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内容
『文學界』2025年10月号の「新人小説月評」と「新人」問題/坂本湾「BOXBOXBOXBOX」(『文藝』2025年冬季号)/保護犬と男女/「女流」/鳥山まこと「時の家」(『群像』2025年8月号)/雑誌を全部読むか問題/畠山丑雄「叫び」(『新潮』2025年12月号)/空気感
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サマリー
このエピソードでは、第174回芥川賞の候補作を掲載誌で読んだ後編として、特に受賞作である鳥山まことの「時の家」と畠山丑雄の「叫び」を中心に、それぞれの作品のあらすじや感想が語られています。「時の家」は建築家が作った家を舞台に複数の視点と時代で物語が展開し、一方「叫び」は銅鐸作りを学ぶ主人公が過去のアヘン王と自身を重ね合わせ、特殊な天皇観や恋愛模様も描かれます。また、坂本湾の「BOXBOXBOXBOX」は宅配所の派遣社員たちの日常に非現実的な要素が入り混じる作品として紹介され、保護犬を巡る男女のすれ違いを描いた「あの子のかわり」と「性域」が同じ号に掲載されていたことにも言及されています。 さらに、芥川賞候補者の「新人」定義の曖昧さや、「女流」という言葉に対する現代の感覚、そして雑誌を全て読むべきかという問題についても触れられています。全体を通して、雑誌を読むことで作家や編集者の無意識の意図や業界のトレンド、空気感を感じ取れる面白さが強調されています。前回の放送で触れられなかった「文学界」の「新人小説月評」に関する補足や、各雑誌の掲載作についても詳しく解説されており、芥川賞の選考傾向として「時空を超えて人がつながる」モチーフが共通していた可能性も指摘されています。
「文学界」新人小説月評と芥川賞候補者の「新人」定義
特殊カルチャープログラム NOIZ NOIZ NOIZ FM。 本日は、語ぶるいジャーナルのep.9をお送りします。
語ぶるいジャーナルは、私、暗黒編集者の Jun Okuboが主に一人でお送りしている、
本の話を中心にしたカルチャートーク番組です。
前回、「第174回芥川賞の候補作を掲載誌で 全部読む」というお話をしていまして、
前回は、「くずひろき」、「貝殻航路」、「逆さき変わる蛇」までお話ししたところでした。
ということで、本日は受賞作も含めて、後半戦に入っていきたいと思います。
前回のお話で、言いそびれていたことというか、
文学界という雑誌には、「新人小説月表」という連載がありまして、
前の月に文芸史に発表された、「新人作家の作品」というのを評論するという、
二人の批評家が批評するというものなんですけど、
この新人というのを、何をもって新人とするかというのは、
前回、「芥川賞というのは新人賞です」というお話をしたわけなんですけども、
芥川賞を取っていない人というのが、新人という扱いになるわけなんですね。
文学界2025年10月号では、新人小説月表の対象作というのが、3作だけということになっていて、
そのうち2作というのが、井河秋子と篠城雄介という、
これもちょっとびっくりというか、
篠城雄介ももう対外芥川賞候補にはなっていて、
これはもう、第173回で取らなかった時に、
よくこれも業界的な話になってくるんですけど、
何回以上候補になって取らなかったら、その人はもう取らないみたいな、
暗黙のルールみたいなのがあるみたいなので、
この人はそういう意味では、今後もう取らないだろうと言われているので、
この人は、じゃあもう一生新人なんだろうかということになってくるわけなんですよね。
さらに言うと、井河秋子さんというのは、この人、もう20年以上やっているベテランで、
それこそですね、20年近く前、20年どころじゃない?
そんなことないか。
10年以上、15年先週くらいなのかな、
15年ほど前に佐々木篤さんという批評家が、いろんな作家にインタビューをする、
小説家の饒舌という本。
これが、確か作ったのが2011年だったと思うんですけど、
その時に井河秋子さんというのが載っていてですね、
その時点で、この芥川賞の候補になったけど取らないっていうのが、
確か2、3回続いていたみたいな時期だったんですよ。
もう精神衛生上、良くないから、もう候補にするのやめてくれないかな、
みたいな話をしていた記憶があるんですけど、
その井河秋子さんが、15年経ってもまだ新人ということでですね、
なかなか、ちょっと純文学の世界の奇妙なところだなというのがあるというのをですね、
ちょっと前回お話しそびれていたので補足でございました。
坂本湾「BOXBOXBOXBOX」と保護犬を巡る男女のすれ違い
ということで、新人ということで言いますと、
次に文芸2025年、冬季号に掲載された、
芥川賞候補作にもなった坂本湾のボックス、ボックス、ボックス、ボックス、
こちらは文芸が主催している文芸賞を受賞した作品です。
これで受賞したというものですね。
これはもう本当に新人の第一作です。
宅配所の配送所みたいなところで働いている派遣社員たちの話なんですけれども、
群蔵劇っぽい感じになっていて、ちょっと複数の視点で話が進んでいくんですけれども、
その中でもメインになっているなと思われる人というのが宅配の配送所なのでね、
いろんな荷物が日々届くわけで、それを仕分けしていくわけなんですけれども、
ちょっとした荷物を1個盗む、それがだんだん癖になっていくというのが主人公です。
この人はそのうちに自分以外には大量に荷物を盗んでいる一団がいるのを目撃したりする。
他にもいろいろだいぶ前から酒を飲みながら仕事をしていて、
ついに戻してしまったみたいな人が出てきたりですね。
繋ぎのつもりで仕事をしている人みたいなのがいたりとか、
あとはそういった人たちの仕事の割り振りをしている社員さんがいたりとか、
なかなか癖のある同僚たちがいろいろいたりする。
最初はブラックロードの現場を舞台にしたプロレタリア文学みたいなものなのかなと思ったんですけど、
そういう要素はもちろんあるんですけど、
なんか書内に霧が立ち込めていて、隣のブースも見えないみたいな感じになっているとか、
ミスが多くなってくると館内放送みたいなところでものすごい口汚く罵られるとか、
明らかに非現実的な要素が入ってくるわけなんですよね。
バスがないと陸の孤島みたいな状況になっていて、
クリーム会のバスが来なくてどうしようみたいなことになったり、
多分24時間体制なんでしょうけど、
時間で交代でやってくるベトナム人たちがストライキを起こしてみたいなことがあったりとか、
なんかちょっと過負荷的な話なのかなと思いながら読んでいたところ、
選票を見ると結構安倍公保の名前が上がっていて、
なるほどなという感じでした。
これは新人大作としてはなかなか面白かったんじゃないかと思います。
文芸は機関なので、ちょっと他の文芸史に比べても厚めなので、
小説の掲載作が多くて、
他にさくらまなのあの子のかわり、
これはセックスレス気味の夫婦のすれ違いみたいな話なんですけど、
主人公は割と仕事をバリバリしている女性なんですけど、
犬を飼い始める、保護犬を引き取って飼い始めるんですけど、
夫がめちゃめちゃ可愛がっている。
それによって、むしろちょっと夫との間にも、
それによってまた溝ができるみたいなこともあり、
さらに一方で仲良かった友人というのがいるんですけど、
その友人が妊娠したということで、
それについてもちょっと置いていかれたような気持ちになったみたいな、
相手に優位に立たれたような気持ちになって、
すごい精神的に荒れていくみたいな、
そういう内容の小説です。
同じ号に載っていた山下裕香、性域というのがありまして、
これも似たところのある話で、
主人公は女性なんですけども、
愛犬家の恋人と同棲を始めるという話なんですね。
彼氏の犬への愛情というのがすごい過剰なんです。
ちょっとソソをしたりして叱ろうとすると、
逆にすごい彼氏から叱られるみたいな、
そういう感じですね。
その彼氏の犬への過剰な愛情というのが、
ちょっと蒸気を引いていくみたいな、
そういう感じなんですけど、
これもまた保護犬だったりしてですね、
サイコスリラー的な展開をしていくんですけども、
保護犬を間に挟んで男女がすれ違っていくみたいな、
そういうのが同じ号に2作載っているというのも、
なかなか面白いものだなというふうに思いまして、
あとこの号では特集として、
山田恵美デビュー40周年というのをやっています。
これが山田恵美さん40周年かというのも、
なかなかすごいことだなとは思うわけなんですけども、
80年代デビューということですよね。
「女流」という言葉と山田恵美デビュー40周年
今文学の世界では、
女性の作家について女流という言葉は、
まあまあはっきり言って、
今では使われない言葉になっているわけなんです。
その女流なんていう言葉は、
じゃあ男性作家については男流というのかよ、
みたいなね、そういう話は出てくるわけなので、
それはそれで女流という言葉自体には、
過去の異物をめいたものがあるというのは、
前提としつつ、
まあただ今の若い人たちがね、
もう女流なんて言葉はちゃちゃらおかしい、
みたいなことについては、
過去の文学の世界を切り開いてきた女流作家たちというのを、
過去の苦闘をなかったものにするのか、
みたいな思いがあるみたいな、
そういう話をしていてですね、
興味深いものがありまして、
山田恵美さんについての対談記事も載っているんですけど、
この山田恵美さんって、
すごいあの文壇みたいなものを大切にしているっていう話も出てきたりしてですね、
なんかあの、すごいその、なんていうんですか、
昭和の文壇みたいなものとは、
そういうのとは全然違う新しい世代みたいなイメージでいた方ではあるので、
なんかね、すごいちょっと意外な気がするなという、
面白い、ちょっと意外な感じとして面白かったです。
あとはですね、大谷明さんが、
大谷明「ババヤガの夜」と柚木浅子との対談
ババヤガの夜、
これもそもそも初出が文芸だったわけですけど、
これでイギリスでダガー賞という、
大変有名な賞を取ったということで、
それについての記念対談、
柚木浅子さんと大谷明さんの対談というのがありまして、
柚木さんもあれですよね、
バターがイギリスでめちゃめちゃ売れているということで、
話題になっているわけですけど、
ちょっと前の号に、
これの前の号とかだったかな、
柚木さんがやはりロンドンに行った時の旅行記みたいなのがあって、
そっちも面白かったんですけど、
柚木さんがどういう感じで英語で喋っているかという話が、
ドラマの吹き替えで出てくる大げさな喋り方みたいなものを、
あえてそういうイメージで英語にして喋っているみたいな話をしていて、
それがなかなか面白かったのと、
あとはですね、大谷明さんがね、
大谷でアキラって、
ハーレ・ダビッドソン&マルボロマンみたいな名前だっていうエッセイで書いていて、
そこで笑ったりしましたね。
文芸に関してはこんなところですね。
芥川賞受賞作「時の家」と「群像」掲載作
ここからいよいよ、
アクター賞受賞作2本の話に入っていくわけなんですけども、
まずは鳥山真子と時の家。
こちらは群蔵2025年8月号を掲載です。
これはですね、建築家の柚木さんという人が作った家が舞台になっています。
家を舞台にそのまま、
その家が作られた経緯っていうのを描きつつ、
複数の視点というかプロットというか、複数の視点で話が進んでいくみたいなもので、
その複数の視点っていうのはちょっと別々な時なんですね。
柚木さんが家を作っている経緯と、
それからその家に住んでいた日、
過去に柚木さんの後に住むことになる人、
それから一番最新の柚木さんが亡くなる時に、
この家は任せたみたいなことを、
任せたみたいな感じでもないのかな、
この家を見といてくれよ、みたいな感じで言われた男性とか、
そういった人たちという複数の人々の視点が、
いろんな時代、いろんな時期で語られる。
柚木さんに絵を教わって描いている青年というのがいまして、
この人というのはその家を絵に描いているんですけど、
その家の中に残っている傷跡みたいな描写から、
そこに暮らし始めた夫婦の話に移行したいみたいな感じで、
わりとスムーズに移行するので、
一瞬見失うみたいなところがあるんですけど、
逆にそこが面白いし、上手いところだなという感じの小説です。
もう一作の受賞作の叫びと比べると、
ちょっと地味な作品ではあるんですが、
どっちが好きかというと、僕はこっちの方かもしれないですね。
この後の群蔵で目立つところで言いますと、
古川秀夫さんの長編夏迷宮というのの一挙掲載というのがあったんですけど、
これはいずれ本になるだろうということで読むつもりだったので、
この雑誌では読みませんでした。
雑誌では読みませんでしたと言っている間に、
この間実際本になったので、これを買ったので、
そのうち読んだらご紹介するかもしれません。
これまで経済史の話をしてきましたが、
雑誌を読むことの意義と「雑誌は全部読むか問題」
文芸史ってそもそも毎語を読んでいるわけではないので、
連載は基本的に読んでいないわけなんですよ。
なので、こういうのを今連載しているのね、くらいのことは気に留めておいて、
興味があれば本になったら読むし、くらいの感じです。
この時の家が載っている群蔵という雑誌はですね、文芸は別としまして、
その月間で出ている文芸史の中では一番分厚いんですけど、
連載が多くて、これもう雑誌全体の半分以上連載なんじゃないかくらいのね、
評論の連載とかもありますしね、みたいなもので、
まあそれだけ連載が多いので、そういう意味では自分にとって読むところは実は少ない雑誌ではあります。
すぐ読めてありがたいとも言えるんですけど、文芸史って一冊だって文字数が多いので、
全部読もうとすると結構大変だみたいなところもあるんですね。
雑誌は全部読むか問題というのもあるんですよね。
僕はやっぱり雑誌って読みたいところだけ読むみたいな、
パラパラめくって広い読みするみたいなのが主流だとは思うんですけど、
僕は割とね、雑誌も全部通読し大破で、
まあそれはまあ一つには、書籍と同じように読んじゃうみたいなところもありますし、
そういう意味では読み方が下手だというところもあるんですけど、
あとはまあやっぱり全部読んでいくと、この話いずれすると思うんですけど、
自分の興味あるものだけ読むっていうんじゃないようにしようっていうのは、
割と気にかけているところが、心がけているところがあります。
どういった形で自分に興味がなかったものをどうやって目に入るようにするかみたいなことっていうのは、
日々いろんな形で工夫してたりするんですけど、
まあちょっとそういう話はいずれしたいと思います。
まあそれはさておき、このグンズは2025年8月号、他に掲載していたものとしては、
柴崎智子さんの帰れない探偵の観光記念特集っていうのがありまして、
この小説は観光号、大変話題になっていろんな賞なんかを取ってましてですね、
この号では観光記念の特集ということで、観光記念の対談ということで、
柴崎智子さんと柴田本幸さんの対談というのが載っておりまして、
これはその帰れない探偵っていうのが連作短編みたいな形になっているんですけど、
その第一回っていうのが柴田さんがやっているモンキーっていう雑誌で、
探偵ものを書いてくれみたいな依頼があってっていうことから始まっているっていう、
そういう経緯の話から始まっているわけなんですけど、
結構これ内容的に、僕は昨年末くらいに、
柴崎智子さんと柴崎智子さんの対談っていうのを聞きに行ったことがあって、
なんかね、その時にしてた話ともちょっとかぶっている部分があるかなという感じはしました。
この群蔵の方は8月号なんで、こっちの方が先だったわけなんですけど、
インタビューっていうのも回を重ねるごとにだんだん回答が固まっていくみたいな、
そういうのはあるのかもしれないなとは思います。
あとですね、この後には小西朝春さんがエッセイの連載を始めていて、
これもなかなか良かったんで、いずれ本になると思うので、
これはこれで読むのが楽しみだなという気がいたします。
いよいよ最後、もう一作の芥川賞受賞作、
芥川賞受賞作「叫び」と新潮掲載作
畑山牛を叫びが掲載されています。
新潮、2025年12月号。
叫びというのは、京都市に詳しい先生に銅鐸作り、金みたいなやつですね、
作り方を学んでいるというのが主人公になります。
京都市を調べていく中で、
その地元には、地元でケシ、アヘンの元になるやつですね、
これを栽培してアヘン王みたいになった人が過去にいたと。
この人は国の命令で、中国でアヘンを生産せよみたいなことを言われて、
中国に戦争中に渡ったんだみたいな話があって、
過去のアヘン王と地元市を調べていくうちに、
軸をこうやって綴じ合っていくみたいな、
だんだんケシ作りの男と主人公が同化していくみたいなのがありつつ、
あと一方で、京都市の先生ですね、
この先生が訴えるひじり、
なんていうんですか、
いやしいものが聖なるものに転化するみたいな、
そういう民族枠っぽい話ですけど、
なんかそういうひじりっていうもので、
天皇こそがひじりの中のひじりなのだみたいな、
そういう特殊の天皇観みたいなのを披露する場面もあったりとかしてですね、
合わせてちょっと道卓作りのワークショップで知り合った女性との恋愛みたいな話も出てきたりするんですけど、
なんかそういうね、
あとはそのちょうど、
昨年の話ですので、
昨年の話でしかも関西が舞台なのでね、
万博の話も出てきたいみたいな感じの小説だったわけなんですけど、
なんかね、今時天皇のことを小説に書く人っていうのは珍しいのでですね、
もう安倍勝茂さんなんか必要に書き続けてますけど、
ちょっと今時若い、
ちょっとこの方が若いのかどうかよくわかんないですけど、
今時の新しい作家で天皇のことを書く人っていうのは珍しいので、
その点頼もしいなみたいなふうにも思いました。
今ちょっと若いかどうかわかんないみたいなこと言いましたけど、
畑山一夫さんってあれなんですよね、
たぶん新人としてデビューした後、結構ブランクがあって、
その間にちょっとこう、
名前はどう忘れした、
個人出版社みたいなところがすごいフックアップされて、
本が出たりみたいなこともありつつの、
ここへ来て突然に芥川氏の受賞みたいな感じの急展開を見せているみたいな作家で、
一部ではすごく作品数はそんな多くない人なんですけど、
評価が高かった人のようなので、
ちょっとこれを機に本格的に活躍していってくれるのではないかという気がするんですけど、
でですね、ちょっとこの、
時の家と叫び、いずれも時空を越えて人がつながるみたいな、
そういう内容だったので、
審査員的にそういうモードだったのかな、みたいなこともちょっと思いました。
この後の新著のその他の掲載作としては、
小説としては尾崎世界観さんのオケラ街道というのと、
西田さん、これは私知らなかったんですけど、芸人さんなんですかね。
けれど思い出すっていう短編が掲載されてまして、
これはまあなんかその兼業作家の共演みたいな、
そういう趣旨で掲載されているもののようです。
この二人の対談というのもあってですね、
普通に尾崎世界観さん、先輩作家全として面白いなと思ったんですけど、
尾崎世界観、オケラ街道の方というのは、
父親と競馬場に行った少年というのが出てきましてですね、
この少年たちが馬になって走ったりとか、
商品であるところのカードを警備員からくすめて逃げてったりみたいな、
そういう幻想的な小説です。
この説明で伝わっているのかどうか全然わかんないんですけど、
僕も正直あまりよくわかんないです。
あとは西田さんのけれど思い出すという方ですけど、
これはですね、君はという形で書かれている二人称小説です。
これはすごい仕事に打ち込んでいるデザイナーが主人公で、
仕事人間で世界観が狭いというかですね、
家事とか馬鹿にしているような感じで、
ちょっといい彼女がいたりするんですけど、
その辺の感覚もうまくかみ合っていないみたいな感じで、
仕事はうまくいくんだけど、結局満たされないみたいな、
そんなような話ですね。
まあまあ手堅くよく書けている小説なんじゃないかという気はします。
この君はというのが、何で二人称で書かれているのかみたいなところも
最後にわかるような感じになって、
その辺りはなかなか工夫があるなという感じがしました。
この号にはあと面白かったのは、
ハスミ・シゲヒコが、
監督・オズ・ヤスジロウという昔書いた映画秘話の本が、
どうも英語版というのが刊行されたようで、
その記念としてなのかですね、
アメリカの映画イベントでスピーチをした、
そのスピーチの再録というのがありまして、
これが合衆国であえてハリウッド映画を擁護するというタイトルが付けられていてですね、
アメリカ人の長州を相手に、
ドン・シーゲルとかリチャード・フライシャーの話をして、
ガンガンマウントを取っていくという、
いつものハスミ武士という感じではあるんですけど、
こういうのってアメリカ人はどういう風に聞いたんだろうみたいなのも含めて、
なかなか面白かったです。
あとはこの号で注目だったのは、
芥川賞候補作に見る共通モチーフとトレンド
音楽評論家のユア・サ・マナブさんが、
大瀧英一と私という連載を始めていてですね、
大瀧英一についてのメモワール兼辞伝みたいな、
そういうものをですね、
ユア・サ・マナブさんって昔、
エンタクシーかなんかで辞伝っぽい雑誌のレイアウトの仕事をしていた頃の話とかを書いていた気がするんですけど、
あれは本になっていたんだろうかというのも今ちょっと急に思い出しましたけど、
ひょっとしたら今回大瀧英一と私とも合わさって本になるようなことがあるのかもしれないです。
何も調べずに言っているのでちょっとわかんないですけど、
というような感じで第174回芥川賞の候補作とその掲載史について、
ダラダラと喋ってまいりましたが、
まずですね、さっきも言いましたけど、
受賞作2作とも時を越えて通じ合う、つながるみたいな、
そういうモチーフが共通しているなというのと、
あとはですね、例えばその文学界の12月号では、
貝殻航路とこの人の知らない戦争というこの2作がシスター・フット的なモチーフが共通しているとか、
あとは文学界、同じく文学界10月号だとヘビーとわずらいという2作が、
いずれも学校舞台にした発達属性のあるような感じの子供たちが、
主人公になっている、登場人物になっているみたいなところで共通するものがあったり、
あと文芸ではあの子の代わりと性域という2作がですね、
保護犬を媒介にして男女のすれ違いを描くみたいな、
ちょっと最高気味なところがあるみたいな感じでですね。
1冊の雑誌の中で共通するモチーフの作品が載っているというパターンが割と見られてですね、
これは一体何なのかなというふうにちょっと思いました。
特に特集と銘打たれているわけでもないので偶然なのかなという気はするんですけど、
ひょっとすると作家たちとか編集者たちに無意識なのか、
意図されているものがあるのかちょっと分かりませんが、
なんかそういう空気感みたいなものというか、
もしくは業界的なトレンドみたいなものだとか、
そういうのが見て取れるのが経済史で読むというのの面白さではあるんじゃないかと思います。
ちょっと前まで芥川賞というと当事者性というのがすごいキーワードだったと思うんですけど、
今回のその候補作、受賞作、その他掲載作なんかを見ていると、
もうちょっと視点をずらして幻想的にしたいとか、
もうひとひねり加わったものに移行してきているのかなという印象を受けました。
今後そういうのがどうなっていくのかというのも注目したいところだと思います。
ということで、本当はこの候補作が発表された時点で、
受賞作が決まる前に読んで自分でも予想とかしたいところだったんですけども、
ちょっと今回は図書館の予約とかの関係で半年近くかかってしまいました。
そろそろ第175回の候補作というのも発表される頃なんじゃないかと思いますので、
今度は頑張って早く読みたいなというふうに思っているという次第でございます。
番組の締めと次回予告
ということで、ゴブリュージャーナル第9回、前回に引き続きまして、
芥川賞の候補作を全部掲載して読んでみたの後編をお送りいたしました。
番組の概要欄に頼りフォームというのがございますので、
ご意見・ご感想・質問・リクエストなど、どしどしお送りいただければと思います。
ということで、どうもありがとうございました。
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