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毎週木曜日のこの時間は三好剛平のCatch Up。クリエイティブプロデューサーの三好剛平さんです。三好さん、おはようございます。
おはようございます。
さあ、今日は?
本日紹介するのは、明日4月19日金曜日からですね、シネコン各劇場で上映されます。
異人たちというイギリス映画をご紹介します。
イギリス映画。
これ異人たちって偉い人じゃなくて、異なる人たちですね。異人さんの異人です。
この映画なんですけども、もちろん作品単体として見るだけでも、めちゃくちゃ十分感動的で素晴らしい映画ではあるんですけど、
今からお話しする、ちょっとこの作品の外側にあるエピソードをですね、知った上で見ると、
作り手たちがこの作品に込めた思いとか、その見事なその本案ぶりみたいなものに、めちゃくちゃ圧倒される、超大傑作って言いたくなるような特別な作品になるので、
今回ちょっとそのポイントを少しだけご紹介したいと思います。
まずこれ映画のあらすじからご紹介するんですけど、これ舞台は現代のロンドンでございます。
夜になると人の気配が遠のくロンドンの寂しいタワーマンションがあるんですね。
ここで一人暮らしているのが本作の主人公である脚本家のアダムという男です。
このアダムなんですけども、いつものようにアダムがその一室で、その部屋でですね、
誰と関わることもなく、孤独な一日を終えようとしていた、そのある夜に扉の向こうからピンポンって言って、
ハリーと名乗る謎めいた青年がですね、やってくるわけですよ。
どうやらこの同じマンションに住んでいるらしい彼なんですけれども、
ちょっと酔っ払った様子でですね、玄関先に佇んで、一緒に飲まないとかって言って誘ってくるわけです。
なんかでもちょっと突然の訪問だし怖いなと思って、アダムは戸惑っちゃって、その誘いをやんわりと断るんですね。
というようなオープニングから実はこの映画が始まります。
そんなアダムさんなんですけども、脚本家として、
彼はですね、12歳の時に私別した、両親の思い出をした時期にした脚本というのを今制作中で、
ある日ロンドンから電車に乗って子供時代を過ごしたですね、郊外の街に行ってみるんですね。
古い記憶をたどりながら、かつての自宅とか公園を散策しておりますと、
アダムの前に今度は見覚えのある一人の男性が現れますと。
この男が話しかけたりして連れられて、ちょっとついて行って行った先には、
なんとアダムがですね、幼少期を過ごしたかつての自宅に連れて行かれるわけですね。
家の中からアダムを温かく迎え入れる女性もまた見覚えがあると。
これ何なのかと言ったら、実は彼の前に現れたこの2人の男性と女性は、
30年前に私別した当時の姿のままの両親だったというような話になっていくわけですね。
そう、言ったら両親の幽霊と出会っちゃうわけですよ。
で、この扉の前に現れた最初の冒頭の方のね、謎の青年ハリーと、
30年前に私別したはずの両親の幽霊みたいなものと、この2つの再会というか、2つの出会いですね。
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この2つの出来事を通じて、このアダムっていう男がですね、
自らの家に深く閉ざしていた思いだったりとかっていうのを、
一つずつ解き起こしていくのだがっていうのは、そういう映画になるわけです。
なるほど。
だがの後が気になるけどね。
ここが重要なんですけどね。
これですね、実はこの映画なんですけれども、日本と実はすごい深い誤言があるんですね。
え?
というのが、この映画は元々日本の名脚本家として知られる、
ふぞろいのりんごたちとか、男たちの旅路っていう、
山田太一さん。
そう、山田太一さん。
あの方が1987年に発表した、異人たちの夏っていうこの小説が原作なんですよ。
異人たちとの夏。
そう、異人たちとの夏ってこれですね。
で、この異人たちの夏っていうこの作品は、実は1988年には大林信彦監督による映画版も制作されていて、
それもまた当時高い評価を集めたりとか、
この異人たちの夏っていう小説も第一回山本集吾朗賞を受賞していたりして、
非常に高い評価を集めました。
大林監督の作品も今Amazonプライムビデオとかでも見れるので、
もしご興味ある方は見てみてください。
問題は、この原作、日本のね、30年以上前のこの原作が、
なんでイギリス映画としてリメイクされたのか。
そこですよね。
これ少しご説明すると、
まずこの原作なんですけど、山田さんがまだ生前の時代から、
実はアメリカ、そしてイギリスで、映画版としてもうすでに出版はされていて、
当時からもう多くの人に読まれるものにはなってたんです。
で、2000年代ぐらいに入ると、この山田さんの原作を映画化したいっていう動きが、
最初イギリスで、その後アメリカとかでも、いくつも起こってたんですけど、
なかなか実現に至らないっていうのがずっと時代が続いてたんですよ。
で、その後2017年になって、この原作をもう一回映画化したいということで、
改めて動き始めたのが、イギリスの映画制作プロダクションの、
ブループリントピクチャーズっていう会社だったんですね。
で、この会社の名前は多分皆さんあんまりご存知ないと思うんですけど、
このプロダクションが実は手掛けた映画は、アカデミー賞常連作家の、
マーティン・マクドナルド監督のスリー・ビルボードっていうね、大傑作ですけど、
とか、イニシェリン島の精霊とか、そういった作品群を手掛けている、
イギリスの超実力派プロダクションなんですよ。
で、このプロダクションが監督として、じゃあ誰にやらせるかっていうことで決めたのが、
ここからご紹介するアンドリュー・ヘイっていうですね、超有志な監督なわけです。
これがね、実はもう一つ超重要なポイントなのでここ説明します。
アンドリュー・ヘイ監督です。
現代映画界の中でも超屈指の演出力を備えた、
優れたイギリス人の映画監督なわけですけども、
これまでウィークエンドっていう作品、サザナミ、荒野にてといった、
いずれも素晴らしい作品を発表しておられる作家で、高い評価も集めてきましたよと。
中でもその冒頭のウィークエンドっていう作品、
これ男性同士の恋愛をすごくパーソナルな視点から描いた素晴らしい作品なんですけど、
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このウィークエンドっていう作品は、英国映画協会BFIが2016年に発表した、
あらゆる映画、今まで発表されてきたあらゆる映画の映画史上最高のLGBT映画ベスト30という、
とんでもないランキングを発表したんですけど、
これの1位はキャロルだった、キャロルって有名な作品ですけども、
あれだったんですけど、それに次ぐ2位がこれなんですよ、ウィークエンドってこの作品なんです。
で、言ったらこのウィークエンドっていう作品は、その後のLGBT映画の本当に流れを変えるような大きな起点になる、
すごい重要な作品になったわけですけど、そういうことであったりとか、
あと2014年からはご自身が制作総指揮を務めた、あと監督も務めたHBOのドラマのルッキングっていう、
これもまたサンフランシスコに住む30代のゲイ3人組の人生を描いたドラマだったんですけど、
こっちも非常に高い評価を集めているというような、そんな監督なんです。
というのも、アンドリュー・ヘイ監督、これご自身がゲイであるっていうことを表明している、
オープンリーゲイって言いますけど、そういうゲイの作家さんでいらっしゃるわけですね。
で、このゲイであるっていう、彼自身がゲイであるっていうこのことが、
やっぱり彼の作品に一貫する一つのテーマみたいなものに直結しているわけですよ。
それは人間とか、愛っていうようなものに関する、それに向ける俯瞰した視点、ちょっと冷めた視点だったりとか、
愛する誰かとか、社会との間に横たわる、埋めようのない孤独みたいなものの感覚。
なんだけど、あるいはそうなればこそっていうべきか、一方で愛を強く信じて求めるみたいな、
そういうようなスタンスっていうのが、監督のどの作品にも出てきていて、
それは監督自身がゲイっていう、人生を経験してきたその感情と不可分なものなんだなっていう感じがするわけです。
そんな監督が、山田太一さんのこの原作をどのように映画化していったかっていうのが、今回の一番のポイントになっていくわけですよ。
監督は、この山田太一さんの原作のある一つの設定を変更することだけで、この映画を見事に映画に傑作として引き上げる形を成功しています。
この変更したポイントが何なのかっていうと、この主人公のアダムっていう青年のセクシュアリティですね。
山田太一さんの原作では、夜のマンションで扉の前にやってくる人物は女性だったんです。
だったんだけど、監督はそこで劣る人物をハリーという男性に置き換えて、主人公のセクシュアリティも異性愛者からゲイの人物っていうふうに変更すると。
こうすることで、監督自身のものすごくパーソナルな映画になっていったわけですね。
自分のフィールドに持ってた感じですね。
山田太一さんが描いたこの異人たちとの夏っていう原作の中に、アンドリュー・ヘイ監督は、この小説は作家自身の極めてパーソナルな物語だなっていうこと。
もっと言えば、その圧倒的な孤独感をこの作品の中に読み取るわけですよ。
ならばということで、監督自身が自分自身が幼少期からゲイとして生きる中で感じてきた圧倒的な孤独だったりとか、精神的な救いを求める様子をそのまま置き換えるという形をとって。
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映画の中で原作を置き換えること、アダプテーション、本案とか言いますけれども、この映画はそういう意味ではアダプテーションの妙を徹底的に楽しめるものすごい素晴らしい作品になっていると思います。
その一例を、いろんな例を挙げていきたいんですけど、その一例だけちょっとご紹介すると、この映画の冒頭と終わりに、当時のイギリスのゲイカルチャーの中で深く愛された、フランキーゴーストハリウッドって、リラックスって有名な曲がありますけど。
彼らの1980年に発表した、ザ・パワーオブラブという曲が登場するんですね。
この曲は、君を死神から守ってやる。あなたのドアから吸血鬼を遠ざけるんだっていう歌詞があるんですけれども。
この歌詞の中に登場する、扉の前にやってきた死神、吸血鬼っていうのが何なのかっていうことになるわけですね。
それはやっぱり、この一人一人の人間を、本当に精神的に追い込んでしまう孤独なのかも。
それは扉の前にやってくるってなった時に、この映画の中に出てくる場面ともなんとなくリンクするわけですよ。
みたいなことで、一個一個が実は完璧に翻案されていく。
これ見事な仕事だなっていうことで圧倒されるし、
そういうことも含めて、本当にそういうふうな翻案の妙を楽しむ映画として、
あるいは本当に普通にLGBTQ映画の、もっと言えば人間の愛にまつわる、本当に新たな傑作が完成しちゃったなっていうことで、
これマジで見逃さない方がいいと思います。
4月19日から異人たち、ぜひご覧くださいというご紹介でございました。
ここまで三好豪平のキャッチアップをお送りしました。
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