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中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。
仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、
コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
コミュニケーションの修羅場を人生のチャンスと思い込んでいる、田中愼一です。
高木 恵子
SEからPR、コミュニケーション業界に転職して、はや四半世紀、高木恵子です。
中川 浩孝
外資系企業でマーケティングを経験してきた、アメリカ在住、中川浩孝です。
田中 愼一
この前は確か、家康の話をしようという話が出てきてましたよね。
中川 浩孝
それは私たちの中の話ですけどね。
田中 愼一
中の私たちか、そうか。今ね、大河でやってるから、評判はいまいちって言ったら怒られちゃうのかな。
でも、大河でやってる家康っていうことで、家康かなっていうふうに思ってたんですけども、
家康を取り上げられると、他の人たちも取り上げていかないと、
家康自身のポジショニングっていうのはわかんないんですよね。
何を話せばいいのかっていろいろ考えてたんですけども、
戦国時代っていうのは、ちょっと調べたら150年間ぐらい続いたらしいんですよね。
家康とか信長、秀吉っていうのは、どっちかと言うと、だんだんそれを統一に持っていくレベルで出てきた。
でもその前には、北条早雲とか、毛利元就とか、上杉謙信、武田信玄などという早々たる戦国代名がいたわけですけども、
戦国時代の日本の軍事力
田中 愼一
やはりそういうことを考えたときに、実は当時のこの150年で、
日本っていうのは世界的に見ても、もうある意味軍事大国だっていう。
それはいくつか指標があって、例えば軍事力の面で言うと、
その当時ヨーロッパ、同じ時期にヨーロッパのスペインっていうのが、
軍事力的にはヨーロッパで一番だったらしいんですが、
それがだいたい6万から8万ぐらいって言われてて、
当時の日本の総兵力っていうのは15万から25万ぐらい。
実際、豊臣秀吉が朝鮮出兵しましたよね。
あの時には2回やったんだけど、1回で15万人の兵力を動員したそうなんです。
だから、たぶんその当時の日本っていうのは、この150年間戦乱に明け暮れる中で、
すごい兵力、いわゆる兵力基盤っていうのがですね、
もう世界でダントツナンバーワンになっていたような時代だったのかなって想像できるんですね。
そういう時代の中っていうのは、戦いっていうかね、にあけくれてると、
結局何が何でも戦いで負けるとですね、こっちが存在がなくなるわけですよね。
だからみんな必死こいてですね、勝つっていうことを目指すわけで、
そうなると軍事力だけじゃなくて、自分が持ってるありとあらゆるものをですね、
投入して勝ちを取りに行くっていう、そういう日常的にそうなってきてるっていう、
コミュニケーション力の重要性
田中 愼一
世界だと思うんですけども、そうするとちょっとこれはここあたりは仮説なんですけども、
やはりそういう動乱の時代、あるいは戦いっていうものが日常さ反時化している中で、
当然ながら結果としてね、研ぎ澄まされるのが、実はコミュニケーション力で。
つまり軍事力だけに依存してると、軍事力ってのはどんどん使えば使うほど消耗しますから、
こっちも弱ってくるわけですよね。
だから当時の人たちってのは、なるべく軍事力の消耗を少なくし、
別の力を使って相手を倒していくっていうね。
で、そのじゃあ別の力ってのはもちろん財力とかね、
権力って言っても戦国時代は権力も減ったけどもないんで下剋上の世界ですから、
だからそれはあんまり効かなかったかもしれないけど財力とか、それからもう一つやっぱりコミュニケーション力。
つまり人の意識を囲い込んで、ある意味自分の思った通りに動かすっていうようなコミュニケーションの力学ですね。
多分そこあたりをですね、多分いろいろな形で組み合わせながら、
必死に自分たちの生存を守っていたっていう、多分そういう時代だったのかなと思うんですね。
そうすると結果的にですね、そういうところで生きてる人っていうのは、
もう必然的にコミュニケーション力、いわゆる受信能力。
しっかりと受信して、自分が大丈夫かどうかっていう受信し、
その中で何が戦略なのかっていうのを考えて、その戦略をどういう形で発信して、
相手にメッセージを届けるかっていう、そのコミュニケーションのサイクルですね、受信戦略発信。
ここのやはりサイクルに対する回し方をすごい工夫したんじゃないかと思うんですね。
織田信長のコミュニケーション力
田中 愼一
だからおのずとその当時の日本人のリーダー、特に戦国大名と言われてる人たちっていうのは、
かなり高度なコミュニケーション、リタラシーを多分持ってたんじゃないかなって想像できるんですね。
そういうことを考えると、その中でも断トツなのがですね、やっぱり織田信長なんですね。
織田信長っていうのは、いろいろ見てると本当にね、コミュニケーションっていうものを、
言葉はないけど、彼の日々の受信戦略発信っていうものの発想の仕方っていうのはものすごく引い出てて、
それはやはり彼だけが引い出てたというよりも、その当時の日本のリーダーたちのコミュニケーションレベルがかなり高かった、世界的に見て。
そこにさらにその上を行く信長が生まれた。
逆に言うと、それだけのレベルが高いところだからこそ信長が生まれたって言えるんじゃないかなって気がしますね。
だからそういう意味で言うと、やはりコミュニケーションっていうのはなんていうのかな。
今ね、ウクライナで戦争やってるし、今度はハマス対イスラエルで中東でやってますよね。
ああいうとこっていうのは、やっぱりそういうところのリーダーっていうのはコミュニケーションに対してはかなり感度が高いんじゃないかな。
だから情報戦にすぐ入りますよね。情報戦に入ったり、いろんなメッセージをやったり。
ゼレンスキーなんて非常にコミュニケーションがわかってますよね。
コミュニケーションをうまく使いながら世界世論を味方につけて一挙にロシアと向き合うっていうね。
だからそういう意味では、よく戦争っていうのは技術革新を生む源だってよく言われますけれども、
ある意味そういう戦いっていうのは、人間のそのコミュニケーションの感度を研ぎ澄ます効果がなんかあるんじゃないかなって気はしますよね。
中川 浩孝
なるほど、面白いですね。
まあでもね、よく田中さんが孫子の話しますけど、孫子なんかそれを言い出したらね、もっとさらに前の話ですから。
田中 愼一
さらに前の話ですよね。
中川 浩孝
だから昔からやっぱり戦争というか戦いに関してはコミュニケーションが大切っていうのはずっと続いてるってことですよね。
ただ現代においてはですね、それってもちろん国と国との戦いもたまに発生してしまいますけれど、もっと大切なのってやっぱり企業との、企業活動というか会社と会社の戦いと言いますか経済戦争もそれの一つになると思うんですけど、
そういう意味では、会社のトップに立っている人でこの人はコミュニケーションがすごいなみたいなのって、なんかあんまりパッと今思い浮かばないですよね、残念ながら。
田中 愼一
残念ながら思い浮かばないですよね、あんまりね。これぞっていうすごい人っていうのはあんまり見ないし、ある意味日本のリーダーの方々のコミュニケーションのリーダーらしいっていうのがですね、やっぱりそれほど高くないっていうかね。
だから結局それに足引っ張られちゃうんですよね。
中川 浩孝
なるほどね。
田中 愼一
ただあの結構ね、少しずつすごいなと思っている人たちっていうのが少しずつ出てるような気はしますけどね。だからただちょっと遅いけども、ただあのやっぱり今重要なのはその個人のリーダー一人の、なんていうのかな、その対話力っていう以上に企業の対話力が問われてるっていう。
最近ありますよね、クライシス。先週あたりからジャニーズがあって、それから今も旬なのが日大のアメフトの対話の仕様。これ今日の報道では結構炎上してるけど。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
要はなんか、いつもクライシスが起こると大体情報流出って出てくるじゃないですか。そうするとその情報がこう流出してって、それを新聞が取り上げる、マスコミが取り上げるっていう形で炎上するんですよね。
結局記者会見があったのかな、前の時にはその実際はまだ人数を確定してないって言っときながら、もう流出した書類を見るともうすでにその時に分かってたはずなのに、っていうのがバレるわけですよ。
だからそうなると本当に企業っていうのはその対話力がボロボロになっちゃうんですね。だから本当にクライシスに出会うと企業の対話力がもう試されますよね、すぐね。
で、その対話力を支えてるのはじゃあ誰かっていうと、その企業のリーダーの人たち一人一人の対話力なんですよ。
だからそのリーダーの人たちの対話力のリテラシーが低いと、企業の対話力のリテラシーも必然的に低くなっちゃうんですね。
そうするとちょっとしたクライシスで慌てふためいて、今言ったようないくつかのケースみたいな形で炎上してしまうっていうのが結構非常に多いですね。
だからやっぱりそういう意味で日本はもう少しそのリーダーの発信力というか対話力っていうのをしっかりと向上させていくことがすごく必要じゃないかなと。
特に今、企業の対話力っていうのはそのクライシスに対応するときだけじゃないんですよね。
やっぱり今大きな流れとしては、よく言うんですけど、今グローバライゼーションとかオープンイノベーションとか働き方改革とかいろいろな動きの中で企業の中で遠心力がどんどん強くなってきてる。
外へ向かって外へ向かってという、もっと言い方を変えるとステークホルダーですね、社員を含めるステークホルダーとの関係性、エンゲージメントと言ってもいいんですけども、それがどんどん薄くなっていってるんですね、外に向かってみんな出てくるから。
そうするとそれをほっとくと大変なことになって、そこをいかに給信力を高めて、遠心力と求心力でバランスを取らせるかっていうのが、
今これからの企業経営のもう一つのどでかいね、クライシスと並んで同じぐらいどでかい課題なんですけど、その時の一番の手法っていうのはもはや対話力しかないんですね、企業の対話力。
企業の対話力、それを支える一人一人のリーダーの対話力が基本的にはステークホルダーとのインゲージメントを強める。
だからそこが弱いとですね、どんどん遠心力の方が強くなって空中分解しちゃう企業がですね。
だからそういう意味では今本当にね、トップのリーダーたちの対話力、日本は問われてると思う。これをいかに強くしていくかっていうのがものすごく重要なポイントになってくると思うんですね。
だからそういう意味では対話力っていうのはしっかり日本としてもそういうのを身につけなきゃいけないし、ある程度対話力っていうのも別に大人になってから教わるというよりも、前も話したそのコミュニケーション・リテラシーっていうのを教える場がないですよね、今日本には。
小学校とか中学校みたいな。だからそういうところの基礎的な部分にもそういう対話力っていうものをね、鍛えるカルキュラムが必要かなって気がしますけどね。
中川 浩孝
実際にはどういうトレーニングというか、どういう訓練をすればこの能力って上がっていくんですかね。なんかこう実際の、それこそ私たちというかその実践みたいな感じでどちらかというとやってるわけじゃないですか。
田中さんもそれこそいきなりアフリカに行って、とんでもないところに突然投げ込まれたみたいなところから経験してるわけじゃないですか。
これを学校で学ぶってどういう感じなのかなってちょっとイメージがパッと今できなかったんですけど。
高木 恵子
私実はちょっとイタリアに留学していたことがあり、そこで一番びっくりしたのがイタリアって、ちょっと今はどうかわからないんですけど、試験が筆記試験と口頭試験なんですよ。
で、通常の例えば話を聞いてたら、私たちがね、中間とか期末とか普通にあるじゃないですか。定期的に。
で、ペーパーでこの筆記の試験もあるんだけれども、問題を出されたらそれを口で回答する。
だから口頭試験っていう、だから本当にペーパーで問われてる質問を自分の口で喋って回答するっていうのを、
対話力の重要性と差がある背景
高木 恵子
私がちょうどもう何十年も前ですが、そのイタリアに留学した時にそのイタリア人に聞いたのは、だから小学校からそういう授業らしいんですよ。
で、別に私立の高いところとかいうわけじゃなくて、イタリアの学校では口頭試験、だから私も大学行ったんですけど、口頭試験があったんですよ。
田中 愼一
それね、非常に面白いですね。
高木 恵子
多分イタリア人がね、口がうまいっていう。
田中 愼一
でも筆記で各々返答する時っていうのは文字を使いますよね。
高木 恵子
はい、そうそう。
田中 愼一
で、文字を使うっていうのは非常に限界があるんですよね。
対話力って基本的にね、体で覚えるものなんですよ。
高木 恵子
あー、なるほどなるほど。
田中 愼一
対話力っていうのは、頭で覚えるもんじゃないんですよね。だから言葉で覚えるもんじゃないんです。
高木 恵子
確かに。
田中 愼一
自分の身体の動きとか、要するに身体を動かすことによって対話力って出てくるっていう面がすごく強いんですね。
なぜかというと、対話力ってのは必ず非言語も出てきますから、だから言葉だけで収まる世界じゃないんですね、対話力。
だから筆記で返答するのと、口頭で返答するのというのは、もう雲泥の差になるわけ。
高木 恵子
そうですよね、多分。
口頭試験の特徴と難しさ
田中 愼一
だから、いわゆる口を動かすわけでしょ、口頭っていうのは。
で、口を動かすだけじゃなくて顔の表情から、それからいろいろなことをもう全て総動員してやらなきゃいけないんですよ。
文章だけで回答するのは、頭で考えて文章だけ書けばいいだけの話だけど、口頭になると自分の表情から目つきからどこを見てとか、この腕の動きとか。
しかも口頭っていうのは相手がいるじゃないですか。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
筆記で回答するの相手はいないんじゃないですか。自分で書いて渡すって向こう側読むだけの話でしょ。
でも目の前に今リアルタイムで相手がいるわけですよ。
これはもうまるっきり雲泥の差になると思いますよ。だから口頭試験でやったほうが圧倒的に対話力が身につきます。
高木 恵子
そうですよね。
中川 浩孝
それ面白いですね。なんかそれってどういうふうにでも評価されているのかもすごい気になりますよね。
田中 愼一
気になりますよね。
中川 浩孝
筆記だったら正解ができていればいいわけじゃないです。
どういう道筋でやったかわからないですけど、答えさえあっていればいいけれど、
口頭の場合はこの人のどういうふうに答えに至ったかっていうところまでが評価されているのかと考えると面白いですよね。
田中 愼一
面白いですよね。かつ多分口頭の場合は質問を受ける可能性があるわけですよ。
高木 恵子
そうなんですよ。
田中 愼一
追加質問を。
高木 恵子
回答に対してのまた質問が。
田中 愼一
それもまた難解で、文章で書いて渡すだけだとその質問がせめてこないけど、
口頭で行くとこっちの言ったことに対する向こうの反応を直接受けることになって、そこにまた対応しなきゃいけないっていうことで、結構難易度は難しいですよ。
高木 恵子
私の場合、もちろんイタリア語ネイティブじゃないから、イタリア語と英語と両方混じりながら回答したんですけど、
結局その語彙力が少ない分、質問に対して、もうなんて言うんですかね、ポイントしか答えられないじゃないですか、語彙力がないからそもそも。
だからほんとストレートに質問に対して、もう周りくどい話を付け加えないで、
田中 愼一
ストレートに言うんですよね。
高木 恵子
ポイント、本当に必要なことだけをうまく、ちゃんともちろんロジカルに、自分で言える範囲のロジカルで話していったら、やっぱり先生に、
まあ多少ね、留学生っていうこともあったかもしれないけど、すごく頑張った、よくわかりやすかった、みたいな評価はもちろんもらえた。
田中 愼一
確かそういうのってすごく面白いのは、言葉って結構無駄があるんですよね。
メッセージの構造化とポイントの重要性
田中 愼一
僕が感じたのは、昔アメリカに行ったときに、英語ですね、一見英語うまい人っているんですよ。
発音がきれいで、もうアメリカ人並みっていうか、なんかきれいで、すらすら話して口が回っていくんですよ。
でもね、ビジネスとかそういう中で、なかなか通用しないんですよね。
何かと思ったら、よく聞いてたら、無駄な言葉ばっかりが多いんですよ。
ポイントをついた言葉がほとんどないっていうか、ない。
だから今言った、けいこさんが言ったような形で、逆に語彙力が少ないから、少ない日本人の方が、実はポイントをついた答弁が、
発音下手かもしれないけど、ロジカルっていうか、ポイントをついた話ができるんですよ。
中川 浩孝
面白いですね。
田中 愼一
いらぬ言葉を知らないから。
まわりくどい言い方っていうのはできないから、もっともっと。
中川 浩孝
これいいのかどうかわからないですけど、私昔言われたことがあるのが、
ヒロがミーティングにいると緊張するって言われたことがあるんですよ。
なんで?と思って、別に僕そんなに、すごいね、わーって言う人でもないし、逆に言葉数が少ないから、何を言うかが怖いって言われたことがあって。
田中 愼一
言葉数が少ないから、言い出したらポイントが入ってるわけよね。
ポイントを出させてくるわけが怖いんだよね。
中川 浩孝
すごい考え、私の場合だから、英語でミーティングに参加した場合、どうしてもある程度考えをまとめてから言うことになるから、
言うときは結構大切なことだけを、ポイントだけついて言うので、そういうのが怖いって言われたことがあります。
田中 愼一
評価されてるんですよ、それ。
中川 浩孝
そうかもしれないですね。
田中 愼一
僕も外資系にいるから、基本的にはグローバルミーティングなんかにボンボン参加するでしょ?
そうするとですね、議論が始まると、みんなね、いい加減な話をボカボカボカボカ、
話し合い、発信すればいいとみんなバカみたいに思ってるわけ。
それでボンボンボンボンやって、僕は語彙数が少ないから、あんまり発信できないから、
逆にずっと最後までいろいろ考えながら、最後にシーンなんかあるかって言ったときに、
自分が言える範囲の中でもさらに絞り込んだことをボッと言うわけですよ。
そうするとそれがですね、おーって話になって、
要するに何て言うんだろうな、無駄話をしないっていうね。
無駄話ができない。
だから逆に言うと無駄話、持っているものの中でも、じゃあもう一番ここだけでもっていうのが話すと、
それが本当ポイント中のポイントになるわけですよね。
中川 浩孝
そうですね。
田中 愼一
よくそれでおーすごいなっていう、だから日本人って結構そこでね、立ち位置作る人も多いですよね。
最後にまともなことを言う。唯一。
みんながそれまで無駄な話をボンボンやってるんだけど、最後ね、日本人が片言だけど発音も悪いけど、
ポイントをついたことをボンということによって尊敬の眼差しを得る。
こういうね、勝ちパターン。そういうのってのは確かにありますね。
だから面白いですよね。
やっぱり言葉っていうのはやっぱり気をつけなきゃいけないですね、我々。
高木 恵子
そう、なんかやっぱ意味がある話をしないといけないってことですね。
田中 愼一
意味ある話、そう、まさにね意味ある話にしないといけないんですよ。
だから結構我々は無駄話というか意味のない話をずいぶんしてるんでしょうね、気がつかないうちにね。
お互い反省しないといけないんですね、これね。
中川 浩孝
いやー日本語だとね、そこはね、自分のやっぱり母国語だと緩むんですよ、気が。
田中 愼一
緩みます。
そうですよねー。
余計なことも言う。
高木 恵子
そうそう。
田中 愼一
あれも言いたい、これも言いたい、あれも言いたいって言って余計なことがどんどん増えていっちゃうんですよ。
中川 浩孝
そぎ落としていかないといけない。
田中 愼一
そぎ落とすっていうのがすごく重要なんですよね。
高木 恵子
だからやっぱメッセージ構造と一緒ですよね。
特に取材とかで。
だからやっぱりこれを言うっていうその一番シンプルでクリアなものが絶対重要ですもんね。
田中 愼一
そうですね。
だからリーダーシップコミュニケーションというかリーダーのコミュニケーションが対話力がすごいっていうのは、
やっぱりひとえにそのメッセージがちゃんと構造化されてて、非常に整理されてるっていうのかな。
しかもいわゆる非常に最小限というかね、そり落としている無駄なものが。
そういうメッセージが構造化されていると非常に発信力のある人になりますね、間違いなくね。
非常に対話力があるな、スピーチがうまいなって思う人っていうのはものすごく結晶化されたぐらいにメッセージが構造化されてちゃんとある。
そうじゃない人っていうのはメッセージがあやふやなんですよまだ。
構造の強度が弱すぎる。
だから結局発信しているものがブレてくるんですよね。
そこはもう間違いなくひとつなんですよね。
高木 恵子
私もそれで言うなら、もちろん英語はネイティブじゃないですけど、
英語のいろいろスピーチとかを講演とかを聞くときに、スピードとかアクセントの聞きづらさっていうのは置いといても、
そのやっぱり英語がすごくわかりやすい人とわかりづらい人っていますよね、外国人で。
中川 浩孝
いますいます。
高木 恵子
私、ヒラリー・クリントンさんがとあるアメリカのところで、パブリックのところでお話をすごく近い距離で聞いたんですけど、
彼女の英語は、たとえばわからない、難しい話だったとしても、
彼女の話は全部ストレートにすっごい入ってくるんですよ、全部。
すごくだから、わかりました。
田中 愼一
なるほどね。やっぱりそこはメッセージ構造がしっかりしてるんでしょうね。
高木 恵子
そうなんですね、たぶんきっとだから、
彼女は私、話がうまいっていう、なんか私が言うのもあれですけども、
すごく本当に英語が一番スーッと入ってきた感じですね。
難しい言葉とかいろんな難しい複雑な話もしてたんですけど、
非常にやっぱり入ってきましたね。
田中 愼一
やっぱり旦那のほうも、クリントンの大統領のほうも、元大統領のほうも、
やっぱり話はうまかった気がしますね。
高木 恵子
そうなんですね、やっぱり。
田中 愼一
僕はやっぱり一番話がうまいなと思うのは、うまいっていうか、
僕がわかりやすいなと思ったのはオバマですよね。
高木 恵子
そうですね、オバマさん。
田中 愼一
オバマはね、特に僕彼のスピーチの中で好きなのが、
勝利宣言って、これYouTubeに載ってますけど、
104歳の黒人のおばあちゃんの話をし始めるんです。
勝利宣言のときですよ。
ホワイトハウスの前で勝利宣言、議会だったかな、
ワシントンD.C.で勝利宣言をするんだけども、
104歳のおばあちゃんの話を始めるって言い始めて、
この104歳のおばあちゃんはいろいろなことを経験してきた。
そういう中で、いろいろな困難な壁にぶち当たりながら、
それを一つ一つアメリカが克服していった歴史を目の当たりにして見てきたんだって、
こういうとこから話が始まるわけです。
で、我々は変わらなきゃいけない、チェンジね。
We must changeね、チェンジね。
で、我々は建国の理念に戻ったら、
我々は今までいろいろなことをね、壁っていうのを具体的に話しながらね、
その壁の一つにパールハーバーも入ってるんですけど、
つまり、国の名前は言わなかったけど、パールハーバーを襲撃されて、
それによって絶対主義に対する戦いが始まったとかね、
なんかそういう形で、一つ一つ乗り越えてきたっていうのを、
ずっと104年間ずっと語るわけですね。
で、我々は変わらなきゃいけないんだと。
で、我々は変われるんだっていうスピーチで最後を締めるんですけど、
で、最後にお決まり文句のように、Yes, we canっていうのを言うと、
だんだん聞いてる人たちも、何万人っているんだけど、
みんなが口ずさみながら、Yes, we can、Yes, we can、Yes, we canって言ってくる。
戦国大名のスピーチ
田中 愼一
あのスピーチは非常に、今僕は教材としても使ってますけどね。
僕は彼のスピーチの中で一番いいし、もともと彼はスピーチで名前を挙げたんですよね。
シカゴ(実際はイリノイ州です)の上院議員だったときに、誰の演説だったかな。
民主党の誰かの大統領候補の演説をして、そのスピーチがうまくて、
一挙に客を浴びて、無名の彼が非常に大統領候補まで上り詰めるきっかけを作ったスピーチなんですけど、
それもいいけど、やはり勝利宣言のスピーチは絶品でしたね。素晴らしい。
実はメッセージの構造化っていうのは、うち(フライシュマン・ヒラード)の部隊が作ったんですよ。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
で、それがそのメッセージ、だからメッセージわかるんですよね。
で、よくぞあのメッセージを、ああいう104歳のおばあちゃんの話に変えて、
ナラティブを聞かせて、あのスピーチを作ったなっていうのは、やっぱりなるほどなと。
もともとコアとなるメッセージがちゃんと構造化されてたんだなっていうのは、非常に感激でしたね。
高木 恵子
なるほど。
で、だからなんか日本もそういう口頭試験とかって取り入れると面白い。
田中 愼一
もっと取り入れるべきですね。
会話するってのがどうも先生方はめんどくさくみたくて、
だからなかなか口頭試験やってるところってないけども、でも少なくともある程度までいったら口頭試験を最後にやるとかね。
中川 浩孝
これただ残念ながら評価する側もすごい訓練が必要なんですよね。
田中 愼一
まさにそうですよね。
高木 恵子
確かに確かに。
田中 愼一
それはねものすごくあるな。
中川 浩孝
だって答えがやっぱりね正解があって、それこそマークシートみたいなもので答えれば誰でも評価できますけど、
このいろんなそれこそボディーランゲージもあって、実際のしゃべりもあって、順番もあってとかっていうトーンもあってとか、
それって情報量めちゃめちゃ多いのでこれを評価するのってすごく大変です。
田中 愼一
ヒロちゃんに聞きたいのはですね、アメリカなんかってのはもう少し総合評価しません?
中川 浩孝
確かにそうですね。
田中 愼一
例えば高校での活動とか、いろいろなところでの総合評価ということで、
試験の紙一ペラ一枚でですね、文章で口頭もせずに決めるなんていう、そういう短略的な選考方法じゃないですよねアメリカの。
中川 浩孝
じゃないですね。
そうですね。本当に社会活動をどういう風にしているかとか、ボランティア活動をしているかとか、スポーツでどういうことをしたかとか、本当に総合力が試されますよね。
田中 愼一
総合力ですよね。だからこそ結構彼らっていうのはやっぱり、大学に入るのはそれなりに入っちゃうんだけども、
別に試験勉強なんてそんなグワッとやるよりも日頃の活動をしっかりやってればね。
で、入ってから勉強するわけですよみんなね。
日本は入ってからサボるわけですよ。
高木 恵子
そうそう。入るまでが大変ですもんね。猛勉強して。
田中 愼一
猛勉強して。しかも猛勉強って言っても、僕が今から言わせると勉強じゃないですよね。
記憶ごっこですよ。記憶ごっこ。
高木 恵子
確かに確かに。
田中 愼一
嫌だったな、受験は。本当にこんな無駄なことなんで?って話ですよね。
中川 浩孝
でも今どうなんですか?なんかもう少しこう。
高木 恵子
いやあんまり変わんないんじゃないですか。
中川 浩孝
あんまり変わってないんですか?
高木 恵子
そのなんか問題の質は良くなったのかもしれないですよね。話を聞いてるとか問題の内容が。
でもやっぱりこう、やっぱ記憶力じゃないのかな。
田中 愼一
記憶力ですよね。何を知ってるか知らないかっていう。
単純にね、KPIを言うと何を知ってるか知ってないかだけで判断されるということで。
発想の展開とか物事の考え方とかロジカルシンキングとか、あるいは頭の中でだけで考えない。
つまりちゃんと体も動かしながら行動で体で感じ取ってるかどうかそういう活動をやってきたかどうかとかね。
多分ねそういうオールラウンドの視点から人を評価するっていうのは僕はアメリカの大学の方が入試試験はあるんじゃないかなっていうのがイメージですね。
中川 浩孝
なんか AO 入試とか増えてるっていう話はありましたけど、まだまだ主流ではやっぱりないですね。
田中 愼一
まだね。だからそこが今の日本の大学のレベルをね、低めてるっていうかね世界的に。
ランキング低いですよね日本の大学ね。
高木 恵子
低いですよね。
田中 愼一
本当に低い。アジアの中でも低いんですよね。
高木 恵子
そうそうそう下がってきちゃった。
田中 愼一
待ってくれよ一番初めに近代化をした、アジアの中で近代化した日本の教育制度がですね、どうなってんだっていう気がしますよね。