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心理師のはるかめです。この放送では、あなたが自分に優しくしていけるように、セルフコンパッションやセルフケア、心理学などについてお伝えしています。
今日は、どんなことでも失うことの方が大きく感じてしまうという現象のお話です。
もう結論はお伝えしているので、これ以上の説明はいらないかもしれないんですけれども、一応ね、細かく語っていきたいかなと思います。
これはですね、行動経済学、つまり経済学の心理学にあたるものにおいて確かめられた結果なんですよね。
同じ価値を持つものでも、手に入れるよりも失うことの方が大きく感じるということなんです。
分かりやすい例をお示していきたいと思います。
例えば、お金に関して考えるのが一番分かりやすいかなと思うんですけれども、
まずパターン1として5000円を手に入れたとします。
そしてパターン2として1万円手に入れて5000円失ったとします。
この2つを比較した時に手に入れる利益は同じはずなんですけれども、1万円手に入れて5000円失う方がやっぱり辛く大きく感じてしまうんですよね。
ここで、それは1万円もらった後に5000円を失せば、やっぱりぬか喜びだしショックを受けるだろうという風に思う方もいるかもしれないんですけれども、そこがまさに真理なんですよね。
経済学とは、そもそもなんですけど、経済学というのは理想の理論を語る学問であって、そこに人の心の開在しない、クールと言いますかドライと言いますか、そういった学問なんですよね。
なので、その仮定はどうあれどちらも5000円手に入れたっていう結論は全く同じなんですよね。
それなのにパターン2の方が大きく感じてしまうっていうのが人の心なんですよね。
また、他の場合で考えると単純に5000円手に入れているっていうのと、5000円失うっていうのを比較した実験があります。
これは当然失う方が辛いに決まっているっていう風に思いますよね。
ここで比較しているのは嬉しいっていう気持ちと悲しいっていう気持ちではないんですよね。
その量を比較しているんですね。
数値化して結果を見た時に5000円手に入れた時の気持ちの程度より、5000円失った時の気持ちの程度の方が1点数倍くらい気持ちの程度が大きかったんですね。
例えば喜びの気持ちの数字が5とかだとしたら、失った時の悲しみの気持ちは8とかいうことなんですよね。
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5000円どっちも動きがあるんですけれども、それに対する気持ちの動きっていうのは失った悲しみの時の方が大きく感じているということになります。
これはやっぱり人が失う方が辛いってことを物語っていますよね。
ではなぜ失う方が辛いんでしょうか。
それはですね、このチャンネルでは定番なんですけれども、本能の部分、古代から進化によって培われてきた脳の自然な反応によるものだというふうに考えられています。
原始の世界では失うことっていうのはそれすなわち命を失うことにつながっていたんですよね。
例えば食べ物とか安全、仲間、道具、これらを失うっていうことはそのまま死が近づくことを意味していたわけですね。
そんな中でそういった失うっていうことに敏感な人たちがセンサーを必死に働かせて、
何十年、何百年、何千年、何万年、何十万年、何百万年と命をつないできた結果、今の私たちは失うっていうことに敏感になってしまったわけなんですよね。
なので、より辛く感じるっていうのは生存戦略なわけで仕方のないものなんですよね。
今更どうこうできる問題ではないってことになります。
これと似た話にサンクコストっていうものがあるんですよね。
このサンクコストっていうのは自分がこれまでかけてきた労力とか時間、お金、資源、エネルギー、そういったもののことですね。
そして人はついついサンクコストを大事にしがちなんですよね。
例えばこんなフレーズ聞いたことないでしょうか。
せっかくここまでやってきたのにとか、せっかくこれだけお金をかけたんだからとか、たくさんの時間と労力が使われてるんだからとか、これらはすべてサンクコストを表す表現です。
もちろんサンクコストのすべてが悪いわけではないんですけれども、うまくいっているならもちろんそのまま継続した方がいいんです。
しかし問題はもうこの流れではダメだろうとか切り替えた方がいいだろうっていう時にサンクコストが気になってしまって、デメリットの方が大きいのについつい惰性でそのプランを変えずにやり続けてしまうっていうことなんですよね。
この場合はサンクコストを思い切って切り捨てて、一から仕切り直した方が結局利益の方が大きくなる可能性が高いっていうこともわかっています。
繰り返しますが、今日の話は人の本能の部分の話なので自然に起きていることなんです。
なので理性で気づく必要がありますし、それしか方法がないとも言えます。
なので、もし何かを失ったって感じた時とか、せっかくっていう言葉を使っている時とか、そういった場合には非合理的な感情に飲まれているっていうふうに気づけるようになること、これを目指した方がいいかなと思うわけです。
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それでは今日もあなたが自分に優しくありますように、心理師のはるかめでした。