石破さんの言行不一致
中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。 仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
みなさん、こんにちは。 コミュニケーションを極めると自分が見えてくる。そして世界が見えてくる。コミュニケーションの世界に携わって40年以上。コミュニケーション命。 シン・田中こと、田中愼一です。よろしくお願いします。
高木 恵子
SEからPRコミュニケーション業界に転職して、はや四半世紀以上、高木恵子です。
中川 浩孝
外資系企業でマーケティングを経験してきたアメリカ在住中川浩孝です。
田中 愼一
やっぱり石破さんでしょうね。
中川 浩孝
そうですよね。今日はそうだなと思いました。
田中 愼一
石破さんがやっぱり一番でかいんでしょうね。
高木 恵子
でも何話します?石破さんの。
田中 愼一
そうね。
高木 恵子
なんか。
田中 愼一
言行不一致って話しますか。
高木 恵子
そんな話しかないですよね。
田中 愼一
小学生でも守れる、言行不一致を守らなかった政治家って感じになりますけど。
高木 恵子
いや、ね。そう、よくわかんない。でもなんか考えがあるのかなとか、いろいろなんか思っちゃうけどよくわかんないですよね。だから。
田中 愼一
あのね、あの人下手なんだろうね。
あのね、やっぱりね、誰かついてないんでしょうね。
例えばその前に、アメリカのシンクタンクから、あれ多分候補者全員に配られたんでしょうね。安全保障に対する考え方。
あれ別に寄稿したんじゃない?寄稿って書いてあったけど寄稿じゃないと思うんだけども。
寄稿したんだったらもっとダメだと思うけども。
多分依頼があって、それに各候補者が返答したって形の中の一つだと思うんですよ。
でも、あの時期にあのタイミングで、安全保障関係のものをあそこまで打ち出すっていうのはありえない話ですよ、普通の常識から考えて。
リスク感度が全然ないっていうか、今の環境でこれが出たらどうなるんだっていうところをアドバイスする人もついてなかったっていうのは、
あれはやっぱり一つ大きな問題かなっていうのはありますよね。
国民の期待と失望
田中 愼一
今は国民の意識って安全保障じゃないんですよ。
まだ中国が台湾侵略したら、間違いなく安全保障が一番トップのプライバリティになるけど、
まだ事象化してないわけで、事象化してるのはもう政治と金の問題と経済ですからね。
事象化しているものに一番国民があたふたしてて、
クライシスコミュニケーションの視点から言っても、まず一番困ってる人間に対してメッセージ出せっていう。
要するに被害者ってのは今困ってる人ね。
これから困る人の前に今困ってる人。
今まで困ってた人ってのはもうだいたい救われてるっていうか救助されてるわけで、
今困ってる人って見たときにはどう見ても一番はいわゆる経済でしょうね。
たぶんね経済、物価高、賃上げ等々の経済が一番で。
だからそこにやっぱりもう少しフォーカスを当てないと、国民聞く耳持たんですよね。
だからなんて言うんだろう、変にその前に期待が出てきたじゃないですか。
あの人は今までは与党でアウトサイダーでもの申すっていう形で、
ずけずけ言ってきた信念の男って感じがある中で、そこに対する期待感で、しかも失言が多かったですよね。
いやこれやります、これやりますっていうね。
だからたぶん総理大臣になる前まで、選挙早めるっていう前までっていうのは、
それなりに国民期待してたっていうか、なんとなくはこれ変わるかなと思ってたのが、
言行不一致って一番基本的なところをですね。
中川 浩孝
一番最初に裏切られちゃった感じがするんですね。
田中 愼一
その失望感は実は結構高いと思いますよ。
だから期待値っていうのはよほど気をつけないとね。
民主党のときにも経験したけど、2009年のときの民主党政権ができたときっていうのは、
民主党の連中みんな舞い上がっちゃって、いや期待が高い期待が高いって言ってね。
その中で鳩さんの出現があって、沖縄の基地に関して最低でも県外っていうバカみたいな出来もしないことを言っちゃって、
あそこから一挙に雪崩のごとく民主党政権が崩れていくわけですよ。
そのときの期待値、それを言う前の期待値は80%くらいですからね。
国民の8割近くが期待してたんですよ、民主党に。
それに対してそれに一致するメッセージが出せないと、一挙に期待が全部失望に変わりますよね。
クライシスのときに一番出ることなんだけど。
そうするともう雪崩のごとく勢いが止まらなくなっちゃって。
結局鳩さん辞めて、菅さんいって、菅さんダメで、野田さんでなんとか食い止めたかなと思ったらもう遅かりしで。
あともう一つは安倍さんのときですよね。
安倍さんのときは、2回目の安倍さんのときってみんな期待しなかったんですよ。
また腹壊して辞めちゃうんだろうなーって期待もものすごく低かったんだけど、
実際動き出したらどんどんことが事象化するわけですよ。
日銀と握る、朝日NHKを叩く。
どんどんどんどんいろんなものが事象化してどんどん進んでいくっていうね。
だからあれは逆に期待の低かったとこから一挙に期待を上げてったっていう成功法なんですよね。
安倍政権の影響
田中 愼一
だから我々人間関係もエクスペクテーションマネジメントって重要で、
下手に期待を周りに持たせるってのは危険なんですよ。
高木 恵子
まあそうですね。
田中 愼一
それを地で行っちゃった石橋さんはもうね、
日本もまともに政治がならないとやばいっていう危機感のときに彼が出てきて、
野田対石破っていう非常にいいですね、お互い論客ですから。
政策もよくわかってるからお互い。
あの二人がこれから丁々発止してやっていくのかなって、
夢を描いた人はそれなりにいたはずなんだよね。
それを一番裏切られたっていう反動はね、落とし前がつかない。
唯一、もし今の段階でそれを逆転させるとしたら、
一切政治の不正絡みの安倍派の議員を一人も公認しないこと。
高木 恵子
まあそうですよね。
田中 愼一
全員公認しない。
高木 恵子
公認するって言っちゃってますからね。
田中 愼一
だからそれしか逃げる道ないですよ。
ここから逃げる以上に、ピンチをチャンスにするとしたら、公認ゼロですね。
ってことは安倍派の連中全員、公認しないっていう。
それぐらい覚悟をやったらね、
もしかしたら安倍派が公認されないと、どこまで議席数を減らすのかわかんないけど、
国民からすればね、そのために石破内閣がポシャっても、
日本にとってはいいかもしれないですよ。
高木 恵子
ねえ、どうなるんだろう。
田中 愼一
公認認めたらもうアウチですよね。
高木 恵子
でも結局は石破さんに票を入れてくれた自民党内の人たちっていう、
そっちの恩も感じちゃってるんじゃないですか。
田中 愼一
まあね、でも総選挙を勝つにはそこじゃないですからね、ターゲットは。
だから世論を味方につけない限り、今の総選挙は勝てないですよ。
昔は派閥力学で全部決めてたけど、
小泉さん以降、世論の総選挙に対する影響ってものすごくでかくなって、
基本的にはそういう意味で言うと、非常に世論を気にするようになって、
小泉さんは個人芸というか、本人の天才的な才覚で世論を動かしたけども、
安倍さんなんかはかなり仕組みで世論を動かしたというか、
いろんな仕掛けをして、ネガな部分もあるけどマスコミに対するプレッシャー。
NHK叩き、朝日新聞叩き、政治部の記者なんかの話聞くと、
とにかく完全コントロールされてるっていうかね。
そういう体制を官邸に作っちゃったでしょ。
だから官邸主導でメディアの動きをやる。
だから非常に客観的に見ると優れた仕組みを作ったという。
で、長期政権を支えたっていうのはあると思うんですよね。
だから世間を味方につけない限り、これからの国政選挙ってのは勝てないんだよね。
どうなんでしょうね。石破、せっかくいいチャンス持ってたのにね。
残念ですね。
高木 恵子
まだ残念と言い切るかどうか。
まだ始まったばっかりですからね。
田中 愼一
始まったばっかりでここまで早くこける人って初めてだけどね。
逆にそれがピンチがチャンスになるきっかけを作り出すのかもしれないですけど、
今のところそのきっかけってのは見えてないですね。
公認を全面否定する以外には。
たぶん結構そういう人多いと思いますよ。
高木 恵子
まあね、だって支持率でも出ちゃってますもんね。全然低いですよね。
だから、どうなることやらって感じです。
田中 愼一
やっぱりそういう意味で言うと安倍政権はやっぱり一回目で失敗したんで。
中川 浩孝
期待値が下がったっていうことですね。
田中 愼一
二回目はね、とてつもない準備してるんですよね。
世耕さんなんかが中核になりながら、ものすごい準備してましたよね。
で、あと一回、民主党が政権取ったもんだから、
内閣府っていうか首相官邸の仕組みをぶっ壊すことができたんですよ。
要するに、民主党が入ったときってのはガチガチになってて、昔の仕組みだったんで。
逆に言うとですね、総理がね、孤立化する仕組みになってるんですね。
これ官僚の仕掛けだと思うんだけど。
だから政治家の補佐官が首相の予定を教えてもらってないんですよ。
そういう、要するにまだ官僚主導の官邸だったんですね、その頃。
政権交代が起こって初めてその弊害が表に出てきて、
そこで民主党はそこをどんどん変えざるを得ないっていうので変えてって。
ある程度それが、いろいろな組織を作ったんですね、官邸内に。
一番大きいのは海外広報、メディア局が作ったんだけども。
ところが官邸の組織変更っていうのは、議会を国会の承認を取らなきゃいけないっていうんで。
今ある部門を廃却することができなくて、国会審議を通していかないと。
そうなると唯一できることは、アドオンするしかないんですね。
アドオンの中で海外広報っていう機能をアドオンしたんですよ。
そこで一挙に変えていくっていうんで、そういう改革が結構あって、
官邸がだいぶ変わったところに、自民党が再び入ってきたんですね。
だからある意味、民主党によってある程度道は作られていて、
そこにボーンって乗っかってそれをフル活用したのが安倍政権っていう仕方だったんですね。
だから安倍政権は長期政権を維持したっていうのは、
安倍さん自身というよりも、安倍さん及び安倍さんを支えた一団のグループっていうか、
そこのやっぱり凄さっていう、それが一回目で失敗したっていうところから、
やっぱり二回目のチャンスを作ったっていうふうなんでしょうね、流れとしてね。
だからまあそうですね。
高木 恵子
まあなんだかんだ言って結構やっぱりいましたもんね、
その人材としていろんな人たちが、安倍政権の。
やっぱり今思うと、みんなその人たちもずるいことしてたけど、
でもやっぱり固まって、すごいちゃんと。
田中 愼一
ワンチーム的なね。
高木 恵子
要職にちゃんとそうそういろいろやっぱりいたから、
あれはやっぱりだから、二回目は相当強かったですよねっていうのは今思うと。
田中 愼一
一回失敗してね、そのための準備を本当にやってね。
しかも安倍さんの強みっていうのは、お神輿に乗るんですよ。
つまり周りがね、優秀な連中がみんなですね、彼を支えようとして動き始めるんですね。
小泉さんのときは真逆で、小泉さんも個人芸でやってたのは、
そこの下でずっとね、彼が学んでたんでしょうけども、
石破さんの評価
田中 愼一
やっぱりそこでは、安倍さんなんかはチームでやるしかないっていう発想が、
小泉さんを反面教師として見たっていうことも考えられると思いますけどね。
高木 恵子
さあ、だからどうするかですよね、石破さんがね。
田中 愼一
そうですね、石破さんこれから。
高木 恵子
でも結局誰かの、自民党内の誰かのいろんな声で今こういうふうに動いちゃってるわけだから、
彼がどうするかですよね。
田中 愼一
まあ彼が本当にこれからね、次のわかんない6ヶ月ぐらいですか、
どういう動きを具体的にするのか、判断をするのか、
何を実行するのかによって評価されてくるとは思いますよね。
高木 恵子
そうですよね。
田中 愼一
だから早めたことによって逆に自民党支持が落ちて、
早める目的が実は逆に自民党の支持が高いうちにやってこっていう目論みが完全に逆に潰されたっていう、
そこの先読み力っていうのが、政治の場合間違いなくあって、
選挙は本当に先読み力で、どういうメッセージが今国民に伝わってるかっていうのをどれだけ先読みして、
そこに対して次のステップ動きっていうものを決めるか、
加わり立てるかっていうのが、もう選挙の本質ですね。
だからまずったよなーって思いますね、今の段階では。
まあこれからどう展開するか面白いですよね、逆にね。
高木 恵子
そうなんですよね。
田中 愼一
どう展開するか、これはちょっと楽しみですね。
まあ今後のこのポッドキャスティングの素材提供ということでいいんじゃないですか。
高木 恵子
そうですね。今ってだからもう、このレベルですよ、どうなるんだろうぐらいしか。
たぶんみんなみんな同じ感想というか、やっちゃったのが。
田中 愼一
僕は今回初めてですよ、番組にかじりついてずっと見てたの。
昔やったときはもちろん当然ながら選挙の中に入ったけど、
選挙を辞めてからは、もうはっきり言って、安倍さんがなったときはある程度の関心はあったけども、
その後長期政権が続いて、その後からはもうはっきり言って、
安倍さんが第二次でなって以降はほとんど政治にあんまり興味なかったんでね。
総理大臣に今まで岸田さんとか、みなさんなるたびに報道番組があったけど一切見なかったんですけど、
今回はやっぱり真剣に見ちゃいましたね。面白かったから。
変化点として。何人でしたっけ?8人でしたっけ?
高木 恵子
9人。
田中 愼一
9人ね。それ自身がまずすごい面白いことだし。
高木 恵子
それは面白かった。
田中 愼一
そこでなぜ石破さんが勝ったかっていうのも、メカニズムとして分析していくと面白いし、
小泉さんどうなったの?高市さんはなぜ?っていうここあたりを。
その中で野田さんが出てきたっていうのは、野田さんが出てきたときに世の中結構騒いで思った以上に。
だって三分の一の大きさなんですよ。立憲民主で自民の。
それにしては騒いだですね。
それと一緒に対抗馬が今度石破さんになったんで、これはまた面白いっていう現象になってきて。
ここで言行不一致が出てきて、またこれが面白いというか、
さあこれからリバイバルというか、リカバーショットはあるのかどうかっていう、このままいっちゃうのかと。
これ極端に言うともう選挙始まっちゃうわけですよね、27日にね。
高木 恵子
そうなんですよ。
田中 愼一
これは逆に今、自民の方が焦ってるんじゃないですか。
中川 浩孝
確かにそうでしょうね。
田中 愼一
これだけ支持率というかね、もうマスコミの総反撃を受けてるし。
高木 恵子
でも普通は気がつきますよね。気がつくと、そんな周りから石破さんにそんなことを言わないと思うんですけどね。
だから気がついてないんじゃないですか、やっぱり。
田中 愼一
多分、相対的に僕は日本の政治っていうのが、世界で競争力がないってよく言うんですけども、
一番問題なのはそのものの認識の活動によって、目の前で起きてるいろんな事象っていうものはどういう意味があって、
今後それがどう展開していくのかっていう、イマジネーション不足だと思うんですよね。
高木 恵子
意外とそうですよね。
田中 愼一
これは日本の政治は甚だしいですね。
高木 恵子
なんか普通にわかりそうなことを意外と政治家…。
田中 愼一
だからまともな政治家がいないと思われちゃってもしょうがないですよね。
やっぱりね、日本は政治も含めてだけど、全般的にその発信力がね、
人の発信力、国の発信力、組織の発信力がグローバル基準から見たときに圧倒的に低いのは、
やっぱり受信力っていうんですかね。
自分の目の前で起こっている事象っていうものが、自分にとってどういう意味があるのか、
誰々にとってどういう意味があるのか、国民にとってどういう意味があるのか、
企業にとってどういう意味があるのかっていう360度のステークホルダーで、
一つの事象がどういうメッセージをそれぞれの人たちに伝えてしまってるのかっていうのを、
まずは読み取る力っていうのが、少なくとも政治家の場合は、
あるいは経営者の場合は、絶対的に必要な条件だと思います。
高木 恵子
でもやっぱり政治家の人たちって、じゃなくても自分本位で物事を考えないと、
政治家って私できないのかなって、すごい思っちゃいました。
選挙の影響
高木 恵子
だって結局、私もある程度大人というか認識がいろいろわかる年になってきて、
ずっと見てるけど、全部自分本位な考え方で動く政治家ばっかりじゃないですか。
田中 愼一
おっしゃるとおり、バランスが欠如してるんですよ。
アメリカの政治家を見てると、たぶん3つぐらいの軸があって、
その交差点、交差するところにいるんですよ。
日本の場合はその軸が一つ欠落してるんですね。
つまり、戦略、僕は発想っていう言葉でもいいけど、発想発信に始まっちゃうんですよ。
日本の政治家のほとんどが発想発信なんですよ。
自分が先に来て、次に発信するっていう発想なんですね。
アメリカの政治家って一般論ですよ、比較的ね。
やっぱり受信っていうのをそれなりに見る。
なぜかというと、日本の場合は同一民族だからある意味、
そこで育った日本人っていうのは政治家含めて、
言えば伝わるだろうっていう前提に立ってるんですよ。
だから、発想したことを伝えるっていうところに行っちゃうんですよ、即。
だから相手が非常に単一的なんですね。
しかもずっと小学校、幼稚園、小学校ずっと一緒でね、コミュニティも一緒で、
みんな一緒だとだいたい、阿吽の呼吸とか言って、
いわゆる非常に潜在常識っていうのがあって、
みんな潜在常識、いわゆるコンテキストの共有がもの凄く濃厚だから、
自分で思ったことをその場で話すっていうことに慣れてる人たち、
それに比べたら、他民族国家であるアメリカなんかっていうのは、
いないんですよ、その同一種族が。
自分と。そんなに多くない。
そうなると、相手は何を思うのかなとか、人種によって何を思うのかなとか、
そういうことを考えざるを得ない。受信から始まるんですよ。
受信、発想、発信っていうプロセスを回していけるんだけど、
日本の場合は受信力がないっていうのは、やっぱり、
こういうホモジーニアスなすごいコミュニティで、
もう何千年って過ごしてきたために、
この受信力っていうのはかなり弱まってるんでしょうね。
高木 恵子
なるほどね。
田中 愼一
だから発想発信でいっちゃうんですよ。
中川 浩孝
でも実際には同一性がかなり弱まってるとは思うんですけどね。
それに気づいていないっていうことなんじゃないかな。
田中 愼一
でもね、まだまだ、何千年っていう蓄積でずっと同一性で来ちゃった。
中川 浩孝
もちろんね、アメリカと比べればっていうのはありますけれど、
でもやっぱり貧富の差であったりとか、
やっぱり昔と比べるとちょっとずつ個性とか、それなりに人の目指す、こうあるべきだとか、
こういうのが普通、普通こうするよねみたいなのが、どんどんやっぱり崩れてるとは思うんですよね。
田中 愼一
逆にそれは崩れてるっていうよりも進化してるって言ったほうがいいと思うんですよね。
中川 浩孝
そう、進化してるって言うかもしれないですね。
田中 愼一
要するに、世の中の動きっていうのは、遠心力と求心力しかなくて、
それの相互作用によって動いていくっていう。
で、今何が起こってるかっていうと、ものすごく大きな遠心力。
つまり人の意識が外へ外へって向かっていく遠心力があって、
その中で、いわゆる実は遠心力があるから求心力が生まれてきて、
で、今起こってることは、求心力がある意味群雄割拠してるんですね。
つまり遠心力は全体で動いてるんだけども、
遠心力がグワーって動いてるってことは、逆に求心力がもっと別れてきてる。
多様化ってたぶん求心力の群雄割拠って表現が一番ピンとくんだけども、
あちこちで求心力が働き始めるんですよ。
あちこちで。
だから遠心力がグワーって動いてるときっていうのは、
あちこちで求心力が逆に生まれて、
それがいわゆる一つの我々の現代用語で言うと多様化っていう世界になっていて、
さまざまな価値観がどんどん分解してって、
その価値観ごとに求心力を高めていくっていう作用が出て、
全体に広がってる遠心力とバランスをとってるわけですよね。
基本的には歴史を見てると、相互作用っていうのがあって、
遠心力がワーッと効いて個々の求心力が高まるときと、
遠心力がなくなって、逆に求心力が全体に強くなる遠心力よりも。
そうすると小さな遠心力が逆に生まれてくる。
だから今はすごく大きな円として遠心力があって、
その中にたくさん小さな求心力が動いてる。
それがどんどん動いてると、
その小さくあった求心力がだんだん大きな求心力になっていく。
そうすると今度は遠心力がどんどん縮まっていって、
逆に求心力の方が大きくなっていく。
これ、例えば日本の歴史で言うと、戦国時代と江戸時代なんですよ。
政治家の発信力
田中 愼一
戦国時代っていうのは、とてつもない大きな遠心力の円があって、
その中に戦国大名という群雄割拠っていう形で、
それぞれが一国一城みたいな形で求心力がたまって、
その後信長が出てきて、
一つの求心力を個別になっている求心力じゃなく、
一つの求心力に持ってこようとして、天下統一っていうイニシアティブを取って、
それを加速させたのが豊臣秀吉で、
一挙に求心力の方が遠心力よりも大きくなって、
最後、徳川家康が大きくなった求心力を固めて、
江戸260年、幕藩体制っていうものを作っちゃって、
どちらかというと江戸時代っていうのは求心力がでかいんですよ。
すべてが江戸中心に幕藩体制を中心に動いていく。
だから世の中の時代の流れって、遠心力と求心力っていう二つの視点で分析していくと、
面白いなーっていう感じで。
で、やっぱり今どうなってるかというと、
とてつもない大きな遠心力の中で、さまざまな求心力が発生してるっていう。
そうすると歴史からもし学ぶのであれば、
これからもしかしたらもっと求心力が分割されてくるのか、
それとも歴史上何回か起こっているように、
求心力がだんだん一つの大きな求心力が大きくなっていって、
より遠心力っていうのを超えて大きくなって、
一つの安定した、すごく安定したね。
ただ変化に乏しいかもしれないけども。
言動の一貫性
田中 愼一
そういう行ったり来たりしてるようなっていうのは、
歴史を見たり今のいろんな事象を見てると感じますけどね。
遠心力求心力ってのは実は結構働いてるんだなっていう。
まさに企業最前線はもう完全に今遠心力働いてる中で、
どうやって求心力を高めようかで悩み切ってるわけですよね、みなさんね。
これがどう展開するのか、これも楽しみの一つですからね。
実はNHKで始まった昔の大河ドラマを再放送しているんですよ。
今3回目だったかな。
2週間前にそれに気がついて、日曜日の夜なんですけどね。
坂の上の雲、司馬遼太郎の坂の上の雲が今再放送してるんですよ。
高木 恵子
へー、そうなんだ。日曜日の夜。
田中 愼一
10年くらい前でしたっけ、あれ。
高木 恵子
いや、もっと前じゃないですか。
中川 浩孝
2009年ですって、2009年。
田中 愼一
2009年か、わー。
で、政権交代があった時ですね。
そうするとですね、懐かしくて見て。
で、僕も司馬遼太郎は昔読んだんですね、坂の上の雲って。
でもほとんど記憶なくて、大河ドラマはほとんど見てないんですよ。
だからこのチャンスに見なきゃなってちょっと見始めたら、これが結構面白い。
高木 恵子
へー、見よう、私もじゃあ。
田中 愼一
ぜひとも見てください。
ヒロさん見られます?
中川 浩孝
見られないですね、きっと。
田中 愼一
残念ですね。
じゃあ、けいこさんと僕で盛り上がるから、そこはイマジネーション働かせて、追いついてきていただければ。
高木 恵子
それを言うなら、私 SHOGUN 将軍全部見ましたよ。
田中 愼一
見た?ごめんなさい。僕ね、3つ目で今、頓挫してて。
高木 恵子
全部、10話見ました。
田中 愼一
そうですか。どうでした、将軍全部見て。
高木 恵子
え、コメント言っていいんですか?
田中 愼一
見終わってからにしましょうね。
終わってからにしましょう、それは。
で、ちょっと気がついたというか、あの小説をまだ3部までしか見てないし、
あと僕は本は読んだんですけども、
よく考えてみると、いろんな登場人物が出てくるんですよね。
ものすごい、ちょっとしか出てこないんだけど、
ほぼ日本の近代化を支えた軍人たち、実業家たち、政治家たち、
ありとあらゆる人間、
プラス、歴史上に名前が残ってないような、いろんな多くの人たちが、
坂の上の雲を目指してですね、近代日本社会を作ってきたっていう。
で最終的に、僕の記憶だと、日本海戦ですよね。
いわゆるロシアのバルチック艦隊を撃破するところぐらいで、
一応ストーリーは終わってるっていうふうに。
どちらかというと、基本的には明治ですよね。
日本の明治っていうのを扱って、
明治時代っていうのはどういう意味合いが日本にとってあったのかっていうのを見て、
なるほどな、やっぱりこれだけいろいろ多くな人たちが出てきて、
それぞれの思惑に従って動いて、それが一つの明治っていう時代を作っていって、
近代化のいわゆる礎を作ってきたんだなっていうのを、
再度ですね、先週で3番目かな、26本あるんですけども、
そのうちの3本を見て、新たに本棚の中を探しまくってですね。
うちにはなかったんで、僕は修善寺にもう一つ場所があるんで、
修善寺にありましてですね、それを持ち帰って、それで今読み始めてるっていう感じです。
面白いですね。
非常に現代的な意味でも、今の現代がどうこれから進んでいくのかを考えたときに、
明治の時代っていうのがどういうふうに動いたのかなっていうのを知るのはですね、
一つの方向性っていうものを考えるときの軸になるのかなっていう感じがしますね、見ててね。
高木 恵子
そっか。じゃあ見ないと。
田中 愼一
ぜひとも。あの当時の日本人っていうのは少なくとも小説の中ではみんな元気がいいですよね。
これが今、日本は元気があるのかどうかって。
高木 恵子
そうですね。元気な人は元気ですよね、だから。
坂の上の雲の再放送
田中 愼一
ヒロさんはアメリカから見てるから、どうなんですか。客観的に日本見れるんじゃないですか。
中川 浩孝
そうですね、元気な感じはしないですよね。
いや、でもおっしゃる通り、もちろん元気な人は元気だし。
高木 恵子
そう、元気な人は元気なんですよね。
中川 浩孝
でも全体として見たときに、なんかそういう人がいっぱいいるかっていうとそういう状態ではないのかなっていう感じはちょっとしますけどね。
高木 恵子
だからもうそのなんか夢がない感じですよね。やっぱ経済が落ち込んでてとか、全体的にそういう感じだから、なんか夢を感じられない。
だからみんな大谷さんに、すごいこうやっぱり感情移入しちゃうんじゃないですか。子供から大人からね。
田中 愼一
年代を超えて感情移入しますよね。
高木 恵子
やっぱり夢がちょっとなさすぎる、今のなんか日本って。生活をしてて。
田中 愼一
それはありますね。それはありますね。
高木 恵子
そう、だから大谷君にあれだけみんながこう無条件でこう、なんて言うんだろう。喜びのまなざしというか、もうなんて言うんだろう。
みんながですよね。だって誰一人、確かに彼は素晴らしいけど、誰一人彼のことを悪く言わないし、何をやっても素晴らしいじゃないですか。
高木 恵子
コメントが全部何をやっても素晴らしいになるから。
田中 愼一
僕ちょっと先週気が付いたんですけど、セリーグで巨人が優勝したんですよね。
高木 恵子
そうですよ。
田中 愼一
僕は知らないというか、あ、巨人勝ったのか。ニュース性さえも大谷で一色なんですよ。
ふと気が付いたら、え、巨人優勝したの?って。
高木 恵子
いや、私はもともと巨人ファンだから、阿部慎之助の最初の1年目の監督でよかった。勝ったか、巨人やっとっていう。喜びました。
田中 愼一
僕はアンチ巨人で、ヤクルトがね。
高木 恵子
そうですか。
田中 愼一
もともとはあんまり気にしなかったんだけども、ちょっと見てて大谷の話のニュースが出て、
なるほど大谷、次は世界ナンバーワンだなっていうふうに見てたら、その後ちょろっと巨人優勝、ちょんちょんちょんってこうなって。
あれなんかもやっぱりいかに大谷翔平に日本全体が参ってるかっていう。
高木 恵子
まあそうですよね。
本当こう壮大な夢を描かせてくれますよね、彼の場合はね。
高木 恵子
だってね、50-50かと思ったら、1日で3本ホームラン打つとかありえないですよね。
田中 愼一
ありえないですね、想定外だもんね。
高木 恵子
そのなんかもう、ドラマでもこう普通、脚本であんなの作んないよね、ぐらいなことは実現してしまうっていう。
あそこはやっぱだから、もうみんなが夢を見ちゃいますよね。
田中 愼一
そういう意味で言うと、彼の秘密っていうのはまさにその想定外を演出して作り出してしまう男っていうか能力っていうんですか。
高木 恵子
そこには自分のものすごい影の努力があるからだと思うんですけどね。
田中 愼一
自分があるってことですね。
高木 恵子
だってあれはやっぱりね、もちろんその自分の能力が伴わなければ、ああいう結果が出ないわけだから。
もちろんね、ものすごい努力をどこかでちゃんとしてるから、結果が残せるわけですもんね。
田中 愼一
たぶんですね、努力っていうのは本当にすごいと思うんですけどね。
でも普通に、努力してる人は他にもいると、たぶんいるんだろうけど。
大谷の違いって陽気なんですよ。
すごく陽気な頑張りなんですよ。
中川 浩孝
悲壮な感じは確かに全くないですよね
田中 愼一
いろいろな努力の仕方があってね、コツコツやりながら深刻になりながら真剣にやってて、
どっちかというと悲観的な感じが出てくるぐらいに、努力に突っ込んでる人いるんだけども、そうじゃなくて、
彼の場合は、やってる努力が辛いだろうな、厳しいだろうなっていうのを感じさせない陽気さっていうものが全面的に出てくるんで、
見ている我々からすると、すごくいい元気になるオーラっていうんですか。
あれもうズバ抜けた陽気さっていうんですか。
あれは僕はやっぱりすごいなと思いますね。
中川 浩孝
確かにそれはありますね。
田中 愼一
あの陽気さはどこから来るのかっていうのが、
なんであんなに陽気でいられるのか、やっぱり努力する人は多分すごい努力してると思うんだけど、それが出てこない?滲み出てこない?そのオーラの中に。
高木 恵子
あとは本当に野球づけ、子供の頃からきっと野球づけだったから、俗世界を知らないというか、見てないというか。
田中 愼一
純粋だってことですね。
高木 恵子
だと思いますよ。
田中 愼一
これから汚れていくってことですか。
高木 恵子
いやいや、何を持って汚れるという、あれなのかわからないけど、でも本当に野球が好きで、野球の中でいることが自分の楽しみ喜びでもあるから、だから苦じゃないんでしょうね、ずっとそこに。
田中 愼一
野球と一体になってるわけですよね。
だから苦じゃない。
高木 恵子
そうだと思う。
田中 愼一
でも野球と一体になるために、それその努力が必要だったんだと思うんですけどね。
高木 恵子
あとはもう本当に野球以外のことはきっとやってないと思いますよ。やってないというか。
田中 愼一
逆にね、通訳の彼、あれが結局お金使い込まれたでしょ。
あそこあたりは確かに野球以外のことは全然ないっていう一つの事象ですよね。
だって普通、そういう権限は与えませんよね。
高木 恵子
まあそうなんですかね、そこはね。でもそうだな。
田中 愼一
だから逆にそこまで野球と一つになってるっていうのはすごいなっていうか。
だから結構多くの人がやっぱり自分のやってることと一つになりたいって思ってるじゃないですか。
自分のやってることに対していろいろ不満とか不平とか。
高木 恵子
あとは、もしくはあれですよね、そこまで好きになれることやりたいと思うことを今持てる人が少ないような気がするんですよね。
あそこまでだってそれ以外のものは何もいらない。
なんか自分の生活、人生全部野球でいいぐらいな感じじゃないですか。
そこまで思い入れ込めるものが、やっぱり今の我々というか一般人には、そういうふうなものが見つからないのか持てないのかわかんないけど。
田中 愼一
例えばアメリカなんかどうなんですか。
たぶんアメリカは元気が悪くないっていう質問ってないと思うんだけど。
日本だとしょっちゅう日本人は元気じゃないって言うんだけど。
中川 浩孝
さっきの陽気っていう言葉がいいのかポジティブっていう言葉がいいのかわかんないんですけど、
日本人の陽気さと夢
中川 浩孝
アメリカ人あんまりやっぱり、もちろん鬱になっちゃう人とかたくさんいるんですけれど、
でも全体的に考えると、あんまり斜に構えずにポジティブに全体的に自分の人生を受け取ってる人の方が多いかなっていう気は、
全般としてそのジェネラルに考えるとあるかなっていうのはありますね。
日本人はくよくよしがちっていうか、いちいちやられちゃうっていうか、
アメリカ人そういう小さいことは日々あるんだけど、でもやっぱり自分はこういうのをやりたいしとか、先のことをもっと考えてる気はしますね。
田中 愼一
そうすると、ある意味その肯定感っていうのは国土の広さですか。
中川 浩孝
どうなんですか。
田中 愼一
小さい島で育った日本人と大きな大陸で育った、しかも多様な民族と一緒に育った、肯定感、否定感。
中川 浩孝
教育の中でこういうふうにするべきだ、みたいなこととかをあんまり言われないような気がするんですけど。
田中 愼一
アメリカの場合ですね。
中川 浩孝
良いところをちゃんと良いところだけを伸ばす。
日本人って全部平均点取っていかなくちゃいけないみたいなところあるじゃないですか。
日米の働き方の違い
中川 浩孝
アメリカ人はそういうことをあんまり考えてなくて、いいところだけ伸ばせばいいってちょっと考えてる節はあると思うんですよ。
日本人ってやっぱり会社で一生同じ会社で働いちゃうみたいな、ジェネラリストになることが大切みたいなのもあったりするじゃないですか。
でもアメリカ人はやっぱり一芸秀でてれば、そこで食っていければいいじゃんって、そこで成功すればいいじゃんっていうふうに考えてる人のほうが、
僕はなんとなく多い気はします。
なので日本人は平均点取って中庸な人はできるんだけど、
特殊な能力を持っていて、あと何もできないみたいな人がとっても少ない気がするんですよね。
それをあまり良しとしない感じもちょっとするかなっていうのはあるので、
それと比べるとアメリカ人は人間としてどうかなって思うんだけど、
でもここはすごいっていう人がたくさんいるような気はしますね。
田中 愼一
確かに一芸に秀でた人っていうのは多いですよね。
それが一つの王道っていうか、生きる道っていうのが、
日本じゃ一芸で生きるっていうのは、どっちかというと脇役というか、
中川 浩孝
際物的な感じになっちゃうんじゃないですか。
田中 愼一
きわもの的な話であるんで、それは間違いなくあるでしょうね。考え方の違いがね。
中川 浩孝
そこの考え方はずいぶん違うと思いますね。
大谷翔平とワールドシリーズ
中川 浩孝
常識通りちゃんと生きていくことが正しいとか、それがいいことだっていうことか、
っていうのはすごい違う気がしますね。
田中 愼一
そうですね。
中川 浩孝
だからあってるんだと思いますよ。大谷みたいな人はすごくアメリカ人。
田中 愼一
大谷がね。そうでしょうね。逆にそうなんでしょうね。大谷ね。
大谷論議は面白いですね。
高木 恵子
今度の日曜日、日本時間の日曜日だけど、
違う、アメリカの日曜日か。
ってことは月曜日。
そうそう、ダルビッシュとやりますもんね。
田中 愼一
やりますよね。
なんか本当にね、ワールドシリーズがこれほど面白くなったっていうのはなかなかなくて、
みんなそっち今見てて。
で結局味方するのは日本人の選手がいるチーム。
高木 恵子
そうそうそうそう。結局は。
田中 愼一
だからこれも一つの一体化なんですかね。日米の。
お互い同じワールドシリーズを見てるっていう共有化ができるじゃないですか。
高木 恵子
そうですね。
中川 浩孝
確かにね。
田中 愼一
だからもっと日本人選手が行ってくれると面白くなっていくんでしょうね。
中川 浩孝
本当の意味でだから世界リーグになっていくのが、
アメリカのリーグがそうなっていくっていうのだったら面白いですよね。
いつもワールドシリーズって呼ぶのはどうなのかなといつも思ってます。
田中 愼一
でもヨーロッパというどでかいところがね、乗ってこないし、アフリカとか南部やら乗ってこないからね。
高木 恵子
アジアもだって、アジアもだって台湾、韓国、日本ぐらいじゃないですか。
田中 愼一
東アジア勢って言われてくるんで。
中国は振り向きもしないね。
高木 恵子
野球はね、そうですよね。
田中 愼一
少なくとも日米間で考えたとき、東アジアとアメリカって考えたときに、
いわゆる日米同盟と同じように一つの絆なんでしょうね。
そういうふうにワールドシリーズこれからなっていくんじゃないですか。
だから結構の数の日本人投手がいくでしょうね。打者も含めて。
必ずほとんどのチームには日本人がいるっていう事態ってそう遠くないと思うんですよね。
日本人投資家のアメリカ進出
田中 愼一
これからの高校生も、あるいは野球を目指す人も、
もう視野はワールドシリーズで、日本のセ・パ両リーグじゃなくなってくるんでしょう。
だからセ・パ両リーグでちょっと準備運動をして、それからアメリカに乗り込んでいくっていう。
高木 恵子
でもあの子、高校野球ですごかった子が、結局スタンフォードも行っちゃいますもんね。
田中 愼一
ああそうか。
高木 恵子
夏の高校野球で、すごく強かったの佐々木くんだっけ。
あの子が結局大学も行かず、普通だったらプロに行くかっていう。
そのくらいできる子が、結局スタンフォードに留学して、アメリカで野球をやるっていう。
これは新しいですよね。
田中 愼一
新しいし、たぶん下手に大学なんか行くより日本の。
スタンフォードに行って徹底的に鍛えられた方が、将来の伸び率っていうのが高まるんですよ。
高木 恵子
あとやっぱりその大学をスタンフォード、野球をやるにしても、やっぱり英語圏の中で生活して英語も学んでってなると、その後の自分のまた人生がぐっと広がりますよね。
きっと。
田中 愼一
やっぱりね、こういうのを見ていくとアメリカの求心力って強いもんですね。
たぶんこのまま行くと日本のプロ野球っていうのは二部リーグになっちゃって。
一部はもうワールドシリーズで、そこに対する二部として、二部で優秀だった年齢がどんどんワールドシリーズに行って、
で、その二部にもはやセパ、両方必要ねえだろって言うんで、一リーグ制になってですね。
徐々にアメリカに吸い取られていくって感じ。
高木 恵子
そんななっちゃうのかな。
田中 愼一
でもそこが、やっぱりアメリカって同じ中国とかロシアと違って、そこがやっぱり大きいですよね。ソフトパワーと言ってもいいのかもしれないけども。
やっぱりどんどん吸収、集めちゃうじゃないですか。
高木 恵子
確かにね。
田中 愼一
それがアメリカの底力っていう感じはするから、国土的にはロシア、中国、アメリカと見たとしても、中国、ロシアにはそういう求心力っていうか、
アトラクションというか、人を引きつけるっていう磁石がないから、重力が働かないから、そこってのがやっぱりアメリカのすごい凄さかなってのはありますね。
中川 浩孝
確かにね。
田中 愼一
僕もホンダにいたときの同僚なんていうのとか、あと学生時代の同僚なんていうのは、もうアメリカにいついちゃって、家族が先に。
で、本人が日本に駐在を終えて帰っても、アメリカに家族はいるもんだから、結局日本で定年迎えたらアメリカに帰るっていうのがかなり多いですよ。
高木 恵子
へー、そうなんだ。
田中 愼一
日本に帰りたくないってみんな家族が言い始めるわけですよ。奥さんが一番最初に言い出して、その後それに子供たちが。
で、子供たちもアメリカの大学にどんどん行っちゃうから。そうすると親父の方はですね、一人単身赴任で日本にいて、で、そこである程度定年とか次のステップになったときっていうのは、日本にいるっていうことが、これはもう結構寂しいことでありましてですね。
そうするとみんなアメリカに戻っちゃうっていうやつがね、ずいぶん多いですよ。
中川 浩孝
奥さんはなんでアメリカの方がいいっていうふうに判断するんですかね。
田中 愼一
住み心地がいい。楽だ。ある程度の所得を持っていればアメリカはいいですよ。ある程度。
だからそういう意味で言うと、特に日本の企業によるアメリカ投資っていうのは製造業に多いんで。
だから製造業が多いっていうことは、技術移転の過程で多くの日本人技術者がアメリカに駐在するわけですよ。
だって僕がいたときは、僕の前のホンダで行ったときってのは何百人単位で家族が行きますから、駐在が。
それかける家族の数でしょ。そうするとものすごい数がいっぱいあるわけですよ。
しかも一旦行くともう5、6年どころか10年とか、どんどんどんどん重なっていくと向こうに移住したようなものになっちゃう。
中川 浩孝
子供がいる方は特にね、学校がとか。
田中 愼一
学校関係とかそうなると、そうすると基本的には駐在が終わると、基本的には家はアメリカに残して、家族もアメリカに残して、自分だけ単身赴任で本社に帰る。
中川 浩孝
そこだけとっても日本的なんですけどね。
田中 愼一
そこだけとっても日本的なの。
中川 浩孝
アメリカは家族が離れ離ればね、あんまりないですからね。
単身赴任ってやっぱりおかしな考え方だと思う。
田中 愼一
まず少なくても会社は、だったらアメリカにいろってアメリカで仕事しろっていう感じになるに決まってるし。
高木 恵子
そうか。
田中 愼一
本当あのね。
高木 恵子
単身赴任か。
そうですよね。
田中 愼一
単身赴任ってよほど夫婦仲が悪いんじゃないかと疑われますよね。
高木 恵子
でも多いですよね。日本はね。普通になんか単身赴任。子供が学校変わりたくないから、お母さんと子供はね。
中川 浩孝
国内でも普通にありますよね。
高木 恵子
そう、残るとか。お父さんだけ国内単身赴任とかよく聞くけどな。そっか、ないですよね。外国人そういえば。
中川 浩孝
外国ではあまり聞いたことがない。
フィリピンとかね。東南アジアは結構ね、なんかありますけれどもね。
高木 恵子
確かに。
中川 浩孝
日本だけなんじゃないかな。そこまで大々的にやってるのは。
田中 愼一
いずれにしてもアメリカってやっぱり、いろいろ問題あるにしてもすごい国だなってのは、いろいろ思いますよね。
高木 恵子
まあそうですね。確かに。
田中 愼一
ある意味、日本っていうのは、したたかっていう意味で、例えばさっき、坂の上の雲の話しましたけど、やっぱりアメリカを非常にしたたかに使ってますよね。
もちろん最終的には第二次世界大戦の敵になっちゃって、ボンボンやられたんだけども、それもまた一つ、
敗戦からの立ち上げっていうのは、やっぱりアメリカの力がでかかったと思いますよね。
事象で言うと朝鮮動乱が起こっちゃったから、日本を完全に武装解除というか、
少なくとも海軍のほうはそんな武装解除せずに、陸軍は武装解除しちゃったけど、海軍のほうはある程度温存して、
いわゆる戦争中に巻かれた機雷、海の何千何万て機雷が日本海の周りにあって、
それを全部取り除かないと、朝鮮に軍隊を日本から送れないって話になって
それのために既存残った日本海軍が全部そのほうに回されて、それが今日の海上自衛隊の基盤になった。
朝鮮動乱があったおかげで、日本の工業が、いわゆる経済が一挙によみがえって、こうなってきたっていう。
第二次世界大戦の前の段階で言うと、昭和に入ってから日米関係って非常におかしくなったけど、
やっぱり黒船が来て、アメリカの黒船が来て、そこから明治が始まって、ある意味。
明治の時に日露戦争をした時に、やっぱり戦費をどこで稼いだかっていうと、アメリカとヨーロッパなんですね、日本。
その時に活躍した連中が、高橋是清とか総理大臣になって殺されちゃったけども、金子という、これはアメリカのハーバードを出ていて、
その当時ルーズベルトっていう大統領だったんですけど、セオドアル・ルーズベルトじゃない方のルーズベルトなんですけども、
彼のルーズベルトと学友だったんで、アメリカの日本支持っていうものを取り付けたんですね。
アメリカからの資金調達っていうのも取り付けて、高橋是清がイギリスのほうに行ってヨーロッパで資金調達を、特にジューイッシュ資本を中心にして、
それがいわゆる戦費がほとんどなかったところを一挙に入れて、日露戦争をなんとかしのいだというか、勝った。
だからそういう意味でアメリカとのご縁っていうのは、黒船以来いろいろな形で日本っていうのはあって、
戦争の中はまさに悲劇だったんだけども、そういう逆境的な関係もあったんだけども、
今振り返ってみると、たぶん一番外国の中で日本とご縁があった国ってアメリカなんですよね。
あとはイギリスも結構大きかった。議会政治っていう形でイギリスの内閣制度を入れたんで、
イギリスもかなり近いけどアメリカのほどじゃないし、ドイツになるとまさにドイツ陸軍ということで非常に限定されたところにあったから、
だから基本的にはアメリカなんでしょうね、近代になってからね。その前は中国だけど。
だからそういう考えると日米関係っていうのはいろいろこれからも基軸になっていくんだろうな、日本にとって考えたときになっていくんだろうなと思いますよね。