ほんとうのこと、とは?|土門蘭『ほんとうのことを書く練習』#44
2026-07-08 20:58

ほんとうのこと、とは?|土門蘭『ほんとうのことを書く練習』#44

一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。

今回は鳳凰単叢 六雪銀花香を淹れながら、土門蘭『ほんとうのことを書く練習』を紹介します。

▼ 今回のテーマ

ひとりになる/誰にも読ませない文章/誰かとつながる

文章を書くこと、自分と向き合うことに関心がある方におすすめのエピソードです。

🍵 本日のお茶

鳳凰単叢 六雪銀花香


📕 本日の本

『ほんとうのことを書く練習──「わたしの言葉」で他者とつながる文章術』

土門蘭(著)/ダイヤモンド社

https://amzn.to/3QYx92K


👤 話し手

Fuyuto「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。

note → https://note.com/honcha_honcha

感想

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サマリー

このポッドキャストでは、土門蘭氏の著書『ほんとうのことを書く練習』を、鳳凰単叢 六雪銀花香というお茶と共に紹介します。著者は、本当のことを書くためにはまず「一人になる」こと、つまり内面化された他者の声や自己検閲から距離を置くことが重要だと説きます。次に、「誰にも読ませない文章」を書くことで、心の浄化と自己との対話を図る方法を提案。最後に、徹底的に一人になって書かれた「本当のこと」が、普遍的なテーマと結びつき、他者との繋がりを生む可能性について語られています。

はじめに:本と茶の紹介
こんにちは。本茶本茶へようこそ。
毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して、創造性の器を育む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。
今日ご紹介するのは、ドモン・ランさんの本当のことを書く練習という一冊になります。
ドモンさんは、京都に在住されている文筆家とご自身では名乗られています。
小説をはじめ短歌、エッセイと幅広く書くことを中心に活動されている方で、
死ぬまで生きる日記という本であったり、経営者の孤独という本であったりが有名な方になっています。
この経営者の孤独というのは、様々な経営者に対してインタビューをして書かれているものになるのですが、
そういったインタビューは、インタビュー記事の書き手としても長く活動されている方になります。
この本は今年3月に出た新刊になっていて、複題は私の言葉で他者とつながる文章術という風になっています。
一方で、文章術の本ではあるのですが、テクニックの話というよりも、
この本は本当のことをどういう風に書いていくか、
あるいは本当のことを書くということは、自分自身を知っていくことだという、
書くことを通して自己と対話をしていく、そんなようなことが書かれた本になっています。
最近ですね、この自分にとっての本当のことというものを書く、あるいは話す、
そんなテーマが近くにあったりしたこともあって、この本を選んでみました。
今日はこの本を通してですね、あなたにとっての本当のこととは、という問いに向き合っていきたいと思います。
紹介したいポイントは3つあって、
その前に、まずは一緒に楽しむお茶から。
というお茶を入れてみました。
この方欧炭素というのは、中国関東省の方欧山というところで作られるウーロン茶のことで、
この炭素というのは一本の木という意味だそうです。
なので、一本の木から取れた畑で作る、方欧山で作られたウーロン茶ということになるかなと思います。
その後の六節銀花香というのは、
これは香りのタイプを表しているようなものだそうなんですが、
六節というのは冬に積まれた冬済みのもの。
銀花香というのは、スイカズラという銀の花と書く大花があるそうなんですが、
のような蜜っぽく華やかな香りの系統ということだそうです。
今日はですね、実はそんなに本との関係性はないんですけれども、
この中国茶の茶器を最近使っていなくてですね、
久しぶりに茶風っていうんですかね、茶を入れる中国版の急須のようなものを使いたいなと思ったので、
こちらのお茶を選んでみました。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、
皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
第一の切り口:一人になること
冒頭でも少しご紹介をした通り、この本はですね、
本当のことを書く。
かつ本文中では全てこれひらがなで書かれているんですね。
本当のこと。
というたった一つの条件から始まる文章論になっています。
どういうことかというと、
ドモンさん曰くですね、
いい文章とか面白い文章と呼ばれるものっていうのは、
多くの場合、この本当のことが書かれている文章だとおっしゃっています。
かつですね、一文をすると、
読み手は書かれていることが書き手にとって、
本当か本当でないかを察知する力を持っている。
それは感覚的で、読めば瞬時にわかる類のものだ。
こういうふうにですね、
本当のことを書いた文章、本当のことを書いてない文章というのは、
感覚的に瞬時に察知をされるという中で、
じゃあどういうものが本当のことを書くということなのか、
あるいはどういうふうにすれば本当のことを書くことができるのかということを
紹介をしていく本になっています。
一つ目の切り口が、一人になるということ。
この本当のこと、自分が本当に感じていること、
自分が本当に思っていることを書く、
そういうことをですね、書いていこうとすると、
いくつかのブロックというんですかね、が起きるというふうに書いています。
本当のことを書こうとすると、書き始める前から、
自分の中に内面化された親や友達、周りの人の声が聞こえてくる。
実際に彼らがそう言っているわけでもないのに、ついつい想像してしまう。
まずはですね、自分たちの頭の中に住んでいる、
無意識に住んでいる他者の存在ですね。
親とか、友達とか、職場の人、
もしかしたらSNSのフォロワーみたいなこともあるかもしれません。
やっぱり何か本当のことを出そうとすると、
出す前からそういういろんな人の視点での突っ込み、
あるいは妨害みたいなものが入ってくる。
まずはこういう人たちをですね、
一旦頭の中から外に出す必要があるんだ。
そんなふうに書かれています。
ただ実は、自分から本当のことを書くことを遠ざける存在は、
そういった内面化された他者だけではなくて、
自分自身もそれを妨げるんだ、というふうに続いていきます。
本当のことを書くには、まずは徹底して一人にならないといけない。
他者はもちろん、読む私にも退出してもらい、
書く私だけにならないといけない。
そこには感想、批評といったリアクション、つまり読む、がない。
ただただ書くだけがある。
そんなふうに書かれているんですね。
これは何かというと、僕たちは文章を書きながらと同時に文章を読んでいるということなんだそうです。
書きながら読んでいる。
そうやって自己検閲しないと文章が破綻したりとか、
分かりにくくなってしまうということなんだそうなんですが、
この読む私ということが、この検閲感の力が強くなりすぎると、
書く私が何も書けなくなってしまう。
萎縮してしまうということがあるんだそうです。
先ほど引用した場所にあったように、この他者だけではなくて、
読む、自己検閲をする私というところからも少し距離をとって、一人になる。
これが本当のことを書くためのステップだそうです。
本文中でドモンさんは、
エクニカオリさんの本を読んだ体験がまさに本当のことを読んだ体験だったというふうに振り返っているんですが、
そういうような方々の文章について、
そうやって書かれた文章は、
他者に認めてほしいとか、すごいと思われたいとか、
自己検示や媚びを感じない。
自分で自分を受け入れているから、他人に無理に受け入れられる必要がなく、
素直に自分の言葉を差し出すことができる。
そんなふうにも書いています。
ここは本当にコーチングみたいな話とも接続するポイントだなというふうに思っていて、
やっぱり自分が本当に何を感じているかとか、
本当はどうしたいかみたいなことを話したり書くっていうのは結構ハードル高いですよね。
なんか頭に浮かんでも、
いや、それをここで言うのはとか、
それ言ったらどういうふうに見えるんだろうっていう、
いろんな自分の中の内在化された他者とか、
検閲官としての自分がマッタをかけていって、
それを通り抜けていくと、最終的には、
ひと当たりはいいし、特に問題にもならないんだけど、
全く自分とつながっていない言葉になっちゃう。
そんなことって結構あるなと思い出していました。
そういう時に、まず一人になれるかどうか。
なんかこれって簡単にいくのか、少し勇気が得ることな気もしますけれども、
まさにスタジオスティーヌンで言っている静けさとか落ち着きみたいなものは、
まさにこの徹底して一人になれる状態というもののデザインなのかなというふうに感じています。
皆さん何かを書くとき、話すとき、どんな方が頭の中にいる、現れてくるでしょうか。
第二の切り口:誰にも読ませない文章
二つ目の切り口が、誰にも読ませない文章というものになります。
こういった本当のことを書くということは、どういうふうに実現できるんだろうか。
そんな内容もこの本には書かれているんですね。
その中の一つが、誰にも読ませない文章を書くということなんだそうです。
ドモンさんも世の中にたくさんの文章を出されている方だとは思うんですが、
それも大量に堆積した誰にも読まれない文章の裾野の上に、
誰かに読まれる文章がちょこんと載っている。
そんなようなボリューム感で、この大量の誰にも読まれない文章というものが、
誰かに読まれる文章を支えているんだそうです。
この誰にも読ませない文章というのは、もう読んで字のごとくなんですが、
毎晩だったかな、ドモンさんは一人の時間に誰にも見せない文章をつらつらと書いている。
そんなふうに話しています。
一文をすると、「誰にも読ませない文章を書くことは、水の通り道をきれいにする作業のようなものだ。
一日一度はざっと排水しないと、ごみや落ち葉がたまって流れが悪くなり、水がにごったり詰まったりする。」
こういう、自分の中のお掃除のような形で、誰にも読ませない文章というものを書いている。
これも読ませないものなので、本当に頭に浮かんだことをただ外に出していく。
あるいは自分に問いを投げかけながら、淡々とそれに答えていく。
そんなような作業なのかなと思います。
これを聞いて一つ思い出したものがあって、
モーニングページってご存知の方いらっしゃいますかね。
まさにこの誰にも読ませない文章を朝書く習慣のことなんですが、
ジュリア・キャメロンさんという方が書いた日本語のタイトルだと、
ずっとやりたかったことをやりなさいという本があって、
その中で想像性を回復したりするためのツールとして紹介されているのがこのモーニングページというものになります。
これは朝起きて一番に、頭に浮かんだことを三ページ分ぐらい、誰にも見せない前提でただ書く。
さっきの本当に排水口に詰まったものをざっと排水するような形で、
何も書くことがなければ何も書くことがないなと書いてみる。
そんなことをずっと続ける、そういうツールなんですよね。
実際このモーニングページというのをやっていたことがあって、今もたまにやるんですが、
すごいですね、これ良かったんですよ。
朝起きて真っ白なノートに向かってただただ思っていることを書いていく。
口調もバラバラだし字も汚いんですけれども、
頭の中のごちゃごちゃが本当に排水されてスーッと出ていくような。
続けていくと結構頭がすっきりするようなことがあったりもして、
その先に自分の本当のことを書くということにつながっていくとしたら、
さらに一石二鳥だなあなんていうことを思い出していました。
最後、三つ目の切り口が誰かとつながるというものになります。
第三の切り口:誰かとつながる
本文中では先ほどご紹介した以外にさまざまな本当のことの書き方であったりとか、
あるいはその前に本当のことを読むということだったり、
いろいろ紹介がされているんですよね。
そこから自分だけのために書くというところから、
誰かに読まれるものを書くというふうにステップが進んでいくんですが、
ここまで聞くと、仮に自分だけの本当のことが書けたとして、
それって誰も読みたくないんじゃないかという疑問がわく、そんなことがあると思います。
それに対してドモンさんは、
そんなふうに書かれています。
これはドモンさん自身のご経験から語られている言葉だそうなんですが、
ドモンさんもさまざまな文章を書く中で、
ご自身がご両親の国籍が違う、いわゆるミックスと呼ばれるパーソナリティを持ちだそうなんですが、
それ自体を外に出すか出さないか、
でも本当のことを書くのであれば、そこは避けてとれないとして、
その経験を書いたことがあったそうなんですね。
実際、それはミックスという固有のご自身の経験に基づいたことを書かれたんですが、
おそらくそれが単純にミックスであるかそうでないかということを超えて、
どこにも所属できないという普遍的な疎外観みたいなものと結びついて、
多くの人から、これはもちろんミックスの方もミックスでない方からも、
これは自分の話だと思いましたという感想をもらった、
そんなことがあったんだそうです。
徹底的に一人になって書いたもの、
自分だけの本当のことについて向き合って書いたものが、
遠くの誰かに届いていくという感覚、
もちろんその人に届ける、読まれるために書くということをしてしまうと、
また本当のこととの順序が逆になってしまうかもしれないですが、
何かその本当のことに向き合って書き切ると、
どこかの誰かにつながるんだということは一つ、
何か心の片隅に置いておける希望のようなものなのかなと思っています。
本文中にですね、
読み手は書き手の文体を好きになるという一章があるんですが、
まさに内容としては今お話ししたこと、本当一部ですけれども、
プラスアルファのことが書かれていますが、
何よりもそれがドモンランさんの文体で書かれているということが、
この本自体が本当のことが書かれているということだと思いますので、
ぜひご興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、
本の方を読んでいただきたいなと思っています。
おわりに:まとめと今後の案内
ということで、
今日は法王炭素を六節銀河豪というお茶と、
ドモンランさんの書かれた本当のことを書く練習、
私の言葉で他者とつながる文章術という一冊とともに、
僕にとってのあるいはあなたにとっての本当のこととはという問いを扱ってみました。
このポッドキャストをスポティファイであったり、
アップルポッドキャストで聞いてくださっている皆様、
ぜひフォローをどうぞよろしくお願いいたします。
それではまた。
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