田中 愼一
そうですね今日は、実際経験、この1週間、2週間で経験したことを、ベースにいろいろと議論ができるといいと思うんで、とりあえず僕の方からネタ出しっていう形で、今週はですね、ある企業の、
これ外資系企業なんですけど、クライシスコミュニケーションということで、クライシスコミュニケーショントレーニングっていうのを実施したんですね。
基本的にはこれは我々がずっと、僕がやっているトレーニングの一つなんですけど、一日かけて、
実際には起こった事象の、通常僕は映像を見せるんですけども、映像を見てもらって、
そこに参加してるのは社長以下、役員の主な人たち。いわゆるクライシスになったときに動かなきゃいけない人たちが対象になっていて、
全体で十何人いたかな、十人近くぐらいいたかな。
実際の全てのセッションはですね、一日かけてやるんですけど、全部映像にとらえてて、
とりあえず一番初めに僕がやるのは、一つの代表的な、
みんながある程度聞き知った、あるいは見たことのあるようなテレビで放映された映像なんかっていうのをリマインダーとして出して、
そのあと、いろいろなクライシスの基本的な要定とかいうところを話しながら、具体的な話を進めていって、
午後ぐらいになると、今度は一つのシミュレーションをしましょうということで、
いわゆる一つのシナリオを設定してね、クライシスになったこういうシナリオですって、御社でこうなりましたっていうのを撮って、
そこに対して具体的にどういうふうに対応していくのかっていうんで、
受講者の人たちが集まって、自分たちで考えてどう対応するか、
ホルディングステートメント、つまりクライシスが起きたときに、
公に社内外にどういうステートメントを出すのかとか、それをどう作っていくのかとか、
それからさらにはその後の記者会見をもし行うのであれば、Q&Aはどうすればいいのかとか、
それからその後記者会見のやり方とか、実際記者会見を模擬でやってみて、
田中 愼一
ワーワーワーワーやって、こちらはどんどん記者役の人間を配置して、どんどんどんどん詰めていくわけですね。
こういうのをやって、最終的にはそれを振り返って、こうこうだったねっていうことでやるわけですね。
今回やった新しいところっていうのは、どっちかというとその前までは日本マーケットに合ってるというか、
基本的には座学的な部分っていうのが結構強かった。
今回はどっちかというとグローバル的なやり方を少し取り入れてですね、より臨場感を作る感じでね。
より受講者の人たちの発想っていうものかな。
こういうものを少しでも育てるような。
クライシスって、これやってみるとわかるんですけど、よくクライシスマニュアルとか作ってやりますよね、企業で。
クライシスマニュアルっていうのは、いざクライシスになったときに何の役にも立たないんですよ。
そんな本を見てるなんて、マニュアルを読んでるなんて暇ないわけ。
しかもマニュアルの作り方を間違えるケースが多くて、みんなで細かく全部入れちゃうんですよ。
頭が混乱して、頭が真っ白なときにマニュアルなんか見せられたって何にもできない。
そうすると結局唯一頼れるのは、そのときのトップの発想というか、もっと言うのはリスク感度っていうのかな。
リスクを素早く察知し、そこに対して何をしなきゃいけないかを決め、それをやるっていう、いわゆる決断してもらう。
最後には決断したら、それがどれだけ迅速に実現されるかのために、
誰に対してどのようなメッセージをどの段階で出していくかっていうのを判断する発想って言ったほうがいいんでしょうね。
もうそこしかないんですね。
田中 愼一
だから今回僕なんかが提供しているクライシストレーニングっていうのは、どっちかというと、
知識を与えるっていうよりも、基本的に発想を育ててもらいたい。
だから例えば6時間ぐらいやったときに、別にそこで知識を覚えるっていう作業じゃなくて、
基本的には発想を身につけてほしい。
もっと言うならば、クライシス感度、クライシスを察知する能力っていうのをやってほしいって狙いなんですね。
これが僕のクライシストレーニングの特徴で。
だから知識偏重じゃなくて、逆に発想、感度にもっと重きを置く。
そうなるとですね、教え方も変わってくるっていうことで、
今回はその発想をより腹落ちさせるための手法ということで、
今までは座学的な要素が強かったケーススタディをですね、
より瞬時に発想しないとやっていけないようなカラクリにしてたわけですね。
それはどういうことかというと、従来だと、今までは一つのケースシナリオがある。
それを十分考えさせて、実際今こういうことになっている。
さあどう対応するっていうことで、大体ステージを2つぐらいにしか設けてなかったんですよ。
今回はですね、それをもっと高速回転で回そうっていうことで、全部で10段階。
つまり、例えばことが起こった1日目。
1日目でこうなったら、対応考えるってみんなで考える。
そうするとその夕方にまた新たな事実があって、それがどんどんどんどんエスカレートしていく。
全部で10段階ぐらい。
それをどんどん変えていくと、だんだん受講者も顔が青くなってくるわけですよね。
あんまり関係のなさそうな事象がボンと起こって、
それが徐々になんとなく関係ありそうだっていう事象に変わってきて、
次にボーンと名前が出ちゃって、次にどんどん加速化していくわけですよ。
しかもそれに合わせて、対応力もスピードアップさせないと。
クライシスってのはクライシスの競争ですからね。
クライシスってのは本当にどんどん先走っていくんですよ。
それを逆に追いつくだけじゃなくて、一歩抜いて一歩先を行くっていうスピード感がないと、
クライシスに勝てないんですね。
だからそういう状況をどんどん可変的に、今回は10ぐらいの状況を設定したんですけど、
あれだったら15ぐらいまで持ってっちゃってね。
とにかくフル回転で頭を使わせる。
その中で、いわゆるクライシス感度っていうのをどう習得してもらう。
クライシス感度を身につけるっていうのは、すごく今の世の中重要になってきてて。
そういう特殊トレーニングっていうのは日頃あんまり受けてないんですよね。
田中 愼一
でもあのクライシストレーニングっていうのは、ある意味で言うと会社のトップの人間だけじゃなくて、
日常人生を送っている我々だって、いわゆるクライシスって起こるわけですよ。
そういう意味でも、個人ベースでもクライシス感度って身につけるべきだなって実感した次第なんですけども。
だからなかなかね、クライシスコミュニケーションを制するものはコミュニケーションを制するっていう。
自分が作った言葉ですけど。
クライシスコミュニケーションって究極のコミュニケーションに近いんですよ。
いろいろなコミュニケーションの原理原則をフル活用しながら、
知識じゃなくて、自分が持っているその時の発想や感度で勝負していく。
しかもそれを迅速に、クライシス以上の速さで乗り切っていくっていうね。
ここあたりがすごく重要なのかなっていうことで。
田中 愼一
ほとんどのところがクライシスになってから動き出すんですよ。
だからいかにインシデントという事象のところから、それがなんとなくこっちにつながってくるかなって思わせるイシューかね。
イシューになるかどうかってところをどう捕まえるか、どう感度するか、どう察知するかっていうのがものすごく重要なポイントなんです。
高木 恵子
なんかそれってトレーニングでやっぱりそれって身につくものなんですか。
田中 愼一
そういうものがやっぱり価値あるだろうってことで我々ずっと開発してきてる。
だから知識は意味ないんですよね。
知識をいくら詰め込んでいただいてもクライシスには対応できないです。
高木 恵子
今までも何十年もエグゼクティブの方たちにそういうトレーニングしてると思うんですけど、
基本的にエグゼクティブになるレベル、ビジネスパーソンとしてある程度のいろんなスキルセットをお持ちの方たちだと、
もちろん知識としてはなんとなくある程度ぐらいでもトレーニングを受けることでその感度ってやっぱり詰まされたりできるんですかね。
ありますね。実際ね、受講生の感度が明確に出てきますね。現在の感度っていうか。
田中 愼一
一番優れ者はインシデントだけのときでリスクを感じ始める人っていうのは感度がめちゃくちゃ高い。
一言で言うとどういう能力を持ってるかって意味付け力が高いんですよ。
目の前で起こっているものに対して、自分にとってそれはどういう意味があるのかっていうね。
意味付け力が高い人ほど、インシデントのレベルでもすでに察知する。
で、察知できれば手を打っとくんですよ。
少しでも予兆が出てきたら即動けるように。準備までしちゃう。
これが最高度。つまりインシデントで意味付けられるっていうのが一番最高度ですね。
でもなかなかそういう人っていないですね。
そうするとどこで行くかっていうと、だいたいそれがイシュー化する直前か、イシュー化したちょっと後ぐらいでスパッと認知する人。
ここがやっぱり今は多分最高峰でしょうね。
だんだん感度が悪くなるとですね、どんどん後になる。
結局最終的にクライシスって誰もが見てもクライシスってわかるような段階で対応するってのはもう手遅れなんですね。
だから元々僕のトレーニングはそういうふうに発想重視、知識じゃなくて発想重視なんで、
あるいは感度重視なんで、そういうことをどうやってトレーニングで教えられるのかをいろんな工夫をして、
だから今週やった工夫っていうのは、より刻んでいく。
しかもよくケースタディをやるときにケースを読ませちゃうんですよ。
ケースには読んだら流れが出てくるんですよ。
だからあんまり意味がなくて、読ませずに事象だけ出していく。
だからその背後にはちゃんとしたストーリーできてなきゃいけないんですけど、シナリオが。
でもそれを相手に見せるもんじゃなくて、自分の頭の中に入ってればいいわけで。
それで相手に見せるのは事象。目の前に何が起こってるか。それだけ。
その中から受講者はそれを察知して、リスクを定義して、これがリスクだって。
自分たちの企業にとって、この今ある事象っていうのはこういうリスクをはらんでいる。
これがクライシス化する前にどう手を打てるか。こんな感じですよね。
これが一番まず大事なリスクを感知するリスク感度っていう。
これがまずこのトレーニングによって培う第一の能力ですね。
田中 愼一
最後の三つ目の能力は、どれだけ360度で相手を認識できるかっていう能力。
クライシスっていうのはとてつもなく広がりがあるんですね。
ボーンと起こると。そうするとあらゆる相手が目の前に出てくるわけです。
通常、みんな思っちゃうのは被害者ってなっちゃうんですね。
でもこれは正しいんですよね。被害者は間違いなく第一番目、主要な相手になるとは思うんですけども、
でもそこだけ見ちゃうっていうケースが結構出てくる。
実はクライシスは最低でも二人を相手にしなきゃいけなくて、
一人はクライシスですから被害者が出てるから、被害者に対してどういうメッセージを出すかっていうのが重要なんですけど、
もう一方で、今起こっているクライシスを一刻でも早く収束させるために動いてもらわなきゃいけない人っていうのが相手。
それは社員をはじめ、あるいは当局、警察、あるいはいろんな取引先、
あらゆる人の協力を得ないとクライシスって収束しないんですよね。
だからそうなると結局、被害者だけとかね、相手は一人に絞り込むことは絶対的に間違いになってて、
絶えず360度で相手は誰かってのを認識し、それぞれの相手にどのようなメッセージをどのような方法でいつ発信して、
それをすることによって決めた対策が迅速に、クライシスの進展以上のスピードで実現させていくっていうのが最後の3つ目の感度なんですね。
だからパッと起こったときに、見えない相手を見れる力ってことだ。
これは単に被害者だけじゃなく協力取り付ける社員、さらにはサプライチェーンにいるいろんな人たち、極端には競争相手も引っ張り出す。
そういう全方位で全員を動かしていくっていう、これはクライシスリーダーシップって呼んでるんですけどね。
みんな動かして、いかに被害を食い止めていくか、収束させていくかっていうね。
そういう姿勢を示すっていう感じ。
この3つは、いかにリスクっていうのを察知する能力、リスク感度。
2つ目は、やることを決めたらそれを本当にやると覚悟して決断できるかどうか。
最後は基本的には、それの対策っていうのが、クライシスがどんどん動いてるんで、
それを先回りして打っていくスピード確保するために、
今誰に対してどういう方法で何をいつ伝えるかっていうね、ここあたりを迅速に回していく発想が必要だ。
それに合わせてどんどん指示していかなきゃいけないんですよ。
理想はトップがそれをどんどんやっていく感じ。
日本の基本の場合はどっちかというと集団主導体制が多いから、その場合は大体役員のチームでやっていくと。
だからCEOがいてCFOがいてCOOがいて、さらにそれぞれCがつく人たちが並んでワンチームを作って、
そこでCEOがリーダーシップを取りながら動かしていく。
だからこのトレーニングはある意味でいうとトップマネジメントのワンチーム化を促進する。
日頃そんな話しないですから、皆さん。
ビジネスの話はするけど、クライシスになった時にやばいぜっていう話は案外トップマネジメント同士でやってないんで。
だから結果として、そういう3つの発想ってさっき言いましたけど、そういう発想をまず身につけていただくっていうことと同時に、
そのマネジメントがワンチームだっていう意識を醸成しておいてもらう。
こういうのをトレーニングするっていうセッションですね。
まあ1日かかるけど結構面白いんだけど、みんな結構やっぱり乗るんですよ。
こっちの一番重要なスキルはですね、こうだって言っちゃダメなんです。
あくまでファシリテーターに徹する。
受講生に考えさせて、そこにどういうコメントをポンと入れるか入れないかっていうのが実はここはミソで。
やっぱりオーナーシップを持ってもらわないとダメなんですね。
だから座学的な要素が今僕のトレーニングはどんどんなくしてって。
知識変調もどんどんなくしてって。