数学不安の理解
みなさん、こんにちは。教育カフェテラスの時間です。パーソナリティは、水野太一です。
アシスタントの高橋紗友香です。よろしくお願いします。
この番組では、国内外の教育に関する最新情報や、教育現場の課題、そして身近な話題を取り上げ、みなさんと一緒に考え、学びを深めていきたいと思っています。
はい、今日も楽しみにしています。
今回のテーマは、数学が苦手と感じる学生たち、不安の根源と克服への道、です。
レッドサージに掲載された2024年1月24日の記事が情報源です。
この記事では、数学に対する不安が、学生の学習意欲や成績に与える影響について掘り下げています。
数学、私も得意な方ではなかったです。テスト前はいつもドキドキしていました。
数学不安って、よく聞く言葉ですが、具体的にはどんな状態を指すんですか?
数学不安とは、数学の問題を解いたり、数学を学んだりするときに感じる不安や緊張のことです。
人によっては、テストのときに過度に緊張してしまったり、授業の内容が全く頭に入ってこなくなってしまうこともあるようです。
なるほど。それって、テストのときだけじゃなくて、普段の授業からずっと不安を感じている学生さんもいるんですね。
そうなんです。カリフォルニア大学マーセド校に通うサブリナ・コロンさんの例が記事で紹介されています。
彼女は、高校まではなんとか数学の授業をこなしていたものの、大学の微積分でつまずいてしまい、強い不安を感じるようになったそうです。
大学の数学って、高校までとはレベルが全然違いますもんね。サブリナさんは具体的にどんな状況だったんですか?
授業に出るのが辛くなり、体調が悪いと偽ったり、和の言い訳を見つけて避けるようになったそうです。
先生たちはすぐに理解することを期待しているように感じる、とも言っています。
他の学生がなんなくこなしているのを見ると、孤立感を感じてしまうんですね。
それは辛いですね。私も経験があります。周りがスラスラ解いているのに、自分だけが取り残されているような感覚になるんですよね。
記事によると、数学不安は、アメリカの記者国際学習度到達度調査の数学スコアの低下にも影響を与えている可能性があるそうです。
記者のスコアにまで影響は、それは深刻ですね。
はい。アメリカがより多くの批判的思考者を育成しようと努力している中で、数学不安が学生たちの足を引っ張ってしまう可能性があると指摘されています。
批判的思考者を育成する上で、数学は重要な役割を担っていますもんね。数学不安を放置しておくと、将来にも影響が出てしまうんですね。
その通りです。フロリダ州立大学の発達心理学准教授、コリーン管理士によると、数学不安と成績不審は相互に影響し合うという、相反理論が広く受け入れられているそうです。
相反理論ですか。詳しく教えてください。
はい。数学への不安が、そもそも数学を避ける行動につながり、結果として数学の能力が向上しない、そして数学ができないという経験が、さらに不安を煽るという悪循環に陥ってしまうという考え方です。
なるほど。区のスパイラルですね。鶏が先か卵が先か、みたいな話ですね。
まさにそうですね。ただ、管理士によれば、どちらかというと、数学の成績不審が数学不安を引き起こすというエビデンスの方が、わずかに多いそうです。
不安が成績に与える影響
そうなんですね。でも、不安が成績に影響することも、もちろんありますよね。
ええ。シカゴ大学の心理学部教授、スーザン・レバイン氏によると、不安を感じると脳のワーキングメモリーが不安でいっぱいになってしまい、実際に数学の問題を解く能力が妨げられるそうです。
マーキングメモリーですか。
はい。情報を一時的に保持し、処理するための脳の機能のことです。
例えば、暗算をするときに、数字を覚えておくだけでなく、計算の過程も一時的に覚えておく必要がありますよね。
は、なるほど。不安で頭がいっぱいになると、計算に必要な情報を一時的に覚えておく余裕がなくなってしまうんですね。
その通りです。特に、数学が得意な学生ほど、ワーキングメモリーを多く使う解法を用いる傾向があるため、不安の影響を受けやすいそうです。
得意な学生ほど影響を受けやすいんですか。それは意外ですね。
例えば、算数の問題を解くときに、不安を感じやすい学生は、指を使って数えるなど、より原始的な方法に頼ってしまう傾向があるそうです。
なるほど。普段はもっと効率的な解き方ができるのに、不安のせいでそれはできなくなってしまうんですね。
レバイン氏によれば、数学不安は女性の方が男性よりも感じやすいというデータもあるそうです。
そうなんですね。何か原因があるんでしょうか。
原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
例えば、社会的な期待やジェンダーによる固定観念などが影響している可能性も指摘されています。
なるほど。数学は男性が得意というイメージが、女性の自信を奪ってしまうこともあるのかもしれませんね。
そうかもしれません。では、数学不安を軽減するためには、具体的にどのような対策が考えられるのでしょうか。
そうですね。気になります。
ダンニー氏によると、教室で効果的な対策はまだ研究段階だそうです。
なぜなら、学生によって不安を感じる要因が異なるため、すべての人に効果的な解決策を見つけるのが難しいからです。
一人一人に合わせた対策の必要なんですね。
その通りです。ただ、いくつかの研究から、数学不安を高める可能性のある要因がわかっています。
例えば、教師のサポート不足、教師と生徒の関係性の悪さ、過度な競争環境、そして、卑怯力的な教室の雰囲気などが挙げられます。
確かに、先生は冷たかったり、周りの生徒がギスギスしていたりすると不安になりますよね。
生徒たちは、数学で間違えることを極度に恐れているということもわかっています。
間違えることが恥ずかしいと思ってしまうんですね。
そこで、研究者の中には、自分の感情を不安ではなく興奮として捉え直したり、テスト前に自分の不安について日記に書いたりすることが有効だと提案する人もいます。
感情をリフレーミングするんですね。
はい。しかし、10歳から12歳の生徒を対象とした研究では、このアプローチがかえって有害となる可能性も示唆されています。
逆効果になることもあるんですか?
はい。感情のコントロールは、年齢や性格によって効果が異なるのかもしれません。
また、時間制限のあるテストが不安を悪化させるという意見もありますが、ガンリー氏によれば、研究ではっきりとした結論は出ていないそうです。
時間制限のあるテスト、私も苦手でした。焦ってしまって、普段ならできる問題も間違えてしまうんですよね。
教師の役割と対策
ガンリー氏は、時間制限のあるテストを上手に活用すれば有益な場合もあると考えています。
例えば、生徒に時間制限付きのテストをさせて、それを自分で採点させ、結果を誰にも見せないという方法です。
自分で採点するんですね。
はい。そして、長期的にデータを集めて、自分の進歩をグラフで示すことで、時間制限のあるテストを上手に活用すれば有益な場合もあると考えています。
自分の進歩をグラフで示すことで、生徒は自分の成長を実感することができます。
なるほど。自分の成長が目に見えれば、モチベーションも上がりますね。
その通りです。南カリフォルニア大学の教員養成準教授、ヤスミン・コプル・ゲンチュルク氏は、
教師は生徒が数学を理解し、楽しめるように、数学と教育法に関する十分な知識と自信を持つ必要があると述べています。
先生自身の知識や自信は大切なんですね。
はい。コプル・ゲンチュルク氏は、多くの教員養成プログラムでは、
将来の教師が数学に対する理解を深めるための時間が十分に確保されていないと指摘しています。
確かに、教員養成のカリキュラムはいろいろな分野をカバーしているので、どうしても時間が足りなくなってしまいますよね。
理想的には、教師は数学の内容だけでなく、教え方についても深く理解しているべきです。
しかし、近年では従来の教員養成過程を経ずに教職に就く人も増えています。
先生の質は、生徒の数学に対する意識に大きく影響するんですね。
その通りです。コロンさんは、自身の不安の原因を数学を避けたいという気持ちと、他の学生と比較してしまうことにあると考えています。
他の人と比べてしまうのはよくわかります。
SNSとか見ていると、自分だけが遅れているような気がして焦ってしまいますよね。
そうですね。コロンさんは家庭教師をつけてもらっていますが、あまり効果がないと感じているようです。
正直、数学に関しては自分が問題だと思っていますと言っています。
それは辛いですね。
ただ、彼女はまだ数学を学ぶことができると信じています。
さらに、瞑想が不安を管理するのに役立つことも見つけました。
瞑想、いいですね。私も試してみようかな。
今回の記事から、数学不安は単なる苦手意識ではなく、学習意欲や将来にまで影響を及ぼす深刻な問題であることがわかりました。
そうですね。数学不安を抱える学生を減らすためには、教師の質の向上や教室環境の改善など、様々な面からのアプローチが必要だと感じました。
ええ、今日の話が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
私も今回の話をきっかけに、数学に対する苦手意識を克服してみようと思いました。
それでは、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお聞きいただき、ありがとうございました。
ありがとうございました。また次回も聞いてくださいね。