2025-04-12 46:03

#1413. なぜ古英語の語順規則は緩かったのか?(年度初めの生配信のアーカイヴ)

▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


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- 創刊号(2024年10月28日):https://note.com/helwa/n/ne2b999d5af72

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- 第3号(2024年12月28日):https://note.com/helwa/n/na7394ab1dc4c

- 第4号(2025年1月28日):https://note.com/helwa/n/nb6229eebe391


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以上,よろしくお願いいたします.

00:00
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語詩の著者のホッタリュイチです。
英語の語源が身につくラジオheldio、英語詩をお茶の間にをモットーに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。
本日は4月12日土曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今日お聞きいただくのは数日前に生配信した内容のアーカイブ版です。
なぜ古英語の語順規則は緩かったのか年度初めの生配信のアーカイブとしてお聞きいただきたいと思います。
これはですね実は生配信していた私の目の前には数十名のこれから古英語を学ぼうという大学生が座っていました。
ちょうど学期始めの第一週ということでですね。
だいたいイントロダクションガイダンスということで今期こんな感じで授業をしますということで早めに30分ぐらいで終わることが多いんですね。
そして授業そのものは打ち切りまして有志は残ってくださいみたいな形でですねそのまま残っていた学生さんを前にしてですね。
古英語の語順規則というよりも今回語順とは何か語順規則とは何かに重きを置いたお話となりました。
これはですねこの4月に古英語を学び始めている方ですね。
これは全国にですね多くはないかもしれませんがいると思いましたのでぜひ聞いていただこうかなということでですね。
生配信そして今回アーカイブ版でお届けするという次第なんですね。
語順の考え方改めて皆さんじっくりとですね向き合っていただければと思うんですね。
そうすると古英語現代英語そして日本語の語順に対する見方というのも変わってくるんではないかと思うんですね。
それでは少し長めの配信会となりますがじっくりお聞きいただければと思います。
どうぞお聞きください。
それでは今回はですね生配信という形でやっているんですけれども一つ大きなですね英語史上の話題を考えてみたいと思うんですね。
ちょうど新年度新学期ということでこの4月からですね色々な外国語を勉強するという方がいると思うんですね。
新しく外国語を勉強し始めるとかし続けるとかですね一回途切れていたのがもう一回やり直すっていう4月そんな時期ですよね。
03:02
古英語という一つの外国語ですけれどもこれをですね学び始めるという人はこれを聞いているですね。
日本語は多くないと思うんですね極めて外国語学習の対象としてはマイナーな言語が古英語とか中英語だと思うんですがどういうわけかですね今私の目の前にはですね数十人の古英語を学びたいと思っている人々
学ばなければいけないという状況にある学生の皆さんがですねいるという状況なんですけれどもこの4月に古英語あるいは中英語を学ぼうという他にもいるかもしれない少数の方あるいは関心を持っている方にですね
この4月に聞いていただくと面白いんではないかなという趣旨でですねお題を立ててみましたこれあの素朴な疑問としてよく寄せられるものをちょっとあの文字って違う命題にしたというぐらいのところで
いわば素朴な疑問に答えるというのに近いんですがお題はですねなぜ古英語の語順規則は緩かったのかということなんですね
まずこのお題自体がですね一つの情報を含んでいてそうだったんですかというような英語詞そのものをですねまだ学んだり聞いたりしたことがないという人はですね
むしろ驚くかもしれませんが古英語っていう千年ほど前のですね英語では現代の英語のような決まった語順規則っていうのはなかったって言ったら言い過ぎなんですけれども比較的緩かったんですね
これ例を挙げてみますと例えばね現代の英語皆さんが普通に学んできた英語っていうのは語順が厳しいっていうふうに言われますあるいは決まっている固定語順だっていうふうに言われるんですね
語順っていうのもいろいろあるっていう話は後でしますけれども例えば I eat a banana っていうような文がありますよねこれ私はバナナを食べますっていうことなんですけれども日本語ではこれを私バナナ食べるっていうこの3つの要素いわゆるSVOという3つの要素からなっている文なんですけれどもこの組み合わせ方は比較的日本語自由ですよね
私はバナナを食べますっていうのが普通の語順でつまりSOVなんですけれども他の言い方も可能なわけですよバナナを私は食べますとかですねあるいは食べます私はバナナをちょっと不自然ですがなんか強調が入ったりあるいは指摘レトリック的な文脈では十分に可能で組み合わせは6通りあるんですね
06:02
SVOの組み合わせ方は全部で論理的に6種類あって日本語ではどれもですね一応可能です自然さ不自然さっていうのは確かにあったとしても文法的に絶対間違えと言えるものはないっていうことですね通じるっていうことですところがですね現代英語ではですねこれが基本はSVOというこの語順でなければいけないっていうことになってるんですね
I eat a bananaっていうことです場合によってはOを前に持ってきてつまりバナナI eatみたいな強調とか対比という文では可能になることがありますが逆に言うとなぜ強調の意味が出るかっていうとSOVが固定っていうことで基本が決まってるんでそれからちょっとずらしたときに何らかの効果が出るっていうことで逆に例外というよりはむしろルールをですね強めるような例外であるっていうことで
基本SVOなんですねこれ通じるかどうかっていうことになると例えばこの3つの要素ですからどんな語順にしたってさすがにわかってはもらえると思うんですね
英語ネイティブにもですねEat a bananaというとめちゃくちゃ変な英文法だし間違っている英文法なんだけれども状況を考えればこれ絶対に私はバナナを食べるという意味にしかなり得ないので
通じるか通じないかっていうところがポイントではないんですねこの場合にはやはりその言語に特有の語順規則があるっていうことだと思うんですよ
現代語には厳しい規則があって並べ方がしっかり決まっていますっていうことなんですね
1000年前の小英語ではこれがなかったっていうところがポイントで
つまりですね3つの語順6つですね3つのこの要素を用いた6つの論理的可能性全部小英語ではあり得たんです
一番多かったのは実はSVOっていうのはこれは事実ではあるんです
もう一つ実は同じくらい多かったのがSOVでつまりI a banana eatみたいに私はバナナを食べるっていう日本語ばりの語順もですね
小英語ではかなり多かったんですねSVOとSOVが2大語順っていう感じでドカンとあったんです
他もOKなんです例えば食べるeatを言ってI a bananaもOKだしa banana eat Iというのもあり得たし小英語ではあり得たんですね
現代語では絶対ダメなんですよ基本はSVOっていう
そうするとこの1000年の間に何が起こったんだろうという話になってきますよね
これは本当に英語史上の非常に大きな話題で
今前にいるですね学生の皆さんは実は1年ぐらい前に英語史の授業でですね
これ何でそうなったのかっていうことは概略的には学んでいるんですね
09:04
屈折語尾が衰退して屈折語尾で表していた文法関係が屈折ではうまく表せないようになってしまった
なので仕方ないから語順という技を使ったんだっていうのがものすごく大雑把に言うとそんな話だったんですね
今日はですねそれとは少し異なるアプローチで
なぜ変わってしまったんだということはとても面白い話題なんですけれども
そもそも語順というのが決め打ちの言語ね
現代語みたいに決め打ちの言語もあれば
小英語のようにあるいは日本語のように割と自由で緩い言語っていうのがありますよね
そうするとそもそも語順って何なんだっけという
そういうアプローチ本質的なアプローチから
今日のお題ですね
なぜ小英語の語順規則は緩かったのかを考えてみたいと思うんですよ
皆さん語順ワードオーダーって言うんですけれども
これはどんな意味で受け取ってましたかね
何も感じなかったっていう人が多いと思うんですけれども
この語順っていうのを今回改めて考えてみたいと思うんですね
日本語のネイティブの場合ですね
語順という用語を使う機会ないと思うんですね
気がついたら日本語の文法を習得していたし
おそらく初めて外国語を学んだ時ね
多くの方にとって英語だったと思うんですけれども
英語を学んだ時に英文法用語として語順みたいなものが出るんではないかと思うんですね
もしかしたら日本語文法 国文法 国語の時間なんかで語順っていうのは
やっぱり出てきたかもしれませんが
真の意味で語順というね
ターム用語に向き合ったのは英文法を通じて
英語という外国語があって
英語にはどうも厳しいその語順とやらがある
語順ルールというものがあるということに気づいてから
意識しだしたんじゃないかと思うんですよ
他に漢文なんかから入った人もいるかもしれませんが
多く英語なんじゃないかなと思われますね
最初に英語の授業でですね
英語学習の授業で学ぶのは
どういう順番で学んだか分かりませんが
例えば I am Ryuichi Hotta とかですね
My name is とかそういうのから始まって
今はもっと高度なコミュニケーション
いきなり使える文から始まるのかもしれませんが
ある時からですね この SVO みたいな
この SVO という用語を使うか使わないかは別として
そういう発想を学び出すわけですよ
そしていろんな参考書で
語分形というのがあるぞと
SV から始まって SVC
SVO SVOO SVOC みたいに
要素があって
それの並び順が決まってますよという風に
12:01
覚えさせられるわけですよね
そこからずれると意味が変わっちゃったり
そもそも英文として成り立ちませんよ
ということを指導されてくるわけなので
英語というのは語順決め打ちの
ガチガチの言語なんだなということに
途中気づきつつもですね
これ慣れてしまうと
もうそれがデフォルトとなってしまって
語順がしっかり決まっているからこそ学びやすい
というぐらいにですね
意識が変わってくると思うんですよね
語順っていうことなんですけどね
まず考えてみたいのかね
ものすごく本質的な話します
これ多分言語学の概論的な話なんですけれども
語順って何のためにあるか
語順ってそもそも何なのかっていう
本質からいきたいと思うんですけれども
これ何でだと思いますかね
何で語順ってあるのか
これ当たり前すぎて
多分考えもしないと思うんですけれども
単語っていう単位がありますよね
言語の基本単位ですよ
意味を担っている一番分かりやすい単位ですよね
この単語を組み合わせて
フレーズを作って
さらに組み合わせて
センテンスを作って
それを組み合わせて
パラグラフとかあるいはディスコース
広くテキストとか
ディスコースと言われる
より大きな単位を作り上げていくっていう
ビルディングブロックが単語なんですね
さらに小さなビルディングブロックがあるんですけど
分かりやすいので
単語で今日考えたいと思うんですね
ワードという単位です
これを組み合わせる以上ですね
組み合わせ方っていうのは
音をベースとするとね
言語って音なんで
発声なんで基本は
文字っていうのは後からできたわけなんで
今考えないことをしますね
最初に音声発声によって
コミュニケーションを取るって言った場合に
単語を絶対に
時系列に並べていかなきゃいけないんですよ
これ当たり前のことなんです
結構重要なことで
これ言語の線上性って言います
線上性
線の上にリニアリティって言うんですけども
時間の線のことです
時間軸っていう直線を考えて
その上に一つ一つ単語を並べていくという
やり方しか並べ方はないんですね
これなぜかというと
発信者 話者にとっては
音源が一つしかないからです
具体的に言うと声帯です
一人の人間には基本一つの声帯があってですね
発声できる
言語音を発声できる場所は
一個しかないからですね
これがもしですよ
もし二つ声帯を持っている人がいたら
その別々に動かして
二つの単語を一斉に出すことができますよね
15:02
そうすると効率はいいですよね
効率はいいので
だけどそういう人間いないわけなので
一つである以上声帯 音源が
これを時間順に契機させていくっていうか
時間の上に並べていくという方法しかないんですよ
しかも時間は現在から未来に向かってというか
一方向で巻き戻せないのが原則ですので
その方向もやっぱり一通りしかないんですね
このやり方しかないっていう
語順規則というよりは
語を並べるには
時系列で順に一つ一つ
数直線というかな
時間の直線の上に置いて並べていくしか
方法がないっていうことなんですね
そうするとこれは語順って呼ぶことになるわけですよ
語が順番に並んでるんでと
なのでもし音源が
二つ以上一人の人に備わっていたら
これ別の言語の在り方
だったんだろうなと思いますね
声帯で音を出しながら
例えば手を打つとかね
これはできるので
手を打つタイミングとかで
一つ言語体系を作るんであれば
いわゆる普通の言語体系と
話し言葉によるね
あるいは手を打つリズムによる
言語体系っていうのを組み合わせて
二つの結構複雑なコードっていうのを
同時進行でやるってことも可能だと思うんですよ
ですが人間はその方法は取ってません
なぜかというと
発信者は自分の意図が分かってるんで
まあいいんですけど
受け取り方はやっぱりきついからです
解釈するの
二つあると
それこそ二つの声帯から
別々の単語が出た場合
発信者にとっては
単位量あたりですね
二倍の効率というか情報効果を
発揮させることができるんで
効率いいんですが
聞くほうはこれたまったもんではないわけですね
聞き取らなきゃいけないと両方
左耳ではこっちを聞いて
右耳ではこっちを聞くみたいな
消毒体制みたいなことができる人であれば
これ二つ以上の音源があっても大丈夫なんですが
これ発信側も受け手側もですね
この方法
人間はですね
なかなかやっぱり使いにくい技だっていうことに
どっかで気づいたんだろうと思うんですね
二つ以上のコードが混じると結構厄介だと
ジェスチャーとかはあったりするんですけどね
ただ同じ音というメディアを使って
二系列同時に発生するってことはできないんですよ
あるいはそれを解釈するってことは
普通の人にはできないので
しょうがないから一系列になるんですね
そうすると単語をやっぱり同時に
二つ発生することができない以上
もう並べるっていう方法しかないっていうことになりますね
これが語順の正体っていうか
なぜ語順というものがそもそも
あらねばならないのかっていう原理だと思うんですよ
音源が一つだからっていうことですね
18:00
例えばですね
こんな部分考えてみましょうかね
While the dog is running in the yard,
the cat is sleeping on the hot carpet
みたいなね
これありますよね
これwhileを使っているんで
これ同時ですよね
ある景色を表現していると
犬は庭で駆け回っていて
猫はコタツじゃないんですけど
ホットカーペットをしましたけど
の上で寝ているっていう
これ同時に起こっている現実的にね
これを同時にある人が認識して
この文を吐いているわけなんですけれども
本当は同時なんだから
同時に言いたいわけですよ
The dog is running in the yardっていうのと
The cat is sleeping on the hot carpet
っていうのは
同時に言えるとめちゃくちゃ効率いいですよね
しかも同じ時間に犬と猫が
それぞれのことをしているっていうことも
そのまま伝わりそうな気がしますよね
これ類造性とかアイコニシティとか
言うんですけども
言語学では
同時に言えればどれだけ楽かと
だから二つ生態があって
一方はThe dog is running in the yard
でもう一個の生態からは
The cat is sleeping on the hot carpet
みたいになると
効率はいいんですけど
これ聞き取る側は大変ですよね
人間の耳に二つあるとはいえ
基本的にはモノラルで
頭の中に入っていくので
ステレオみたいに
それぞれ聞き分けているわけじゃないので
この技は使えないんですよ
そうすると
別にどっちを優先させたいわけではない
その二つの現象ね
犬と猫
どっちを特に優先させたいわけではないんですけれども
この状況を表現しようとすると
やっぱりどっちかを先に言わなきゃいけないですね
While the dog is playing in the yard
The cat is sleeping on the hot carpet
というか
あるいは逆ですよね
While the cat is sleeping on the hot carpet
The dog is running in the yard
同じことを表現していて
確かに含みはちょっと違うかもしれませんが
ただどっちかを先に持ってきて
どっちかを後にしなきゃいけないんですよ
本当は同時に起こっているのに
というふうに
どうしようもなく時系列に並べなければいけない
という宿命を背負ってしまっている
私は物理学における重力のようなものに
相当するんじゃないかと思っているんですね
言語における線上性
線上に並べて単語を契機させていく以外に
やり方がないという
これが語順というものが
そもそもない限り
言語は成り立たないということなんですね
これは原理的な話しました
もう一つ語順と異なるのが語順規則です
つまりワードオーダーと
ワードオーダールールというのは
今までちょっとごっちゃにして話してたんですけど
これ分けたほうがいいんですね
今述べたのはワードオーダーのほうです
どうしてもあらねばならない
重力みたいなもので
言語における
それどうやって解決できない
二つの音源を持っていない限り
そうはならないんだというのが言語だ
これがワードオーダーがある理由なんですけども
21:03
次からの話はワードオーダールール
語順規則
英語みたいなSVOで決め打ちですよ
みたいなルールの話になっていくんですけども
ワードオーダールールが
なぜあるのかみたいな話ですね
これですね
ワードオーダールールというのは
実は二種類
大きな原理があるんではないかと
これ個別言語によって
どっちの原理を取るか
あるいは
二つ組み合わせてることも多いんですけども
よりウエイトを置くのは
どっちの原理なのかということで
言語間に差があったりするんですね
この二つの語順規則
ワードオーダールールを支えている
二つの大きい規則
原理ですね
原理っていうのを
まず考えていることがありまして
お話しするとですね
一つは
まさに現代の英語のように
センテンス内部で
要素がね
SVOの三つの要素で考えましょうか
I eat a bananaっていうね
この三つの要素を
どう並べるかっていう
センテンス内部でどう並べるかっていう
発想の原理ですね
これは
文法上の
語順規則というふうに
名付けておきましょうかね
一つ目の原理
文法上の語順規則っていうことで
センテンス内部でSVOなのか
これ現代の英語ですよね
それからSOVっていうのが
基本なのか
これどっちかというと日本語がこれを好むタイプ
日本語GUとはいえ
やはり基本語順っていうのは
SOVっていうのがデフォルトですよね
こういうふうに
センテンス内でのですね
内部での語順を考えて
これを決め打ちするっていう言語があります
典型が英語です
他に中国語なども
あったりしますよね
I eat a bananaみたいな
これは文法上もガチガチに
決まっているっていうね
文法上の語順規則というふうに
呼んでおきたいと思います
これ一つの大きな原理で
現代語を理解するにはめちゃくちゃ
有力な考え方だと思うんですね
ですがもう一つですね
世の中の言語には
語順規則の背後に隠れている
大原理っていうのが
もう一つ種類があるんではないかと思うんですね
それは何かといいますと
名付けるのであれば
文脈上の語順規則
文法上のに対して
文脈上のと
言っておきたいと思うんですけども
これはですね
どういう語順規則の
背後に隠れている原理かといいますと
センテンス単位で
ものを考えないんですよ
もうちょっと広く考えて
つまり2センテンス 3センテンシーズみたいな
もうちょっと広い流れで
考えた時に
センテンスの
頭に何を持ってきたいかっていうと
大体場面設定なんですよ
24:01
これについてこの文では
話しますよっていうような
場面設定とか状況設定ですね
セッティング
そのセッティングとか
もっといえば話題とかテーマとか
トピックといってもいいものなんですが
これが大体頭に来る
この文ではこれについて話しますよ
っていう
そして文の後半では
それについて何が言われ
うるのかっていう
述部といいますかね
それに対する
助述部っていうことですよね
何々に関しては
ホニャララですというような構成
これを重視する原稿っていうのがあるんですね
実はこれ
日本語がそうだったりするんですね
例えば
これは
今日は晴れています
というような当たり前の文なんですけど
これ一般には
今日はっていう部分が
主題でテーマで
つまり昨日とは違ってとかね
明日のこと言ってるんじゃなくて
今話してるのは今日なんですけどっていうことで
今日の話題ですよっていう風に
まず話題を限定するというか話題設定するわけですよ
何かなと思ってると
晴れですっていう
天気の話だったか
というようなこういう順番ですよね
お題が出て
それに対して何が述べられるか
だからテーマがあって
それに対してそのテーマに即した内容
情報っていう感じで
これまさにテーマとレーマ
っていう言語学では
ThemeとReamっていう英語の用語では
言うんですけれども
Themeが最初に来てその後にReamが来ると
話題があって
それについて何かを言うということですね
これ日本語の典型的な発想で
だから今日っていうのは
死後じゃないんですよね
その証拠に英語に訳すと
やはりIt's fine todayになりますよね
普通に
そうするとTodayって
今日って意味ですけど
英語の場合別に死後ではなくて
むしろ一番文末に移っちゃって
これ役割は副詞ってなりますよね
英語の場合死後は何かっていうと
よく分かんないけどItってことになってるっていう
違い分かりますかね
英語は
英語はSVCですか
この場合
It's fine todayの場合ね
SVC
そしてアドバーブ
副詞みたいな形で
センテンス内部のこの
ミクロコスモスを守ろうとします
SVCっていう語順じゃなきゃだめっていうことです
一方日本語は
別にそういうSV
うんぬんかんぬんは決まっていなくて
話題が最初に来て
その話題について言われること
一番なのでSV
うんぬんよりももうちょっと優先している
考え方があるんですよね
テーマとレーマっていうわけなんですけども
話題お題と
それに対する
助術という
これが日本語の場合
綺麗にはまるんですね
日本語はそっちが好きっていう
ことになります
27:01
なのでセンテンス単位で見てみると
センテンス内部で見ると
日本語ではSVOのこともあるし
SOVの時もあるし
Vで始まっちゃう時もあるし
とか色々見えるんで
ガチガチの英語的な発想
センテンス内部で
語順を決めている
文法上の
語順規則を持っている
言語化するとゆるいなっていう風に
日本語のこと見えるわけですよ
ただこれはゆるい固いではなくて
単位が違うんですね
センテンス内部で
完結する規則を作りたいのか
もうちょっと大きな
ディスコースって言いますかね
談話の中での
旧情報 新情報みたいに
言うことも非常に多いですね
まず
旧情報が出て
知っているものが出て
その後にそれに情報を付け加える
ということで新情報が出てくる
っていうものと
先ほどのテーマ レーマというものは
パラレルな関係です
きれいに言っちゃしないかもしれませんが
だいたい似ているんですね
日本語で考えてみたいのは
昔々あるところに
おじいさんとおばあさんがいました
こういう物語の始まりがありますよね
これ
昔々あるところに
と最初に言う
これ決して主語ではないですよね
主語ではないんですが最初に日本語来てます
これはなぜかというと舞台設定ですよ
これから昔話が始まるんだな
ということで
これは昔話ではないんだな
しかもこれ伝統的な書き出し
物語の始まりなので
一気にその世界に頭が行くわけですよ
もう受け入れ姿勢が
整っている
このフォーミュラを知っている人はね
昔々あるところに
ですよね これで状況設定
整いまして 次に何来るかっていうことが
興味津々なわけですよね
ここにですね
おじいさんとおばあさんが
いました
ということになりますよね
これ新情報なんですよ
舞台設定は
済んでいますけれども
昔々あるところに何が
何が起こったんだっていうことで関心があって
次に聞く情報はちょっとびっくりなわけですね
予想はできますけど
フォーミュラ知っているんで
おじいさんとおばあさんがいました
そうすると一回
おじいさんおばあさん出てきたので
これ基地の情報になります 旧情報になります 杉からは
それを受けて
おじいさんは山へ芝刈りに
おばあさんは川へ
洗濯に行きましたって
なりますよね
これ旧情報として知っているものが
第2文の
頭に来るわけです おじいさんは
おじいさんはどうなったのっていうと
何をしたのっていうと
山へ芝刈りにっていう新情報が出て
物語が紡がれていくっていう流れですよね
このように
場面設定
新情報を
これを受け取って
それを旧情報にしたてあげて
次の文からは旧情報
30:01
新情報 旧情報
新情報っていうふうに
既に知っていることを足掛かりにして
どんどん新しい情報を
加えていくっていうのが物語とか
語りの基本ですよね
これにピタッとはまるタイプの言語が
日本語ということなんですね
ちなみに
最初の文では
必ずがを使いますね
むかしむかしあるところに
おじいさんとおばあさんがいました
これ和だとめちゃくちゃ変ですよね
日本語母語話者だと
この感覚わかると思います
なぜでしょうって考えると面白いんですけど
第2文は絶対に和なんですよ
おじいさんは山へ芝刈りに
っていうことで
これ逆にすると
とっても変ってことですよね
言ってみましょうかね
むかしむかしあるところに
おじいさんとおばあさんはいました
山へ芝刈りに
おばあさんが川へ洗濯に行きました
というと
なんとも気持ち悪い感じしませんかね
なんだかの意図があって
そんな言い方してるのっていう
例えばネイティブ話者の口から
それ聞こえたら何か意図があるの
っていうことですよね
ネイティブでない方から出たら
この助詞の使い方が
難しいんだろうな
という理解になるというぐらい
やはり不自然ですよね
新情報 旧情報みたいなのが
変わっていて
場面設定 新情報
次の文からは旧情報 新情報
旧情報 新情報
これが一番スムーズな流れなんです
というのに
適した言い方を
持っているのが
文法に組み込んでいるのが
日本語なんだろうと思うんですね
なので主語 述語っていうのに
こだわっていなくて
旧情報 新情報
をどちらかというと重視するのが
日本語なんです
日本語にももちろん
センテンス内部のSOVが
基本であるみたいな発想もあるので
この文法上の
語順規則と文脈上の語順規則
っていうのは大体の言語で
入り混じっています ただ
どちらによりウェイトを置くかとか
そのパーセンテージっていうのは
言語によって異なっていて
日本語は割と文脈上の
文法規則 テーマ レーマ
みたいなことですね
主題でそれに対して言われるべきこと
みたいな これを好むんです
英語は
逆でですね
もちろんテーマ レーマっていう発想が
英語に全然ないわけではなくて
そこそこあるんですが
それよりも文法上の語順規則
つまりセンテンス内部で完結する
決め打ち語順というものを
より強く意識する言語だ
っていうことなんですね
2つの原理があるんですよ
語順規則には 世界の言語を見渡すと
どちらを優勢にするか
っていうところで
若干温度差は
ありますけれども
文法上の語順規則を
優勢にする 現代の英語のような
言語 SVO 決め打ち
33:01
みたいなやつですね
日本語のような文脈上の
話の流れとか
情報の流し方
ですよね 旧情報が
先に来て その後新情報ですよ
みたいな これを重視する
タイプの言語があるっていうことなんですね
前置き長くなりました
今日のお題なんですけれども
古英語の語順が
なんで緩いのか
少し分かってきたかと思いますが
要するに古英語って
日本語型なんですよ
だから緩くていい
センテンス内部で絶対SVOとか
SOVとか決める
という そっちのやり方よりは
もっと大きな
ディスコースの単位で
話の流れ 情報の流れを
スムーズに流す
語順が好まれるということで
テーマ レーマ 系の
文脈上の語順規則
っていうものを
より強く意識する
言語が古英語だったんですね
そうするとセンテンス内部で
見ると 状況によって
SOVになったり VSOになったりするので
現代英語型の
話者からすると緩いなっていう
つまりセンテンス内部での
語順という世界観
とらわれているので そこで考えると
なんでこっちの文ではSVOなのに
あっちの文ではSOVなんだみたいな
ツッコミになるんですが
文脈基準の
語順規則ですね
これを持っている言語から
見ると より大きな視点から
見ると自然なんですね
日本語型とか古英語型が
逆に現代英語みたいな
決め打ちの言語は
なんか視野が狭いように感じる
このセンテンスと
1センテンス内部でのみ
語順規則を適用させている
っていう風に見えるわけです
もちろんこれどっちが良い悪いではなくて
先ほど言ったように組み合わせで
大体の言語は成り立っていたりするんで
両方の原理 内在してるんですね
ただどちらをより優先するかっていうのは
異なっているケースが
あるっていうことです
どっちが良い悪いではないんですけどもね
そうすると
分かってきたと思うんですが
古英語から現代英語への
言語変化 なぜその語順が
緩くなったのかっていうのは
英語史上いろいろ議論できるんですが
今日のポイントはですね
大きく異なるタイプの
語順規則を採用している
2つの言語なんだと
考えた方がいいってことです
古英語と現代英語ですね
現代英語は
文法上の
語順規則
文法規則をみたいなセンテンス内部での
論理的語順
これを重視する
そっちの原理に
強く触れていると
一方 古英語は日本語と大体同じで
むしろですね
テーマとレーマみたいな
旧情報 新情報っていう
この流れの方を
センテンス内部での
語順よりも重視する
36:00
そっちの原理を
持っている言語なんだっていうことなんですね
タイプが違うっていうことです
このようなタイプ違いなんですけれども
歴史 時間を置くと
これが大きくひっくり返ってしまう
っていうこともあるんだっていうのが
英語史の面白い
ところだと思うわけですよね
つまり1つ朗報で
古英語を学ぼうとする
日本語母語話者には
朗報っていうことになります
現代英語のマインドセット
センテンス内部で
語順が決まっているんですよっていうのを捨てて
むしろ日本語に近い
原理で語順規則っていうのが
発動しているのが
古英語なんだと考えると
むしろですね
現代英語的な発想からいくというよりも
我々の母語である
日本語側からの発想でいった方が
実は
分かるところが多いっていうことになるんですね
これ意外だと思うんですけれども
古英語みたいな
かなり難しい言語っていうかね
現代英語から入ると
難しく見える言語なんですが
見方変えると
むしろ日本語から入っちゃえばいいんじゃないの
っていう側面もある
っていうことなんですね
ここを一点押さえておくだけで
古英語にぐっと親しみが
湧くんではないかなというふうに思うんです
最後になんですけれども
なぜこんな大きな変化が英語史上
起こったのかっていうことは
確かに面白い話題なんですが
語順の話題だけじゃなくて
他の話題も
実は連動しているんです
この文脈上の
語順規則という原理から
文法上の語順規則
っていうルールに変わったっていうね
原理が変わったという話をしたんですが
これと連動していろんなことが
起こっていてしかも説明できちゃうんですよ
例えばですね
古英語はこれから学んでいくんですが
現代英語のような
ちょっとした監視システムっていうのが
なかったんですよ
監視 座ですよね 低監視
座に相当するものはあったし
監視っぽく使われているので
全然なかったとは言わないんですが
今みたいに体系的に
使われているわけではなく
どっちかというとオプションですね
今は絶対に基地のものだったら
座をつけなければいけないとかですね
あるいは数えるもので
一つで かつ進出だったら
あをつけなければいけないとか
結構複雑なルールが現代語ありますよね
古英語にはそこまで複雑なのは
ありませんでした
座とか座の種みたいなものはちゃんとありましたので
監視はあったという言い方は
できると思うんですが
現代みたいにちゃんと発達した形ではなく
まだ未発達の
状態でしかなかったんですね
それがですね
中英語期以降に
つまりこの言語タイプが
文法依存の
文法上の語順規則原理
だった言語が
現代風のですね
文脈上の語順規則ルールに変わっていく
古英語から中英語にかけて
39:00
他のいろんなものが
巻き添えをくって変わっていくんですよ
その一つが監視なんですね
監視が発達してくるのっていうのも
このタイミングなんです
監視ってまさに基地のもの 未知のもの
急情報 新情報ってことでしょ
関連してるんですよ そこで
接点があるんですね
大きな原理の変化と
協調構文みたいなのありますよね
協調構文っていうのは
例えば
It is yesterday that I met him
みたいなね
協調したいときに前に出したい
今回の場合は
yesterdayを協調したいっていう場合で
I met him yesterdayだったところを
yesterdayを取り出して協調したい場合に
前に持ってくる手段っていうのが
英語では協調構文みたいな形で
備わったりしてますよね
これも古英語に走りみたいなものはあるんですが
やっぱり発達してきたのは後なんですね
もう一つ面白いのは
受け身です
受け身って早い段階で
文法で学ぶわけなんですが
例えば
The mountain can be seen
from the distance
on a fine day
みたいなね
その山は晴れた日にはどこからでも見える
っていうような言い方
これ普通の受け身の文でありますよね
別の言い方すると
認証主語を使って言うと
oneとかweとか使ってね
あるいはyouとか使って
You can see the mountain from the distance
on a fine day
みたいに大体同じ意味ですよね
どっち使ってもいい感じですが
The mountain can be seen
from the distance on a fine day
っていうのはこれはこれで自然な文じゃないですか
受け身を使ったね
現代ではそうなんですが
古英語では受け身の構造
確かにビータースカコブシあったんだけれども
使用してないんですね
頻度が低いんですよ
ところが中英語になると
一気に受け身の頻度が増してきて
one can seeとかyou can see
みたいな言い方っていうのは相対的に
減っていくんですね
特にoneみたいなのを使う
ものが多かったんですが
ただこれだけ見ると
並走なんだっていうか
受け身多くなったんだっていうことなんですが
先ほどの原理
語順規則を支える原理が大きく
パラダイムシフトしたのと連動して
考えることができると思うんですね
なぜならば
古英語だったら
こっちの山ではなく
あの山は晴れた日には見えるっていうときに
that mountain
we can see
from the distance on a fine dayって
普通に言えたからです
つまり本当に強調したいものを前に持ってくる
っていう技が使えたんですが
現代でも今の文はOKかもしれませんが
the mountain
this mountainとかthat mountain強調したい場合は
that mountain you can see
みたいな言い方って
ちょっと持って回ったような
芝居がかったレトリックになっちゃうと思うんですね
そうではなく
the mountainを前出ししたい場合には
受け身を使うんですよ
the mountain can be seen
42:00
from the distance on a fine dayっていう風に
統合的な技で前に持ってくる
ということを実現してるんですね
O S V
を可能にするというよりは
OをSにする技を
受け身という
メカニズムで
実現したということになりますよね
これは
原理が変わったことにより
小英語だったら前に出したい
強調のために前に出したいっていう
技が使えなくなった
それを補うためにできた一つの手法
っていう風に考えることができるんですね
そうすると受け身っていうのは
本来目的を
だから文のどっちかというと
起こりやすそうなものを
前に持ってくるための手段
装置として受け身というのが
発達してきたとも考えられるんですね
いろんなことが実は連動してるんです
それぐらい大きな
基本メカニズムっていうか基本原理なんだと思いますね
語順
規則というのは
大きく二つ言語にありますよ
っていう話をしました
一つは文法上の
語順規則で
単純に言えばセンテンス内部で
とにかく論理的語順を守りなさい
SVO決め打ちです
みたいな方法でいく言語
これはあります
現代語ですね
一方 文脈上の情報の流れというのを
重視して
1センテンスという枠内
だけ見ていると
それはいろいろと自由になっているように
見えるんですが
もうちょっと視野を広げると
情報構造がQからCに流れているなっていう
自然な形の
これによってコントロールされた
語順っていうのがあるんですね
これは文脈上の語順規則と
今日のところは呼びましたけれども
どちらかというと
これに重きを置くのが日本語であり
そして古英語であるっていう
ことなんですね
語順規則っていった場合に
現代英語だけ思い出しては
これ半分なんですよ 理解が
もう一個別の原理での語順規則
っていうのがありますと
世界の言語を見ると
語順という形ですけど この2つの原理が
働いているということなわけですね
この先ほど
古英語を学ぶ際には
マインドセットを変えるということなんですが
この2つの原理の
語順規則ですね
これを頭を切り替えるということです
我々にとっては決して難しくありません
日本語頭になればいいということです
語順に関する限りね
ということで
お話ししました
語順意外と考えてみると
深い問題だとわかると思うんですけれども
改めて語順
ワードオーダーとかあるいは
ワードオーダールールについて
考えてみてもらえるといいかなと思います
それでは終わります
エンディングです
今日も最後まで放送を聞いていただきまして
ありがとうございました
数十名の大学生を
前にお話ししていたんですが
ライブ配信ということでですね
45:00
生でお聞きいただいた
リスナーの方々も
思ったよりも多かったんですね
直前の
お知らせでしたし
何せ9時半という
中途半端に早い朝の時間だったので
どうなるかなというふうに
思ったんですがお聞きいただいた
皆さまありがとうございます
そして今今回ですね
アーカイブでお聞きになっている方も多いかと思いますが
語順というものを
改めて考える機会に
していただければと思います
原理が一つではないんですね
二つ原理があるという
お話でした
ぜひコメントやご意見等
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英語式研究者の
ほったりうちがお届けしました
また明日
46:03

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