2024-08-17 21:34

#59 クライシスをどうとらえるか

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田中さんの最近のクライシストレーニングでの経験から。有事365日の時代、クライシスをどう捉えるのか。楽しんで片付けられるか、嫌だなと思いながら片付けるのか。

あなたは知り合いに降りかかった不幸や、ニュースでみた事件が、もしも自分に降りかかったら、と考えたりしますか?以下から投票を!https://forms.gle/FZbR9iHgAXGaVUrH7

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仕事でコミュニケーションを扱う 3 人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何か?を一緒に考えていくポッドキャストです。

出演者🎙️

田中 愼一 (Blog)

高木 恵子 (Facebook / LinkedIn)

中川 浩孝(twitter / Facebook / LinkedIn / note)

ご意見・ご感想、3 人に話してほしいトピック、3 人へのご質問などありましたら、以下のフォームからお送りください。https://forms.gle/ZGKtUCBn3m25Nr6J6

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中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。 仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
こんにちは。コミュニケーションを極めると自分が見えてくる。世界が見えてくる。コミュニケーションの世界に携わって40年以上、コミュニケーション命、シン・田中こと田中愼一です。よろしくお願いします。
高木 恵子
SEからPRコミュニケーション業界に転職してはや四半世紀以上、高木恵子です。
中川 浩孝
外資系企業でマーケティングを経験してきたアメリカ在住中川浩孝です。 前回からの続きです。引き続きお楽しみください。
田中 愼一
今さっきちょっと考えてたのが、競技スポーツ、オリンピックを見ているといろんなストーリーを感じ取るという場として、非常にオリンピックってのは面白いねって話をさっきしてたと思うんですけども、
なんかちょっとそれが、実は昨日ある会社のクライシストレーニングをやったんですよ。
そのクライシストレーニングっていうのは通常大体6ヶ月に1回ぐらいでやるっていうことで、
トップマネジメントの人、つまりいざこういうクライシスが起きたときにそれをやっぱり最終的に判断決断するディシジョンメーカーたちのトップマネジメントですね。
これは基本的には、もちろんトップのCEO、社長含めて以下大体10人ぐらいいるんですけども、
企業によってちょっと違うかもしれないけども、その人たちにトレーニングをするわけですね。
クライシストレーニングってのは、1回トレーニングして終わりという仕組みっていうよりも、6ヶ月に1回ずつトレーニングをする。
毎回毎回違うケースをするわけです。
例えば今回はIT絡みにしましょう。
今回はどちらかというとリコールにしましょうとか。
今回はサイバーセキュリティの攻撃を受けたり。
例えば1回目にITに関してのを1日、大体半日ぐらい使うんですけども、
それが終わったら、今度は6ヶ月後の次のクライシストレーニング用に、今度は新たなケースを作るんですね。
実はだから、基本的には一つのトレーニングから次のトレーニングの間も、別に何もしないわけじゃなくて、
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田中 愼一
そこは次のトレーニングのためのいわゆるケース作りをするわけです。
ケースっていうのは当然ながら、そのケースっていうものになりきって、
トップの人たちがそのケースに基づいて、シナリオに基づいていろんな判断を求められるわけですね。
最終的にどういうステートメントを出して、さらには最終的には記者会見という模擬記者会見を開いて、
それでほぼ半日終えるコースなんです。
ですから、一つのトレーニングをやった後、次のトレーニングまでにはケース作りっていうプロセスが出てくるんですね。
そのケース作りをするのは事務方がやるんですけども、やっぱり分野によってですね、いろんな部署を入れていかなきゃいけないわけです。
だからケース作りってのは結構難しいというか時間がかかるもんで、
しかもいろいろな部署の人たちのフィードバックとか関与もないと作れないもんなんですね。
だから一言で言うと、クライシスっていうのが年に2回あって、その1回あった後、次の6ヶ月後の新しいトレーニングをやる間、ケース作りをするというふうに、実は連続しているプログラムなんですね。
それは3つほどの効用があって、一つの効用っていうのが、やはり今これからはクライシスがどんどん入っていくので、
クライシスそのものがものすごく複雑化してきて、有事というのと平時というものが一体化し合った世界になってきて、そこでは知識とか経験ではもう歯が立たなくなってきてる。
そうすると何が最大の武器になるかというと、クライシスっていうものを見極められるかっていう感度を持ってくる。
さらにはクライシスの中はもう頭が真っ白なんですよ。
その中でマニュアルとかそういうものは役に立たないんですよね。
そうすると何をそこで発想できるかっていう力。
最後は発想したことを行動に移すための覚悟がどう培えるかっていう。
つまり感度、発想、覚悟っていう3つの要素をどう培っていくと、想定外ありえないことが起こった場合に対処できるかっていうトレーニングなんですね。
それがまず一つトレーニング。
それをやっぱり6ヶ月に1回やることがトップマネジメント。
必ず社長以下、上の5人ぐらいは必ず出席するんで、の人たちが定期的にそれをリマインドされるっていう。
何と言っても一番重要なアウトプットっていうのは、絶えずその10人なら10人っていうのが意識が一つになっている。
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田中 愼一
つまりワンチームになってるって意識を持たないと、いざ鎌倉でクライシスが起こると対応できなくなるんですよ。
そのために、そういう6ヶ月に1回リマインディングっていうんじゃないですが
俺たちチームだよねっていうのを意識付けする。これすごく重要なんですね。
何か起こったときにそれがすぐワンチームでつながるっていうのが重要なんです。
もう一つ重要なのが、そのプロセスです。
つまり一つのクライシストレーニングから次のクライシストレーニングが6ヶ月期間あって、そこでケースを作り込んでいくわけですよ。
そこはトップマネジメントの人は参加しないんですけれども、
少なくても関係各部署の多くの人間が関わってくるんですね。
そうすると彼らのクライシスに対する感度を高めることができる。
つまりトップだけじゃなくて、実際の現場の方もクライシス感度を高めることによって、
組織全体としてのクライシスに対する免疫性を引き上げるというプログラムになるんですね。
これをクライシストレーニングという一つのプログラムとして、うちはやってるんですけども。
それを昨日やってたわけですね。
そうしたときに必ず一つ何をするかというと、一番冒頭に最近のケース、実際に起こったケースを、ケーススタディみたいなものをするんですよ。
今回は、この6ヶ月は小林製薬がガタガタしてるんですね。
小林製薬のケースを分析して、もちろん外からの分析だから事実はどうかは知らないんですけども、
実際に起こったことに基づいて、どういうプロセスでこういうことが起こったのかを分析するのは非常に重要な学びなんですね。
そのケースを紹介するときに、さっき恵子さんが言ってたオリンピックを見てると、そこにいろいろなストーリーがあって、
こういうふうに今何を考えてるのかな、今どうしてるのかなっていうところがありましたよね。
実はそれと同じことがね、目の前に10人のトップの人たちがいるんだけども、
そのケースを見ると、実際に起こったことが全部時系列で整理されて起こってくる。
基本的には、例えば小林製薬の場合、一番の弱点って何かというと、分析していくと、
1月15日にここに問題があるという一つの症例が持ち上がってきたんですね。
そのときが今年の1月15日。
実際それが対外的に発表されたのが3月22日。
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田中 愼一
もう2ヶ月以上の遅れがあるわけ。
これが最大の弱点というかミステイク。
じゃあこの2ヶ月間何が起こったんだろうっていうのをみんなで考えるんですよ。
そうするといろいろな意見が出てきて、どうみても1月15日に症例が一つ出てきた。
数日後にはそれが複数になるんですよ。
少なくともその段階で動きがなんで出なかったのか。
なんで動かなかったのか。
いや動いたんだけど実行できなかったのかどうか。
じゃあどういう判断をしたのか。あるいはどういうふうにその事態を受け取ったのか。
こういうことをみんなで議論していくわけです。
結局その遅れっていうものの中に、まずその事態の把握、それをどう受け取ったかっていうところに甘さがあった。
それに対して有効な判断が下せなかった。そのために。
有効な判断が仮に下せなかったんだけども、一応判断したことを実行しようと思ったけど、やっぱりそれだけの覚悟がなかった。
一つ一つを紐解いて、これは事実がそうだったかどうかは別として、
あくまでそういう紐解く中で、受講生の役員たちがトップが、自分ごと化してシナリオの中に自分を投入していくわけですよ。
する中でいろいろ発想して考えて、これはどうなんだ、これはどうなんだってみんなで議論させる。
その中で最終決定を社長が、「いや、こうだろうと。我々の教訓としては…」って教訓を学んでいく。
こういうセッションなんです。明らかにオリンピックを見てるのと同じ。
見てる人たちがそのシナリオに自分ごと化し、そこにこういうストーリーがあった。
本当かよ。どう見たってなんで2ヶ月も動かなかったんだ。ありえないじゃないかという想定外。
ありえないと思ってることがありえちゃったっていう話。
それから小林製薬の二つ目の弱点はですね、
恵子さんなんか経験されてるのかどうか聞きたいなと思ったんですけど、
PRとか広報をやってるときに記者会見やりますよね。
小林政薬は3月29日に2回目の記者会見をやったんです。
それが午後から始まったんだと思うけども、かなり時間かかってる。3時間4時間とかかかってる。
それがまだ終わらない前に、もう一つの共同記者会見が始まっちゃって。
高木 恵子
そうでしたね。
田中 愼一
それが小林製薬がやっている本ちゃんの記者会見と重なっちゃったんです。
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田中 愼一
もう一つの記者会見も実は小林製薬も出てて、しかも厚労省が主催だった。
何が起こったかというと、記者会見で本ちゃんの小林製薬の記者会見で話しているときに、
もう一方の方へ質問してて、一つの素材でプベルル酸というものを、
何か異質の物質が出てたら、それ何なんですかって聞いたら、
小林製薬は下手に言うと混乱をきたすんで、公にできません。今ここでは言えません。
不確実性があるんで言えません。混乱をきたすんで言えません。イメージ悪くなる。
その素材に対するイメージの問題があるんで言えませんってずっと突っ跳ねてたら、
突然記者からすみませんと、今同時並行で厚労省が主催でやってるんですけども、
その異質物っていうのはプベルル酸ですねって聞かれて。
小林製薬の社長以下のお歴々はですね。
高木 恵子
あれはちょっとお粗末ですよね。
田中 愼一
そういう経験って前にされたことあります?
高木 恵子
いやないですよ。
田中 愼一
40年近くやってるけどいない。
高木 恵子
ないですよね。
なんで?
いやまずそもそも同じ時間帯に、同じ事象のね、なんか違うトピックならね、なんか違う製品の発表会とか。
ただまあそれでもやらないと思うけど、普通ないですよね。
田中 愼一
だから正直前代未聞なんですよ。
高木 恵子
そうだ誰がコントロールしてるんだろうと思いますよね。
田中 愼一
もうとにかく社長が慌てちゃって、まず厚労省がやっている記者会見が行われている。
しかもそこに小林製薬の代表がいるっていうことを全然知らなかった。
中川 浩孝
そうなんですか。それはひどいですね。
田中 愼一
で、そこをまたつかれる。なんで知らないんですか。
高木 恵子
そうなりますよ、だって。
田中 愼一
結局これ何かと言うと、厚労一番仲良く、一番一緒になってクライシスに当たらなきゃいけない厚労省とのコミュニケーションが出てないって話がある。
これもう一つの違い、三つ目のポイントが次に起こるんですね。
これいつ起こったかというと、6月の28日に。
それまで小林製薬は死亡者は5人しか出てないってことです。
高木 恵子
そうなの。これもびっくりした。
田中 愼一
厚労省は毎日チェック入れてるんだけど、小林製薬に。
ずっと5人しか死亡者なかったと。
ところが何かのきっかけで、実は76人いましたって話なんですよ。
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高木 恵子
すごくないですか、これ。
田中 愼一
これはさすがに厚労も怒り狂って、厚労大臣が怒りの発言しましたよね。
もう小林製薬には任せてられない。我々がやる。
これはもういかんどころか。完全に怒鳴ってましたよね。
それもまた問題なんだけど、怒鳴るのもね。
でもいずれにしても、この3つの想定外。
こんなことありえないですっていうのが普通の印象なんですよ。でも起こっちゃったわけですよ。
じゃあなんで起こったんだっていう形で考えていく。
これがある意味、僕が今オリンピック見てると似たようなやつで。
こういうふうに考えると、そういえば明日こういうことがあるんだな、どうしようかな、心配だなと。
自分の問題に照らし合わせてやっていくっていうのは、まさにクライシスコミュニケーションのある意味やっている。
だからそういう意味で言うと、人生ってそもそもすべてクライシスなんだね。
人生っていうのはもう、今僕が企業に対して言ってるのは、有事365日の時代。
つまり平時は来ないと思ってください。有事と平時が一緒になっちゃったっていう。
平時だと思っていたら有事になっちゃう。つまりチャンスだと思っていたらそれはピンチだった。
そういう時代になると、とにかくクライシスが来ませんよっていうのは言ってるわけですけども、
実はこれ自分の人生にもいえることで、日々毎日365日いろいろなイシュー、課題、問題にぶつかってて、
そこを一つ一つ片付けていくっていうのが人生なのかなと。
要はそれを片付けていくのに楽しんで片付けていくか、悲しんで片付けていくか、もう嫌だなと思って片付けていくかの違いで、
そこをうまく楽しんでどんどん片付いていけるっていうのが一つの生き方なのかなっていうようなことをイメージしながらですね、
オリンピックとクライシストレーニングと同時並行でやってきたということで、一つ面白かったなっていう、ちょっとふと今ね、それをちょっと感じ取ったんで。
中川 浩孝
まあでも普段から自分ごと化できるかっていう能力というか、そういうトレーニングを進めるできるかっていうことなんでしょうね、きっと。
田中 愼一
それ素晴らしいですね。自分ごと化する能力を持つってことですよね。
中川 浩孝
トレーニングで多分鍛えられるんだとは思うんですよね。結局こういうのって、自分にはこんなこと起こるはずないや、じゃあ考えなくていいやじゃなくて、
もしも自分にこれが降りかかった時、自分だったらどうするかなって、やっぱりちょっと考える、自分なんかはちょっと考えちゃうので。
それね、面白いとこ。 もちろん全部のこと考えてるとは思えないですけど、これは自分には起こらないだろうってことは考えないかもしれませんけど、
でもこういうことってあるかもしれないよなっていうことに関しては、じゃあその時が来たら自分はどうするだろうっていうのは、やっぱりちょっと考えますよね。
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中川 浩孝
考えておけば、もしそういうことが起こった時に、少し発想が、その筋肉を一回使ったことがあるので、なんとなくその答えが導き出せそうな気がするから、そういう練習をしてるのかな。
田中 愼一
それはね、実はすごい良い得てて、自分ごと化する能力っていうのはすごく重要で、間違いないのはクライシスの時があるんですね。
だから基本的に、例えば自分にはこういうことが起こるだろうっていうね、見通しっていうのを、クライシスの場合は最悪のシナリオを考えろって言うんですね。
だから最悪のシナリオを考えろって言うんですね。ところがすごい邪魔が入るんですよ。
何が入るかって言うと、通常クライシスが起こると願望呪縛ってのがあるんですね。
これが強烈な煩悩に近くて、いわゆるJR西が置き石説っていうのを唱えたっていうのを覚えておられます?
つまり、レールの上に石が置いてありましたって。
で、これを記者会見で話し合うんですよ。
わざわざ私どもの乗員が、実は石がレールの上に置いてあったんだって。
それ以降何も言わないんですよ。単に置いてあったんだってだけ言うわけ。これが願望呪縛の表れで。
メッセージとして、いや石が置いてあったからこの転覆事故が起きたんだっていうのを匂わせるような表現だったわけです。
そうしたら即事故調査委員会、国交省、さらには有識者たちが全反対で、
いやそんな置き石説なんていうのは発見してません、というのを。
あと有識者が置き石説が置いてあったとしても、そんなのは全然影響を受けないっていうコメントがわーって出て。
で、なおさらいかに当事者意識がないか。つまり願望呪縛に負けて最悪のシナリオを描けなかったっていう。
人間も実はそういうとこがあるわけですよ。
自分には起こらないだろうと思っている最悪のシナリオを描こうとすると、
いやでもこういうことがあるからな、こういう願望が生まれてくるわけですよね。
こういうのが実は結構あるんで、案外クライシスでトップマネジメントが心を動かしていく動きと、
自分の人生の一つのいろいろな課題がボンボン来る中で、それをこなしていく思考回路っていうか感覚っていうのは実はかなり類似性があって。
ある意味、自分ごとができる能力っていうのを日々培っていれば、クライシスでもリーダーシップを発揮できるってことですよね。
で、クライシスでリーダーシップを発揮できるってことは、日々の日常生活の中でもそういうことを慎重に考えて、
自分ごと化する能力を持ちながら、正しい自分ごと化っていうんですか、間違った自分ごと化もありますからね。
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田中 愼一
そうやってるっていうのはちょっと共通項があるなっていうのは今。
ひろちゃんの自分ごと化する能力、これいい言葉ですね。今日本日の言葉ではこれが一番いいですね。
自分ごと化する能力、最高だな。
21:34

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