1. 74才 薬膳&料理研究家
  2. #48 カレーは変わった!
2023-07-18 09:22

#48 カレーは変わった!

カレーと聞けば、かつては誰もがルーを使ったとろみのあるカレーを思い浮かべました。
しかし、近年は様相が変わりスパイシーなサラサラカレーが街中を賑わしています。
今回は、それらの変化について音声を収録してみました。
# カレー年表
# 東京銀座「ナイルレストラン」
# 新宿「中村屋」
# 宇宙飛行士 毛利衛さん 山﨑直子さん
# カレー料理研究家 渡辺玲さん
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/634f581db4418c968d55a603
00:07
73才 薬膳&料理研究家の木下 克子です。
前回、カレーの日本史というテーマで、カレーライスがどのようにして人々の間に普及していったかについて簡単にお話ししました。
今日は前回の補足として、カレーの歴史を年表で少しお話しし、今日のテーマに移っていきます。
年表、戦後からいきますね。1945年、即席カレーが発売された。
戦後、間もないやけのがはらに、株式会社オリエンタルが炒めた小麦粉にカレー粉を加えた即席カレーを商品化した。
1948年、学校給食が始まり、カレーがメニューに取り入れられる。
1949年、東京銀座にインド料理レストランとしてナイルレストランがオープンした。
先にオープンした新宿中村屋と共に、日本の食文化にインド流のスパイスカレーを持ち込む先駆けとなった。
1950年、SB食品がカレー粉、通称赤缶を発売した。
カレー作りに欠かせない商品として、70年以上経過した今でも人気の国産カレー粉である。
1963年、ハウス食品がバーモントカレーを発売した。
カレーは辛いという常識を覆す、リンゴとハチミツを効かせたマイルドな味わいが評判を高め、幅広い年齢層の支持を受ける。
1968年、大塚食品から日本初のレトルト食品、ボンカレーが誕生した。
1人前入りで温めるだけで食べられるという、当時斬新なコンセプトの下で製造販売される。
以降、レトルトカレーブームの火付け薬となる。
1978年、カレーハウスココ一番屋がオープンした。
名古屋地域の清洲市に1号店を開店した。
2013年にはカレーチェーンの店舗数世界一としてギネスに認められた。
2015年、ハウス食品グループの連結子会社となる。
03:01
1992年、NASAの宇宙飛行士、モーリ・マモルさんが宇宙でレトルトカレーを食べる。
レトルトパウチ食品は宇宙食として採用されていたが、実際に宇宙でカレーを食べたのはモーリ・マモルさんが第1号である。
後に同じ宇宙飛行士の山崎直子さんは、無重力で衰えやすい筋肉や骨を強化するために、宇宙食のカレーは特別にカルシウムやビタミンDを強化してあると、日本経済新聞のコラムで述べています。
1999年、ご当地カレーブームが到来した。
横須賀海軍カレー、呉カレーなど、地方ごとの個性が反映されたカレーが全国で登場。
地方経済の活性化を促す。
2001年、横浜カレーミュージアムがオープンする。
全国の名店のカレーが楽しめるフードテーマパークとして登場。
2007年に閉館となったが、カレー文化の発展に貢献することができた。
以上です。
それでは、今日のテーマに移っていきます。
今日は、「変わりゆくカレー」というテーマで音声を収録していきます。
時代とともに、カレーの世界にも思考の変化が現れています。
肉やジャガイモ、玉ねぎ、人参が入った黄色のどろぎりとしたカレーは、日本人が香辛料に対してあまり慣れていなかった頃のカレーです。
この味の特徴は、一言で言うと、まろやかさにあります。
直接舌に辛味が当たらないよう工夫がされており、その役割をしていたのは、日本生まれのカレールーです。
カレールーを手作りするには、通常小麦粉を油脂で炒めたものにカレー粉を加えて作りますが、
一般的に市販のものは、小麦粉、食用油脂、カレー粉のほか、肉エキス、複合調味料、茶つね等が配合されています。
中でも、どろみ漬けのもととなっている小麦粉の澱粉と油脂がカレー粉の辛味成分を中に包んでおり、辛味を感じにくくしているためです。
他に、甘味成分も辛味を感じにくくするため、刺激を和らげる働きを持っています。
ハチミツが入ったハウスバーモントカレーは、マイルドな辛味で大人も子どもも一緒に食べられるというコンセプトで、一躍有名になりました。
06:08
では、現在のカレーの嗜好はどうでしょうか。
スーパーではスパイス棚が設けられ、カレー売り場を覗いてみるとレトルトカレーのコーナーが大幅に増えていることに気がつきます。
高級スーパーほどその傾向は顕著に現れています。
その中でもエスニックカレー、スパイスカレーの種類の多さが一際目立つようになってきております。
このことはレトルトカレーに限らず本格的なインド式カレーを好む人々が多くなってきたことではないかと思います。
ここ数年各地でインドカレーのお店も目立つようになってきました。
ナン、タンドリーチキン、サモサなど以前は口にすることが難しかったインド料理が気軽にテイクアウトできる時代であります。
スパイシーなカレーを楽しむ人々が出てきても不思議ではないでしょう。
ましてや激辛ブームという言葉が聞かれる現代、ぼかされた香辛料の風味では物足りなくなってきているのではないでしょうか。
その結果、香辛料、スパイスの風味がストレートに感じられる、ルーを使わないカレーに思考が変化してきているように思います。
このタイプのカレーのとろみは、コリアンダのようなコリアンダパウダーなどがとろみ付けに関係しますけれども、
主に材料の野菜から出るものがほとんどなので、従来のカレーのようなコッテルとした味はなく、むしろサラサラカレーという表現が適しているように思います。
ルーでとろみをつけないサラサラカレーについて、カレー料理研究家の渡辺昭さんは、スパイスの黄金比率で作る初めての本格カレーという本の中で、
まず揃えたいスパイスとして、1.ターメリック色付け、2.カイエンペパーこれは辛さ調節、3.コリアンダーパウダー風味とかとろみ付け、4.クミンシードエスニックな風味と食感を挙げています。
この4つを挙げています。市販のカレー粉には多種多様の香辛料が使われていますが、サラサラカレーを作るには、まずこの辺りから揃えてみるとカレー作りも楽しめるのではないでしょうか。
今日は、変わりゆくカレーというテーマで音声を収録しました。次回のテーマはカレーと薬膳です。どうぞお楽しみに。最後までお聞きいただきありがとうございました。
09:22

コメント

スクロール