ゲストの紹介とサバ街道の話
こんにちは、芸大ラジオmymyです。アシスタントの谷口 七葉と、
えー、坂井です。先生です。よろしくお願いします。
お願いします。はい、前回に引き続き、株式会社三角屋・大工の串畑文彦さんをゲストにお招きしてお届けします。
それに、
加えて、娘の聖奈さんにも、
聖奈さん?
串畑聖奈さんにも、目をもっていただきます。お願いします。
4人ですね。最終回4人。
さて、僕は、ずっとこの1回目、2回目、3回目と、言いたかったのに見えなかったことがありまして、
全然大工と関係ないんですけど、
この靴木の村に、靴木っていう村に行くのは、サバ街道っていう道をね、ずっと行くんですよ。
なんでサバ街道かというと、この福井からこのね、サバを運んどったんですよね、昔。
そうですね。
なんでか知らないけど、サバ寿司屋さんが、ちょうどあるんですよ。
平野なんですよね。
で、そのサバ寿司屋さん、でもどこが美味しいかとかわからないですよ。
で、前、この娘と一緒に、外国人の友達と連れて車で向かってる時に、ちょっとお腹減ったなみたいな。
三角屋行ってもご飯ないし、どっから食べて行ったほうがいいぞみたいな。
そしたら、なんか私、サバ寿司屋なら知ってます。
言うんで、そこにしようって言った。
で、そのサバ寿司屋がなんか、ヘンクツっていう名前の靴木にあるからないと思うけど、
ヘンクツっていうサバ寿司屋さんの名前だと、娘が言って。
で、それがふみひこさんのおすすめのサバ寿司屋やっていうから、絶対美味しいやって言った。
で、前情報としては、そのおかみさん?作ってくれてる人が、女子が嫌いやと。
本文?本文?
これ言っていい?
言っていいんじゃないですか。
でも男子屋と優しいと言うから、俺ともう一人男の二人で行って、サバ寿司をくれと。
なんか女子やったら、サバ寿司切ってくださいって言ったら、自分で切り?みたいなことを言われた。
でも男子やったらシュッと切ってくれるっていうことを、すごいほら、今の時代にはありえないことなんですけど、そんなことはね。
でも俺はいいと思うんだよ。そういう店があっても面白いから。
で、そういう噂を聞いて、まあいいって。
結構でもね、確かに冷たい感じじゃない?男やのに。
で、サバ寿司?みたいな。これください。
で、ふと巻きもおいしいけど?みたいな。
で、ふと巻きいらないですとか言っても、またこれおいしいのにとか言う。
で、まあわかった、じゃあふと巻きもくださいって。
で、結局サバ寿司とふと巻きを買って食べたんですけど、その時に俺すっごい衝撃あったのが、そのサバ寿司確かにおいしい。
めちゃくちゃおいしい。
外国人も大喜びだったよな。ただ外国人はふと巻きのほうが気に入ってたんやけど。
で、なんかこれベジタブルかとか言ってたけど。
いろんな味がする。
いろんな、喜んでたんやけど。
そのサバ寿司確かにおいしいね。めちゃくちゃおいしい。
で、まあそのおばさん?店主さん?
おかみ。
おかみさん?
はい。
サバ寿司大っ嫌い。
えー?なんで?
あ、じゃあクシャさんいなかったんか。そうか。
まあ、私サバ寿司大っ嫌い。
味がある人ですね、でもなんか。
そうやね。
で、サバ寿司食べないんですか?って言ったら、絶対食べへん。
で、一緒にアシスタントみたいな人、まあ年に一回くらいかな?とか言って。
食べへんのに、食べへんのにおいしいの作れるって、どういうことなんや。
俺はそんなの今まで経験したことないぞって思って。
すっごい、なんていうのかな?クリエイティブの常識を覆されたっていうか。
普通、食べへん?食べるやろ?自分が作ったもの。
食べて、これはおいしいとか。
めちゃくちゃどうやって作ってんやろって思いまして。
まあいろんな疑問が湧く、素晴らしい。
まあ結論を聞いてください。素晴らしいお店でした。
ということがありまして。
その時に、あんたなんでこの店に来たん?とか言われて。
で、なんかちょっとここがおいしいって、大工が教えてくれて言ったんですよ。
そしたら、ん?これ三角屋さん?みたいな。
串畑さん?とか言われて。
あ、そうです。とか言ったら、あの人は本当にいい人。
偏屈なね。偏屈な店主がね。
めちゃくちゃ串畑さんのこと褒めてて。
お気に入りですよね。
すっごいお気に入りで。
あんな人はなかなかおらんのかなって。
似てますね。なんか知らないけど。
たぶん似てる。
似てますよね。
っていうことがありました。
これずっと言いたかったんですよ。
面白い話でした。
鯖街道走ってるときは、たぶん偏屈に行くと、体験としても素晴らしい。
面白いと思いますし。
前に川がダーン流れててね。
日本建築のサスティナブル性
すごいロケーションも素晴らしいですからね。
で、そこの先にずっと話してくれてる串畑さんの三角屋さんの工場があります。
ということで最終回は何ですか?
日本建築とか三角屋の中の串畑さんの今後の役割がどう変わっていくのかっていう話ができたらいいかなと。
俺は自然の話がしてほしいな。
自然の話もしましょう。
山の中にあるからさ、三角屋は。
で、ちょっと行って川も流れてるじゃないですか。
いいですよね。
そうですね。
仕事場として羨ましいなと思います。
ちょっと遠いけど。
気持ちいいじゃないですか。山にちょっといるだけで。
こんな部屋の中で仕事してるのと全然精神的な気持ち良さが違うんじゃないかな。
木にとってもあそこは良くてですね。
木にとって。
すぐ裏が山でしょ。
すぐ下に川があるでしょ。
湿度が高いんですよ。
材木って乾燥に弱くて割れちゃうんですよ。
乾燥してる場所だと。
あそこだとゆっくり乾いていくんですよね、材木が。
なので木にとってもすごくいいとこです。
乾かさなあかんけど、急激に乾くとダメなんです。
そうなんです。
福徴さんにとってもいい場所ですか。
そうですね、もう目つぶってても運転できるぐらいの感じなんで。
そうか、毎日毎日運転してるね。
日本建築って一回作って、で、作り直す。
あ、補修したり。
補修したりっていう、どんどん自然に返すこともできるみたいなことを伺ったと思うんですけど、
伝統的な工法と職人の価値
持続可能性的な点での。
サスティナブルなものとしての日本建築はどうなんですか。
200年持つとかっていうのも、すごいサスティナブルが高いと言えると思うんですけど。
そうですね。
僕が福徴さんじゃない、左官屋さんに聞いた話なんですけど、前ちょっとお話したと思う。
金沢21世紀美術館でワークショップずっとしてるんですけど、
その時に左官屋さんゲストで来てもらって、
土をね、参加者が作ってくれた竹のドームみたいなやつに塗ってもらったんですよ。
その時に、なんか藁とか土とか混ぜてね、やるじゃないですか。
で、その左官屋さんが言ったのが、
家なんて完成させるもんじゃなかったからな、昔は。
子供が生まれたら、ちょっと新しい部屋作ったり、増築したり、みたいなことを言われた時に、
土なんかもね、左官屋の土も乾いて、一回全部壊してもまた水入れて練り直したらまた使えるしな、
そうですそうです。
こととか言われて、で、でも僕はね、プラモデルの家しか知らなかった。
プラモデル的な家しか知らなかったから、感覚として、完成させるもんやと。
初めにちゃんと全部バッチリ考えないとダメなんだと。
自分の人生なんかどうなるかなんもわからないのに、
でも家買う時には全部計算して、子供2人かな、1人かな、とか計算してね。
離婚するかもしれないけど、いろいろ考えて立てなかんもんやと思ってたけど、
そんなフレキシブルに変わっていくもんなんや、家って。
っていうのは左官屋さんが教えてくれた言葉で、かなりの衝撃があって、自分の中で。
ガラッと変わって、家の見方が。
後の話は置いといて、土とか自然のものをすごい使ってる日本の昔の家ってそうなんかな、
そうです。
思ってて、そういう意味でも、今ナノハちゃんが言った自然に変えるとかは、
プラモデル的家よりはもちろんゴミが出ない。
壊した時にゴミの量は全然違うのかなと思いましたけど、その辺はどうなんですか?
そうですね。
昔の家を解体する場面によくあるんですけども、
柱と針と土台とかっていろいろあるんですけど、
昔で木がすごく貴重だった時代なんですよ。
機械がない時代ですね。
例えば明治時代の前、江戸時代とかそれよりも遡ると、
木を加工するってすごく難しいし、手間もいれるし、木を切り出してくるのもすごく大変。
運んでくるのも。
運んでくるのも大変ですし、
家を一回ばらして、また別の家を作る時に、
そのばらした部材でまた違う部分に使われてたりっていうのがすごくあるんですよ。
なるほど。
1個の家に使われてる材が、その時新しかったものから中古というか、そのものも混ざって、
なんでここに使われてるんだ?
これもともと違う家で使ってたやつを材料がやっぱりないから、
ここに使ったんだろうなとか、
昔ってそういう時代だったんだみたいなのを解体してて初めてわかることとかがたくさんあるんですけどね。
今お米とかがすごく高くなったり、野菜が取れなくなったり、お米が取れなくなったり、
これは多分材木もいつかそういう時が来るかもしれないですね。
今杉とかヒノキってたくさんありますけど、切る人も少なくなってますし、
なのでまた木が貴重な時代が来るのかなっていうのはちょっと思うんでね。
その時にまた皆さんが木に対する価値観とかを変えていただいて、
また木を大事にして、木を大事にしてまたその木で作る職人っていう、
今は難しいかもしれないですけど、またそういう職人を見直す時代が来たらいいかなっていうのはちょっと思いますけどね。
来てほしいですね。
大工だけじゃないですけどね。
もうすべての職人さんの仕事が見直される時代が。
そうですね。
いなくなる前にね。
いなくなる前にね。
それが間に合うのかどうか。
本当に今、窃盗業ですよね。
ですよね。
この流れでちょっと恐れ多いんですけど、舞台芸術を専攻してまして、
舞台って使い終わったら、公演が終わってからバラすじゃないですか。
で、他の人が別の公演でその木を使い回すこととかはあるんですけど、
やっぱりちょっと罪悪感がありますよね。
こういうお話を聞くと、やっぱりその元日本建築とかは長く使われていくのにちょっと儚いじゃないですか。
セットで使われるっていうのは。
なので、そういうのってどう思われます?
いや、しょうがないじゃないですかね。
そうですね。
でも舞台とかでも、日本建築とか、いつか自然に変えることもできるように使ったら、もっとより良くなりそうじゃないですか。
でも、初めから良い木を使わないと長持ちはしないって言ってたから。
そうですね。確かに。
例えばさ、菜の葉ちゃんの10年前の先輩が舞台装置で使った、これ大事な木なんだよね、みたいなのを私もセットで使うとか、
っていうことがもっともっと起きてくると、なんかセットの中の木のリレーっていうか、その魂のリレーがね、あるんかなって気はしたけど。
なんかそういう観点でも、舞台で見られたら良いかなって思いました。
ちなみにこのクシャタフミヒコさんはね、僕の家にも来たことある。
なんでですか?
なんかね、ネズミがいたりとかするし、うわーとかっていうのも、なんかどうなんかなと思って、
俺はね、別にそんなに気にならないんですけど、足も噛まれたし、自分で戦ったこともあるんですけど、最近いないんですけどね。
ネズミがいるからじゃなくて、なんかここの天井なくなった方がいいのになーとか。
で、ちょっと見に来てもらおうみたいな。クシャタさんに、娘に言って連れてきてもらって、見てもらったりもしたんですけど。
日本建築の価値
で、僕んちは多分すごい古いお家なんですけど、古い、あれ日本建築って言うんですか?
言います?
言いますね。
木でできてるしね。
京町屋ですよね。
ですよね。
でもね、僕がそのお家を買った時ね、土地の値段だけやったんですよ。
家には、家はゼロ円ですって言われたんですよ。
えー?
えー?みたいな。床段ついてんのに?みたいな感じやったよね。
で、なんか超ラッキーみたいな感じやったですけど、それがゼロ円って言われて、結構衝撃的やったよ、自分としては。
例えばさ、そこにすっごい新しい建物で、日本建築じゃなくてね、なんかよくその辺にあるお家みたいな建ってたら、俺はいらんわけよ。
全然そんな価値がないって思う。
なんかこの木がね、ずっと使われてた木で、古い木で、この感じが価値あるのにないと。めっちゃ思ったのに。
だけどそれは世間的にはゼロ円。
そうです。
っていうことを、すごいなんか、自分にとってはラッキーなんやけど、でも、あんまり世の中はそういうことに対して価値を感じていない。
あるいは、地震とか来た時に危ないとか思うかなと思うんですけど。
そういうこの社会に関してはどうお考えですか?
うーん。
あれゼロ円ですよ、僕の家。
そうですよね。ほんと価値観のね、問題ですけども。
だからマジョリティがやっぱりそれをゼロ円っていう感じですよね。
で、僕みたいなマイノリティの人が、え?みたいな。ラッキーっていう。
そうですね。だからそういう状態だから古い日本建築とか、どんどん壊されていってるんですよね。
なんか難しい問題ですけどね。
もうほんと京都ってすごい住宅とか古い住宅とかたくさんあるんですけど、
街で自転車でね、とか歩いてても、あ、ここの家かっこいいなと思った家が、何年後かするとなくなってるんですよね。
で、やっぱそれって、たぶん相続税とかそういう問題が発生して、壊されてどっちが三分割とか二分割とか四分割とかされるんですけど、
僕にはどうしようもできないですけども、なんかちょっと寂しいというかね、もったいないなっていうのがね。
古い家屋の再生
串田さんのお家あるじゃないですか。
はいはい。
自分で建てたんですか?
え、もうそれこそゼロ円でした。
あ、売ってた?
そうです。古いあれ、昭和9年とかぐらいの家みたいですけど。
自分で建てたんじゃなくて買ったんですか?
そうです。古いその家を、本当に古いボロボロの家を。で、橋だと屋根だけ残して、中だけ全部リフォームして。
いいなあ。
あ、そうなんですね。リフォームは自分でというか。
そうですね。
あ、三角屋でやったんですか?
そうですね。僕と手伝ってくれる大工さんと。
どんぐらいかかるんですか?
合計3ヶ月ぐらいですね。
2人で?
そうですね。
え?
2人ずっとやって3ヶ月。ずっとじゃないから、仕事の片手間。
いやいや、ずっと2人でやってもらいましたけど、毎日じゃないですけどね。業者さんが入るときはちょっと開けたりしたり。
で、柱とか建具とか、中の造作材の見えるところ部分は、僕が仕事、5時に終わるじゃないですか。
5時以降に工場の機械借りてやって、現場に持って行って、現場の大工さんにやってもらうという感じです。
住み心地はどうなの?
めちゃくちゃいいです。
私、木の家で慣れてきたらあんま感じないんですけど、匂いもすっごいいいですし、視覚的にも穏やかな色しかないんで、そういった点ですっごい落ち着くんで。
気に入ってんね。
家大好きで、ちょっとでも時間空いたら家帰ってます。
うれしい。
建物の力だけじゃなさそうやけどね。
そうかもしれないですけど、でもさっき前回の話でもあったみたいに、ちょくちょく変わっていけるっていうので、
気づいたら、家帰ったらこの柱なくなってるとか、なんかちょっと天井の仕様変わってるとか。
サプライズ。
すごくて、薪ストーブが入ってたり、フェンスがすっごいきれいにできてたりとか。
フェンス?フェンスがあんの?
フェンスが当初はあったんですけど。
隣のスキッチの境界に。
それを完成しても全然そこだけ直されてなくて。
工場のフェンスが。
それを数年後にやっときれいな木で作られるみたいな。やっとできたなみたいな。
そういう面白さが。
どんどん変わっていくんや。
常に何か変わっていってるのも面白いなと思いますし、
父親が大工の特権かなと思います。
いいよね。それだって子供にとってはむちゃくちゃ刺激的やと思うし。
面白い。
最後に串畑さんに、これを聞いてくださってるリスナーの方と、
京都芸術大学の在学生の方へ何かメッセージなどありますかね。
本当ベタですけど、
在学中はもうしっかり楽しいんで、
いろんなとこに足運んで、客分は一見にしかずって本当そうなんで、
中にいるよりは外にいろんなとこに行ってですね。
就職されたら失敗とか失敗の連続とか起こられたりもすると思いますけど、
それも勝手にして楽しんで、全然大丈夫です。
ありがとうございます。
頑張りましょう。
ありがとうございます。
さて4回にわたって串畑文彦さんにお伺いしてきましたが、
最終話がエンディングのお時間となりました。
日本建築の大工さんの話を聞くことで、
もちろん大工っていうものの仕事のイメージと、
今話してくれたことが結構違ったかなっていうのもありましたし、
また菜の葉ちゃんが名言集を次回発表してくれたりとか、
あるいは今してくれるかもしれませんけど、
そういうのも結構面白い言葉がたくさん散りばめられた4回になったかなと。
面白かったですね。
思いますけど、
価値観の変化
なんかやっぱり日本に住んでるとこの日本建築の価値には気づきにくいと思ってて、
でもアジアの国の人とかヨーロッパとかアメリカでも何でもいいけど、
そういう人たちにとったらやっぱりすごいすごいすごいすごいで、
一緒に三角屋さんとか外国の人連れて行くとすごいすごいすごい。
帰りの車の中でも本当にすごかったねみたいな感じで言ってくれてて、
こういう人が日本にすごいまだ少ないっていうのが社会の課題かなと思っています。
なので僕は古いラーメン屋の方がおいしいって感じるんですけど、
新しくなった途端になんか残念って思うタイプのレアな人間なんですけど、
なんかこう新しいから綺麗やからいいとかじゃなくて、
なんかもうちょっとねみんなの価値観というかな、
古いものだからダメなんじゃなくて、
古いもの屋から見るべきところいっぱいあるみたいな人がちょっとでも増えてほしいなと話してて思いました。
日本にずっとあるものなので、日本の方にもっと広く知られたらいいなって私も思いました。
4回にわたって串畑文彦さんにお越しいただいて、
娘の聖奈さんにもお越しいただいて、たくさんお話を伺うことができました。
今回はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。