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2024-03-31 14:44

23.キャッチアンドリリース、魚の生存率を上げるためにできること

【参考文献】 ・Swimming Performance of Brook Trout after Simulated Catch-and-Release Angling: Looking for Air Exposure Thresholds, 2005,North American Journal of Fisheries Management 25(4):1513-1517 ・Understanding the Complexity of Catch-and-Release in Recreational Fishing: An Integrative Synthesis of Global Knowledge from Historical, Ethical, Social, and Biological Perspectives, 2007, Robert Arlinghaus,Steven J. Cooke,Jon Lyman,David Policansky,Alexander Schwab,Cory Suski ・Best practices for catch-and-release recreational fisheries – angling tools and tactics,Fisheries Research Volume 186,,2017, Jacob W. Brownscombe a, Andy J. Danylchuk b, Jacqueline M. Chapman a, Lee F.G. Gutowsky a, Steven J. Cooke 【Googleフォーム:おたよりはコチラからお願いします。】 https://forms.gle/b6NmWPnHCjRTYFLq7 【Xアカウント】 https://twitter.com/fishpod_roku6 【Instagram】 instagram.com/fishpod_roku?igshid=MjEwN2IyYWYwYw== 【コーヒーの差し入れ(100円のご支援)はコチラ】

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サマリー

キャッチ&リリースについての説明です。キャッチ&リリースの歴史や国際比較、リリースに関連するデータ、魚の生存率を上げる方法について話しています。魚をリリースする際に、釣り人ができることは、フィッシュグリップの使用、フックの外し方に工夫する、魚を触らずに取り扱う、魚の体を乾いた場所に置かない、リリースを素早く行うことなどです。

キャッチ&リリースの背景と意見
お聞きくださりありがとうございます。 今回は、キャッチ&リリースについてお話をしていきます。
私は、普段のエピソードでは、なるべくすぐに本題に入るように、すごく意識しているんですけれども、今回は少しだけ前段としてお話ししたいなと思います。
私個人としてはですね、キャッチ&リリースも良いとも両方するんですけれども、割合としてはリリースすることが多いです。
そして今回の話は、リリースをすることを前提にお話をしていくんですが、リリースを何が何でも推奨したいと思っているわけではありません。
理由としては、反対派の意見があることと、その意見も理解できると個人的に思っているからです。
このキャッチ&リリースについてはですね、割と最初の方から取り扱いたいテーマとして構想してまして、
海外の文献なんかも見ていたんですが、読めば読むほどなかなか踏み込みづらいテーマだなという印象を持ちまして、
文献の中にはキャッチ&リリースの歴史だったり、国際比較について研究をしたものもあったんですけれども、
このキャッチ&リリースを良いと見るかどうかっていうのは、基本的にはその地域の歴史とか文化とか宗教観、
あとそれも踏まえた監修なども要因になって、結果的に大きな差になっていると思います。
これは本当に国によってとか、あるいは国の中でも認識がバラバラで、絶対的な正解が出せないなぁと、
だからこそ話し合いがあるなとも個人的には思っているテーマです。
こういったキャッチ&リリースに対する意見や考え方なんかは、背景も説明をすると話が非常に膨大かつ複雑になるので、
まだの機会にしたいなと思います。
魚の生存率に関するデータ
今回は釣人がキャッチ&リリースをする場合を想定して、現時点でキャッチ&リリースに関連して分かっているいくつかのデータのご紹介と、
これを踏まえて具体的にどうすれば魚の生存率を上げられるのかということにフォーカスしてお話をしていきます。
参照した文献についてはいつも通り概要欄に記載をしております。
さてキャッチ&リリースに関する研究ですが、これはごく短期間の生存率に関する研究はあるんですけれども、
結構分かってないことが多いですね。具体的にはまず特定の魚種に関する研究しか行われていないということと、
リリースをしたその個体自体が生きているとしても、そのリリースの前後でその個体の寿命とか、
あるいは身体機能とか、あと産卵行動ですね。ここに問題は出ないのかなんかは正直まだ分かっていないことが多いようです。
海外の場合研究対象として多いのは鮭、マス類と、あとブラックバス関連ですね。
なので前提としてこれを踏まえていただく必要はあるんですが、私が見た海外の文献ではですね、実際の検証データとして適切な道具の使用とか、
リリーステーションを踏むか踏まないかで、これは海外のマス類を対象としたものなんですけれども、死亡率が1%未満から90%まで開きがあるというものがありました。
その文献の中ではどういった要素が魚の生存率に影響を与えるのかということも書いてあったので、これからその要素についてですね、
現実的に釣り人が釣り場で意識できそうな部分にフォーカスしつつお話をしたいと思います。
まず最初にお話をしたいのは、大前提となる魚は空気中でどのぐらいまで耐えられるのかというデータです。
これ対象魚としては淡水に住んでいるブルックトラウトという魚ですね。これは海外を中心に日本も一部100年以上前に人間の手によって持ち込まれて、今も生息をしているようなんですけれども、
このマス類の魚を対象としたものです。 なのであくまで参考値ですが、空気中にさらしてから60秒以内に水中へリリースをした場合は、
すべての個体が遊泳能力の低下もなく生存した。 そして120秒でリリースをした場合は、リリース直後は遊泳能力が75%低下。
結構幅に落ちてますね。 けれどもその後3ヶ月間チェック期間を設けたようですが、この120秒でリリースをした個体も含めて全個体が生存していることを確認した。
というものでした。 なおこの実験では仮想的なファイト時間として魚を空中に上げる前に30秒間手で魚を追い回す
という行為を挟んでいるのと、 実験のブルックトラウトの大きさは30センチ弱のものを12匹ですね。
用いているようです。 実験結果には解釈の余地がありますが、一つの見方としては60秒以内なら魚がかなり元気な状態で
返すことができて、120秒の場合も生存率は今回の実験で100%なので回復可能な範囲のダメージ。
つまり3ヶ月間何も捕食せずに生存はできないと考えられるので、 リリース直後は遊泳能力が低下したんですが回復して捕食も行える
コンディションにはなったと捉えることもできるのかなと思います。 ただしもちろん留意点としてはいくつかですねありまして、まず30センチ弱のブルックトラウトを
前提にしておりですね。 ここから私の感覚になりますが、この60秒とか120秒とかいう時間は例えば根魚とか
シーバスならある程度納得感があるんですけれども、 アジやサバなどはとても1分も耐えられないんじゃないかなと思うところもあります。
また同じ魚でもサイズが小さければ当然早く弱るという傾向はあると思います。 次にその他の障害が発生したかどうか
というのはわからないということですね。 例えば他の研究ではスモールマウスバスを同じく2分間空気中に晒したところ
心臓や血管系の障害が残ったというデータもありまして、 想像以上に大きなダメージが残っている可能性はあるということです。
最後に生息環境によって水の中の酸素量が変わるので、 これは生存時間にも影響してくるだろうということですね。
特に水温が高い夏の間なんかは溶存酸素量が少なくなるので、 その分短い時間でリリースする必要が出てくる可能性が高いと思います。
参考として真水のデータですが、水温10度から水温25度に上がると3割ぐらいですね、 溶存酸素量が少なくなるというデータがあります。
なのでこれらを踏まえる必要があるという前提をありつつ、 一つの見方として60秒以内ならかなり元気な状態で、120秒の場合もなんとか生存はできる
ギリギリのラインじゃないかというところですね。 次にまた別の文献でまとめられていた魚へのダメージに影響する要素を
魚へのダメージに影響する要素
フッキングからリリースまでの時系列でまとめたものがあったのでご紹介をすると、 全部で6つのステージに分かれるんですが、まずフッキングですね。
それから次にファイト。 3つ目がランディング。
そして4つ目がフックを外す。 5つ目が記録。これはカメラ撮影などですね。
そして6番目がリリース。 こういった順番そして要素が魚へのダメージに影響してくると。
今から気をつけるべき要素をこの順番にお話をしまして、 最後に現実的に釣り場で工夫できそうな点をまとめたいと思います。
まず最初フッキングからですけれども、 これ大切なのは適切な合わせを入れてのど奥にフッキングさせないということもそうなんですが、
釣りの技術に関係なく工夫できるところというのは、 適切なフックを選択するということですね。
形状と大きさになりますが、例えば針先がシャンクに対してまっすぐ、 もしくは少し開いているストレートゲイブとかオープンゲイブの針。
特にオープン顕著なんですけれども、初期がかりはいいんですが、 活性が高い時は飲み込まれてそのままのど奥にフッキングしてしまうということもどうしても増えてしまいます。
活性が高い時には針先が内側を向いているものを使ったりとか、 あとは大きめのフックとかルアーを使って飲み込まれないようにする工夫というのは必要になってくると思います。
次にファイトですね。 これ非常に難しくてですね、何が難しいかというと魚へのダメージを最小化するには、
要は極力太いラインと強い竿を使ってとにかく早く取り込むのが正解ということになるんですが、
扱いづらくなったり、人によっては楽しみが減るという人もいると思うので、 正直ここは個人の判断に委ねるほかないかなと個人的には思っています。
さあ次にランディングですね。 大事だと思うのはそもそもランディングする場所を考えて立ち位置を決めるということだと思います。
それからスムーズにランディングをするためのランディングネットなんかのツールの使用ですね。 論点としてはフィッシュグリップでですね、下顎に穴が開くと確実に感染症とか捕食機能に障害が出る可能性が高くなるんですが、
釣り人ができること
例えばシーバスなんかフィッシュグリップを使わないと人間も本当に危ないですし、指にフックが刺さったりするので、
あとは魚が慌れ回った時にどうしても落としてしまうとか、逆にそうすると魚の体を必要以上に傷つけてしまうことにもなるので、
なのでフィッシュグリップについてはその対象魚やその危なさとのバランスの問題で使った方がいいのであれば使用すべきだなと思っています。
次にフックを外すということですが、これは道具で言うとプライヤーとかバーブレスフックの使用などを行って早く外す工夫をするということの他に、
意識的にできる部分で言うと魚体に素手で触れないということですね。 手の温度で魚の場合は簡単に火傷をしてしまいます。
また、表面のぬめりとか鱗が取れてしまうと感染症なんかのリスクも増大するので、極力口付近をコンパクトに持つとか、なるべく手の広い面積で覆わないように持ち方の工夫をする必要があるかなと思います。
そして次が記録ですね。これはカメラ撮影などと言いましたけれども、これ大事なのは空中に晒してからの時間ですね。
ここまででどれだけ手間取ったかスムーズにできたかということを考えて、どのぐらい時間が経ったかなということをなんとなくイメージするということだと思います。
場合によっては撮影するかしないかとかですね。あと撮影にどれだけ時間をかけるかということをそれによって変えていくということになるかと思います。
あと時間が経過して少し危ないなと思った場合は、魚を保持したまま水に戻せるのであれば、そこで先に回復してもらうということも大事だと思います。
あと先ほどご説明をした火傷をさせないとか、体のぬめりを取らないというところに関連するんですが、魚を乾いた場所だったり、夏場を暑くなっている地面に直接置かないというところも注意したい点です。
そして最後はリリースですが、短時間でリリースをした場合は問題ないと思いますが、仰向けになった場合、バランス感覚を失ってしまっている場合には、いわゆる蘇生を考えていきます。
シーバスとかだと一般的になりつつあるかなと思います。
魚のリリースに関するポイント
ただし一番大事なのは、基本はできれば1分、どれだけ長くても2分以内、漁師によってはより短い時間で水中に返すということが重要だと思います。
さて、今バーッとお話をしましたが、正直細かいところを言うとまだまだあります。
すでに今の時点でですね、これをすべて覚えて意識するというのは結構難しいんじゃないかなと思います。
なので個人的にですね、釣り人がこれなら最小限できるかなという部分をピックアップして、今からお伝えをします。
まず釣りをする前にできることとしてはですね、大型のお魚がかかる可能性がある場所は必ずランディングネットを持っていくのと、
あとランディングできる場所を把握してからポイントにエントリーをするというところですね。
それから釣っている最中にできる工夫としては、特に魚の活性が高くて数が釣れる場合というのは、
フックの形状を変えたり、返しを潰してバーブレスフック化するなどして、
ノドオークへのフッキングとかリリースに手間取ることを避けるということです。
最後に、これは意識的な話なんですけれども、今回のデータも参考にですね、
魚を水からあげてから何秒経ったのか、またいかに魚が傷つきやすいかということに意識的になるということが大事だと思います。
これは素手で魚体に触れないとか、そういうことも含めですね。
以上、細かな点はもっとあると思いますが、最低限という意味で個人的に特に重要だと思うポイントを挙げました。
私の個人的意見ではありますが、リスナーの方一人でもですね、お役に立てましたら嬉しいです。
さて今回はキャッチ&リリースと魚の生存率についてお話をしていきました。
近年の動物愛護とか動物福祉といった概念とか意識の高まりから賛否が分かれるキャッチ&リリースですが、
私も今回お話しするにあたって改めて釣りは魚にダメージを与える側面、これは否定できない趣味なので、
その側面はしっかりと受け止めた上で、だからこそせめて一匹でも多くの魚がその後も自然に帰っていけるように、
人間側の工夫として何ができるのか考え続けることが大切だと思いました。
これは非常にいろんな意見があるテーマだと思いますので、ぜひぜひ皆様のご意見とかご感想もフォームやSNS等で教えていただけたら非常に嬉しいです。
この番組は釣りの知識・ノウハウを定期的に発信しています。
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では、お聞きくださりありがとうございました。
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