2025-06-05 15:52

#1467. いかにして古英語 mycel が現代英語 much に変わったか?

▼緊急告知! 2025年6月18日に本が出ます


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- ぜひ Amazon よりご予約ください:https://amzn.to/4mlxdnQ

- 詳しくは研究社のHPをご覧ください:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10135166.html


▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


https://open.spotify.com/show/0xOyOIXBUrIZbnwSLeJsSb?si=zH5V2CjkS0ekqNz5ro7caw


▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」が2024年10月28日に創刊しています.第4号まで公開されています.


- 創刊号(2024年10月28日):https://note.com/helwa/n/ne2b999d5af72

- 第2号(2024年11月28日):https://note.com/helwa/n/n94e9d9a74706

- 第3号(2024年12月28日):https://note.com/helwa/n/na7394ab1dc4c

- 第4号(2025年1月28日):https://note.com/helwa/n/nb6229eebe391


▼2024年12月30日に『英語史新聞』第11号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第11号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第11号:https://keio.box.com/s/kk0jss15l22pz1rpuysa0ys4nkpc3lwr


第11号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2024年第3四半期のリスナー投票による heldio 人気配信回


- 第1位 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6049608

- 第2位 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6052858

- 第3位 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 https://voicy.jp/channel/1950/1298775

- 詳しくは hellog 記事「#5645. リスナー投票による heldio 2024年第3四半期のランキング」をどうぞ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2024-10-10-1.html をどうぞ


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼2024年8月26日より特別企画「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」」が始まっています.ぜひ特設ホームページに訪れて,ライヴ当日まで毎日1つか2つずつ公開される helwa メンバーによる英語史コンテンツをお楽しみください.


- http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/etc/helwa_content_for_hellive2024/


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズ(有料)を展開しています.


英語史の古典的名著 Baugh, Albert C. and Thomas Cable. *A History of the English Language*. 6th ed. London: Routledge, 2013. のオンライン講座です.毎回1セクションンずつゆっくりと進んでいき,内容について縦横無尽にコメントしていきます.シリーズについて自由にご意見,ご感想,ご質問をください.皆さんで議論しながら読んでいきましょう.1回200円です.

https://voicy.jp/channel/1950/570931


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語誌ブログの管理者、 英語のなぜに答える初めての英語の著者、そして2025年6月18日に発売予定の英語語源ハンドブックの著者の
堀田隆一です。 英語の語源が身につくラジオheldio、英語誌をお茶の間にをもとに英語の歴史の面白さを伝え
すそのを広げるべく、毎朝6時に配信しています。 本日は6月5日木曜日、英語語源ハンドブック発売まであと13日です。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。 ハンドブック発売まで2週間を切ったということでですね、もうそろそろですね
今週末には 著者たちがですね、見本、出来上がり見本を手にすることができそうなそんな予定なんですね。
でしかもですね土曜日、6月7日土曜日には京都の立命館大学にて 日本中西英語英文学会西支部例会が開かれることになっておりまして
この英語語源ハンドブックの協助者3名、私も含めまして 対面で集まって新刊紹介をさせていただくことになっております。
ということで本当にそわそわしだしてきているんですけれども さあこのハンドブックから今日はですね
マッチ、多くのとか多いにという意味のあのマッチ m u c h に関する項目チラッと読み上げてみたいと思います。
あんまりたくさん読み上げることはできなさそうなんですけれども ジャセット8000の中の基本戦語
これをですね英語語源ハンドブックでは扱うということにしていますので マッチのような基本語はもちろん収録されております
マッチはですね形容詞で量程度サイズなどが大きい そして副詞としては程度が大きくとか大変な
というまず意味がありますね その後にですね
各単語ごとにいわば語源的英語詞的なキャッチフレーズをつけてるんですよ このハンドブックでは
マッチに関しましては 目がと同語源というキャッチフレーズが
付されております目が大きいという意味で使われますよね あれと同語源なんだということなんですね
そしてその後グーッと下の方に行きますとつづり語形の変化という項目がありまして 実は今日このヘルディオでお聞きいただく
本編の内容とも関係してくるんですがちょっと読み上げますね 小英語記にはミチェルという形をしていたが中英語記に語末の詩音が脱落した
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現在では特定のフレーズやスコットランドの方言などでしか使われないミコー 大きいたくさんのに留められているように2つ目の詩音はより古くはチュではなく
クであった 等の語源情報がいろいろと書き込まれております
今日取り上げるのはこのマッチという見慣れた聞き慣れた単語の 発音ですね特に母音部分に注目したいと思いますどうぞよろしくお願い致します
今日のお題はいかにして小英語ミチェルが現代英語マッチに変わったか というタイトルをつけているんですけれども
この問題はですね 実は
コアリスナーの有さん ノート記事であるとかその他 web 上で情報を発信されております
その有さんが生成 ai 今回はジェミナイですかね ジェミナイを使って小英語を読習独学しているというそういうシリーズが
続けられているものの最新版というんですかね 昨日6月4日に公開された記事にインスピレーションを受けまして
この話題取り上げてみようと思った次第なんですね 小英語ではミチェルという形これが現代のマッチに相当する単語だったんですね
これがいかにして語形変化音声変化を遂げて 現代のマッチになったのか
これをたどっていきたいということなんですが 生成 ai にこの辺りの事情を尋ねたところ
あまりはっきりした答えが返ってこなかった 納得していないというようなことだったんですね
これ確かにですね 私英語紙の専門家ということなんですがこれ難しい問題なんですよ
ですのでやはりジェミナイなりチャット gpt なりですね 生成 ai もここまでは詳しく説明できないのかなというふうに
予想はされたんですが実際そうだったということなんですね 今飛ぶ鳥を勢いの生成 ai なんですけれども
もう分野によっては完全にですね人間は負けているという状態ですし この声語や英語紙の世界でもですね
あともう何年持つのかなという心配だったりワクワク感があったりするんです けれどもこの問いについてはなかなか難しいだろうなと思うんですね
06:06
というのは生成 ai はラージュラング1モデルということで既存の文章化されたと言いますか デジタル化された情報に基づいて答えを出すというのが基本ですので
これがですね例えば学術論文なり学術書などに今回のマッチに関する問いの答えがですね 書き込まれていればあるいは考察が書き込まれていればそれを利用して生成
ai も答えを出してくるということが予想されるんですがそれあんまりないんですよ 学術的にも
はっきりした答えと言いますかねなので 生成 ai としても考える素材がないっていうことになるんですね
もちろんですね今は考える生成 ai というのがどんどんでできてきていますのでもうあと数年ですね このあたりもいろいろ予想推測して答え出してしまうんではないかという
ドキドキとワクワク感というのはあるわけなんですけれどもまだなのかなという感じが するんですね
とするとですね この問いに答えを与えようとする試み
これは人間の研究者最後の仕事になるかもしれないと この2025年6月5日というタイミングでですね
人間の研究者としてマイベストを尽くしてみようと思います さあ小英語ミチェルという形なんですが
語尾の音説ですね el と書かれていた あの部分が消失したというのは先ほど見た通り
金冠書英語語源ハンドブックにも記載があります ですが
第一音説の母音部分ですねつまりミッチと言っていたものが どうひっくり返ったら現代のマッチになるのか
このあたりはですねなかなか難しい問題が含まれているんですね 今日はこの母音の問題に注目してみたいと思います
まずですね m y c e l と典型的に綴られた ミチェルという形なんですね
これは小英語の時代のウェストサクソン方言に典型的な綴りなんですね イングランド南西部です
ですが当時から イングランドには方言っていうのがあるんですね
その次の時代の中英語期にもこの方言がおおよそ受け継がれてですね しかもあの中英語期になりますと方言が綴り事情にしっかりと見えるようになるんです
これは様々な方言で英語が書かれるようになったからという事情があるわけなんですが おそらくですね
09:03
概ね小英語の方言事情がそのままですね中英語期にも引き継がれていった 多少の変更を伴いながらですね
引き継がれていっただろうというふうに想定されるわけですね で舞台は今中英語まで進めています
中英語期にはこのミチェルのような単語のいですよね この母音がですね方言によってそれぞれなまった形で少し変形を加えられた形で
実現されるということが見えてくるんですね イングランド北部方言ではいいという音です
イングランド西部方言ではいうという音ですねいうという音です そして
南東部方言ではへ という音なんですね
それぞれ微妙に異なる母音が用いられていたということがわかっています その後何らかの事情があり
現代の標準的な発音マッチというあの音が どういうわけか出てくることになるんですがこの事情とかどういうわけかというところが
知りたいわけですね そこで話はかなり複雑なんですけれども単純に一つの仮説
を示したいと思います 南西部方言の言って音ですね
これはフランス語やドイツ語などにある発音で延伸 後前絶母音というんですかね
いうという母音があるんですが現代の標準英語にはない音です なので後にですねこれが変化していくということになるんですがどうも現れる単語によって
このいうという音は 二手に分かれたようなんですね
一つは非延伸か唇の丸めが取れていい になっていくもの
もう一つは延伸性は保ちながら 母音を調音する位置が後ろに下がるつまり後絶母音化してうになるっていうことですね
平たく言ってしまえば先ほどのいうという音は糸を組み合わせたような音なんですね なのでそれがどちらかに解消されるとなるといいに行くものと
うに行くものが 二手に分かれたっていうことなんですね
これは単語別ということなのかもしれませんし 微妙な方言別ということなのかもしれません
このあたりの詳細はなかなか突き止めるのが難しいんですけれども うに行った方ですね
これが今回重要になってきます いうだったものがうになったと
12:03
そしてまさに今日取り上げているマッチがこのタイプだったんですね つまり
ミューチェルのミュッチュというところが ムッチュになったわけですね
イがウになった つまりミュッチュがムッチュになったっていうことです
さあ一旦ムッチュとなりますとこのウという音は近代英語記にかけて今度は中絶化と呼ばれる現象ですね
要するに現代のマッチのアというアの母音になるという変化を遂げた そして現在マッチと発音されるというふうに線がつながるんですね
ただこのように説明をしてもまだ疑問は残ります 先ほど述べた通り
もともとのイの音は イとウに二手に分かれたっていうことなんですよね
どういう単語がイになってどういう単語がウになったのかというこのあたりがですね なかなか難しいんですね
ウになったものの一例として今日マッチを取り上げたんですが 他にはですね
shut such trust というような単語が仲間ですね
今のところわかっているのはこのあたりまでなんですね わかっていると言いますか私の調べがついた範囲内でということなんですがこのあたりなんですね
さらに先は数年後かもしれません 生成 ai がもしかしたら解いてくれるあるいは新たな提案をしてくれるという可能性は十分にあるんではないかと思います
エンディングです今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました 今日はですねかなり専門性の高い音変化の話題
しかもですね中英語の方言事情が関わるということで極めて 日知な専門性の高い話題でした
それにしてもですねこのヘルディオヘルはリスナー界隈では ジェミナイやチャット gpt など生成 ai を用いた
小英語学習 さらに進んで中英語学習などもできるかと思うんですよね
このような先進的な試みが行われているというこれ自体が 新鮮ですしわくわくしますよね
もう熱いですよね 人間の専門家としては仕事を奪われてしまうんではないかとかですね
もう最後の仕事になるんではないかというような感覚がなきにしもあらず なんですけれども追いつかれる前にですね
こうしてヘルディオで証拠を残しておきたいと思います 今回の小英語ミューチェルがいかにして
15:03
現代英語マッチになったのか ぜひご参考にしていただければと思います
エンディングです今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました 語学かける生成 ai
この話題は今ホットかと思いますのでこれからもですねいろいろな形で取り上げていき たいなというふうに思っております
このチャンネル英語の語源が身につくラジオヘルディオではあなたからのご意見ご 感想をお待ちしています
おいしいのコメント機能通じてお寄せいただけますと幸いです sns でのシェアもよろしくお願いいたします
それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように 英語子研究者のほったり打ちがお届けしました
また明日
15:52

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