未完成を愛するということ|アンダース・フレデリック・スティーン『Poetry Is Growing in Our Garden』#45
2026-07-15 18:52

未完成を愛するということ|アンダース・フレデリック・スティーン『Poetry Is Growing in Our Garden』#45

一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。

今回は甲州ぶどう紅茶を淹れながら、アンダース・フレデリック・スティーン『Poetry Is Growing in Our Garden』を紹介します。


▼ 今回のテーマ

未完成を愛する/創造性とは直感

ワインづくり・ものづくり・創作に関心がある方におすすめのエピソードです。


🍵 本日のお茶

甲州ぶどう紅茶MASAICHI(山梨県・小淵沢駅)


📕 本日の本

『Poetry Is Growing in Our Garden』

Anders Frederik Steen(著)

👤 話し手

Fuyuto「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。

note → https://note.com/honcha_honcha

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

今回の「本茶本茶」では、デンマークのワイン生産者アンダース・フレデリック・スティーン氏の著書『Poetry Is Growing in Our Garden』を紹介します。本書は、ワイン造りやワインを飲むことに関する著者の哲学や実験が、2013年から2020年までの日記形式で綴られています。特に、「未完成を愛すること」と「創造性とは直感である」という二つの切り口から、コントロールできない自然や失敗を受け入れ、そこから生まれるエネルギーや美しさを見出す著者の姿勢が語られます。ワイン造りに限らず、ものづくりや創作活動に携わる全ての人に、未完成を受け入れることの意味を問いかける内容となっています。

オープニングと本書の紹介
こんにちは。 本茶本茶へようこそ。
毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して、創造性の器を含む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。 今日ご紹介するのは、
アンダース・フレデリック・スティーンさんという方が書かれた英語なんですが、
Poetry is Blowing in Our Gardenという一冊になります。 先ほど、
水曜日19時に更新していますと言ったんですが、 実は今日、この時点で7月15日の夜7時44分、45分を回る辺りになってまして、
ちょっと今日は遅れて、なんとか今日中に出せればと思っていますが、 この本をどうしても紹介したかったということになります。
この本が何の本なのかという話なんですけれども、この著者のアンダース・フレデリック・スティーンさんという方は、
デンマークでワインを作られている生産者の方です。 ただですね、もともとはソムリエとしてキャリアをスタートして、その後、コペンハーゲンの有名レストラン、
Noma、ご存知の方もいると思うんですが、を経てご自身のレストランを運営されていた方。
その後ですね、ワインの生産者になり、自然派ワイン、あるいはナチュールというような領域なんですかね、で活躍をされている方になります。
そしてですね、この本は、タイトルは先ほどのようにポエトリーズ・グローイング・イン・アワー・ガーデン。
子は私たちの庭で育つ、みたいな直訳なんですかね、というものなんですが、サブタイトルがソーツ・オン・ワインメイキング・アンド・ワインドリンキング。
ワインを作ること、そしてワインを飲むことに関する試作たち、考えたちですかね、そんなような副題がついている本になります。
その名の通りですね、この本は、この著者の方がワインを作ること、飲むことをめぐる哲学だったりとか、実験の様々なものがまとめられた一冊で、
2013年から2020年まで、7、8年間の日記のような断片が積み重なっていく、そんな構成になっています。
本当ですね、日記のごとく何月何日、そしてどこにいたか、みたいなことからページが始まっているんですよね。
フランスにいることもあれば、もちろん自分の自宅にいることもあれば、この中では日本に来ることもあったりします。
その日記の記録の中で、もちろんワイン作りのこういう作業をしたとか、こういうワインを飲んだということも書かれていますし、
より哲学的なワインとは何だ、ワインを作ることは何だということまで考えた思考の断片が、そのまま並んでいるようなものになっています。
この本はですね、実はこのポッドキャストでもよく名前が出る三原ジャヤのトワイライライトさんで購入したんですが、
まずはですね、インスタの投稿で発見したんですよね。
トワイライライトさんがある日紹介をしていて、これは絶対面白いだろうなと思って急いで買いに行った、そんな一冊になります。
本書の構成と内容
その時ですね、トワイライライトさんもこの本の紹介文を書かれていたので、ちょっとご紹介をさせてください。
これまでずっとノートを埋め尽くしている。
本書はワイン作りやワインを飲むことに関するメモであると同時に、あらゆる学びの過程における疑問や偏りでもあり、あらゆる類の実践を形作るための作業である。
長年にわたり、一人の人物が一つの分野に立ち戻るために隅々まで探究し、最終的にはその分野とともに成長する姿を示している。
人生における意味ある変化への扉。こんな風なですね、文章で紹介をされていました。
いやもうこれは絶対面白いだろうということで買いに行ったんですけれども、
最近ちょっと余談になりますが、どうでしょう皆さん、生成AIとかAIエージェントみたいなものを日常使われたりお仕事で使われている方は結構多くいらっしゃるんじゃないですかね。
僕も少しずつですがトライをする中で、この文章を書くとか本を書くということもかなりこのAIのサポートを得たり、あるいはまんまお任せしたりということが本当にリアルだなって最近思うようになってきました。
その中で今後の一つの本の方向性として、これまでのように抽象化とか構造化とか、整理整頓された知識や考えというものよりも、
こういった日々の実践、悩み、とてつもない時間をかけて向き合って考えた、そんなリアリティある言葉、
究極的には日記のあるようなものこそが、これから愛される、面白がられる本の在り方なんじゃないかな、なんていうことを思ったり、
そんなことも今日この本を紹介する一つの理由になっています。
本日のお茶:甲州ぶどう紅茶
いつだったか、生きるための表現手引きという渡辺幸太郎さんの書籍をご紹介したんですが、
その中でもですね、ある映画監督の言葉ということで、
最も個人的なことが最も創造的であるという言葉を引用されていることを思い出したりもしました。
ちょっと長くなってしまいましたが、今日ご紹介したい切り口は二つありまして、
一つは未完成を愛する、そしてもう一つが創造性とは直感。
その前に、まずは一緒に楽しむお茶から。
本日は、マサイチさんというブランドの甲州ぶどう紅茶というお茶を入れてみました。
このマサイチというブランドは、山梨県ですね、北都市に小淵沢駅というものがあるんですが、
そこにですね、大正7年からやっている駅弁屋さん、マルマサさんというところがありまして、
そこが展開するブランドだそうです。
まさにこの甲州ぶどうというのは、山梨県が誇る日本の在来のぶどうの品種ですね。
日本ワイン、甲州ワインの主要品種としても知られるものになります。
今日は本当直球ですけれども、ワインに関する本を取り上げたので、
少しこのぶどうに絡んだお茶を、
これ面白いのは、あえて買ったというよりも家にあったのを飲んでいるんですけれども、
いただいています。
結構ですね、何て言うんでしょう、ぶどうの香りが自然な香りというか、
お茶と果物って結構合いますよね。
もちろんレモンティーもそうですし、ぶどうもありますし、桃なんかも合いますよね。
そういう意味で言うと、葉っぱと果物というものの何か相性の良さみたいなものを感じながら、
ただ今日ちょっと温かいまま入れちゃったので、
今日の気温だとだいぶ暑いですが、美味しくいただいています。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、
皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
切り口1:未完成を愛する
この本はですね、先ほど話した通り、
2013年から2020年までの日記のようなもの、ノートを集めた内容になっています。
なので、半分ぐらいはですね、
そのぶどう作り、あるいはそこからワイン作りに関するメモのようなものなんですね。
例えば、ちょっとランダムに一個紹介してみると、
2014年の9月9日火曜日、フランスで書かれたノートは、
シラーのメタリックな香りが強すぎる。一晩中考えていた。
1週間ぐらいの短いマセラシオンをして、
フリーランジュースとプレソワールからの果汁を分ける。理にかなっている。
そして同じタンクから2種類のワインを作る。
問題はない。ずっと作りたかった。ちょっと面白いロゼワインを作るチャンスだ。
こんなようにですね、本当にメモされたノートがまま書き写されているわけですね。
僕はそんなにワインのこと詳しくないので、正直この辺の専門用語は沈粉寒粉だったりもするんですよね。
ただ、そうやって日々ワインに向き合う中で、このワインっていうものが一体何なのか、
ワインを作るっていうことは何なのか、どういうふうなことを大切にしていくのかっていう試作に関するメモも間々に挟まっていて、そこが非常に面白い。
何回か前に紹介をした小倉ひらくさんの本とも何か通ずるようなものを僕は感じています。
一つ目の切り口が未完成を愛するというもの。
一箇所引用すると、
私はいつも未完成なものを好む。まだ終わっていない。何かを始めるということは、とても美しく生命に満ちていると思う。
それは生きているのだ。
未完成のもの。小さく始まってほとんど生きる機会を得られないもの。
私はいつもそこに動きがあり、夢、アイデアに満ちていると感じる。
夢とは何なのだろう?
その夢はエネルギーに満ちている。
未完成はエネルギーで溢れている。
それが好きだ。
この本全体を通してですね、日々の実験、
自分では完全にコントロールしきれないブドウの状態であったり、発光の状態というものを日々観察しながら少しずつ調整をしていく。
あるいはもう数年後に良くなっているということを信じて、ただそのままにしていく。
そんな様々な試行錯誤が書かれている中で、
このワイン作りというのはまさに未完成がずっと続いていく、そんなプロセスなのかなというふうに僕は受け取りました。
他の部分ではですね、
私は自分のワインをある目標に到達し、特定の結果を表現した完成品だとは考えていない。
それらは何かへと向かっている途中の姿を映した一枚の像であり、あるいはただその道筋そのものなのかもしれない。
そんな風にも書いています。
そしてまた別にですね、ミスをするということについてもこんな風に書いてるんですね。
私は小さな不器用なミスが大好きだ。
ミスをコントロールしたり修正したりしようとするよりも、ミスが自ら表現するままにしておく方がより良い、あるいはより寛大なことだと確信している。
実際、私が嫌いなのは、完璧に矯正された間違いだ。
不完全なものを完璧に仕立てることなんて不可能だ。
私に言わせれば、そんなことは面白くもない。
私は間違いを出入りできるものとして捉えることが重要だと思う。
小さな動きや音程のわずかなズレのようなものとして。
その間違いの一部を使ってワインをより深く受け取る。
間違いを抱えたまま進み、しばらくそれを脇に置いておき、そして戻ってくる。
狂っているように聞こえるかもしれないが、私は自分がワインに向き合い、理解する方法の中に、間違いを取り込むという考えに取り憑かれている。
間違いは美しく、元の完璧なアイデアよりもずっと面白いのだ。
この本が面白すぎて、かなり引用の箇所が今日は長くなっちゃうかもしれないですが、
まさにその日々、コントロールしきれないもの、あるいはより大きなものと向き合い続けてきた人ならではの言葉だなあと思いました。
これを話しながらふと思い出したのですが、だいぶ前に紹介した、習得への情熱というチェスと武術の両方を極めた作者が書いた本があるんですけれども、
その中でも何か似たようなことが書かれていた気がしますね。
不足の事態とかミスみたいなことを逆手に取ることで想像性あふれるとか、新しい境地に立てる、ちょっとうろうぼえなんですが、そんなことが書かれていたことを思い出しました。
切り口2:創造性とは直感
そして二つ目の切り口が、想像性とは直感。
この未完成を共に愛しながら向き合っていくという、そんな態度を支えているのが、この著者の方の直感を信じてコントロールを手放すという姿勢なんだろうなというふうに読み取っています。
一文引用すると、私の考えでは想像性は頭脳やアイデア、試作に属するものではない。
想像性とは直感であり、手放す勇気であり、物事をコントロールしないこと。
たとえ自分が作り出しているものであっても。
あともう一箇所だけ引用させてください。
直感が思考を上回る時に自分が入っていくあの空間には、私はすっかり馴染んでいる。
その空間、その瞬間はとても特別だ。
大抵はとても心が落ち着く。
まるで旅に出るように、あるいは明るいトンネルの奥へ進んでいくように。
そこには、自分が答えを知っていたことすら気づかなかった問いへの、明確でまっすぐな答えが待っている。
直感に引っ張られていく時、私は自分自身の好奇心の探求や、啓示へ向かう途中にいるような気持ちになる。
あまり引用しすぎてしまうと、読む楽しみもなくなってしまうと思うので、この辺にしておきますが、
もちろんこういうような素晴らしい、面白い言葉はたくさん散りばめられているんですが、
なんていうんですかね、こういう言葉をただそのものとして、その部分だけ読むということではなくて、
この日々のワインをめぐる、あるいはブドウをめぐる実験とか失敗とか、あるいはテイスティングノートみたいなものの間にこういうものが挟まってくると、
本当にこの唯一無二の、この著者の人生を追体験しているような形でスッと入ってくる、そんなような言葉たちになっているかなと思います。
この著者のように、ものづくりに携わっている方はもちろんですが、そういうお仕事でない方、何か他の活動をされている方も、
こう、ものを作るということ、あるいはその中で未完成を愛するということ、それが自分にとってどんな意味を持つのだろうか、
そんな問いを置いて、今日は終わりにしたいと思います。
エンディング
今日は、マサイチさんの公衆ブドウ紅茶と、アンダース・フレデリック・スティーンさんの書かれた
ポエトリーズ・グローイング・イン・アワーガーデンという一冊で、
ものを作ること、その中で未完成を愛することについて扱ってみました。
スポティファイやアップル・ポッドキャストで聞いてくださっている皆様、ぜひフォローをどうぞよろしくお願いいたします。
それではまた。
18:52

コメント

スクロール