断捨離の始まり
中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。 仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
みなさん、こんにちは。コミュニケーションを極めると自分が見えてくる、世界が見えてくる。 コミュニケーションの世界に携わって、はや40年以上、コミュニケーションが命。シン・田中こと、田中愼一です。よろしくお願いします。
高木 恵子
SEからPRコミュニケーション業界に転職して、約30年、高木恵子です。
中川 浩孝
外資系企業でマーケティングを経験してきた、アメリカ在住、中川浩孝です。
田中 愼一
今日は、そうですね、一般に言う断捨離っていう言葉がありますよね。なんかあれ、昔から僕は知らなかったんだけども、あの結構ピークがあって、なんか断捨離ブームっていうのはありませんでしたっけ?
なんですか、本か何か誰かが書いて、それで断捨離ブームが生まれたんじゃないかなって、勝手にイメージしてるんだよね。
で、断捨離で、で、まあ今、いろいろな形でですね、私、断捨離を実行してまして、まあちょっと場所も変えるっていう、引っ越しっていう形で始まってるんですけども、
でも、断捨離っていうのは結構、ある意味、何とか実際やってみるとわかるけれども、何に一番初めに気がつくかというと、
自分、囚われている自分の心をね、実感するんですよ。
で、まあけいこさんに話を聞くと、けいこさんなんかは、もう3年間使わなかったら、もうね、リサイクルか、いろいろなとこにもう出していくっていうね。
田中 愼一
その循環の構造をですね、しっかりとこう、なんていうのかな、回してるんですね。
ところが、いざ、僕なんか突然こういう断捨離を始めるとですね、もともとその循環構造なんて持ってないから、なんか、いや、出していくともう15年間ね、着てない洋服とか、
あの、いろいろな食器でも、もう長年タッチしてなくて、残ってるものとか、それが実はかなり多い。
で、じゃあそれを捨てようかって言った瞬間にですね、いやちょっと待てよ、これ捨てちゃったらな、まだ使えるのになとかね、
これあの時の思い出がある品物だよなとかね、いろいろ出てきて捨てるという行為ができなくなる。
これ結構ね、辛い話で、まああの、けいこさんの話が後で出てくると思いますけれども、けいこさんなんかの話を聞いた時には、そういうもんかと、やっぱりそういう、何というか、絶えず、何というか、そのまだ使えるものっていうのは、ある意味まだなんだろうな、生命って言い方言うとちょっとおかしいけど、命があるわけですよ。
作用をちゃんと使えるものっていうのはね、食器でも何でも。で、それをやっぱり自分が使わなくなったら、それを次の人に循環させるっていう発想っていうのをね、けいこさんから教わりましてですね、この前この話をしてたら。
で、なるほどなと、やっぱり循環っていうものを考えた時に、いわゆるせっかく役に立つものや食器や洋服がまだあるのに、
死蔵してしまう自分のところで。それはどこから死蔵しちゃうかというと、自分の心のとらわれそのものに対する。
で、これがね、結構そこのとらわれから自らを放すっていうのがですね、結構人間苦痛なんですよ。
そうすると結局断捨離って思いっきり言ったんだけども、いやじゃあこれも残しておくかな。これもいいかな。結局断捨離にならないっていうね。
これバカみたいな話でしょ。でもね、コミュニケーションの視点から言うと、自分との対話が成り立って、自分との対話をし続けて失敗した例なんですね。
結局断捨離にならなくて、結果としてね、もう後ろの混雑した状況を作り出しただけで混沌と今しちゃってて、どっちかというと心が呆然としてるって言ったもんですね。
そういう状況です。だからコミュニケーションという視座でこの断捨離を考えると、それなりに面白い議論ができるかもしれないですけどね。
友人関係の変化
田中 愼一
自分への捕らわれ、いかに心っていうのが周りのものに捕らわれるのかって。これ多分ものだけじゃなくて現象とか事象とか経験なんかもそうなんでしょうね。
もっと言うならば、関係性の断捨離っていうのもあるんでしょうね。
やっぱり関係性が出来上がるのがコミュニケーションのストックなんですよ。コミュニケーションという受信、発想、発信っていうフローを循環させて、しっかりと循環させていくと、ストックとしてのいわゆる人間との関係性ってのは出来上がっていくわけですよね、周りの人との。
でも今言った断捨離ってその逆を回していくわけですよね。だから自分との対話を、つまり循環する受信、発想、発信っていうコミュニケーションを自分との対話として位置づけて、自分と対話し続けてぐるぐる回していくと、徐々にその関係性を減らしていく。今は関係性を増やしていくっていうところにあるんだけど、関係性を減らしていくっていう段階になるっていうのは、
確かに何かありますよね。
高木 恵子
私の周りの友達でいますよ。
田中 愼一
います?
高木 恵子
友達の断捨離をしたっていう。
田中 愼一
これどう断捨離したんですか?
高木 恵子
だからやっぱり本当に関係性を絶ったって言ってました。
田中 愼一
それ何で?目的、理由何なんですか?
高木 恵子
そうなんですよね。詳しくは当事者からは聞かなかったんだけれども、結局、若い時にみんなで遊んでて、結局人生のステージが変わるじゃないですか。結婚したり、お子さんができて家族も増えて、生活リズム、生活のパターンが本当に人それぞれ全部変わってくると、
その若い時にみんなでキャピキャピ遊んでた時とも同じ時間が過ごせないから、
田中 愼一
こっちがね。
高木 恵子
そう、そうするとやっぱり家族ができる、その自分の社会の位置づけも変わってくるってなると、人間どうしても比較をしちゃうみたいで、
そうすると、もう明らかに嫌とか好きとかっていう違いが若い時に比べると、すごい大人になってくるとクリアになっちゃう。
で、そこで結構なんか、この世代になってくると、なんかね、いざこざが結構あるんですよ、聞いてると。
やっぱり。
そうして、だからそういうのがもう、もう友達っていうのがたくさんいなくても、いい年代じゃないですか。
田中 愼一
まあね。
高木 恵子
家族もいたり、本当にもうごく少数で、まあ分かり合える人だけでいいっていう年齢になってきてるんで、そこで断捨離なんですよ。
もうめんどくさい関係、簡単にはめんどくさい関係とか、居心地がよくない。
なんかわざわざ、そのコミュニケーションだから、お互い嫌な思いをしないようなコミュニケーションをしながら付き合いをするのはもう大変じゃないですか。
中川 浩孝
気を使ってね、確かにそれは意味ないですよね。
高木 恵子
だからそういう人に対して、おそらく断捨離をしたっていう表現、私何人かの友達というか周りの人から聞いて。
田中 愼一
それコミュニケーションの視座から説明できますね。
しがらみとつながり
田中 愼一
コミュニケーションっていうのは、さっき言った何かを人は受信して、そこから自分の発想が生まれて、その発想に基づいて発信、行動を取るっていう。
これコミュニケーションのフローで、言い方変えると循環モデルですよね。
人間が生きていることを支える循環モデルですよね。
その循環がぐるぐる回るとストックがたまってきて、それがさっき言ったように関係性なんですよね。
関係性の本質って2つかなくて、しがらみとつながりなんですよ。
いつも僕がレコメンドしてるのは、とにかくその循環しているコミュニケーションの受信、発想、発信っていうものを意識しながら回していって、
それによってたまってくるストック、つまり関係性ですね。
っていうものをつながり最大かしがらみ最小かって言葉を使ってます。
つながりっていうのは相手が動いてくれる関係性。
僕は今まで教えてるんですけども、しがらみは相手に逆に動かされてしまう関係性。
今のけいこさんの話からすると、たぶんつながりっていうのは今自分の人生のステージにある意味有効的な関係を作れてる人っていうのはつながりなんだと思う。
ところがもう一つしがらみって方があって、
しがらみっていうのはもう嫌々ながら、何ていうのかな、昔からの付き合いだからななんて思いながら、
でもなんていうのかな、こう呪縛されてる感覚。
なんかそういうものかなと。
そうすると今その関係性の断捨離っていうのは、いかにそのつながりを絞り込んで自分の今のライフスタイルっていうか生き方に関して、
そこだけに集中し、しがらみになってるところをどんどん切っていくっていう行為なんでしょうね。
だから人間もやっぱりしがらみとつながりをですね、どんどんどんどん背負ってるんですよ。
引っ越ししないとダメな時期が来るんですよ。
そこで断捨離をボーンと関係性の断捨離をやることによって、次のステージにしがらみなくいくっていうのは、実は人生にとって大切なことじゃないんですけど、
定期的に関係性の断捨離っていうのは実は面白いコンセプトかもしれないですね。
自分の生き方に合わせて断捨離を行っていくわけですね。
物だけじゃなくて、そういう関係性もね。
高木 恵子
でもなんか自分で断捨離をしようって思わなくても、そうなってません。今までって。
私は割とそうなんですよね。自分が断捨離をしようと思ってるわけじゃないけど、なんとなくこう、私はいつも来るものは拒まず、去るものは追わずなんで。
田中 愼一
なるほどね。
高木 恵子
はい。だから、この人離れてくっていうのが分かると、別に追っかけないし。
田中 愼一
多分、意識しなくてやってるということなんでしょう。なぜかというと、それやらないと、もうね、しがらみばっかりになっちゃうんですよ。
本当にしがらみばっかりになってきちゃう。
で、そうすると何とかな、つながりが逆に少なくなってきちゃう。
関係性の変化
田中 愼一
しがらみの方に心をとらわれて、本来こういうつながりを作りたいんだけど、そのつながりができにくくなるとか。だから、そうなると、無意識に意識しなくても、自然と遠のいていくとかね。
高木 恵子
そうそう。
田中 愼一
ていうことで、どんどんこう、新陳代謝、関係性の新陳代謝が動いていく。これもね、間違いないですよね。
高木 恵子
ただこう、あえて言葉で、私、友達の断捨離したんだっていうふうに言える人は私、だからすごいなと思ったんですよ。
田中 愼一
そりゃそうだな。
高木 恵子
なんかこう、私は自然に人生生きていく中で、いろんなところでそういうのを感じてたから、なんかこう、断捨離をしようってあえて意識をしたことは。
田中 愼一
意識はないよね。
高木 恵子
意識をしたことは全くなかったんだけど、なんだろう、こういうどんどん50代とか60代近くになってくると、
田中 愼一
溜まってくるんだよね。
高木 恵子
なんかこう、あえて断捨離をしたんだっていう言葉を。
中川 浩孝
人によると思うんですけど、それを言うっていうことは、あなたたちは私の断捨離に残った大切な人ですっていうのをお伝えしたい。
田中 愼一
裏メッセージがあるんだ。裏メッセージがあるんだ。
中川 浩孝
多分そういうメッセージがもしかしたらあるのかなっていう気がする。
田中 愼一
それはね、言えると思うよね。
高木 恵子
選ばれたんだ、私。
中川 浩孝
ありがたく思えって言ってるのか、ありがたく思えって言ってるのか、ありがとう、あなたは大切なお友達ですって言ってくれてるのか、どっちかっていうのはちょっとあると思うんですけど。
高木 恵子
そっかそっか。
中川 浩孝
それをお伝えしたいんだとは思うんですよね。
田中 愼一
でも普通ね、関係性の断捨離って言わないもんね、人にね。
だから言ったっていうことは、今ヒロさんが言ってるように裏メッセージがあって。
高木 恵子
そっか。
選ばれたんだ。
田中 愼一
選ばれたのよ、私からってこんな感じがあるのかもしれない。
中川 浩孝
そう、ちょっと上から目線な感じがしないではないかなっていうのはあります。
田中 愼一
ちょっとなんかするね。
中川 浩孝
言い方によると思うんですよね。
別にね、これからもあなたとは私はお友達でいたいのでっていうことが言いたいのだったら、別に断捨離っていう言葉は使わなくていいのかなっていう気はしますけどね。
田中 愼一
だって普通そういう人だったら言葉に出さないでしょ、あえて。
いや、私はあなたを選ぶのよとか。
言う方が、その言葉にして言う方がその関係性大丈夫かなって思っちゃうよね。
友人とのコミュニケーション
中川 浩孝
ちょっとね、私もそう思っちゃうタイプですけど、でも人によってはやっぱりそういうふうにはっきりと。
なんかいるじゃないですか、私とあなたってお友達だよねみたいなことを確認する人っているじゃないですか。
高木 恵子
いるいるいる。
中川 浩孝
なんか、それは疲れるなっていうか、なんかうーんっていう感じになる。
田中 愼一
あれはね、ネガだよな。
いや、わかんない。最近、いやわかんないけどどっかの記憶にありますよね。
高木 恵子
あるある。
田中 愼一
あの、そういうふうに言われる?
中川 浩孝
そういうことによって確認しないと不安になっちゃうっていう人も多分中にはだからいるんだろうなっていうのは思いますね。
田中 愼一
でもね、結構拒否反応しますね、そういうの。
中川 浩孝
ちょっと僕も引いちゃうっていうか。
田中 愼一
引いちゃうよね。
なんとなくお互い、ああ面白い人だなと思いながらだんだんその関係性がね、こう熟成されていくようなね、タイプの人と。そうじゃないってありますよね。
中川 浩孝
子供の頃はなんかわかるんですけどね、そういうことをして、何々ちゃんとお友達みたいなのをすごくはっきりさせるのはなんかわかるんですけど、大人になってからはそういうことをやっぱりあんまり。
田中 愼一
普通は大人で言うっていうのはあんまり聞いたことないですね。
やりたいとも思わないですよね。
中川 浩孝
そうですよね。
田中 愼一
どうします?ヒロさん、僕の友達だよ、君はって言ってたら逃げ出すでしょ。俺だったら逃げ出せよ。
中川 浩孝
ちょっとね、ちょっと引きますよね、やっぱりね。
田中 愼一
お互いちょっと気をつけましょうね。
中川 浩孝
単純にやっぱりその自分が繋がっていたいなと思う人に対してはこっちから連絡するっていう感じになって。
結局なってるので。
高木 恵子
そうですよね。
中川 浩孝
去るものは追わずっていうのは本当その通りで、向こうから全く来なくなっちゃったら、こっちからもちろん言いたかったら言うし、こっちからも別に言いたくなかったら多分お互いそんなに今は求めてないんだろうなっていうふうに判断するという感じですよね。
高木 恵子
そうなんですよね、おっしゃる通り。
中川 浩孝
メッセージとか送ってもなんか返事来なかったみたいな人もいるから、その時はもうこの人だから自分にはなんか興味ないんだなって思っちゃったりとか、そういうふうに思いますよね。
高木 恵子
そうするともう追っかけないもんね。
あんまりね。
年齢とストックの影響
田中 愼一
追っかけたら向こうも逃げますよ。
人間って不思議なもんで追っかけられて逆に逃げちゃうんだよね、こっちはね。
だからやっぱりそういうのが表立たないほうがいいんですよ。
なんとなく気が合うなとか、なんとなくっていうのがあって、それを言葉に出した瞬間にそれ崩しちゃうんですよね。
そういうなんとなく楽しいなって思っているような気分をですね、突然俺は選んでやったぞみたいな。
頭来るね、カチン。というかもう、興醒めるよね。
高木 恵子
なんかでも若い時とか子供の頃って、やっぱりそうじゃなくて、寂しくなったりしちゃいますもんね、子供の時ってね。
急になんか仲が良かった、お友達と。急に連絡がなくなるとね。
なんでなんでとかっていうのは、子供の頃ってね、そういうのはあったけど。
田中 愼一
でも、まあ子供の場合はまだ蓄積しているものが少ないんでね。
だんだん年とるとともいに蓄積が増えていっちゃう。
高木 恵子
そうなりますよね、だから。
田中 愼一
確かにな。だって昨日の二次のみで、俺との年の格差どのぐらいあったんですか。
高木 恵子
そう。
田中 愼一
だって一番あんなかで若いの。
高木 恵子
45違いました。だから45違ったじゃないですか、田中さん。
田中 愼一
45だったっけ。いやーすごいですね。45の壁を乗り越えてっていう感覚で。でも面白かったですね、若手って。
高木 恵子
だって私が、今の住んでる地域にどのくらい住んでるんですかって聞かれて、25年よって言ったら、僕が生まれた年ですっていう。
田中 愼一
誰が言ったかわかるけどね。
高木 恵子
そうそう2000年からここに住んでるんだよ、このエリアに住んでるよとか言ったら、僕2000年生まれですみたい。
中川 浩孝
そうですよね、そうですよね、そういう人いっぱいいます。
田中 愼一
あの連中、会社立ち上げた時はいなかったっていうのも結構多いわけですね。
高木 恵子
そう、20代だとね。だから、やっぱそういうのは自分の年を本当再確認させられちゃいますよね。
田中 愼一
何が起こるんだろう、その溜まってるものがまだ少ない若手のね。ところストックがね。一方はものすごい山と積まれたこのストック。
この2人の違ったそのストックを持った人間同士の対話っていうのは、生産的な対話なのか、破壊的な対話なのか。
高木 恵子
いや、私はすごい生産的だと思って。だから、何だろう、そういうコメントが来ても、今の自分だともういろいろわかってるから、何だろう、もう本当に楽しい話で返せるじゃないですか。
田中 愼一
ああ、なるほど。楽しい話で返せるってことですね。
高木 恵子
そうそう。だけど、もしかしたらもうちょっと若かったり、どうなんだろう、もっと世代が違う、もっと若い時だったりすると、なんか違う取り方、受け取り方になってたような気もする。今ってもう別に、ああ、そうだね、20代そうか、自分もそうだったのかなとか。
田中 愼一
かなり寛容に相手の発信っていうか、まあね、ストックが多いから。
高木 恵子
そうそう、とりあえず全部丸っと受け止めますよね。
田中 愼一
そう、悪い、良い、悪い含めてストックがガーンってあるから。
高木 恵子
そう、まずは何も否定も肯定もせず、まず全部それをそのまま受け止めて、そっから自分の返し方を考えるっていうのがコミュニケーション、自分の反応感が変わってきますよね。
昔ってもしかしたらカチンと来たらすぐバーンって、なんかもう本当に。
田中 愼一
若い時はね。
高木 恵子
そう、なんかその反応でバーンって返してたことがあるかもしれないけど、だからそういうのって気づかされますよね。
田中 愼一
あと逆にネガなこともあって、昔、例えば45か25か、歳の差が開いてる相手と話していくと、向こうは一方的に語るわけですよ。
高木 恵子
うんうん。
田中 愼一
俺はあの時こうやってたんだとか。
高木 恵子
そうそうそうそう。
田中 愼一
でもそれをずっとスナックで酒飲みながらずっと聞かされるっていうのを、昔まだ若手と言われてた時にずいぶん経験してたんだけど、あれはどう解釈すればいいんですか。
全然余裕ないんです。向こうにフレキシビリティがない。
高木 恵子
あー。
田中 愼一
それはやっぱりあれの構成要素があるんでしょうね。つまりそのストックされたもののつながりの部分としがらみの部分になって。
そこをある程度バランスとっておかないと、人の話聞かなくなって自分の話ばっかりしちゃってる。
高木 恵子
それはありますよね。
田中 愼一
それは歳とともに逆に頑固になっていくっていうのは、これは間違いなくありますよね。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
そうするとそういう時は何に気をつければいいんですかね。だんだん歳とっていく私としては。
高木 恵子
どうなんだろう。
頑固さと寛容さの対話
高木 恵子
でも、もうそれしょうがないですよね。年が上の方で、そこの部分、今と自分が生きてきた時の時間が違うんだっていうのを本人が気がつかないと、そこの反応って変わってこないから、それしょうがないですよね、その方が。
田中 愼一
でもそうなんですよ。ただね、例えば昔ホンダにいた時もそうだし、いろいろなとこに上司がいたんだけども、先輩がいたんだけども、2通り完全にクリアに分かれるんですよ。
一つはどんどん頑固になっていくっていう。もう一つはだんだん寛大になっていくっていう。
で、頑固になっていく人との対話っていうのはきついんですけど、あんまり楽しくもないし、でも寛容な人との対話っていうのは、実は非常に年の差があるんだけども、でもすごく面白いんですよ。
その寛大になる人と寛大にならない人の分岐点って一体何なのかなーなんて、今ちょっとみなさんの話を聞いてないと。
何なんですか。年取ってるのは同じなんですよ。経験してるのも同じ。
たまってきてるストックも大体一緒に増えてるのに、ある人はどんどんどんどんストックを貯めるとですね、非常にフレキシブルで寛大で、話をしてても楽しい、年の差があっても。
もう一人の人はもう全然ガチガチで、早く終わんねえかな、この会談とか思いながら。
そこがね、何がそこの違いになってるのかなっていうのがね。
高木 恵子
それは、例えばじゃ田中さんがその頑固な人は嫌だなって思えば、まず自分がそうならないようにしよって、いうふうに自分ごとに多分変わってきませんか。
田中 愼一
自分ごとに変わっていくっていうことをやってる人とやってない人と。
高木 恵子
まず気がつくじゃないですか。こっちがいい、こっちがあんまり好きじゃないっていうのが分かったときに、じゃあ自分は。
田中 愼一
自分ごと化のプロセスが。
高木 恵子
きちんとできてるかできてないかっていう。
田中 愼一
それはあるですな。
高木 恵子
でもまず気づくことですよね。自分が好き嫌いっていうのがきちんとクリアになってこそ始めて、じゃあ自分はどっちにしたほうがいいかな。
じゃあそういうふうにしよって。で、アクションを起こすってことじゃないですか。
それがきちんとできてる人が、そういうふうになってると思うんですよね。
中川 浩孝
私は意外と失敗体験と成功体験っていうのが結構あるかなと思っていて。
成功体験しかしていない人、失敗といっても大きな失敗をしていない人っていうのはやっぱり成功体験に基づいて話をしちゃうから、こうあるべきだとか、そういうふうになりがち。
私は気がするんですよね。
田中 愼一
自分たちのべき論が出てきちゃうわけですね。
中川 浩孝
失敗を経験してる人はやっぱり成功と失敗っていう、どちらも分かるっていうか、こうやったら絶対に成功できるっていうことを、ことなんてないっていうことをちゃんと理解しているっていうか。
そうするとやっぱりいろんな考え方を複合的に考えなくちゃいけないねっていうふうに発想がなっていくのかなっていう気は個人的にはしてるかもしれません。
田中 愼一
多分、なるほどね。
面白いですね。
そこあたりが分岐点になっていく。
自分語とかって確かにいろいろな意味で使うけど、
そういう、ある意味失敗談も成功談も、一度自分語とかっていうプロセスを通して、そこをちゃんと蓄積している人とそうじゃない人では、どんどん歳をとるとともに、やっぱり変わっていっちゃう、離れていっちゃうっていうことなんでしょうね。
楽しいコミュニケーションの秘訣
田中 愼一
今こう思ってて、ちょっと何人かずっと昔のとか今でもいろいろお話している大先輩とかいろんな人とこう見てると、やっぱり共通句はさっきちょっと言ったんだけども、話してると楽しいんですよ。
で、なんでそれ楽しいのかなっていうのっていうのはあったし、で、さっきのけいこさんの自分ごと化と似てて、楽しいなと
この人と話をしてると、僕より全然上なんだけどもって言って、なんでそんなに楽しいのかなっていうのを、今度は自分の下の人に対してね、俺と話して楽しんでるかなっていう。
自分ごと化ね、ある意味。っていう感じなんですよ。特に昨日若手と随分接したんでね。楽しんでるかな、俺との会話、とかね。
中川 浩孝
この続きは次回お送りします。お楽しみに。