1. 74才 薬膳&料理研究家
  2. #49 カレーと薬膳
2023-07-26 09:12

#49 カレーと薬膳

カレーに使われているスパイスは、漢方薬の生薬でもあります。
ルウを使ったカレーも、自ら調合したスパイスカレーも美味しく頂いて、この暑さを乗り切りましょう!

# 大暑
# ターメリック
# カイエンペッパー
# コリアンダー
# クミン
# 五行学説
# 二味調和
# 相生関係
# 相克関係
# 苦味、辛味、酸味、甘味
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こんにちは、73才 薬膳&料理研究家の木下 賀律子です。
今日は7月26日、水曜日です。
暦の上では、7月23日に夏の節句の最後である大暑に入り、
一年で最も気温が高く、暑さが厳しい頃となりました。
お仕事されている方も、されていない方も、あと少し、何とか無事に過ごしていきましょう。
さて今日は、前回お話ししましたように、カレーと薬膳についてのお話を収録していきます。
48回目の終わりに、スパイスカレーに必要なスパイスとして、
ターメリック、カイエンペパー、コリアンダーパウダー、クミンシードをあげました。
なんと、これらはすべて漢方薬の消薬として使われています。
ターメリックはアキウコンのことです。
中国名ではセンギョクキンとも呼ばれています。
カイエンペパーはチリペッパー、レッドペッパーと基本的には同じで、唐辛子のことです。
コリアンダーはコズイシと言い、ハワ中国ではシャンサイ、タイではパクチーと呼ばれ、我が国では両方使われていますね。
クミンはバキンという消薬名を持っています。
カレーに使われるスパイスはこれらの他にまだまだありますが、時間の関係でこれら4つに絞ってお話しします。
また、消薬名だと馴染みが薄いのでスパイス名を使っていきます。
普通スパイスの働きは何かというと、料理に好ましい香りや辛さ、色合いを与え、比較的少量で強い効果をもたらすもの、
そしてそれらはすべて植物由来のものであるということですね、一般的な定義は。
つまり香りと辛さと色合いを与えるのがスパイスということです。
ここでは漢方薬の消薬としての働きを見ていきましょう。
まず最初にターメリックです。
ターメリックは、五性は寒性、寒い性と書きます。
五味は辛味と苦味です。
SB缶の、SBの赤缶ですね、SBの赤缶などのカレーの黄色のもとなんですけれども、
カレー粉の半分近くがターメリックと聞いたことがあります。
この黄色は昔染色に使われていたくらいなので、胃腹につくと簡単には落ちないので注意しましょう。
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働きとしては、気の巡りを整え、消化を促進して老廃物の排出を促すなどの働きがあります。
余談ですが、インドでは、お嫁入りが決まると結婚式の一月前から美顔術を美容院や家庭でするそうです。
ミルクを温めた時に、表面にできる膜を取ってターメリックと混ぜて塗ると肌がすべすべになるということです。
2番目、唐辛子は五味は熱性、五味は辛味です。
唐辛子は中南米が原産です。
唐辛子の辛味はカプサイシンで、胡椒の辛味はピペリンです。
この2つのものを合わせて摂ると、相乗作用により、単独で使う時より辛さを強めることができます。
さて、働きですが、体を温める作用が非常に強いので、胃腸を温め、消化を促進する働きがあります。
また、体の余分な水分や汗や尿として排出するので、湿度によるむくみやだるさにも効果があるでしょう。
3番目、コリアンダーです。
コリアンダーは五味は温性、味は辛味です。
辛味なんですけれども、唐辛子と比べるとだいぶマイルドです。
咳止めの効果や解熱作用があります。
スリランカでは、風邪をひいたかなと思った時は、コリアンダーシードを煎じて飲むと良いとされ、副作用がなく効き目も良いそうです。
カレーにとろみ付けをする作用があります。
最後にクミンは、五味は辛味と苦味です。
強い香りとほのかな苦味が特徴的なクミンは、カレーやメキシコ料理に欠かせないスパイスです。
クミンが入っているとお料理がカレーらしさを感じるものなんですね。
クミンは胃を丈夫にし、消化を促進して腹痛や胃痛、下痢、ガスによるお腹の張りにも効果があります。
お腹の調子が悪いと思ったら、クミンシードを口に含むのも良いと思います。
以上が基本的なスパイスの働きです。
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5性についてまとめると、ターメリックは寒性、寒い性ですが、あとは温性ということで、ターメリックは量もたくさん使いますので、バランスは取れていると思います。
温性、それから寒性のね。
次にカレーの食味に入ります。
スパイスには、薬膳の五味五性の理論から、二味調和の原則があります。
この原則は、一味に偏った食事は体に害を及ぼすので、相克関係にあるもう一つの味を加えるというものです。
まだ五行学説の相性の関係や相克の関係のお話をしていませんので、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、
例えば、甘いスイカに塩を少し加えるとより甘みが強まるとか、酢に砂糖を加えることにより強い酸味を和らげるなど、体験的に知っている方も多いと思います。
先ほどカレーパウダーにはターメリックが半分近く含まれるとお話ししましたが、ターメリックの量からカレーパウダーは苦味が強く感じられます。
その苦味を和らげる味が辛味なのです。
だから、ある意味辛味は苦味のバランスをとる味とも言えるでしょう。
では、辛味を調節するためには何が必要かというと、インドでは料理の味を調節するためにカレーを作るときにトマトやヨーグルトなどの酸味を持つ食材を用いて辛味と酸味のバランスをとっています。
スパイスカレーにトマトを入れたりヨーグルトを入れる、あるいは辛めのカレーセットとしてヨーグルトのサラダやラッシーと呼ばれるドリンクがついているのは、味の調和を図るためと言えるでしょう。
苦味と辛味と酸味、時にはここに酸味を和らげる甘味が加わることがあっても良いと思います。
長くなりましたが、今日はカレーと薬膳というテーマで、基本スパイスの働きやカレーの五味・五性におけるバランスについて音声を収録しました。
ルーを使ったカレーも、自らスパイスを調合したカレーも、どちらも美味しくいただいて、元気にこの暑さを乗り切りましょう。
最後までお聞きいただき、本当にありがとうございました。
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