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家庭の幸福 その1
2025-10-18 16:50

家庭の幸福 その1

0156 251018 太宰治 家庭の幸福 その1 朗読:高見心太郎
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初めてMacを手にした感動は忘れられない。
ネットの声をご紹介します。
ハンドルネーム、ドクターレインさん。
何もかもスムーズで、早くてビビった。
iPhoneとの連携も最高。
続いて、Mr.Incredible4883さん。
Appleシリコンのおかげで、バッテリー切れのストレスから解放された。
初めてのMacで、そう感じたそうです。
次はあなたが体験する番。
全く新しいMacBook Neo。
心躍るMacが、うれしいプライスで登場。
詳しくは、Apple公式サイトをご覧ください。
おしゃべり本棚。
この時間は、福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
家庭の幸福、その1。
太宰治。官僚が悪いという言葉は、
いわゆる清く明るく朗らかになどという言葉と同様に、
いかにも間が抜けて陳腐で馬鹿らしくさえ感じられて、
私には官僚という種族の正体はどんなものなのか、
またそれがどんな具合に悪いのか、どうも色鮮やかには実感せられなかったのである。
問題外、関心なし、そんな気持ちに近かった。
つまり役人は威張る、それだけのことなのではなかろうかとさえ思っていた。
しかし民衆だってずるくて汚くて欲が深くて裏切ってろくでもないのが多いのだから、
いわば愛いことでも申すべきで。
むしろ役人の方はその大半、洋にして学を好み、
小鶴に及んで律師出経、もっぱら六方全書のクソ暗記に努め、
失踪奸役、友人にケチと言われても罵事等風、
祖先を敬するの念厚く、亡き父の命日にはお墓の掃除などして、
大学の卒業証書は金色の額縁に入れて母の寝間の壁に飾り、
誠にこれ父母にこう兄弟にはともならず、
方友は愛信ぜず、
お役所に勤めても、ただもう我が身分の大化なきを期し、
人を憎まず、愛さず、にこりともせず、
ひたすら公平、紳士の気感、立派立派、少しは威張ったってかまわないと、
03:05
私は世のいわゆるお役人に同情さえしていたのである。
しかるに先日、私は少し体具合を悪くして、
一日いっぱい寝床の中でうつらうつらしながら、
ラジオというものを聞いてみた。
私はこれまで十何年間、
ラジオの機械を自分の家に取り付けたことがない。
ただやぼったくもったいぶり、何の芸も吉も勇気もなく、
ずうずうしく厚かましく、
変にガーガー騒々しいものとばかり独断していたのである。
空襲の時にも私は窓を開いて首を突き出し、
林家のラジオの一機はどうして、一機はどうしたとかいう報告を聞き取って、
まず大丈夫、と家の者に言って用を済ましていたものである。
いや実は、あのラジオの機械というものは少し高い。
くれるという人があったら、それはもらってもいいけれど、
酒と煙草とおいしいおかず以外には極端に奸役隣職の私にとって、
受信機購入などとんでもない大乱比だったのである。
それなのに昨年の秋、
私が例によってよそで二三夜飲み続け、
夕方、家は無事かと胸がドキドキして歩けないくらいの不安と恐怖と戦いながら、
やっと家の玄関前までたどり着き、
大きいため息を一つ吐いてからがらりと玄関の扉を開けて、
ただいま。
それこそ清く明るく穏やかに帰宅の放置をするつもりが、
むざんやいつも声がしゃがれる。
やあお父さんが帰って来た。
と七歳の長女。
まあお父さん一体どこへ行っていらしたんです。
と赤ん坊を抱いてその母も出てくる。
とっさにうまい嘘も思い浮かばず、
あちこちあちこちといい、
みな飯はすんだのか、
などと必死のごまかしの質問を発し、
06:01
二重まわしをぬいで部屋に一歩踏み込むと、
タンスの上からラジオの声。
買ったのかい。
これを。
と私には外迫の弱みがある。
怒ることができなかった。
これはまさこのよ。
と七歳の長女は得意顔で、
お母さんと一緒に吉祥寺へ行って買ってきたのよ。
それはよかったねえ。
と父は子供には愛想をいい、
それから母に向かって小声で、
高かったろう。
いくらだった。
千いくらだったと母は答える。
高い。
いったいお前はどこからそんな大金を算段できたの。
父は酒と煙草とおいしいおかずのために
いつもお金に給して、
それこそあちこちあちこちの出版社からひどい借金をしてしまって、
生きよい家庭は貧寒。
母の財布にはせいぜい百円紙幣三、四枚というのが
全く偽りのない実情なのである。
お父さんの一晩のお酒代にも足りないのに、
大金だなんて。
母もさすがに呆れたのか、
笑いながら沈弁するには、
お父さんのオールスの間に
雑誌社の方が現行料を届けて下さったので、
この折と吉祥寺へ行って
思い切って買ってしまいました。
この受信機が一番安かったのです。
まさこもかわいそうですよ。
来年は学校ですから、
ラジオでもって少し音楽の教育をしてやらなければなりません。
また私だって夜遅くまであなたのご帰宅を待ちながら
つくろいものなんかしているとき、
ラジオでも聞いていると
どんなに気がまぎれて助かるかわかりませんわ。
飯にしよう。
こんな経緯で私の家にもラジオというものが備ったけれども、
私は相変わらずあちこちあちこちなので、
しみじみ聴取したことはほとんどないのである。
たまに私の作品が放送せられるときでも、
私はうっかり聞き逃す。
つまり一言にしていえば、
09:02
私はラジオに期待していなかったのである。
ところが先日病気で寝ながら
ラジオのいわゆる番組の始めから終わりまで
ほとんど全部を聞いてみた。
聞いてみると、
これもやはりアメリカの人たちの指導のおかげか、
戦前、戦時中のあの野暮ったさはいくぶん消えて、
なんとなかなかにぎやかなもので、
突如として教会の鐘のごときものが鳴りだしたり、
言の音が響いてきたり、
また簡単なく外国古典名曲のレコード、
どうにもいろいろと工夫に富み、
聞き手を明かせまいという親切心から、
幕合いというものが一刻もなく、
うっかり聞いているうちに、
昼になり夜になり、
一ページの読書もできないという仕掛になっているのである。
そうして夜の八時だか九時だかに、
私は妙なものを聴取した、
それは街頭録音というものである。
いわゆる政府の役人といわゆる民衆とが、
街頭において互いに意見を述べ合うという思考である。
いわゆる民衆たちはほとんど怒っているような口調で、
例の官僚に喰ってかかる。
すると官僚は妙な笑い声を交えながら、
実に幼稚な観伝語、
例えば、
研究中、
ごもっともながらそこをなんとか、
日本再建、
官も民も力を合わせ、
それはよく心がけているつもり、
民主主義の世の中、
まさかそんな極端な、
ですから政府は皆さんのご助力を願って、
うん、
そんなことばかり言っている。
つまり、その官僚は、
始めから終わりまで、
一言も何も言っていないのと同じであった。
いわゆる民衆たちはいよいよ怒り、
絶報鋭くその役人に迫る。
役人は、
ますます盛んに例のいやらしい笑いを発して、
公願無知のアホらしい一般概論を
クソ丁寧に繰り返すばかり。
民衆の一人は、
とうとう泣き声になって、
12:00
役人に詰め寄る。
寝床の中でそれを聞き、
とうとう私も逆上した。
もし私があの場に居合せたなら、
そうして司会者から意見を求められたなら、
きっとこう叫ぶ、
私は税金を納めないつもりでいます。
私は借金で暮らしているのです。
私は酒も飲みます。
煙草も吸います。
いずれも高い税金がついて、
そのために私の借金は多くなるばかりなのです。
この上またあちこち金を借りに歩いて、
税金を納める力が私にはありません。
それに私は病弱だから、
おかずや注射器や薬品のためにも借金をします。
私は今非常に困難な仕事をしているのです。
少なくともあなたよりは苦しい仕事をしているのです。
自分でもほとんど仕事のことばかり考えつめているのです。
酒も煙草もまたおいしいおかずも今の日本人には贅沢だ。
やめろということになったら、
日本に一人もいい芸術家がいなくなります。
それだけは私断言できます。
店長、ドラム式洗濯機、
決算価格の値札に貼り替えておきました。
えっ、これ値下げしすぎじゃない?
決算ですから。
勢いで赤字で書き換えちゃいました。
次、この4Kテレビも。
へい。
ちょ、やりすぎだって。
買うなら今しかない。
山田の本気の本決算セール。
お買い上げありがとうございます。
数学教師芸人の高田先生だよー。
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16:50

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