始まってだんだんシンプルになっていくっていうのが失敗習ってる感じがして面白かった。
あーなるほど。確かに。
多分もうクリップあれ以上シンプルにしようがないから。
はいはいはい。
だから千年でそういうことよねって思いました。
いきなりスッってあれは思いつかなくて、最初はみんなぐちゃぐちゃぐちゃで考えて、すごい変な形の複雑なやつができちゃうっていうことがすごい面白かった。
はぁはぁはぁはぁはぁはぁ。
そのクリップだって、中盤の前半ぐらいじゃなくて、4章5章ぐらいだと思うんですけど、
4章5章で、はい。
その後に出てきた、なんかボタンなんだっけ、靴を留めるボタンかなんか、ファスナーか。
あ、ファスナーファスナー。
もう結構同じようなプロセスをたどるじゃないですか。
確かに。
最初布を、服とかをガッと留めるために一回一回突き刺すんだけど、そうすると穴だらけになって留まらなくなるんだよね。
そうっすよねみたいな。
その後に細かくグサグサと刺すみたいな、数を増やすっていう対応の仕方をしたりとか、
鍵みたいにガキッと組み合わせるみたいなのをめっちゃやるんだけど、
それやると着るのに20分かかりますみたいな。
一回やっぱり複雑な方に行くんだなっていうのは、その後のファスナーというかジップというか、そういうところでも出てきますよね。
これめっちゃ面白かったな。
ファスナーは面白かった。
ファスナーの話だと、結構ファスナーができた時はまだファスナーの質が悪いから、
ファスナーの服着てる人が、ファスナーが途中で壊れちゃって慌てて家に帰るみたいなことも散見されましたみたいな。
今のクオリティから考えたらそんなことはありえないけど、やっぱ物が出たばっかりの時って、
そんぐらいのクオリティでもバンバン売っちゃうんだなって思って面白かった。
現代においてはできなそうですけど、本来はそれを出すべきなんでしょうね。
それぐらいのレベルでも。
っていう時代感と、ファスナーはみんな見たことないからそれが許されるっていうか、
たぶん想像がつかなくて許されるっていうか、そういう歴史も面白かったですね。
確かに。最初のフォークの刃は何千円おんほになったのかっていうのが、
本当に第一章の一番最初の例に出てきて、
もともとはイタリアとかイギリスでもナイフ2本で食事をしていましたみたいな。
衝撃でしたよね。
そこからナイフが、よく見ると1本のナイフだよね、グサッと刺すものが、
ひたまたのちょっと突き刺す系のものになって、
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まっすぐなまんま、2本だと表面積がちょっと小さすぎてズルズル落ちちゃうから、
ちょっと本数を増やして、お肉を刺すとしたら、4本が一番摩擦がいい感じだと落ちない。
まっすぐの形になっていると口に持ってきにくいんだけど、
湾曲をさせて、ちょっとフォーク曲がってるじゃないですか。
4本の刃の後、キュッキュッと曲がってから手元のところにくると思うんですけど、
曲がったところを作った方が、あんまり口にまっすぐに入れなくても食べられるとか。
書いてますけど、たぶん絶対、向こうの背景に刺しちゃった人がいたってことだよね。
そうそう。それが面白い。めっちゃ面白いですよ。
ナイフ2本で食べて口怪我しちゃった人とかいるし、
抑えられなくて、フォーク2本だったら全然抑えらんねーって言って切れた人がいたし、
まっすぐなフォークで口に刺しちゃった人いたし、想像したらめちゃくちゃ面白いですよ。
その感じすごくいいなと思って。
本当に序盤のところでググッと、本当に形じゃないの?みたいなふうに思うところを、
失敗ですよみたいな、ほらこんな失敗があって、ほらこんな失敗があって、みたいなのがいろんなところでどんどん出てくる。
これめちゃめちゃ面白いところだったなと思ってた。
機能上の失敗っていうのと合わせて、フォークがイギリスに普及していくときに、
フォークって序盤は、いや、めねしい道具だよね、みたいな。
フォーク使うやつってちょっとあれじゃない?みたいな社会風潮がありましたっていう。
なんか議局に出てきてたみたいな。
そうそう、めねしい道具を使って、あいつはは、みたいなのが当時の議局に出てきてます。
そういう失敗もあるのかって。
未来の人からしたら、それ何の失敗なんだっけ?と思うのでも、
多分当時のフォークを見ていくと、ちょっと男らしい感じにしたフォークとかあったと思うんですよ。
機能上の失敗だけじゃなくて、社会的な失敗による形状の変化とかあったと思うんですよね。
ああ、なるほどね。
多分当時のフォークを見てみると、やたらとマスキュリーな感じのゴツゴツしたものをしてみるとか。
そう、マスキュリーな感じがする。武器にもできそうみたいな感じのフォークが多いです。
そう、そう。
そういう文脈の中で、それもある種の失敗として捉えて、形状が変化していく、フォームが変化していくというのもあるんだろうな、みたいなのを序盤に見ながら思ってましたね。
私、改めて家のフォークとかを持ってきて、確かに歯が4本だって確かめました。
いや、大事。一時情報にアプローチするの大事。
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あまりにも意識しなさすぎて、本当だって思いました。
いや、そうだよな。そうですよね。意識しないですよね。フォークとか全部グリップとかね。
だから、もともとナイフ1本で抑える、切る、固定するっていう全部をやってて、それがだんだん分かれてきたってことですもんね。
ナイフは切るに特化させて、固定するとか口に運ぶとかはフォークに。
そっか。分かれてる三浦さん、なんで分けなかったんだろうって感じですから、面白いですよね。
いや、終わって、生み出された後から見るとね、そう思っちゃう。
信じられないって感じですけどね。
今の一つの機能を持っていたものが再分化していくって話だと思うんですけど、
その後の中間から後半にかけて、道具が道具を作るっていうところとか、
その、なんていうんだろう、
トンカチが100何種類ありますみたいな話が出てくると思うんですけど、
逆に言うと我々からすると、一つの道具でいろいろできてていいじゃんっていうものが、これからどんどん分かれていくこともあるっていうことだと思うんですよ。
確かにな。
当時の人っていうのはフォークが生み出される前の人だと、
え、フォーク?なんでフォークいるんですか?みたいな。
ナイフでいいじゃんって。
ナイフでご飯食べれてますよね?みたいな。
持っていけばいいじゃんって思っていたんだと思うので、
あれですよね、我々の生活にも本当は失敗が潜んでるはずなんですよね。
でも、確かに食器とかスプーンとか器とか、
スープ用カップとかコーヒー用カップとか、スープ用スプーン、アイスクリーム用スプーンとかは多いなって思いますね、正直。
あー、確かに。
めっちゃあるもんな。
なんかその、なんとか用って用途が限定されてる時、
え、なんか、なんでも飲めるマグカップ一つでいいんですけど、とか、
じゃあこのコーヒーカップではスープは飲んではいけないということ?とか思ったりしますけど。
確かに、それはあるな。
それは戦略だったりもしますよね。
売る側のなんとか用ってわけでたくさん買わせるっていう。
そうね。
っていう部分もあるから、単純に意図的に分けてるところもあると思うんですけど、
でも細かくなりすぎたものって身の回りにたくさん潜んでる気がします。
初めて、私も学生の時とかってそんなに色々買えないじゃないですか。
お皿は一個だし、どんぶりのお皿一枚と、
あとコップはマグカップ一個で、
あとはお箸で全部なんとかするみたいな食器、食卓になってたんですよ。
大学生らしい食卓。
大学生らしいワンルーム生活者の食卓じゃないですか。
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はい。
その時に、どっかの面接かなんかで、どっかのカフェに行った時に、
コーヒーを頼んだら、取っ手が斜めになってるカップあるじゃないですか。
ちょっと幅広で、これまたさっきの三木さんのように口頭で説明するのすっげえ難しいんですけど、
ちょっとカップの取っ手の部分が細くてキュってなってるやつじゃなくて、
グルっとなってる上の部分が幅広で、かつ斜めにねじれてるみたいな。
え?ちょっともう想像力が限界が。
右手で例えば持つとするじゃないですか。
ちょっと今目の前にカップがあると想像してください。
はいはい。あります。
穴に人差し指を通して、
右手の人差し指と親指でそこの細いところを持つと思ってくださいなと。
そうすると、その接地面って斜めになるじゃないですか。
手前が下、奥が上っていう斜めの角度になるじゃないですか。
親指と人差し指で振られる面。
この形になってるんですよ。取っ手の部分が。
え?すごい。だからフィットするようにってことですよね。
そう。
フィットってことですよね。
そう。その。
すごい。
そうすると、湧きを全然開けずに飲めるんですよ。コーヒーを。
そうなんだ。
だから斜めのところが、細いやつだと、なんかすげえ湧き開けてこう、何なら両手で持って飲まなきゃいけない感じじゃないですか。
お手が触れて。
はいはいはい。
じゃなくて、親指でスッと支えて飲めるのにめちゃくちゃ感動して。
はいはいはい。
案の定帰り道に探して買ったんですけど、いやー、使わないですよね。
あ、そうなんですか。使わないんですか。
いざ家に帰ると、使わない。
なんでですか。容量が少ない?
容量っていうか、湧きを開けて飲んじゃいけないみたいな風潮というか、それが便利だなと感じるのって、あの空間だからこそなんですよ。
あー、廃墟だ空間で廃墟に振り舞いたい時だけしか必要ない機能。
そう、もう家にいると取っ手なくていらないわけですよ。何なら。
はいはい。
もうマグカップガーって横から持っちゃって飲めばいいんで。
まあ何ならペットボトルで直飲みとかしてましたよね。あの頃は。
全然そう。全然そうなので、あの場においては、取っ手を握ってしまってフワッとさせるっていう失敗が起きてたんだけど。
家でいうともう全然なかったので。
あの当時メルカリがあったら一発でメルカリでしたね、あれは。
私でもそうだっただろうなって思います。
いや、なんでミキさんあの時の私に教えてくれないの?それたぶんいらないと思うよってなんで言ってくれないの?
あとなんか、すごい驚いて買っちゃったっていうかわいいですね。その足で買っちゃったっていう。
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すごいびっくりしたんですよ、その時。
ミキさんマントカ用フォークみたいなやつって、それを便利だなと感じるだけの心の豊かさは私にはなかったんですけど。
そのカップの取っ手は、いやこれめちゃくちゃいいなと思ったんですよね、当時。
へー。
人それぞれってことなんでしょ、便利だと思う。
シーンと瞬間と。
そうですね。
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