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2025-04-12 10:33

「16パーソナリティ」と「MBTI」の違いとは?自己理解を深めるための正しい知識

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巷で人気の性格診断「16Personalities」が、MBTIと混同され、誤った情報が拡散している問題を取り上げます。特に若年層への悪影響や、教育現場での不適切な利用に警鐘を鳴らし、MBTIの専門家が正しい知識と活用法を解説。自己理解を深め、他者との違いを尊重するための情報を提供します。

サマリー

今回のエピソードでは、16パーソナリティとMBTIの違いや、その影響について詳しく解説されています。特に、誤った自己認識が若年層に及ぼす影響や、心理検査を利用する際の注意点が強調されています。

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こんにちは、みなさん。教育カフェテラスの時間です。司会は水野太一です。
アシスタントの高橋さやかです。今日もよろしくお願いします、水野先生。
この番組では、教育に関する最新情報や課題、身近な話題をお届けしています。
はい、今日も楽しみにしています。
16パーソナリティズとMBTIの違い
さて、今回のテーマは、「リンボーになりやすいタイプと誤った情報で不安にさせる16パーソナリティズ問題」についてです。
東洋経済オンラインに掲載された記事が情報源で、
2025年3月30日に公開された記事を参考にしながら、詳しく解説していきたいと思います。
16パーソナリティズ、最近よく耳にしますけど、MBTIとは違うものなんですね。
そうなんです、さやかさ。そこが大きな問題なんです。
16パーソナリティズはMBTIに似た性格診断テストですが、実際には全くの別物なんです。
MBTIを紹介した日本MBTI協会の代表理事である園田幸さんによると、
16パーソナリティズはMBTIのA文字4つの表記をそのまま転用していることが、混乱を招いている原因とのことです。
MBTIのオリジナルであるA文字4つの表記を、16パーソナリティズがそっくりそのまま転用したことが問題なのですね。
ええ。16パーソナリティズ側はあくまでMBTIの良いとこ取りをしただけと主張していますが、
ベースの理論が異なる以上、結果表記も変えるべきだと園田さんは指摘しています。
なるほど。それで、具体的にはどんな問題が起きているんですか?
誤った自己認識の影響
一番の問題は、16パーソナリティズの結果を鵜呑みにして、間違った自己認識を持ってしまう人が増えていることです。
自殺しやすいタイプと言われて不眠症になったり、母親には向かないタイプと言われて自信をなくしたりするケースもあるようです。
それは深刻ですね。特にどんな年代の方が多いんですか?
訴えの多くは10代から20代の若年層からのようです。中には、小学生の子供を持つ保護者からの相談もあるとのことです。
小学生にまで影響が出ているとは驚きです。なぜこのような問題が起きてしまったのでしょうか?
背景には、AIの翻訳精度の向上があります。以前は16パーソナリティズの日本語訳が不自然だったため、それほど問題視されていませんでした。
しかし、最近は翻訳精度が向上し、想像を超える勢いで広がりを見せています。
AIの進化が思わぬ形で悪影響を予防しているんですね。
その通りです。さらに、学校の先生が児童生徒に16パーソナリティズの無料診断を受けさせ、一緒になって盛り上がったり、人間関係や成績とリンクさせたりする事例もあるようです。
それは問題ですね。先生自身も16パーソナリティズとMBTIの違いを理解していない可能性があるということでしょうか?
そうかもしれません。記事によると、日本MBTI協会は寄せられた情報を文部科学省にも共有しているとのことです。
文部科学省も動いているんですね。では、そもそもMBTIとはどんなものなのでしょうか?
MBTIは、スイスの心理学者であるカール・ジー・ユングのタイプ論をベースに、アメリカのマイヤーズ親子が開発した性格検査です。
人の良いところに焦点を当て、多様性を理解し、受け入れ、保障し合うための指針を得られるように開発されたものです。
16パーソナリティズとは随分違うんですね。MBTIでは、自殺しやすさや貧乏になりやすさなどは全く見ないとのことですわ。
ええ。MBTIは、人の認知スタイルを見るもので、その人がどんな認知スタイルを持つかを探っていきます。
認知スタイルですか。少し難しい言葉ですね。
簡単に言うと、ものの見方や考え方の傾向のことです。
例えば、R絵を見せたときに、触感機能を使いやすい人はピカソっぽいと感じ、感覚機能を使いやすい人は人が5人いてそれぞれが違う方向を見ていると感じる、といった違いがあります。
なるほど。同じものを見ても、聞きによって捉え方が違うんですね。
そうです。MBTIは、その人が生まれ持ったキャラクターを見るもので、周囲との比較ではなく、その人自身に焦点を当てます。
比較しない、という点が大切なんですね。
ええ。MBTIは累計論なので、その人がどんな認知スタイルを持つか、それ自体を探っていきます。
自分の認知スタイルを知ることで、どんなメリットがあるのでしょうか。
自分の認知の偏りを自覚して是正したり、うまくいかないときに、いつもと違うものの見方をしてみよう、と活用したりすることができます。
なるほど。柔軟な考え方ができるようになるんですね。
その通りです。また、MBTIは他者理解にも役立ちます。自分とタイプが違う人は、自分には見えづらい世界を見てくれている人でもある、という視点を持つことができます。
多様性を尊重する、ということですね。
はい。MBTIは本来、多様性を建設的に捉え、他者に対する許容度を上げるためにも有効なものなんです。
16パーソナリティーズの特定のタイトル、相性が悪い、などと紹介する昨今の風潮は、MBTIとは真逆の方向に向かっているということですね。
その通りです。記事によると、MBTIは日本では18歳からしか受験できないとのことですが、これはなぜでしょうか。
そういえば、年齢制限があるんですね。
日本MBTI協会の園田さんによると、日本の教育は自分の考えより正解を書くことが求められ、集団生活では協調性が求められる傾向にあるため、日本の子供たちの自我が確立するのは18歳頃からだと言われています。
文化的な背景が影響しているんですね。
ええ。アメリカでは14歳からMBTIが有効なのに対し、日本では18歳から有効とされています。
日本とアメリカでは自我の確立の時期は違うんですね。
はい。園田さんは、日本に来て、人と比較することで自分を評価する人が非常に多いことに衝撃を受けたそうです。
それが自己肯定感を低くしているのではないかと考え、自分だけに焦点を当てる分析方法で、その人も人生の羅針盤となるようなフレームワークを日本に提供したいと考えたそうです。
素晴らしいですね。
園田さんは、日本人は状況に応じてペルソナを使い分けられる点が素晴らしいと考えています。
ペルソナですか。
はい。ペルソナとは、社会的な役割を演じるために身につける仮面のようなものです。
例えば、会社では仕事ができる社員、家庭では優しい親といったように、場面によって異なる自分を演じることがありますよね。
確かに、そうですね。
日本人は、たくさんのペルソナを身につけているからこそ、圧力を避けて過ごすことができるのでしょう。
なるほど。ペルソナを使い分けることで円滑な人間関係を築いているんですね。
その通りです。一方で、ペルソナに返上する余り、自分自身を見失いそうな人にも多く出会ってきたそうです。
だからこそ、本来のキャラクターを知ることで、もっと意識的にキャラクターとペルソナを行き来したり、さらに自分を行き来させることができるようになっています。
だからこそ、本来のキャラクターを知ることで、もっと意識的にキャラクターとペルソナを行き来したり、さらに自分を生かしたペルソナの表現ができたら、ストレスの減少につながると考えたそうです。
バランスは大切なんですね。
ええ。教員は様々な児童生徒も成長を見守る仕事ですが、どのような視点を持っておくといいと思いますか。
それは私も知りたいです。
園田さんは、自己理解の深さは他者理解の深さとイコールだと述べています。自分自身の認知に偏っていると、自分と違うものの見方をする子供を低く評価してしまう可能性があると指摘しています。
なるほど。
心の聞き手が違うということは、異なる言語や世界観で生きているようなもの。これがわかると、子供が見ている世界を誤解することなく捉えることができ、自分の偏見を通さない新しい視点でその子自身を評価できるようになります。
自分と違う視点を持つことを尊重することが大切なんですね。
そうです。また、人間には意識と無意識の二つの領域がありますが、自己理解を深めて意識の領域が広がれば、自分でコントロールできる感情や言動の範囲が広がり、安心して人と接することができます。
心理検査の利用注意点
自己理解を深めることで、心理的な安全性が高まるんですね。
ええ、感情は転移するものなので、教団に立つ先生の心理的安全性は子供たちの安心感にもつながるのではないでしょうか。
先生の心の状態は子供たちに影響を与えるんですね。
その通りです。最後に、園田さんは、人は目がきれいですねと言われると、そこを強調するようにアイメイクがどんどん濃くなっていくというエピソードがあります。
このように人間は、一度あなたはこういう人間ですと言われると、確証バイアスが働いて、自分でも無意識のうちにその特徴を強めてしまうものなのですと述べています。
ネッテルを貼ることの危険性を示唆していますね。
はい。心理検査を誤った形で取り入れると、自分自身を見失ってしまう可能性があります。
特に、自我が確立する前の子供たちは、こうした事態に陥りやすいでしょう。
自分や相手に手軽にレッテルを貼ってしまうことの恐ろしさを、まずは大人がしっかり把握しておく必要があると思います。
今回の話を聞いて、16パーソナリティズとMBTIの違いを正しく理解することの重要性を改めて感じました。
安易に自己診断をするのではなく、専門家のサポートを受けながら、自己理解を深めていくことは大切ですね。
本当にそうですね、さやかさん。今回のテーマは以上となります。
ありがとうございました、水野先生。
それでは皆さん、今回はこの辺で。
また次回もぜひ聞いてくださいね。
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