中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。 仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
みなさん、こんにちは。コミュニケーションを極めると、自分が見えてくる、世界が見えてくる。
コミュニケーションの世界に携わって40年以上、コミュニケーションが命。 シン・田中こと田中愼一です。よろしくお願いします。
高木 恵子
SEからPRコミュニケーション業界に転職して約30年、高木恵子です。
田中 愼一
今日は直近の出来事を。
高木 恵子
その前に、今日はヒロさんがいらっしゃらない。
すいません、私が前回いなかったんですが。
田中 愼一
いいえ、いいえ、いいえ。
結構、2人だとまた2人なりのノリがあって、面白いと思ってますんで。
今回も2人ノリっていう感じで、頑張っていきたいなというふうに思っております。
そうするとヒロさんは、次回は参加するという。
高木 恵子
次回もちょっと。
田中 愼一
次回の次回ですよね。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
ってことは、2人ノリ参加って2回で2連チャンになるって話ですよね。
高木 恵子
はい。
田中 愼一
じゃあちょっとそこで一挙に、2人ノリのメソッドを確立しちゃえばいいかなという感じがしますね。
高木 恵子
はい、お願いします。
今日は何を行きますかね。
田中 愼一
今日はそうですね、やっぱり一番近いところで、
昨日あった出来事から紐解いていくといいかなというふうに思ってます。
じゃあ昨日は何が起こったのかと言いますとですね、
メディアトレーニングっていう手法がありますよっていうのは、
前もこの場でいろいろお話をしたんですが、
日本ではある程度普及してるんですけども、
欧米では当たり前の話で、
企業のトップあるいはメジャーなエグゼクティブがですね、
取材を受けるとか記者会見をするとか、
そういうふうにメディアとの接点があるときは必ず受ける、
しきたりと言っていいぐらい普及してるんですが、
日本ではまだいまいちなんですけどね。
我々が持っているメディアトレーニングっていう手法っていうのは、
僕自身がこの30年ぐらいずっと手塩にかけながら作ってきたプロセスなんで、
なかなか細かくはお話できない部分もあるんですけども、
結構コミュニケーションっていうものを突き詰めていくプロセスってのがあって、
これはたぶん非常にユニークなんだと思いますが、
単なるマスコミ対応というだけではなくて、
そのマスコミ対応に必要なリーダーとしてのコミュニケーション力っていうのは、
どう培われるものなのか、どういう要素によって決まってくるのかというのをですね、
それなりに真面目に説くセッションなんですね。
それはあくまで自分の今までの経験の中、
いわゆる理屈とか理論っていうよりも、
自分の経験を紐解いていくうちに、
いろいろな人との出会いとか、いろいろな経験っていうものの中から、
理論化、あえて理論って言葉を使いますが、理論化する。
だから単に空理・空論っていうのではなくて、
経験っていうものをしっかりと持った上で、
それをコミュニケーションの概論みたいな形でまとめた要素っていうのは、
非常に色濃くトレーニングの中に入ってるんですね。
実はこのトレーニングっていうのは2種類あってですね、
一つは英語でやるトレーニングと、つまり相手が日本人じゃない場合ですね。
もう一つは日本人向けのっていう。
実は30年前このトレーニングっていうものを作ろうと思ったときに、
一番問題にぶつかったのがですね、
日本人とやるときと、例えばアメリカ人・欧米人と相手にしてやるときと、
すごく大きな差があって、理解度の差があるんですよ。
欧米人のほうがコミュニケーションに対する理解度っていうのは、
暗黙知になってるって言ったものかな。
本人たちも意識してないんだけど、もう暗黙知になっていて、
コミュニケーションというものに対して、
もうこうだっていうものをみんなだいたい持ってるんですよね。
で、日本の場合はゼロなんですよ、そこの部分が。
高木 恵子
なんでなんですかね。
田中 愼一
多分教育の問題が一つ大きいかと思います。
やっぱり僕も、うちの子供をアメリカの小学校に行かせてたこともあるんですけども、
向こうのカリキュラムを見ると、いろんな意味でコミュニケーションを鍛えるというか、
そういう場がたくさんあるんです。
いわゆるある写真を見せてね。
例えば写真の中身が、段ボール箱の中に2歳の男の子と、
それからブルドッグが1匹入ってる写真があるわけですね。
で、それをパッと子供に見せて、はい、ストーリーを語りなさいっていう。
これ、実は今の内容っていうのは、
いろんなコミュニケーションにとって必要な要素っていうのはですね、
出てくるんですね。
で、その中の、いまいたくさん出てくるんで、全部言うと時間なくなっちゃうんだけど、
例えば、見えないものをイメージするっていう能力。
つまり、目の前にある写真っていうのは静止画ですから、
そのときの一瞬の画像なんですが、
そこに至るまでの過程っていうのは見えないってことですよね。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
で、その見える映像が出てきて、
で、今度はその見える映像の次の過程がどうなってるかとも見えないわけですよ。
高木 恵子
はい。
田中 愼一
だから、見えてるのは静止画像、その瞬間のその一瞬だけが見えてるっていう。
で、ストーリーを作るっていうのは、
逆にその前後の見えないところをイメージして作っていく能力なんですよ。
高木 恵子
はいはいはい。
田中 愼一
そうすると、いま目の前に映っている画像に、
面白みが出てくるとか、興味が湧いてくるとか、
すごいなとか、つまりストーリー性を付加することによって、
田中 愼一
目の前にある一枚の写真の意味が伝わってくるっていう。
だから、こういう今言ったようなストーリーを語りなさいっていうのは、
一つだけ取り上げると、たくさん理由あるんだけど、
一つだけメリットを取り上げると見えないところをどうイメージするかっていう能力なんです。
コミュニケーションにとって見えないものをイメージするってものすごく大事なことなんですね。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
人間はほとんど見えないものをイメージして生きてるんですよ。
見えてるものだけってのは、本当に実は見えてるからそれが絶対だとみんな思い込んでるけど、
実はそれを理解するために、いま目の前にあるものを理解するためには、
確実に見えないものをイメージできないと理解できないんですよね。
実はそういうことを言葉じゃなく、ストーリーにしなさいとか、
そういうアサインメントを与えることによって、
自然に子どもたちは自分の中で見えないところをイメージするトレーニングが行われるとか、
こんなのも一つのコミュニケーションに求められるいろいろな能力を開発するための一つの過程というか、
カリキュラムなんですね。
先生自身も気がついてないと思うんだよね。
暗黙知になりすぎちゃってるから、コミュニケーションとはなんて言わないんですよ。
だからもう欧米人の方がストーリー性とかそういうものっていうのを作り込む能力っていうのは、
本人たちは意識してないんだけども、小さい頃からそういうことをやってるんで、
自然とそういう行動に出てくるっていう。
これがね、やっぱりね、日本人と今一つの例を取りましたけど、すごい大きな違いなんですね。
ですから、そうなると日本人にそういうメディアトレーニングみたいなコミュニケーショントレーニングをやるときっていうのは、
田中 愼一
暗黙知がないという前提でいかなきゃいけない。
高木 恵子
なるほどね。
田中 愼一
暗黙知のある人に関しては説明する必要がないわけですよ。
具体的に言うならば、メッセージって何ですかっていうことは、
誰も欧米人に対しては僕は質問しません。
彼らは暗黙知でわかってるから、メッセージって何だろう。
ところが30年前にこのサービスを始めたときっていうのは、
日本のエグゼクティブの方々に、メッセージって何ですかって言うと、
キャッチコピーとかね。
メッセージ、メッセージ、メッセージね。
その30年くらい前って、メッセージって言葉さえもあまり使われてなかったですから。
高木 恵子
そうかもしれない。
田中 愼一
そうなると、じゃあどうなるかというと、
そのメッセージっていうのは一体何なのかっていうのを理屈で説明しなきゃいけない。
何しろ大人ですから、相手は。
もはや時間がないわけですよ、暗黙知を育てるような。
そんなトレーニングをね、はいじゃあこれワンちゃんと子供の写真です、
じゃあストーリー語ってくださいなって言ったって、相手は怒っちゃいますからね。
いかにそのメッセージという、あるいはもっと大きく言うと、
コミュニケーションっていうもののメカニズムっていうのは、
どう作用してどういうふうになって、
我々は今日、周りとコミュニケーションを取りながら、周りと関係性を作りながら、
それがどういうメリットがあるのかっていうのをですね、
いちいちコミュニケーション原論みたいなものをですね、
そのトレーニングの中に入れとかないと、
一番初めに入れとかないとですね、
トレーニングができないっていう事態だったんですね。
ですから30年前は、とにかく日本人向けにっていうのを開発することを主力に、
どうすればいいかっていうんで、
僕自身が自分の持っているコミュニケーションに対する経験っていうのは、
30年というか僕が40年以上やってるわけですから、冒頭でも言いましたけど、
そこを総力、経験値を総力をかき集めて、
自分なりのコミュニケーション力学っていうか原論っていうものを、
作らざるを得なかったんです。
それを作ることによって、しかも僕は日本人だということがあるんで、
日本人にとってそういうコミュニケーション原論ってどういうものなんだろうっていうのを、
考え、体系化し、理論化していくっていうプロセスが、
今40年近くからワーッとやってきて、
それを具体的なメディアトレーニングっていう手法の中に取り入れて、
日本人向けのメディアトレーニングっていうのを完成させたわけですね。
これはもう全然差別化されてると思うんですけど、他のトレーニングと比べると。
それをずっとやってきたわけです。
となると結果として、実は2つ2種類のトレーニングが存在することになっちゃうわけです。
僕の中に。
一つは今言った日本人向けの日本人用のトレーニングっていうね。
だからメディアトレーニング。
もう一つは従来欧米で開発されたメディアトレーニングっていうのがあるんですよ。
そこははっきり言うと、僕が初めて接したときは確かにすごい感動したんですね。
こういうやり方でやるんだと。
ただ気がついたのは、それを日本人に教えようとしたときに大きな壁があって。
僕の場合はアメリカに7年間ずっといて、その後は欧米の企業にいて、
いわゆる暗黙知の部分っていうのがもうすでにあるんですよね。
僕の中に。
だからアメリカのメディアトレーニングを見たときに、
これはすげえなと思えたのは、アメリカ人と同等レベルの暗黙知が経験の中から培われてたから、
違和感がなかったんですね。
そのままを日本人に教えると、日本人がちんぷんかんぷんって。
高木 恵子
確かにそうですね。
田中 愼一
これじゃダメだって、自分は日本人だっていうことと、自分が経験してみたものを、
自分は日本人っていう価値観の中で精査していくと、徐々に理屈が見えてくるんです、議論が。
ある意味、日本人的な発想に基づくコミュニケーション原論の理解とでもあえて難しく言うんであれば、
そういうもんだったんですね。
だから外人をトレーニングするときっていうのは、
はっきり言って日本人的なコミュニケーション概論みたいなもんっていうのは一切言わずに、
もうアメリカのやり方をそのまま僕が英語でやってるっていうこんな感じだったんですね。
昨日までは。
昨日はですね、降りてきたっていうのがですね、分けてた。
田中 愼一
で、これはもう一緒になるもんではないと思ってたんです。
もう分けて使い分けりゃいい。
はい、誰?相手外人。
じゃあこのね、従来からグローバルでやってるメディアトレーニング。
日本人、あ、だったらうちで開発した、日本で開発した、このトレーニングしかもうないよと。
お客さんにもそれを口酸っぱくして言ってたんですね。ダメですわけないと。
思考回路とか、持っている暗黙知が違うからと。
ところが昨日になってですね、実は一つ実験を行ってみたんですね。
この1ヶ月、2ヶ月で、どういう実験かというと、
日本で開発した、僕が開発したというコミュニケーション原論をですね、
これは日本人向けのために作った原論っていうものを、
これ欧米人に試したらどうなのかなと。
高木 恵子
おー、それは興味深い、そうですね。
田中 愼一
で、当然ながら、僕が作ったコミュニケーション言論っていうのは、
あくまで日本人の発想、それから暗黙知、価値観、そういうものによって作り込まれてるわけですよ。
だから、僕はもう、はなから通用しないと思ってたんですね。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
で、ちょっとそこを試してみたくなったんです。
で、それはなんで試したくなったかっていうと、ある相棒との出会いなんですね。
で、うちの中に1人、イギリス人の方が入ってきて、いろいろ彼と話してると、
特に英語のトレーニングがどんどん増えてきたんで、
僕としては当初はあくまで英語の、今グローバルでやってる英語のトレーニングをやってもらえる、
僕自身英語で言うのはめんどくさくなってきてますから、
それをと思って、彼にそれを受け継ぐ感じで話してたら、
彼自身が日本側の、日本語うまいんですけどね、トレーニングっていうのをずっとレビューしてて、
参考までにっていうので見てて、
で、それをですね、エッセンスを彼なりに理解して、英語で表現したんですよ。
高木 恵子
おお、素敵。
田中 愼一
そしたら、日本語で表現されてる僕のコミュニケーション原論っていうものが、姿を変えて英語で表記され始めたんですね。
高木 恵子
おお、なるほど。
田中 愼一
で、ここは直訳なんかってダメですから。
彼の英国人の発想っていうものを中心に、
僕のやっていた日本語のプレゼンテーションっていうのを分析し、
それを英語という思考回路を使って、翻訳し直したって感じなんです。
翻訳っていう以上のものですね。
意訳的っていうかですね、全然異なるものが出てくるんですけど、
一見全然違うもんでしょ、これって言うんだけど、僕の目から見るとすごく同じことを言っていて、
それが実は1ヶ月半くらい前に気がついたんですよね。
で、その彼と組んで、じゃあ今度ちょっと外人をやる訓練があるんだけど、
田中 愼一
まあ2件あったんですけどね。
ちょっと試してみないか、言おうかなっていう心が出て、
その要素を1ヶ月前に1回、外人の方に。
それから2回目が昨日。
で、もちろんその1回目と2回目はもうチューンアップされてますから。
高木 恵子
はい、そうですね。
田中 愼一
昨日はですね、外人にやったわけですね、外人というか。
そしたら、外人って言ったらある程度そこも考慮した方がいいかな、ヨーロッパ人です。
アメリカ人じゃありません。
で、ヨーロッパ人にやって話したらですね、
これが日本人にやるときと同じくらいの共感レベルを作ることができて、
高木 恵子
お、響いたんですね。
田中 愼一
響きましたね。
高木 恵子
すごい。
田中 愼一
日本人の理屈が欧米人、欧米人というかヨーロッパ人には分かるんだなっていうか、
腹落ちてるんだなということで、
さらにそれを欧米人に分かるような英語表現にする中で、
新たな発見が出てくるんですね。
つまり日本の発想をベースとして作ったメディアトレーニングの内容っていうのが、
それを英語という違う思考回路、僕は言語は思考回路だと思ってますんでね、
日本語という思考回路じゃなくて英語という思考回路を使って理解し直すと、
自分が気がつかなかった、僕自身がね、
あ、これこうだっていうのがですね、
ドカッとこう入ってきちゃって、
で、これかって思ったんですね。
実は気づきがすごくたくさんあって、
今結構興奮しながら、これは新たな知恵だななんて思ってるんですけど、
その一つの例っていうのはですね、
僕がコミュニケーションのトレーニングをするときっていうのは、
実際はコミュニケーションというものをフローとストックに分けるんですよ。
で、フローっていうのは、コミュニケーションっていうのは受信、発想、発信。
この場でも何回も言ってますけど、
コミュニケーションっていうのはまずは受信しなきゃいけない。
受信をすると発想が湧いてくる。
で、発想が湧いてくると発信が出てくる。
発信っていうのは言い方をもう少し砕くと、
まあ、表現ですよね。
で、もっと砕くとですね、
あの、行動です。
つまり、人間というのは実は受信して発想して行動をしている。
これをぐるぐるフローとして回してるんですよね。
で、これを僕はコミュニケーションのプロセスっていうふうに定義してる。
こういう捉え方は欧米じゃありません。
高木 恵子
ああ、そうなんですかね。
田中 愼一
もう当たり前すぎて、そんな説明がまずないっていうことが言いたいです。
空気みたいなもんだから。
でも、日本人に教えるときはそういうふうにコミュニケーションを再定義しなきゃいけないんですよね。
暗黙知がないだけに。
そうすると、受信、発想、行動っていう。
で、行動をするっていうのは表現する。周りに対して表現するってことですから、
当然周りからの反応がくるわけですよ。
そうすると、それをまた受信するわけです。
で、受信したらまた新たな発想が出てきて、
で、新たな表現、行動が出てくる。
その行動、表現に基づいて周りが反応し、それをまた受信するっていう。
このサイクルをぐるぐる人間っていうのは、これ生きるって言うんですね。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
呼吸と同じです。呼吸をイメージしてもらうとわかりやすいんだけど、
生きるって、空気を吸って燃やして吐く。
空気を吸って燃やして吐くと同じように、
コミュニケーションっていうのは受信して発想して表現する。
まあ行動する。これを繰り返しなんですね。
これがフローのコミュニケーション。
でもこれやっていくと、実はストックが溜まってくるんですね。貯金が。
その貯金って見えないんですけど、感じることはできるんだけども、なかなか可視化が難しい。
我々は日頃見える世界に生きてるってことは、受信して発想して行動に出る。
これ結構見えてる世界ですよね。自分が実際それの中にいるわけですから。
でも、その中で一生懸命同じことを繰り返していくうちに、何かが溜まってくるっていう。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
じゃあ、外に向かっては何が溜まってくるのかっていうことで、
僕は従来までは、この溜まってくるものをある程度制限してたんです。
言い過ぎると、変な宗教にかぶれてる男じゃないかなって思われて。
だからどういう表現をして、溜まってくるものをどう表現してたかっていうと、
2つのものが溜まってきますよと。
そこをしっかり回していくと。受信、発想、発信、つまり行動っていうのを、
しっかり回していくと意識しながら、英語で言うとconsciousっていう言葉を使って。
conscious コミュニケーションっていう言葉が昨日生まれたんですけど、
それをやっていくと、なんかストック、貯金みたいなのが溜まってきますよと。
あるいは負債かもしれない。
それは何があったかというと、2つ。
1つはrelationship、つまり関係性です。
人間はいろいろな表現をして、周りが反応する、ぐるぐる回っていく中に、
だんだん相手との関係性ができてくるわけですよ。
信頼関係とか。
これは貯蓄、資産なんですね。
この受信、発想、発信っていうサイクルを意識せずに適当に回してると、
これが資産じゃなくて負債っていうことで、不信感とか、信頼関係が作れないとか、
そういう負債ができちゃうわけですよね。
気を付けていくと、信頼関係が作れるとか、それによって人間関係が作れるとか、
結果としてレピュテーション、2つ目の溜まっていくストックとしてレピュテーションっていうのが出来上がる。
田中 愼一
人間は生きていくときに一番大事なものはレピュテーションなんですよ。
信頼関係に基づくレピュテーション、どう見られるかっていうのが、人間が生きていく上で絶対的に必要なんですよ。
人間が生きるということを考えることは、まずコミュニケーションを考えなさい。
そのコミュニケーションのあり方、受信、発想、発信のあり方を変えて意識してやっていくと、
実は周りとの関係性が徐々に出来上がってきて、そこに信頼関係、レピュテーションっていうのが生まれて、
あいつは信頼できると思われたら生きていけます。
なぜかというと、人間は周りの人々の行動で生かされてるわけですから。
ですからってとくわけです。
これ結構ね、宗教の線とギリギリの線で妥協してるんですよ。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
そこで止めてあるから。
寸止めしてるから。
実は、それは外に向かってそういうものがストックとしてたまってくるんですね。
ただ、実は自分の中にストックとしてたまってくるものがあるんですよ。
これをどう表現すればいいのかっていうのにものすごく、しかも欧米人に対して。
これがですね、結局相棒と考えついたものっていうのが、
フローはいいんですよ。そういうふうに説明してもロジカルに理解してもらえるから。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
呼吸みたいなアナロジーを使ってね。
たまってくるもん、外に立ってたまってくるってのも腹落ちするんですよ、欧米人は。
あ、そうか、レピュテーションね、アセットね、ストックね、アイアンダスタンドっていう感じで起こるわけね。
ところが、自分の中にたまってくるものっていうのは、僕は絶対説明しなかったんですね、欧米で。
これは欧米だけじゃなくて日本人に対して、日本人は少し入れてるかな。
この前ね、ちょっと入れたんですよ。
3つ目のもんっていうのが、どういう表現がいいかなっていうのが迷ってて、
一時期的にですね、リセプタビリティって。
リセプトするってあるでしょ。
はい。
僕の頭の中には日本語では感度。
つまり人間っていうのは、徐々に感じ方が育つか育たないかっていうか。
要するに、よくこの場でもクライシスコミュニケーションって難しいっていうのは、
トップの人が、クライシスに直面したトップの人が、よほど覚悟できるかどうかっていうことをよく言ってるんですけども、
実はそれをもう少し紐解くと、何が違うかという感じ方が違うんですね。
つまり、クライシス対応で失敗するトップの方々っていうのは、ピンチをピンチとして見ちゃうんですよ。
高木 恵子
はいはい、そうですね。
田中 愼一
つまり、自分が今までずっと生きてきた中で、自分の中に育ってきた感度っていうものがあって、
その感度を通じて、今目の前で起こっている事態を見ると、
ピンチだっていうふうに、並の人たちがみんな感じることだけをピンチとして受け取って、
ピンチはピンチだで終わっちゃうんですね。
それが、並の人じゃあるべきでないリーダーがですね、ピンチにあったときっていうのは、
ピンチをピンチとして受け取るんではなくて、
ピンチはピンチなんだけど、実はその背後にチャンスがあるぞっていうふうに感じれるかどうか。
つまり、そういう感度があるかどうかっていう。
これがですね、実はすごくクライシスコミュニケーション対応のときに必要なんですね。
だから、そうってことはどういうことだというと、
クライシスにうまく対応するトップと対応できないトップの一番の違いは、
田中 愼一
したら、受けがすごく良くて。
やっぱりヨーロッパ人だからかな。
結構単純じゃないくて、思考回路が。
特にフランス人なんですけどね。
あのね、理屈っぽいじゃないですか。
高木 恵子
そう言われてますね。
田中 愼一
ちょっとした理屈が加わった段階でサッとこうね、
なるほどーって腹落ちしていただいて。
で、ただレセプタビリティっていうのが僕の中ではまだ腹落ち感が本当かなーなんて思ってた。
で、家帰ってきて歓迎して、いやこれ明日けいこさんに話さなきゃなーなんて結構興奮してたら、
目の前にふっとですね、ある本が入ってきて、
これ出会いかなもしかしてって。
なんか降りてくる感じね。
で、ふっとね、見た本がですね、今も昨日から必死に読んでるんですけど。
これがですね、作者は、
ダライラマ。
で、彼の本で、
The Joy of Living and Dying in Peace
だからこれはThe Joy of Livingっていうと、
もう一つ並列でDying in Peace。
まあ訳すと、ジョイっていうのは喜びですよね。
だから生きる喜びと、
平和に、ピースね、ピースフルにですね、平和に死ぬことっていうタイトルなんです。
で、これずいぶん前にも買って読んで感激して、
半分ぐらいしか読んでないんですよね、やっぱり。
で、僕なんか完璧主義者かそうじゃないのかわかんないんだけど、
半分まで読んでると、あ、これダメだな、もう一回始めから読もうと。
で、そうするとまた半分ぐらいしか読まなくて、
で、また始めから読もうって言うんで、
実は半分までは、下手すると10回ぐらい読んでるんですよ。
高木 恵子
おー、そういうことか。
田中 愼一
でも、完読できないの。
高木 恵子
なんでできないんですかね。
田中 愼一
で、なぜか半分ぐらいで飽きちゃって、
その先進まなくなってしばらくほっとくと、
前の半分がどうだったかってわかんなくなっちゃって、
もう一回読み直すっていう。
こういうんで、それまた読み直して、
これもいつ半分までで終わっちゃうかどうかわかんないんですけど。
高木 恵子
今度、中盤ぐらいから読み始めてみたらどうですか、次読みたいと思ったとき。
田中 愼一
そうするとですね、やりましたけど、フラストレーションが湧いてきちゃう。
高木 恵子
そうなんだ。
田中 愼一
そのフレキシビティがないのが僕のダメなところで、
逆に、そういう感度を育てなきゃいけないんだろうなと。
高木 恵子
うーん、なるほど、なるほど。
田中 愼一
欲求不満になっちゃうような感度があるわけですよ。
高木 恵子
なるほど。
田中 愼一
まだ修行が足りない。悟りの教師じゃない。こんな感じです。
中川 浩孝
でも、この中にパッとめくったら、一つの言葉が出てきたんです。
高木 恵子
はい。
田中 愼一
トランスフォーメーション・ユア・マインド。
高木 恵子
えー、すごーい。
田中 愼一
これ今、トランスフォーメーション流行りじゃないですか。
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
でもね、それをマインドに入れるっていう発想がドキッとしちゃって。
高木 恵子
うーん、うんうんうん。
田中 愼一
要するに、極端に言うと悟りって何?って言ったら、トランスフォーメーション・ユア・マインドなんですよ。
高木 恵子
そうですよね。そうですよね。
田中 愼一
よく考えたら、トランスフォーメーション・ユア・マインドってトランスメーションするものがあるわけですよ。
高木 恵子
はい、はい。
田中 愼一
で、実はそれストックなんですよね。
高木 恵子
そうですね、そう思います。
田中 愼一
企業っていうのをトランスフォームするぞって言ってる時に、企業っていうのはフローじゃないですよね。
しっかりとしたサブスタンスがありますよね、しかも企業文化がこう蓄積されると、企業の成長が蓄積されると大きくなったり、つまり蓄積性のある性格を持ってますよね、事業っていうのは。
そうするとそれをトランスフォームするというのが今言うトランスフォーメーションの事態でしょ、ってことは企業だけじゃなくて、自分自身もそういうストックがあるわけじゃないですか。
で、それは一言で言うとマインドなんですね。
高木 恵子
うん、確かに。
田中 愼一
だからダラエラマがマインドだって指摘したのが、ディジェーンって入ってきちゃったね。
多分、リセプタビリティなんて言葉じゃなく、トランスフォーム・ユア・マインドって言ったほうが、多分昨日のあのヨーロッパ議論で発表したとおりね。
なぜかって今トランスフォーメーションってみんな口走ってるから、企業の前にリーダーとしてのあなたのマインドをトランスフォームしなきゃダメだよっていうのは、これはね間違いなくトレーニングで使えます。
ということで、で多分もう一つのご縁は、まあ今いくつかご縁があったんですけども、今日これをですね、けいこさんに話せるんですよ。
すいません、今お話しする中で自分の頭がもっと整理されました。
高木 恵子
よかったですね。
田中 愼一
やっぱり話すことによってね、人間って整理されるんですよ。
高木 恵子
そうですよね。
田中 愼一
これもね、一つの多分ね、ストックなんですよ。
頭が整理されたっていう。
高木 恵子
今の話聞いてて、そうなんですよね、ストックでそのトランスフォーメーション・ユア・マインドってすごく私もぴったりする、まあ英語で言うとそうだなと思うんですけど、そこになんかそのいつも我々が話してる感度って田中さんが言ってるのって、感度の中でも一番の最初って私直感だと思うんですよ。
田中 愼一
直感ね。
それすごくいいポイント。
直感はストック?
高木 恵子
そうなんですよ。だからまず最初って、人間って直感じゃないですか、まず感じるものって直感できますよね。
で、その直感がいいか悪いかとか、ストックになっていくか消えていくかっていうふうに、多分無意識に人って振り分けてるんだと思うんですよ。
絶対人間って最初の直感がありますよね。すべてのことに関して。受信に対しての直感があるじゃないですか。
田中 愼一
直感、これねすごく重要なポイントです。感度を因数分解してね、そのうちの一番最初に直感があるっていうのはすごくね、これ分かりやすいと思う。
高木 恵子
ですよね、そう、そうだと思う。
田中 愼一
それね、すごく、それね、すごいすごい合うな、なるほどね。
高木 恵子
で、その直感からそれがストックにするべきなのか流すべきなのかとか、いろいろその判断って多分もうみんな誰でもやってるんですよ。
田中 愼一
そうか、ストック化するっていうプロセスがあるわけですよね。
高木 恵子
そうだと思います、私は。絶対まずどんな人でも直感で受信したものに対しての直感がありますよね、絶対。
田中 愼一
あります。
高木 恵子
だからそれをどうふうに振り分けていくかの本来はトレーニングなんだと思うんですよね。
田中 愼一
いいなぁ、ノーベル賞手に入れたぞ。
高木 恵子
そうですか?
田中 愼一
大丈夫、これで長生きするための糧ができたんで、30年計画。30年後だから100歳でノーベル賞を獲得するって、これだけでも話題になりません?
高木 恵子
生きてるかな、生きてるかな。
田中 愼一
いや、大丈夫大丈夫、そう思えば生きてます。
高木 恵子
そうですね、そうですね、そう思えば。
田中 愼一
で、今みたいな直感ですよ、直感直感。
高木 恵子
そう、直感、それそれ、そうなんです。
田中 愼一
直感の時代、インスティンクトね。
高木 恵子
そっからだから、
田中 愼一
ストックなんだよね。
高木 恵子
そう、トランスフォーメーション・ユア・マインドですよね。
そうなってた方が、すごく続くと思いますね。
田中 愼一
なるほど、インスティンクトがあって、そこがいわゆるトランスフォーム・ユア・マインドのオンにした感じ?
スイッチオンにして、そっから一挙にトランスフォームの過程で、ストック化していくわけですね。
高木 恵子
そうだと思います。
田中 愼一
ストック化できたものが、最終的にはストックとしての感度が完成する。
高木 恵子
そうそう、そうだと思うんですよね。
田中 愼一
これいい。
高木 恵子
やったー。
田中 愼一
そうなると、次にもあるんだな。
実はね、そこで先週だったかな、これからはやっぱり、
ここはエンティティとの関係になっていくんですよ。
エンティティを考えるね、つまりミッション・インポッシブル。
高木 恵子
皆さん、エンティティっていうのは映画のミッション・インポッシブルの、見てない人もいるかもしれないけど、登場してきます。
田中 愼一
そうですね、エンティティっていうのは非常に残る、この言葉の意味が。
それを本当に議論したかったんだけど、時間的にも今日はあれだから、次回、ひろちゃんがいるときに3人で乗った方がいいかなって。
でも、なんかね、やっぱりね、そういう意味で考えると、インスティンクトっていうのは、どっちかというと右脳力に近いんですね。
左脳の力というよりも右脳を開発しないといけない。
言葉で理解するっていう、左脳的な理屈でね、理解するっていうのも重要なんですよ。
今日話したことも、ある意味理屈化しないとダメだっていうね、コミュニケーションの。
あんも口に置いとくだけじゃなくて、理屈化するっていうのもあるんだけども。
でもいずれにしても、右脳っていうのと左脳っていうのはかなり近くで、結びつきながら、やっぱり協力しながらやっていくっていうのがすごく重要なんだけど、
その中でやっぱり今バランス欠いてるのが、左脳がどんどんAIが持っていくっていう中で、そこに対してどんどん頼っていく。
あるいはもっと言い方を言うと、左脳がどんどん強くなってきちゃう。人間の中で。
人間は逆に言うと、左脳が強くなる分だけ右脳をバランス取るために強化しなきゃいけないんですよ。
で多分ね、右脳の強化を怠ると何が起こってくるかというと、多分今言ったですね、直感力っていうのが下がってくる。
だからその感度の最初のプロセスである直感がどんどん鈍ってくる。
で人間は何で人間たるかというと、基本的には五感六感っていう。
高木 恵子
そうですよ。
田中 愼一
特に六感ね。五感六感っていうところが、やっぱりレセプターとしてですね、
高木 恵子
そうですね。
田中 愼一
AIにはないもんなんですよ。
だからAIは神になれるかなれないかっていうテーマだと思うんですね。追求していくと。