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この時間は、日替わりコメンテーターが独自の切り口で、多様な視点を提案するCatch Up。
木曜日は、クリエイティブプロデューサーの三好剛平さんです。
三好さん、おはようございます。 おはようございます。
さあ、今日はどんな作品を紹介してくれるんでしょうか?
はい、本日はもう9月5日よりですね、もう現在の全国各劇場で絶賛公開中の日本映画なんですけれども、
「遠い山並みの光」という作品をご紹介したいと思います。こちらです。
はい、この番組ではね、すでに9月2日に神部一美さんがCatch Upでも取り上げていらっしゃったと思うんですけれども、
私もですね、先週遅ればせながらこの作品やっと拝見できたんですけど、
これがね、ちょっとね、期待をかなり上回るですね。めちゃくちゃよくできた映画になっててですね、
ちょっと圧倒されまして、これ2週遅れなんだけど、ちょっとリスナーさんにやっぱりちょっとこれ劇場鑑賞間に合うタイミングなので、
ちょっとこれ見てほしいなと思ってですね、ご紹介したいと思います。
この作品、「遠い山並みの光」という作品なんですけれども、まずやっぱり主演に広瀬すずさん、二階堂ふみさん、そして吉田陽さんというですね、
いずれも豪華キャストを迎えられまして、物語としては戦後間もない1950年代の長崎、
そして1980年代のイギリスという2つの時代と場所で工作する記憶の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー作品なんていうわけですね。
この作品なんですけど、原作がありまして、原作はノーベル文学賞だったりとか、
ウッカ賞なども様々な賞を受賞されてきた、もう現代最高峰の小説家の一人と言えるでしょう、
和尾石黒さんが1982年に発表された、これ長編のデビュー小説なんですね、この石黒さんなんですけれども、
実はその1954年に日本人の両親の元、長崎でお生まれになったご経歴があって、
その後5歳の時に家族と一緒にイギリスに渡られて、その後英国籍を取得されて以降作家活動みたいな形なので、
もともと長崎ご出身という原体験が終わりなんですね。
今回この遠い山並みの光という長編デビュー作でもあるこの小説の中で、
やっぱり長崎の描写にはご自身の幼少期の記憶も反映していらっしゃるというようなことも語っていらっしゃいます。
ちなみにこの石黒さんなんですけど、文学でも最高峰を築いちゃってるんですけど、
実は映画にも大変造形が深くていらっしゃって、今まで国際映画賞での審査員なんかも勤めたりとか、
さらには2023年に黒沢昭監督の映画「生きる」っていう映画をイギリスでリメイクした「生きるリビング」っていう作品があったんですけど、
これにはご自身がプロデューサーにもなって企画制作組織に加わっただけじゃなくて、
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ご自身で脚本も手掛けられて、これがアカデミー賞の脚職賞の候補になったという。
すごいですね、マルチの才能。
そうなんです、すじ金入りの方なんですね。
その和尾石黒の原作を監督、脚本として映画化したのが石川圭という映画監督です。
この人もなかなか異色でございまして、一般大学を卒業された後、ポーランドに留学して映画作りを学んだという異色の経歴を持っている人でございまして、
とはいえ、この人は2016年にグコーロクっていう作品をやりました。
だったりとか、この番組でもリスナー名作劇場でご紹介したことのある三橋と遠来というピアニストの子たちの映画だったりとか、
あるいは日本アカデミー賞の最優秀作品賞など最多8部門受賞したある男という原作の映画もありました。
そういった作品を手掛けられてきた人で、作品発表ごとに評価を高めているような国際派かつ実力派の監督なんですね。
そんなお二人が関わるプロジェクトということもあって、今回制作の座組もかなり国際的で、
世界三大映画祭だったりとか、イギリス、そしてアメリカのアカデミー賞のもはや常連になっている、
イギリスの名門プロダクションで、ナンバーナインフィルムズっていうプロダクションがあるんです。
これ、ハロルってめっちゃいい映画あったじゃないですか。ケイト・ブランシェットの。
だったりとか、さっきの生きるリビングっていう作品も手掛けた名門プロダクションなんですけど、そのイギリスのプロダクション。
そして、近年国際映画祭でもめちゃくちゃ存在感を高めているポーランドの、まさしく石川監督ともつながりのあるポーランドのラバフィルムズっていうですね、
この二つのプロダクションが制作に加わって、三カ国合作映画としてこれを作られたんですよ。
だからめちゃくちゃ多国籍な座組で作られていて、さらに今回この映画に関しては原作者である和尾石黒さんが、
エグゼクティブプロデューサーとしても名を連ねていらっしゃって、これがこの後説明していく、映画と原作の見事な発展、昇華につながったポイントでもあるかなというふうに思います。
というところで、ここからですね、この作品の具体的な中身に入っていきたいと思います。
まずはあらすじです。
日本人の母とイギリス人の父を持ち、大学を中退して作家を目指すニキという女の子がいます。
このニキさんは戦後長崎からイギリスに渡ってきたお母さんのエツコというですね、そのエツコの繁盛をご自身の作品にしたいということで、お母さんにヒアリングをしていくわけですね。
娘に育われて口を閉ざしてきた過去の記憶を少しずつ語り始めるその母エツコなわけです。
そこは戦後復興期のかきあふれる長崎で出会ったサチコという一人の女性とその幼い娘と過ごした一夏の思い出がそのエツコから徐々に実は語られていくわけですね。
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そして初めて聞く母の話に心揺さぶられながらも、なんかがちょっとおかしいなってニキちゃん思い始めるわけですね。
そのニキは徐々にそのエツコの語る物語に秘められた嘘に気づき始め、やがて思いがけない真実にたどり着くというような物語になっています。
それがミステリーって言ってた部分なんですね。
そうなんです。
この映画で特にキーパーソンになるのがそのエツコという女性でございまして。
このエツコ、終戦後の長崎でまずお腹に子供を宿している新婚の女性として出てくるんですけど、その1950年代のエツコを広瀬すずさんが演じて。
1980年代に娘から壊れて改装をしていくっていう、その当時の話をするエツコを吉田陽さんがダブルキャストで演じてらっしゃるんですね。
正直二人似てないかなと思ってたんですけど、映画の中だとめちゃくちゃ同じ人物に見えるんですよ。
似て見えてくるし。
本当にそうなんです。
やっぱりそのエツコっていうキャラクターが当時の長崎で経験した出来事っていうのがエツコ自身にどのような影響を与えているのか。
そしてその娘であるニキっていう次世代にもどのような影響を与えているのか。
さらには当時エツコがひと夏を共に過ごしたサチコっていう一人の女性。
そしておよびその娘っていうのは一体何者なのかみたいなことが徐々に明らかになっていくわけですね。
この映画の何がそんなに素晴らしかったかというと色々あるんですけど。
まずは一つ基本的なことを言うと、とにかく石川健監督がめちゃくちゃ映画が上手いんですよ。
びっくりしました。
とにかく的確な演出と一個一個のショットが間違わないっていうところもありますし、
複数の時間軸が交錯するかなり複雑な物語である上に、
どの語りも真実とは限らない、みたいなちょっとですね、信用ならない物語でもあるんです。
みたいなのにも関わらず確信をぶらさず、ちゃんと描ききるその構成力だったりも含めて、
ちょっと本気で驚かされました。
さらにはその物語に登場する50年代の長崎の風景っていうのが、
ロケセットも含めて、なんか不思議なくらいちょっと作り物っぽいんですよ。
その作り物っぽさっていうのも映画内で見ていくと、
あれってことは実はみたいな感じで、ちょっと辻褄が合うアイデアが練り込まれて。
なるほど。
この辺も上手いなっていうか、戦略に隙がないなと思いました。
みたいな技術的な部分ももちろん本当にすごいっていうのはまずあるんですけど、
実はここで推したいのは、それよりもまして、
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やっぱりこの原作を、1982年に描かれたこの原作を、
2020年代、もっと言えばこの戦後80年代、
2025年にこそやっぱり映画として公開することの意義みたいなものに、
めちゃくちゃ意識的に作られてる作品だなって僕は思ったんですね。
それこそがやっぱりこの原作、もともとあった物語を、
もう一回今語り直すべき普遍的な物語に昇華させることにやっぱり成功してるなっていうことに
驚かされたわけですね。
実際この映画、原作とは結構異なる変更点だったりとか、
強調され直す点みたいなところがいくつか用意されていて、
そこで実は結構驚かされるところもあるんですけど、
これこそがやっぱり原作からの解釈として、非常に豊かな広がりを描ききっているところがあって、
そこを駆け足ですが3つ触れたいと思います。
まずは1つ原爆、そして放射能による被爆後遺症の恐怖という点を、
かなり具体的に押し出した点なんですね。
もともと原作では戦後の長崎っていう舞台はある意味背景に留まったところがあるんですけど、
映画ではより具体的にやっぱり登場人物たちの人生に深く関わる原爆、そして放射能の被爆っていう経験がやっぱり打ち出されるわけですね。
ここにはやっぱり和尾石黒さんも、戦後80年を迎えた今社会全体が核とは何かみたいな、そういった危機感から忘れ始めている危機感もあって、
もう1回その体験を語り直す必要があるんじゃないかということを触れてもいらっしゃっていることに加えて、
やっぱりこの被爆っていうことの恐怖の打ち出しをすること、そのある種の本案が見事に原作に登場していたですね。
各場面のある種の不穏さみたいなものをよりブーストさせている。
上に人物たちにやっぱりもう一層新しい物語のレイヤーを追加しているなって思ったんです。
それこそがまた次の2つ目に関わるんですけど、その被爆っていう恐ろしさが強調されたことで、
それが当時の女性たちにどのように作用したか、あるいはその不条理さみたいなものが際立つ点になったんですね。
やっぱりその主人公のエツコっていうのは、新婚ホヤホヤ結婚したというのは旦那さんがいて、
さらにはお腹の中に小さな命も宿されている。
そうした当時の女性が原爆を経験したそのトラウマであったりとか、
あるいは自身が被爆したかもしれないその放射能の母体への影響など、
そういった様々な拭いされない恐怖っていうのがやっぱり映画の中にずっと漂ってるんですよ。
それはやっぱり原作が暗示的に描いてたことをより具体的にやっぱり際立たせているだけではなくて、
彼女たちがそれをどのように自分の未来っていうのを選び取るのかっていうことにですね、
よりフォーカスがいくようになっていて、この辺も非常に現代的だなと思いました。
最後3つ目ですけれども、そうした女性に限らずやっぱり刻々と移り変わる時代の中で、
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人々はもっと言えば私たちはどう生きるかっていうことがより際立つ物語になってたんですね。
でもちょっとこれ具体的に言い始めるとキリがないんですけど、
とにかくやっぱり不確実な時代の変化に晒される中で取り残されていく人々だったりとか、
あるいは必死にもがいてでも新しい自分を獲得しようとする人々みたいな、
そういった人物像っていうのはひるがえってやっぱりめちゃくちゃ和尾石黒的な世界観でもあるわけです。
なので含めてめちゃくちゃ上手くいってる映画家だと思いました。
みたいなことで具体的に推薦したいポイントまだ山ほどあるんですけど、
時間もいっぱいなのでちょっとこれぐらいに収めますが、
とにかくこれね本当に2025年必見の映画だと思います。
遠い山並みの光は今ユナイテッドシネマ、TJ博多ほか各シネコン劇場で絶賛公開中ですので、
ぜひご覧になってみてくださいという紹介でございました。
今日も熱いプレゼンありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
三好御兵のキャッチアップでした。
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