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たけしさゆめじ。日が暮れて子供たちが寝床へ行く時間になったのに、みきこは、寝るのがいやだと言って、お母さまを困らせました。
「さあ、みっちゃん、おやすみなさいな。ひなどりももうみんなねんねしましたよ。」
お母さまは、みきこに寝巻きを着せながらおっしゃいました。
みっちゃんが夕ごはん食べているときに、親鳥が、コココって言って、ひなどりを寝かしていましたよ。
「だって、あたしねむくないんですもの。」
山の小鳩も、もう親鳩の羽の下へ頭をかくして、コロコロコロ、おやすみってねむりましたよ。
「だって、あたしねむくないの。」
赤い子牛は小屋の中で、羊の子は青い草の中でねんねしましたよ。
みきこは、やわらかいきもちのいい寝床へはいったけれど、まだねむろうとはしませんでした。
布団の中へもぐりこんで、からだをゆすりながら、いやいやをしながらむずかりました。
このとき、寝室の窓から、お月さまがにっこりのぞき込みました。
「そらごらん。」
お母さまはお月さまの頬をさしながらおっしゃった。
お月さまがみっちゃんに、おやすみをいいにいらしたよ。
まあ、お月さまがにこにこ笑っていらっしゃる。
お月さまは、みきこの目のうちにかがやいた。
それはちょうど、よいこのみっちゃんおやすみといっているようにみえました。
みきこは、ねどこの中からお月さまの頬をみあげて、
お月さま、おやすみなさい。
そういって、まくらにあたまをつけて、お月さまをみながら、お母さまのこもりうたをききました。
お月さまのうつくしさ、てんしのようなうつくしさ。
「かあさま、お月さまは、こひつじもねかしてやるの?」
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ねむそうなかおをしたみきこがたずねました。
ええ、お月さまは、こひつじでも、やまのうさぎでも、ねかしておやんなさるよ。
みきこのまぶたは、もうあけられないほどおもくなってきました。
けれどお月さまは、やっぱりまどから、お母さまやみきこのねどこをてらしました。
ひがしのもりをでるときに、お月さまはなにをみた?
あおいまきばのこひつじが、おやのひつじのふところへ、そろりとはいってねるとこと、
よいこのぼうやがかあさまとねんねするのをみています。
お月さまはにこにこしながら、こもりうたをうたうお母さまとみきことをみていました。
お母さまも、お母さまもお月さまのほうをみてわらっていらしたけれど、みきこはなにもみなかった。
みきこはもうすやすやとねむってしまったから。