一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。
今回は抱擁茶(プーアル小沱茶)を淹れながら、小倉ヒラク『僕たちは伝統とどう生きるか』を紹介します。
▼ 今回のテーマ
大文字の伝統と小文字の伝統/記憶の方舟/土の声を聞くための伝統
発酵や民藝、風土から「伝統」を問い直す一冊を、お茶を片手にゆっくり語ります。哲学や日本文化、暮らしの手ざわりに興味がある方におすすめのエピソードです。
🍵 本日のお茶抱擁茶(普洱小沱茶/プーアル小沱茶)
発酵百貨店(発酵デパートメント)
📕 本日の本
『僕たちは伝統とどう生きるか』(講談社現代新書)
小倉ヒラク(著)
https://amzn.to/4xUActr
👤 話し手
Fuyuto
「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。
note → https://note.com/honcha_honcha
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サマリー
このポッドキャストでは、発行デザイナーの小倉ヒラク氏による著書『僕たちは伝統とどう生きるか』を紹介します。番組では、大文字の伝統と小文字の伝統、記憶の方舟、土の声を聞くための伝統という3つの切り口から、伝統の新たな捉え方を提案します。特に、権威に縛られない、風土や暮らしに根差した「小文字の伝統」に焦点を当て、発酵文化や民藝、地域固有の知恵といった事例を通して、伝統がどのように記憶を継承し、変化しながら生き延びていくのかを考察します。単なる過去の遺産ではなく、現代を生きる私たちの知恵となる伝統のあり方を、お茶と共に深く掘り下げていきます。
オープニングと本日のテーマ紹介
こんにちは。本茶本茶へようこそ。
毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して、創造性の器を育む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日、19時に更新しています。
今日ご紹介するのは、発行デザイナーの小倉ひらくさんが書かれた、「僕たちは伝統とどう生きるか?」という一冊になります。
著者の小倉さんは、まさに発行デザイナーということを名乗っている方で、
確か、大学で文化人類学を学ばれたり、その後、デザイナーのキャリアを持ったりしながら、
日本であったり世界各地の土着の発行文化を訪ね歩いたり、まとめたり、そのような活動をされている方で、
本でいうと、発行文化人類学という本が結構有名かもしれないですね。
後は、後ほど説明しますが、東京の下北沢にある発行デパートメントという、
さまざまな発行関係の食品だったりツールを売っている、そんなお店も手がけている方になります。
今回は小倉さん、ひらくさんの書かれた新書を取り上げてみたいと思います。
本との出会いと紹介のポイント
今回、この本を紹介しようと思ったきっかけなんですけれども、
先ほど少し登場した発行デパートメントというお店がありまして、
これは東京の下北沢ですね。
ちょうど小田急線の線路が地上の上を走っていたところから地下に移動したのかな。
そんな関係もあって、もともと線路が通っていた場所が空き地になったというか、使えるようになった。
そこを一つの町というか、小さな店舗が立ち並ぶエリアとして再開発したのが、ボーナストラックという場所があります。
それこそ、今年のポッドキャストウィークエンド、ポッドキャストエキスポは違いましたけれども、
その前のポッドキャストウィークエンドはこのボーナストラックで開催されたと思うんですが、
その中にですね、1店舗この発行デパートメントというのが入っています。
今回、僕がですね、ちょっとこの発行デパートメントに味噌を買いに行ったんですよね。
山梨のゴミ醤油というところの味噌なんですけど、
ちょうどそれを買いに行った時に店頭に、この小倉平久さんの僕たちは伝統とどう生きるかという本も並んでいて、
そこで手にしたというような出会いになります。
紹介したいポイントは3つあって、大文字の伝統と小文字の伝統。
2つ目が、記憶の箱舟。
そして最後に、土の声を聞くための伝統。
本日のお茶:抱擁茶(プーアル小沱茶)
その前に、まずは一緒に楽しむお茶から。
今日は発行百貨店さんの法用茶というお茶を入れてみました。
この法用茶というのは多分商品名というか何でしょうね、後から付けられた商品名かなと思うんですが、
正式にはプーアール焼頭茶というもので、中国雲南省のプーアール茶になります。
それがですね、なんて言うんだろう、タブレット型って言うんですかね、
直径2センチ、3センチぐらいの丸っこい玉のようにですね、
お茶っ葉がぎゅっと押し固められていて、それが一個ずつ紙で包まれて売られている。
そんなようなものになっています。
そしてこのプーアール茶というのは、まさに発行ですね。
乳酸菌だったりとかカビだったりとか、そういった発行菌を使いながら発行させた
後発行茶、後ろの発行茶で後発行茶というものになっています。
本当は中国から800年前とかからずっと作られてきた製法だと思うんですけれども、
それをこの発行デパートメントさん、小倉ひらくさんのプロデュースされたところで販売している、そんな商品になっています。
今回のエピソードのカバーアートを見ていただけるとわかると思うんですが、結構色が濃いんですよ。
まず茶器にぎゅぎゅっと固まったこのお茶を一個入れて、お湯を入れてすぐ洗茶、洗う茶ということで、
お湯を入れてすぐ捨てるんですね、一回。
その後にじっくりとお湯を入れて出していくんですが、
本当お湯を注いで数秒ですね、5秒もしないぐらいでこの色になるという非常に濃い色のお茶になっています。
一方で味は発行を長くしていく中でまろやかになったり、刺激が少なくなっていったりするようで、とても優しい味わいになっていました。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
伝統の定義:大文字と小文字の伝統
この本ですね、まさにタイトルに伝統という言葉が入っているんですけれども、
ここの本の中で扱う伝統がどういうものかっていうのを小倉さんは冒頭の方で定義をしているんですよね。
いわくその日本としての伝統文化とかですね、国レベルだったりグローバルな市場の中で権威を持って扱われているような立派な伝統という話ではなくてですね、
どちらかというと、日本あるいは世界の様々な地域、様々な風土を持つそれぞれのエリアにおいて、
生き延びるために生まれてきた知恵、そんなような伝統のことにいい光を当てていく一冊になります。
もちろん小倉さんの本なので発行ということも一つのキーワードになりますし、
民芸だとか風土だとかそういった概念と照らし合わせながら足元の暮らしに根差す伝統というものについて語っている一冊になります。
まさにそのどういう伝統を扱っているかという話が一つ目の切り口、大文字の伝統と小文字の伝統というものになります。
少しだけですね、この大文字の伝統と小文字の伝統の定義について小倉さんが書かれている部分を引用してみると、
一つは大文字の伝統、これも英語も大文字でトラディションと書かれています。
である、それは強さに向かう伝統、権威を乱し少数派や弱いものを従わせる伝統、
使う主体も範囲も大きく形を崩すことのできない大文字の伝統だ。
派遣として実情を作り出すと同時に、少数者の抑圧としても機能する。
もう一つを小文字の伝統、これも英語でも全て小文字でトラディションと名付ける。
それは弱さから生まれる伝統、権威に飲み込まれないよう流れるように形を変える小文字の伝統。
逆らえない大きな流れの中でも、自分のアイデンティティを見失わないための小舟のようなものだ。
そんなふうに、大文字の伝統と小文字の伝統というものを定義をしています。
事例紹介:ジョージアのワイン
これ具体的にどういうことかななんて思っていると、
一つジョージアという国のワインの事例が書かれているので、軽くそれをご紹介しようかなと思うんですけれども、
皆さんジョージアとかジョージアのワインって飲んだことありますかね。
かなり昔からワインを作っていた国の一つだそうなんですけれども、
もともとこのジョージアという国でどういうふうにワインが作られたかということなんですが、
二つユニークな点があるそうなんですよね。
一つは使うブドウの話で、森に自生する在来種、これが500とかいろんな種類のブドウがあるそうなんですが、
そういうものを使っていたと。
他の国のワインってかなり品種が改良されて、それを世界にいろんなところに伝播してそれが使われている、特定の種類が使われているってことだそうなんですが、
ジョージアは自生する在来種を使っていたと。
もう一つが発酵醸造のさせ方で、クベブリっていうんですかね、という素焼きの土亀、
土を焼いて作った大きな壺みたいなやつですかね、水亀みたいな。
それを地下に埋めて、その中に先ほどのブドウを入れてゆっくり発酵させていくと。
そういうようなやり方を伝統的にはとっていたんだそうです。
まさにこれが先ほどの小文字の伝統、そのジョージアの風土に合わせて、あるいはその中で知恵として生まれてきた伝統ということだったんですが、
その後、旧ソ連にジョージアが併合されるということが起きたときに、
旧ソ連として社会主義の下で効率的であったり、科学的にワインを作っていこうと、そういうような動きが起きたんだそうです。
そんな中で、もともとその500以上あった品種のうち、わずか18種類のブドウの品種しか使うことが認められなくなったと。
そういうふうに科学的、効率的に作っていくために品種が縛られたりとか、
あるいは先ほどの土亀も非科学的であると、効率的でないということで、金属タンクに変更されていったと。
それが人類の発展のためという中でゼトされたということなんですが、
こういう社会主義の下にジョージアのワインというものは改良、カッコつきの改良をされ、ワインの一般として流通をしていった。
そんな歴史があるんだそうです。
こういったように、より大きな世の中の中における唯一の正解、それは時としてより効率的であり、今より合理的であるということなのかもしれないですが、
そういうところに集まっていくもの、これがおそらく大文字の伝統ということなのかなと思っております。
そして、この大文字の伝統というのは、強い国を作る物語装置になるということであったり、
一方で使い方を誤れば他の民族を滅ぼす、そんなようなものにもなってしまう。
一方の小文字の伝統というのは、そういった大きな権威の流れに飲み込まれないように、形を変えながら生き延びる、そんなようなこととして捉えられています。
まさにこの本では、発行ということであったり、先ほどのジョージアワイン、あるいはこの後ミンゲイとかウカイとかですね、
いくつかの事例を引っ張りながら、この小文字の方の伝統というものについて語っていくのですが、
記憶の方舟としての伝統
その小文字の伝統についての切り口、2つ目が、記憶の箱舟というものになります。
一文引用すると、
発行はその土地における記憶の箱舟なのだ。
とりわけ小さな漁村や離島において、発行文化を紐解くことは、その土地の歴史を紐解くことに等しい。
国家自身の裏付けとなるような大文字の伝統ということと異なって、
こういう小文字の伝統というものは、なかなか言語で残っていくということがそんなに多くなかったりする。
その中でもですね、この小文字の伝統というのは、手で作るということを通じて受け渡される。
身体の行為を介してどんどんどんどん続いていくということがあるんだそうです。
まさにその伝統自体が身体的に記憶の箱舟になって、後の世代へと続いていく。
本文中ではですね、佐賀の呼ぶ湖というところにある松浦漬というもののエピソードが載っていました。
これは、クジラの軟骨の酒かす漬という、その土地に伝わるものなんだそうなんですけれども、
これがですね、まさに日本人がこの地域においてどうクジラと生きてきたか、
どのようにクジラと関係性を作ってきたかの記憶が詰まっている伝統であるというようなことを書いています。
具体的に言うとですね、この地域クジラの漁をしていたんだと思うんですけれども、
そのクジラのですね、皮から絞った油というのは石油のように資源として使い、
ヒゲは女性のかんざしにしていたり、あと歯は印鑑の原料になったりとか、
まあそういうですね、クジラを捕獲してますところなくいただく、使うという中で、
なかなかその使い道がなかったですね、この軟骨の部分、これを食べるという文化が生まれたと。
あるいはですね、この軟骨の鮭カス漬けに使った鮭カスというのは必ず広島の酒蔵のものを使っていたそうなんですが、
それはクジラを捕獲するための大きな網を作る技術というのをこの瀬戸内海のところが持っていて、
そんな関係もあって広島の酒蔵の鮭カスを使っていたと。
まあこういうですね、僕もこの本を読むまでこの松浦漬けというものは知らなかったんですが、
そういう小さな伝統の中にさまざまな記憶が宿っているというような内容かなと思います。
土の声を聞くための伝統
最後の切り口が、土の声を聞くための伝統。
これはですね、沖縄の焼き物でヤチムンってありますよね。
そこの釜をやっている方の言葉から取り上げた切り口なんですが、その一文を引用してみます。
土がこうなりたいという声が聞こえるようになるには、技術と経験がいります。
訓練しないとその声は聞こえない。
伝統とは土の声を聞くための技術なんです。
そんなふうな一文が書いてありました。
少し書かれている場所は違うんですけれども、発行の話、特に日本酒の話をしているところでも似たような話があって、
日本酒を作るというのは人が作っているというよりも、人は微生物が活動する環境を慣らしている、環境を作っているだけ。
自ら作るということを手放しながら、それでも自分たちができることに力を注ぐというようなことが書かれていたんですよね。
この二つを通じて考えたのは、そういう小さな伝統を守り続ける人たち、職人さんとか呼ばれると思うんですけれども、
決して自分の表現力を上げるために技術や経験を積み重ねていくというよりも、そういう目に見えないたりき、
例えば土のことであったり微生物のことであったり、そういうものの声が聞ける、あるいはそういうものが活躍する場を作るために伝統があると。
そういう何かコントロールしえないものとの共同作業のための熟達や伝統、そんな印象を持ちながら興味深く読んだパートになります。
この本を通して伝統というのは、特に茶道みたいなことをやっていたりすると、
守るべき立派なものとか、ずっと昔から確立されたものだと思いがちだなと改めて振り返りながら、
この本が教えてくれるのは、もう少しその小文字の伝統、さまざまな風土の中で生きていくというために、
弱さから生まれて、必ずしもその言葉というよりも手で脈絡と受け継がれてきて、かつ変わりながら生き延びていく、そんなような伝統の姿だったり、
必ずしも人間だけがその伝統というものをコントロールするというよりも、微生物であったり土であったり、
そういうものの声を聞きながら、ある種、人間だけが何かを作るということを手放しながら共同作業として引き継がれていく、
そんなようなものの形なのかなと読みながら考えていました。
まとめと本書の魅力
この本ですね、かなり密度が濃くて、今日ご紹介した以上のさまざまな哲学の話だとか、民芸の話だとか、
岡本太郎も出てきますし、非常に読み応えのある本になっています。
そして最後の方のパートでですね、一つ引用してみると、
教会を持たない社会における伝統とは何だろうか。
それは明快だ。すべての人間の過去が伝統になるのだ。
という一文があったりですね。
一人一人がどうやってその伝統と接点を用いるか、
あるいは自分の中の伝統とどう向き合うか、みたいな話にまで発展をしていく本になりますので、
ぜひご興味ある方がいらっしゃったら手に取っていただければと思っております。
ということで、今日は八甲百貨店さんのプーラーチャーをいただきながら、
小倉ひらくさんの僕たちは伝統とどう生きるか、という一冊をご紹介しました。
SpotifyやApple Podcastで聞いてくださっている皆様、ぜひフォローをお願いいたします。
それではまた。
20:57
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