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初めてMacを手にした感動は忘れられない。
ネットの声をご紹介します。
ハンドルネーム、ドクターレインさん。
何もかもスムーズで、早くてビビった。
iPhoneとの連携も最高。
続いて、Mr.Incredible488さん。
Appleシリコンのおかげで、バッテリー切れのストレスから解放された。
初めてのMacで、そう感じたそうです。
次はあなたが体験する番。
全く新しいMacBook Neo。
心躍るMacが、嬉しいプライスで登場。
詳しくはApple公式サイトをご覧ください。
おしゃべり本棚。
この時間は、福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
渡辺恩。
或る母の話。前編。
母一人、娘一人の暮らしであった。
生活にはことかかないほどのものを持っているので、
母は一人で娘を慈しみ育てた。
娘も母親の有り余る愛情に堪能していた。
それでも娘はだんだん大人になると、
自分の幼い最初の記憶にさえ影を留めずに世を去った。
父親のことをいろいろ想像する折があった。
ともこのお父さんはこんなに立派な方だったのだよ。
母親は古い写真を見せてくれた。
額の広い目鼻立ちのひい出た若者の姿が、
黄色く色さめて映っていた。
本当にずいぶんきれいだったのね。
お母さん幸せだったでしょう。
そりゃあその遠ざわねえ。
思い出して悲しくなることあって?
死んでからもう二十年近くにもなるんだもの。
それにこの写真みたいに若い人じゃ、
まるで自分の息子のような気がしてねえ。
母親はそう言って笑った。
だが娘は母親の若よかなえくぼのある頬が、
ちょっとの間うちきな少女のように
ういういしく輝くのを見た。
そうねえ。
あたしだってこんな若いお父さんのことを考えるのは
へんな気がしてよ。
いっそお前のおむこさんなら似合いかもしれない。
ひどいお母さん。
でもお母さんはどうしてそれっきり
よそえお嫁にいらっしゃらなかったの?
どうしてって。
うーん、お前のお父さんのことが忘れられなかったし。
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それにあんまり悲しい目にあうと、
女は誰でも臆病になってしまうんだろうねえ。
さみしかったでしょ。
少しの間さ。
すぐにお前がみんな忘れさせてくれるようになったもの。
母の声はくたびれてでもいるようにきこえた。
娘は若いときになら自分よりも気老良しだったにちがいない
面影の忍ばれる母親がそんなに早く
青春から見捨てられてしまった運命を考えて胸をすぼめた。
その年の春。
友子は女学校の高等科を卒業して
結婚を急ぐほどでもなし
遊んでいるのも無駄だったので
小遣い取りに町のある障子会社へ勤めた。
朝露の中に咲いた花のような姿が
多くの男たちの目を引いたのは言うまでもなかった。
友子はしかし賢い考え深い生まれつきだったので
いつも上手に身を慎むことができた。
さて夏の始めだった。
友子はある日
事務所と同じビルディングの地下室にある食堂へ
昼食を取りに降りた。
そこはいつでも混んでいるので
大抵外へ出て食事をする習慣だったが
その日は仕事が忙しくてそんな余裕がなかった。
やっと隅っこの方にたった一つ空いたテーブルを見つけて
リバーのサンドイッチとコーンのシチトをあつらえた。
ところがサンドイッチを半分も食べないうちに
同じテーブルに彼女と差し向かいに
さらに一人の客が席を占めた。
リバーのサンドイッチとコーンのシチト
大急ぎで
とその客が急事に命じた。
友子は顔を上げて
自分とすっかり同じ品を注文する客の方を見た。
青い仕事着の胸から
ネクタイをつけない白いシャツの衿をはみ出させている
体格のいい青年だった。
青年は食事などよりも
もっと他に心を満たしていることがあるらしい様子で
ぼんやり娘の食べ物の皿を眺め下していた。
そのとぼけた大きな瞳とぶつかった時
友子は少なからず狼狽した。
青年の方でも
にわかに鼻先へ突きつけられた
美しい娘の顔に気がついて
どぎまぎしながら眩しそうに横を向いた。
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はて
と友子は考えたのである。
確かにどこかで見たことのある親しい目だった。
すぐに
それが死んだ父親の写真に写っている眼差しだったことを思い出した。
まあ
それに額の立派なところまでよく似ているわ。
肩幅は少し広すぎるけれど。
でも
お父さんは若児になすったのだから
こんなに元気そうではなかったのに違いない。
しかし
彼女は
あんまり長いことを知らない若い男を眺めているのは
非常にブシつけだと気がついたので
急いで食事を済ませてテーブルから離れた。
晩に家へ帰ってから
母親にその話をした。
きれいな男の人は
みんなお父さんに似ているかもしれないねえ。
と
母親は娘の大げさな話ぶりを聞いて
笑い笑い言った。
さもなければ
お前が心の中でその人を好きになったんだよ。
好きな人なら
どんな風になってよく見えるから。
けれどもお父さんは
若い娘を狙うような真似なんかしなかった。
あら
同じ食べ物をあつらえたからって
まさか狙ったとも言えなくってよ。
お母さんと来たらずいぶん苦労症ねえ。
大丈夫
あたしお母さんなんかに
いささかとも心配かけやしないわ。
娘はいつになくはしゃいだ調子で答えた。
次の日
出勤のおり
会社の扉口の前で
友子は再び青年と出くわした。
青年はちょうど
廊下を隔ててすじむかえになっている
自動車会社の事務所から
姿をあらわしたところだったが
彼女と顔を見合わせると
あわてて目をそらせて
まるで怒ったような固い表情を浮かべながら
玄関のほうへ歩み去った。
友子が考えてみるのに
その青年は前からそこの自動車会社に
勤めていて
これまでも幾度かお互いに顔をあわせながら
どんな男の社員たちにも
ほとんど関心を持たなかった彼女だったので
つい見過ごしていたのかもしれなかった。
その後彼女は
しばしば彼の姿を気にとめて
見かけるようになった。
そしてやがて
彼がその自動車会社の技師で
朝原玲介という名であることや
またこのごろ
自動車の発動機について
何か新発明を完成させて
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相当職望されていることなどを知った。
土曜に入って最初の夕立がした。
ちょうど退勤時刻だったが
雨自宅がなかったので
友子は事務室に居残って
仕事の余分を続けながら
晴れ間を待っていた。
日が暮れ落ちても
雨足は弱らなかった。
それで待ちあぐんで
ともかく建物の玄関まで出てみた。
通りがかりのタクシーでもあればと考えたのだが
そんな裏町を
退勤時刻すぎて通り合わせる車は
めったになかった。
近所の自動車屋へ電話をかけてみると
あいにくみんなで払っていた。
友子は途方に暮れたまま
青白い街灯の中に銀色に光る
たくましい雨の筋を眺めていた。
するとそこへ
彼女の背後から
靴音をさせて朝原が出てきた。
朝原は雨だれに向って
しょんぼり佇んでいる友子の姿を一別して
ちょっと躊躇したらしく
立ちどまりながら
暗い日差しの外を仰いだが
さて上着の襟を立てると
人頭を横切って
その向こう側につけてあった
小さなクーペの扉を開けて
それへ乗った。
友子も千刻からその自動車には気がついていたのだが
さすがに朝原の状況とは考え及ばなかった。
朝原はガラス窓の内側から
熱心な瞳で友子の方を見つめた
あの人乗せてくれるかもしれないわ
友子はそんな期待を感じて
胸を固くした。
だがそのまま朝原のクーペは
軽いエンジンの音を響かせて滑り出した。
そして哀れな友子を置いてきぼりにして
たちまち赤いテールライトを
とびいろの雨闇の奥へにじませながら消えていった。
友子は苦笑などでは紛らわしきれないほど
ひどく当ての外れたような物足りなさを覚えた。
人気のない雨のびしょびしょ降る
オフィス街の薄暗がりに
たった一人立っている自分が
にわかにさびしい気さえした。
とうとう友子は
本通りまで濡れていくことに決心した。
そこでスカートの裾をつまんで
敷石の上を歩き出そうとした時だった
行く道の街角を
強いヘッドライトの工房が折れたかと見ると
自動車が一台しぶきをあげながら走ってきた。
そして友子が
ひょっとしてそれが
空き車の札を掲げてはいまいかと思って
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踏み出したつま先をためらっている目の前へ来て
ぴたりと停車したのである。
空き車の札はどこにも見当たらなかった。
ところが扉をあけて降りてきた運転手が
友子へいんぎんに挨拶をしたのである。
お待ちどうさまでした。
はあ?
友子はびっくりした。
タクシーでございます。
ただいま表通りで
クーペをご自分で運転していらした紳士の方から
そう言い使ってまいりました。
あなた様ではございませんでしょうかしら。
友子はそれでようやくがてんすることができた。
おい、あたし、あたしよ。
ご苦労さま。
装飾日ロードのクッションの中に身を落ち込ませて
友子はほっとした。
するとなんだかかつてない明るいうれしさといっしょに
おかしさがこみあげてきて
ひとりでくっく笑えてならなかった。
郊外の住居へ着いたときに大金を払おうとすると
すでに朝原からもらってあるという運転手の言葉だった。
これから始まる新生活。
悩みに悩み抜いた。
そしていまやってきたわくわくする大特化。
僕たち。
私たちは。
山田の家電で充実した新生活を送ります。
山田へ急げ。
数学教師芸人の高田先生だよーん。
高田先生の算数わくわくラジオ。
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