あなたの普通は、どこにありますか?|深澤直人『ふつう』#46
2026-07-22 18:12

あなたの普通は、どこにありますか?|深澤直人『ふつう』#46

一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。

今回は有機三年番茶を淹れながら、深澤直人『ふつう』を紹介します。

▼ 今回のテーマ

思考の普通と記憶の普通/雰囲気が良い

デザインや暮らしの中の「ふつう」について考えたい方におすすめのエピソードです。

🍵 本日のお茶

有機三年番茶

https://new.ohsawa-japan.co.jp/index.pl?iid=1402&actmode=ItemDetail

📕 本日の本

『ふつう』

深澤直人(著)/D&DEPARTMENT PROJECT

https://amzn.to/4wj4Prl


👤 話し手

Fuyuto「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。

note → https://note.com/honcha_honcha




感想

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サマリー

このポッドキャストでは、有機三年番茶を味わいながら、プロダクトデザイナー深澤直人氏の著書『ふつう』を紹介します。コロナ禍で「普通」が失われた経験から、思考上の普通と経験に基づく記憶の普通の違い、そしてデザインにおける「雰囲気の良さ」の重要性について考察します。本書は、デザイナーが普遍的な「普通」を追求する過程や、心地よさとの関連性を探求しており、リスナーに自身の「普通」とは何かを問いかけます。

オープニングとお茶の紹介
こんにちは。本茶本茶へようこそ。
毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して、創造性の器を育む、スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。
深澤直人著『ふつう』の紹介とブッククラブ告知
今日ご紹介するのは、深澤直人さんの『ふつう』という一冊になります。
深澤直人さんはですね、日本を代表する、世界を代表するプロダクトデザイナーの方でいらっしゃって、多摩美術大学の副学長でもある方です。
有名なものとしては、無印良品の冷蔵庫だったりとか、壁掛けのCDプレイヤー、あるいは丸二木工というメーカーのですね、広島という非常に美しい椅子、チェアをデザインされたり、
あとは少し昔、柄系の時代になりますけれども、インフォバーというですね、携帯電話をデザインしたり、
そのような数多くの作品を、世界中のですね、様々なクライアントとプロジェクトを行っている、そんな方になります。
この普通という本はですね、ディアンドデパートメントという、これまたデザイナーの長岡賢明さんという方が主催をされている、ロングライフデザインというものを中心にした活動、運動、テンポ、そういうものがあるんですけれども、
その中でですね、ロングライフデザインというものを紹介する、D.ロングライフデザインという小冊子で、この深澤さんが連載をされていたものが、その後ですね、D.デザイントラベルというものに引き継がれて、その後書籍化されたものになります。
この本、書籍としてまとまったのは、2020年の7月のこと。本文の冒頭ですね。始めに、の前にという章があるんですが、その1行目がこんな風に始まっていきます。
普通の時に普通が良いと思う普通と、普通じゃない時に普通が良いと思う普通は同じなのだろうか、という疑問にぶつかりました。
新型コロナウイルスの感染拡大の活用にあっての疑問です。
まさにコロナ禍の中で、普通が普通じゃなくなったタイミングで、改めて普通ということについて考えていく、そんなような1冊になっています。
今回ですね、この本を選んだのには理由がありまして、ちょっとだけ宣伝になってしまうんですけれども、
このホンチャホンチャというポッドキャストをやっているスタジオスティルネスと脇水さんという仲間と2人でですね、今回対面のブッククラブというものを東京で始めるということになりました。
ブッククラブというと何かカタカナ文字でかっこいいような聞こえがしますけれども、読書会ですよね。
本を持ち寄りながらみんなでともに本を味わうと、そんな時間を月1回ぐらい定期的に作れたらいいなということを思っています。
そのブッククラブがですね、スティルリーディングブッククラブという名前になっていて、
スティルリーディング、静かに本を読む時間を分かち合うという意味合いと、読み続けている。
一冊を読み終わった後にもいろんな人との対話の中で読むという行為が続いていたり、
何か家に帰ってからもふと他の誰かが言った言葉が頭の中で何か考えを呼び起こしたり、
そういう考え続ける、読み続けるという意味、その2つを込めたそんなブッククラブになっています。
これをお聞きいただいている方にはもちろん東京の方もそれ以外の、あるいは海外の方もいらっしゃると思うんですが、
概要欄のところにリンクを貼っておきますので、もしご興味がある方がいらっしゃったら、
ホームページとかイベントのページも覗いてみていただければと思います。
そしてですね、このスティールリーディングブッククラブというのは毎回テーマを1つ決めて、
それに関連しそうな本を参加者の皆さんで持ち寄る、そして交換しながら読んでみるということをやろうと思っているんですが、
初回のテーマが心地よさというものになっています。
そのテーマを決めて聞いたとき、自分の中で何を持っていこうかなと考えたんですが、
ふとこの深澤直人さんの普通という本がぽっと頭に浮かんだと。
これ実はカバーアートの写真を見てもらうと、もしかしたらちょっとニュアンスわかるかもしれないんですが、
本の想定が布でできているんですよね。紙ではなくて。
これはこの本をプロデュースした長岡賢明さんという方が京都の兵具屋さん、掛け軸を仕立てたりするような職人さんなんですが、
その掛け軸の技術を応用して、この布で表紙を貼るというような本に仕立て上げています。
そんなこともあって、そもそもこの手触り自体が非常に心地良い本であるということ。
そしてさらに、この普通であるということと心地良さ、何かつながっているものがあるんじゃないかなとふと思ったこと。
そんなことから、初回のブッククラブに僕はこの本を持参しようかなと思い、読み直した。
そんなご縁もあって、今日ご紹介しようと思っています。
切り口は今日は2つにしようと思います。
1つ目が思考の普通と記憶の普通。
2つ目が雰囲気が良い。
その前に、まずは一緒に楽しむお茶から。
お茶の紹介:有機三年番茶
こんにちは。本日は大沢ジャパンというところの有機三年番茶というお茶を水出しで入れてみました。
少し氷の音もしたかなと思うんですが、今日はとにかく冷たい物音。
これ今、外多分気温が35度とかになっているんだと思うんですよね。
さっき外に一瞬出ただけでもすごい暑くて、皆さんのいらっしゃるところはどうでしょうか。
多分でもきっと暑いですよね。
ということもあってですね、何か水出しで普通の家庭で飲まれるようなお茶を今日は飲みたいなと思って選んでみました。
このお茶はですね、五花瀬町というところ、宮崎県の北のほうなんですかね、の山間地にある場所で、特に釜入茶の名産地だそうです。
ここで有機栽培された茶葉と茎をですね、収穫して釜入りにした後に熟成をさせるというようなものになっています。
おそらく三年番茶というぐらいなので、三年作るのにかかっているということなのかな。
そうやって熟成をする中でカフェインというものが落ちていったり香ばしくて、味としてはすごい麦茶ともちょっと近いような味がするんですけれども、飲み飽きない、いくらでも飲めるようなそんな優しいお茶になっています。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
書籍『ふつう』の概要とコロナ禍における「普通」
冒頭で少しご紹介をしたように、この普通という本、そしてこの本の中で語られる普通というのは全てひらがなですね。漢字ではなくてひらがなで普通と書かれていたり、本文中ではかぎかっこに入れられて普通という言葉が使われています。
深澤直人さんという方は様々な良いデザインというものを追い求めてきた人が最終的にこの普通であるというところにたどり着く、そんな様々なデザインやプロダクトにまつわる話がまとまっている一冊になっています。
まさにめまぐるしく変わる世の中だったり、コロナ禍みたいな大きなイベントを経て、これは最後にこの本自体をプロデュースした長岡賢明さんが終わりに後書きのようなものを書いているところがあるんですが、その中にも簡単に言えば何が普通なのかを考える時代なのだと思うのです。
まさに改めて今、普通とはどういうことなのか、何をもって普通じゃなくなってしまったのか、これから未来の普通はどうあるべきなのか、そんなことを考えるタイミングに入ってきたのかなというふうに思っています。
そして一つ目の切り口が思考の普通と記憶の普通というものになります。
第一の切り口:思考の普通と記憶の普通
この本文の中に普通を超える普通という章があって、その中の一節を引用させていただきます。
普通には、論理的に頭で考えた概念的イメージの普通と、すでに記憶として存在する経験から導かれたものの両方があると思った。概念的普通よりも記憶の中の普通の方がリアルでいい。
この部分では深沢さんは普通に二種類あるというふうに話しています。
一つは頭の中で考えた普通のこと。
これはいろんな情報の集積、これが普通であるという概念から出来上がった常識みたいなものとか、頭の中で考えられているもの。
一方で、記憶の中にある普通、これは頭でどうこうというよりも、これまでの経験から感じられた、先入観なく感じた普通のこと。
この二つを分けて考えるというふうに書いてあります。
その上で、もう一箇所引用すると、
人は後者のようなリアルな普通に出会った時、事故の思い込みや先入観に気づき、
ああ、なんだ、これも普通なんだ、などと安心したり、驚いたりしていい気持ちになる。
体は常にリアルに触れているのに、思考は与えられた情報を信じている。
だから、すでに触れていた感触を何かによって自覚させられた時、ハッとするのだ。
これ皆さんどうでしょう?何かニュアンス伝わりますかね?
僕はすごいこの文章がめちゃめちゃ、何て言うんだろうな、それこそハッとすることだったんですが、
ちょっと言葉でどう伝えるかっていうのは、なかなかイメージが湧かないんですが、
何となくですね、この頭で考えた普通っていうのに、街中とかこの世の中で出会うとスッと入ってくるんですよね。
ああ、確かにそれ普通だねとか、それ当然だねっていうことなんですけど、
考えたというよりも、それまでの体験の中、あるいは記憶の中にある普通っていうものが何か具現化されたものに出会うと、
ちょっと驚く感覚っていうのが何となく僕はあるんですよ。
ああ、こういうことだったのかみたいな。
確かに言われてみれば、目の前に現れてみればこれだったねっていう、
無意識で当たり前に思ってたものをグイッと掴んで意識化に引っ張り込まれたような、
何かそういう驚きって個人的には感じるんですよね。
そしてそれについて驚いたり安心したりする。
何か普通をデザインするっていうことの難しさの一つに、
思考的に頭の中で考えられた普通を具現化するというだけではなくて、
いろんな人の記憶の中にある、だけれどももしかしたら無意識になっている普通というものを具現化する。
そこに難しさとか、デザイナーさんの腕の見せ所、
そんなものがあるんじゃないかなというふうに思いながら読んでいたパートになります。
もう一つ本文中で深澤さんは、
なんだ、普通じゃんは褒め言葉である場合も多くなった。
そんなふうにも書かれているんですが、
このなんだ、普通じゃんっていう言葉に隠された少しの驚きと少しの安心みたいなものを僕は感じ取る気がして、
まさにそういう記憶の普通と出会い直すみたいなことなのかなと思っております。
第二の切り口:雰囲気がいい
二つ目の切り口が、雰囲気がいいというものになります。
これはですね、いい感じという名前の章の中で語られていることなんですが、
この普通というものに接点を持つ単語として、雰囲気というものを取り上げています。
一文用すると、雰囲気というものに私は興味がある。
みんなが感じるその感じを成しているもの。
さらには、暮らすということは雰囲気を作ることだと思う。
そして、そうすると、きれいとか美しいということは、それがいいものかどうかを決める最も重要なことではない。
雰囲気がいいことの方が上である。そんな風に続いていきます。
これは何か深澤さんのデザインに対する考えみたいなところが見える、とても面白い場所だなと思っていて、
椅子や家具をデザインするときも心がけるのは、もはや形とか自己表現などでは冒頭ない。
いい雰囲気を醸し出すものかどうかを問いながら私はデザインする。そんなことも書かれています。
そういう意味では、何かこの雰囲気をデザインするということも、冒頭少しお話ししたブッククラブのテーマじゃないですけれども、
その雰囲気の心地よさみたいなものと何かつながる。そんなことを思いながら、
ふとこの本を持っている感覚とか、この本の佇まい、雰囲気に素敵なものを感じながら読んでいることに気づきました。
この本を通して深澤さんはですね、どちらかというと、みんなの共通概念としての普通、
みんなのこの無意識の中にある、ある意味集合的無意識のような普通というものを取り上げて、
さまざまなところから、さまざまな角度から書いている、そんな本になります。
一方でですね、この世の普通というものが仮にあったとして、自分自身の普通ということは何なんだろう。
エンディングとリスナーへの問いかけ
そんなことをですね、少し考えながら今日は終えていきたいと思います。
ということで、今日は大沢ジャパンさんの有機三年番茶というお茶を例茶でいただきながら、
深澤尚人さんの書かれた普通という一冊をご紹介しました。
SpotifyやApple Podcastで聞いてくださっている皆様、ぜひフォローをよろしくお願いいたします。
それではまた。
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