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2022-03-23 13:47

【#72】フランシス・ケレがプリツカー賞を受賞。"土とコミュニティーの力で作る建物"とは。

アフリカ・ブルキナファソ出身のディエベド・フランシス・ケレが、2022年のプリツカー賞を受賞しました。アフリカ出身の建築家としては初めての快挙です。現在アフリカにいる杉田が、ケレの魅力など、ざっくばらんに話します。


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こんにちは、Good News for Citiesの杉田麻里子です。
今月3月15日に、建築界のノーベル賞とも呼ばれているプリツカー賞の2022年の受賞者の発表があったので、今回はその話をしたいなと思っています。
今、私はプロジェクトの関係でケニアのナイロビにいるんですが、
アフリカにとってもすごいグッドなニュース、今回はグッドなニュースだったなというので収録してみようと思いました。
建築好きな方も当然知っていらっしゃると思うんですけど、
今年プリツカー賞を受賞したのが、西アフリカにあるブルキナファソ出身のディエベット・フランシス・ケレさん。
私はケレさんの作品がずっと前から気になっていて、大ファンで、
彼は土とコミュニティで建築を作るということを標榜して作品を作ってきた建築家です。
それでちょっと調べていて面白いなと思ったのが、
今回のプリツカー賞、ケレさんは51人目の受賞者なんですけど、
アフリカ人の受賞者は今回ケレさんが初めてということを知って、衝撃的事実に私は驚いています。
ちなみに今日本人では伊藤豊さんとか、バン・シゲルさんとか、
磯崎新さんとかがこれまでに受賞をしています。
なんでケレさんがすごいのかっていうことだったりとか、
なんで私がケレの作品が好きなのかみたいなことを、
ちょっと今回はザック・バランに話せたらなぁと思うんですが、
まず私がケレさんの存在というか作品を知ったきっかけが、
デザインインダバでのトークだったんですね。
デザインインダバって南アフリカのデザイン会議、デザインエキスポみたいなもので、
南アフリカのコサ語、ズール語では重要な会議っていう意味らしいんですけど、
このデザインインダバでケレがキーノートスピーチをした動画がYouTubeに上がっていて、
私がアフリカに来たタイミングで、アフリカの建築みたいなところで検索をしていて見つけたみたいなところですね。
この彼のトークが、アフリカの建築は西洋・欧米の真似をするのはやめるべきだっていうタイトルのトークで、
それはなんで欧米の真似をするのがダメなのかとか、
アフリカらしい建築の作り方ってどういうものなのかみたいなのが事例とともに紹介されていて、
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トークを見てもらいたいんですけど、彼自身ジョークがうまかったりとか、
人柄的にもすごい愛着のある人なんですよね。
西アフリカは私も東語っていう国に2ヶ月くらいいてたんですけど、
アフリカって建築学校がほぼないというか一つしかなくて、東語に一つあるだけなんですね。
私も行ったことがあるんですけど。
なので建築家っていうキャリア自体もまだレアなものだし、
建築家として有名になったりとか活動を続けていくためには、
欧米に渡ったりしてしまう現地の才能も多くて、
そんなところも含めながらトークをしていらっしゃるんですね。
ブルキナファソってどこやねんっていう感じの人も多いと思うので、
ぜひ地図で調べてみてもらえればと思うんですけど、
私自身もブルキナファソの存在を知ったのは本当に1年くらい前で、
知人が行ったことがあるみたいなところで存在を知ったんですけど、
映画祭で有名で、アフリカの映画祭といえばブルキナファソっていうところで、
私もいつか行ってみたいなと思っている国の一つです。
ちなみにちょっと話が戻るんですけど、
さっき話をしていた南アフリカのデザイン会議、
デザインインダバは今25回目とか26回目くらいかなと思うんですけど、
グラフィックデザインとか音楽、ファッション、建築とか、
あらゆるジャンル、アフリカにおけるあらゆるクリエイティブジャンルを
自然的に扱っている会議エキスポなので、ぜひチェックしてみてください。
このフランシス・ケレなんですけど、
ブルキナファソの小さな村で、電気もないような村で生まれて、
今はドイツのベルリンで設計事務所を立ち上げて、
ケレアーキテクチャっていう設計事務所を立ち上げて、
アフリカを中心にドイツやデンマーク、イギリス、アメリカなどで
さまざまな建築プロジェクトに関わっています。
彼は20歳からドイツの木工技術学校へ留学をして、
日中は木工技術を学んで、夜は高校に通って建築の勉強をしたらしいんですけど、
1995年にベルリン工科大学に入学して、
2004年に建築学で上級学位を取得したというキャリアですね。
彼の代表作がガンド小学校といって、
私もアフリカにいるうちにいつか見に行きたいなと思っているんですが、
これはケレ市のふるさとであるブルキナファソの
首都ワガドクから南へ200キロほど離れたガンド村で作られた学校で、
ケレだけじゃなくて現地の人々と一緒に作った学校で、
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2011年に完成したものらしいです。
この作品のデザインの背景であったりとか、
どういうふうにコミュニティの人たちと一緒に施工したのかみたいなところは、
彼のテッドトークでも詳しく話がされているので、
ぜひ見ていただけたらと思います。
基本的には学校を作るのに土を使うというコンセプトで、
最初、地元のコミュニティの人たちに
学校を土で作ると言ったら、呆れられたらしいんですね。
土はアフリカの建築では昔から伝統的に使われているものなんですけど、
最近ではほぼ使われていなくて、
今はコンクリートとかセメントとか、
行動経済成長期の日本もそのような感じだったと思うんですけど、
コンクリートとかセメントとか、いわゆる新建材みたいなものがすごい多いんですね。
私もアフリカ去年の12月に来て、今3ヶ月ちょっとなんですけど、
確かにコンクリートばっかりなんですよ、建築現場とかを見ていると。
よく話を聞いていたら、
今コンクリートとかセメントを使って建物を建てるということが、
中流階級とか上流階級の人たちのステータスとして見られているらしくて、
モダンな素材として扱われているみたいで、
家を建てるときとかも輸入をしたコンクリートセメントで作りたいというので、
街中がコンクリートばっかりで溢れているわけなんですけど、
でも街中で建築現場とかを見ていると、
結構コンクリートブロックが穴だらけだし、積み方も歪んでいたりとかして、
大丈夫って正直なってしまうし、
熱がこもる素材なので、正直気温が高くて湿気も多いアフリカではあまりメイクセンスじゃないなと思っていたんですよね。
素材も輸入してくるので、サステイナブルな素材でもないのに、
みんな使い続けているみたいなところがトレンドとしてある中で、
オランシス・ケレは土を使いましょう、しかも地元の土を使いましょうというので提案をしたらしい。
さっき話したように、コンクリートが今らしいモダンな素材というイメージがある一方で、
伝統的に土を使うのは時代遅れで、みたいなイメージがあるらしいんですけど、
オランシス・ケレはそれでも伝統的な土を使うことにこだわっているんですね。
なのでケレがガンド村で作った学校は、
壁はすべてガンド村地元の圧縮して作った泥レンガを壁に使って、
屋根は通常コンクリートとアフリカの場合安い鉄筋で作られていることが多いんですけど、
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ここでは土と鉄筋両方を用いて作ったそうです。
土を使うことのメリットの一つとして、
ブルキナファソって気温が45度まで上がることもあるらしいんですけど、
土って温度を調整してくれるじゃないですか。
なので土の蓄熱性みたいなところを利用して、
最高温度と最低温度が土を使うことで和らげられる、
室温が安定できるというメリットが一つあります。
開口部とかもちゃんと設ければ空気もよく通って、
エアコンを使うことなく快適に室内で過ごすことができると。
エアコンって今、サスティナブルじゃないものとして批判されていますけど、
アフリカみたいに気温が上がる地域においては、
無駄なエネルギーを使わずに、
土の力で室温を安定させるっていうのは、
すごい画期的なことなんじゃないかなと思います。
あとは素材を地元から持ってくるっていうのも、
すごいサスティナブルなことだなと思って、
輸送コストを削減することができたりとか、
地元の産業を活性化させることにもつながるんじゃないかなと思います。
その土地にはその土地に見合った建築素材があるんだっていうことは、
日本建築でもその通りだなと思っていて、
日本も土壁、室温を調整する機能があったり、
湿度を調整する機能があったり、
使われなくなったら自然に帰っていくっていうのもすごいいいですよね。
アフリカでは、特に北アフリカとか、
中東の方とかでも見られるらしいんですけど、
泥と水と繊維質を混ぜて日光で乾かして作る、
日干電火っていうんですかね。
日光の光で干して作られた、土で作られる建築物とか素材がよく見られて、
スペインでも伝統的に使われていたらしいです。
砂と砂質粘土と藁、もしくは他の有機素材で構成された天然素材というところで、
アドベって呼ばれることもあるらしいです。
興味がある人はぜひググってみてください。
あとセメントと水を混ぜて作る泥レンガとかもありますよね。
なので、土を有効に使ったアフリカ全域での建築物っていうのを、
これから私も実際に見てみたいなと思います。
ジェンネのモスクとかは有名な事例ですよね。
あとこのガンドムラの学校の設計がすごい素敵だなと思ったのが、
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アフリカの建物の屋根にトタンが使われていることがすごい多いんですけど、
トタンを使ってしまうと直射日光とかを吸収して、
建物内がすごい暖かくなりすぎちゃうじゃないですか。
なのでこのケレアーキテクチャーの設計だと、屋根が内部の空間から引き離されていて、
室内に常に風を取り込むことができるっていうところも画期的なんじゃないかなと思いました。
あともう一つ、フランシス・ケレがテッドトークの中でお話をしていたんですけど、
メンテナンスのしやすさとか素材の製造のしやすさみたいなところを話していて、
建物ってできたら墨つぶして終わりみたいなのではなく、
適的に人がメンテナンスをすることで長く残っていく。
特にブルキナーファソーだったりアフリカの多くの地域では、
雨季に入るとものすごい雨が降って、建物のメンテナンスだったりとか、
インフラの手入れみたいなのもすごい課題らしいんですけど、
このケレが作った学校に関しては、
雨季になっても毎年定期的に住民たちがメンテナンスを入れられる、
メンテナンスをしなければいけない構造になっていて、
でもケレ本人がいなくても地元の人たちはメンテナンスの仕方を分かっている。
例えば一部が崩れてしまったとしても、
この土を使った壁の素材は比較的簡単に地元の人たちがメンテナンスできるので、
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