2023-06-26 09:47

自分が変われば役所は変わる。だから面白い。|『福祉と住宅をつなぐ』著者・牧嶋誠吾さんインタビュー

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超高齢化・人口減少・生活困窮に自治体は何をすべきか。住宅・福祉部局の連携で課題先進都市大牟田を切り拓いた実践を語る『福祉と住宅をつなぐ』。著者で大牟田市居住支援協議会事務局長の牧嶋誠吾さんに、本書に込めた思いや、公務員の方々へのメッセージを伺いました。

▼主なトピック
・公務員に必要な「四つの力」:一つ目は「住民と対話する力」
・「本質を見抜く力」:学問ができる人が優秀な人材ではない。
・「つなぐ力」:住民と地域団体をつなげるネットワーク力が求められている。
・「改善する力」:慣例慣習にとらわれず、チャレンジすることが重要。
・現場にこそ、自治体職員が活躍できる場所がある。
・マニュアルにない対応をせざるを得ない状況は今後たくさん出てくる。
・断らないというスタンスが重要
・住民の方へのメッセージ
・自分が変われば役所は変わる。だから面白い。

▼プロフィール
牧嶋誠吾(まきしま・せいご)
1992(平成4)年、民間企業を経て、大牟田市役所入庁(建築住宅課に配属)。公共施設の営繕工事や市営住宅(公営・改良)の建替事業に加え、地域住宅政策の推進に携わる。仕事のかたわら、官民協働・多職種による民間住宅のバリアフリー化推進に取り組む。 2006年、高齢者の生活を知りたいと思い異動希望を出し、保健福祉部長寿社会推進課企画育成担当主査として配属される。地域密着型サービスの整備、実地指導、第4期介護保険事業計画の策定に携わる。 2010年、地域包括支援センターに課内異動。地域包括ケアシステムの構築に取り組む一方、高齢者の生活支援や多重人格障がい者等の虐待ケースに対応する。 2011(平成23)年、建築住宅課に課長として着任。空き家対策(住宅政策)と生活困窮世帯の生活支援を目的に、住宅と福祉の多職種連携による大牟田市居住支援協議会を設立。また市営住宅の指定管理者制度を導入するとともに、市営住宅のコミュニティ活性化に取り組む。 2017年、大牟田市立病院地域医療連携室次長兼総務課参事。2021年3月、退職。 2021年、一級建築士事務所居住福祉空間研究所設立。大牟田市居住支援協議会事務局長に就任。

サマリー

牧島先生が福祉と住宅をつなぐ話をしました。公務員の方々へのメッセージとして、4つの力について説明しました。

福祉と住宅をつなぐ
今日は、福祉と住宅をつなぐをお書きいただいた、 牧島先生にお話いただきます。
特に、先生は住宅・公務員経験が非常に豊富な方で、 しかも色々な職種を経験されていますので、
この本の中でお書きになられた、公務員の方々へのメッセージ、 何を伝えたいかということを、まずお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、1章から7章まで構成をしていますが、 一番最後のところに、第7章にタイトルで、
自治体職員が変われば地域が変わる、 というタイトルを付けさせてもらいました。
その中で、4つの力、これからの公務員に必要な、 4つの力ということで書いておりますが、
1つ目に、住民と対話する力が求められるかと思います。
これは、住民と同じ目線に立つことができるか。
いわゆる、まちづくりのパートナーとして、 住民の人と見ることができるか。
そのためには、行政職員が持っている ちっぽけなプライドは、捨てた方がいいような気がしています。
多様化する社会、マニュアルのない仕事が、 これから増えてきて、
特に、これからもし地域づくりにご担当される 職員の皆さんとかいらっしゃれば、
マニュアルにあまり縛られずに、 自由に動いていただけるといいかなと。
そういった意味で、住民と対話する力が、 これからの自治体には求められるかなと書いております。
2つ目に、物事の本質を見抜く力を書いています。
行政というところは、あるいは学問ができるから ということで、優秀な人材が入ってきます。
でも、市役所の行政では、優秀な学問ができるということで、 必ず優秀な人材とは限らないと私は思っています。
むしろ、市民生活を同じ目線で見ることができるか、 そして、今担当している仕事がなぜ必要なのか、
そして、その仕事が5年から10年先のまちづくりに 寄与できているのかを考えられたらいいのかなと。
そういった意味で、これからのいろんなものを見る、 物事の本質を見抜く力が大切だと思いました。
3番目に、つなぐ力です。
つなぐ力というのは、行政が主導するまちづくりは、 多分、もう遠の昔に終わっていると思っています。
現在は住民が主役の時代、だから自治体職員には、 住民同士や関係する地域団体、あるいは組織をつなげる、
いわゆるネットワークをつくる力が 求められるかと思っています。
その中で、つなげるためのコミュニケーション力が、 これからの職員に求められるのではないかと思います。
特に縦割り行政とよく言われますが、 こうした組織のあり方を無くすためには、
ある意味、人事政策も大きく改善することも 必要だと感じています。
最後に書いたのが、改善する力です。
この改善する力は、特に行政の中では、 前例や慣例、慣習などを必死で守ろうとする職員が多い。
そういうイメージを持ちました。
特に管理職になれば、そういう身を守るというか、 守りの姿勢に入ってくる傾向があるのではないかと思います。
そんな環境を見ている若手の職員の皆さんは、 本当はやりたいんだけど、思うけど、
結局役所に入って、やってもやらなくても一緒という 気持ちになるかもしれませんが、
実際にそんなことはなくて、 必ず皆さんが思いを持って取り組めば変わると思います。
市民生活という現場では、市役所や自治体職員に 助けを求めている人たちがいます。
はっきり言えます。
だから現場にこそ、自治体職員が活躍できる場所があって、
自分が公務員としての在り方を測定できる、 測ることのできるもの差しがそこにあるのではないか。
組織のために自治体公務員として活動するのではなく、
地域のためにどれだけ真剣に前向きに取り組むことが 実は大事かなと思います。
特にこの章の中で最後に書いていますが、
公務員に必要な4つの力
役所で何をやるのかとか、何ができるかというようなことではなく、
何がしたいかということだと思います。
特に危機に直面したときこそ、大胆な発想と決断が求められて、
そういったことを踏まえ、勇気を持って チャレンジすることが大事かなと思います。
コロナのことも本当は書きたかったのですが、
実際にこの文章を書き終えたのは、 コロナがまだこんな騒動になる前のときでした。
現実はコロナの対応で、初めての皆さんの経験をする中で、 大変なことになっていると思います。
特にやっぱりマニュアルもありません。
そういう予期せぬことが、今後の自治体運営では たくさん出るんだろうなというふうに思います。
本多も昨年の7月に初めての浸水被害、大雨で豪雨災害があったのですが、
そういったときもまさにマニュアルのない対応をせざるをえない状況です。
ですから、やっぱり前例とか慣習とかということではなくて、
やっぱりいろんな意味で現場の生活を見ながら、
そこに答えは必ず現場にあるんだろうなというふうに思います。
そういった中で、政策を作ったりとかいうことでの チャレンジをされるといいのかなというふうに思います。
一方で福祉関係者の方は、いろんな意味で介護保険の制度も 3年おきでどんどん変わってきます。
障害福祉もそう、子育ての政策もそう。
いろんな意味でどんどん変わってきますので、
いろんな人たちの声に対して断るのではなくて、
基本的には断らないというスタンス。
そういったことを踏まえて、いろんなことにチャレンジされたらいいかなと思います。
最後に住民の方にも、今回は役所が多分これから変わらなきゃいけない時代になってくると思います。
辛抱強く役所の人たちと仲良くなりながら、
あまり文句も言わずにきちんと対応できればいいかなというふうに思います。
もう一つ最後に、これから自治体職員、いわゆる行政に入りたいという学生の皆さん、
固いイメージじゃなくて、役所ってすごく面白いところだと思います。
考え方次第です。
入り口の時に入って入庁当時はこんなことやりたいとか、あんなことやりたいという
そんな思いをいつまで経ってもなくさずに、ずっと秘めててください。
役所は人が変われ、どんどん変わってきます。
そして自分の思いがあれば変えることもできると思います。
その中では友達を作ったり仲間を作ったり、
それは役所という組織の中ではなく、
外にも目を向けて、いろんな多分野の人たちとお友達になって連携をして、
役所人生が自ら楽しくなるような取り組みをされたらいいのかなというふうな思いで、
この本を書かせていただきました。
たった25年の役所人生ですが、いろんなことが実は取り組んできました。
だから面白いです。
ぜひこの本を読んでいただいて、
自分の行政職員としての糧になれば幸いに思います。
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