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こんにちは、常蔵です。
Design Review.fm第54回目、始めていきましょう。
このDesign Review.fmは、世の中の様々なもの、主に工業製品について、私の主観で勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
今回は、科学系ポッドキャストの日に参加します。
この科学系ポッドキャストの日というのは、毎月、科学系のポッドキャスターが、共通のテーマについて、それぞれの専門分野でお話ししましょう、というものです。
この企画はですね、毎月テーマを決めてくれるホストがいまして、今月のホストは、サイエマニアさんですね。
科学系のポッドキャスターといえば、レンさんというほど人気の方、人気のポッドキャストなので、もう説明不要ですよね。
今月、8月のトークテーマは、女性の活躍です。
このデザインレビューFMでは、ものづくりの業界の中での女性の活躍について、ちょっと話してみようかなと思います。
はい、ということで本編です。
ものづくり業界、製造業での女性の活躍というところで、まずは現状を確認してみましょう。
ものづくり業界の現状を知るために良い資料がありまして、その名もズバリ、ものづくり博書。
これはですね、経済産業省、厚生労働省、文部科学省が、ものづくりに関連する技術だったり、その企業の動向について、毎年取りまとめているもので、2024年度版もですね、6月に出ました。
このものづくり博書では、そのものづくりの現場、製造業で働く女性の就業者の推移というものがまとめられています。
2023年度の製造業で働く女性は317万人。
2022年、昨年からですね、昨年か、一昨年から5万人ほど増加したそうですね。
男性は、同じく2023年が738万人ですので、女性の割合は30%ということになります。
全ての産業、ものづくりに関わらず、全ての産業での女性就業者の割合は、2023年で45.2%、およそ半数ですかね。
45.2%なので、やはり他の業界に比べると、そのものづくりの業界で働く女性というものの割合は少ないというのがわかりますね。
さらにそのものづくりの中でも、私がいる工作機械業界について見ていきましょう。
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各社、統合報告書というですね、主に株主さん、ステークホルダーに、会社の状況だったり、中長期的な計画みたいなものを知ってもらうための資料を公開しています。
こちらの中に、ダイバーシティの推進というところで、育休の取得率だったり、会社で働く女性の割合というものを公開しています。
ここからちょっと数字を拾っていくと、まずは牧野フライス製作所ですね。
こちら2022年度末での数字となりますが、牧野フライス単体では、管理職で3.1%、係長級で5.6%、一般社員で10.8%、
それを含めた、全部含めたトータルでの全労働者で見ると、11.7%が女性労働者となっているそうです。
先ほどそのものづくり白書での製造業全体での女性労働者の割合というものは30%とお伝えしましたが、そこの中でもですね、がくっと下がりましたね。
11.7%。
次はですね、DMG森精機。こちらもDMG森精機の統合報告書を見てみると、こちらですね、日本とドイツ、アメリカそれぞれでその従業員に占める女性比率として公開しています。
2023年で日本が15.7%、ドイツが14.6%、アメリカでは16.2%とのことです。
薪のフライス製作所と比べると女性比率が少し多いですけれども、それでもその製造業、ものづくり全体の30%に比べるとやっぱり少ないですね。
もっと言うと工作機械メーカーの中にも総務部だったり営業職だったり、比較的女性の割合が多い部門もありますので、実際にその機械を作っている現場、加工部門だったり組み立て部門、あとは私がいるような設計部門だと、もっと女性の割合というのは少ない印象ですね。少ないと思います。
そして最後は大隈なんですけれども、大隈の統合報告書から従業員の女性比率というものは公開されているのが見つからなかったんですけれども、新卒採用者、新しく大学とか高専とか専門学校とかから採用する新卒採用者の中での女性の割合というものが書いてあって、
これがですね、2022年度で採用数83人に対して女性の割合が10.8%。83人中9人ということですかね。そもそもその工作機械メーカーで働きたいと思ってくれる女性の学生さんというのが少ないということがわかりますね。
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大学だったり高専からのインターンの指導というものも、指導というとちょっとおこがましいですけれども、サポートみたいなことをやるんですけれども、まずインターンで来てくれる女性の学生というものは少ないですよね。本当10%とか5%とか、そういう印象です。
なぜこうやって製造業で働く女性を増やそう増やそうと言っているかというと、おじさんはですね、おじさんと一緒に働きたくない、女性と働きたいというのは冗談で、これは少子高齢化に伴う労働力の確保のためなんですね。
言い方悪いですけれども、男どもは黙ってても来てくれるんで、それもパイの取り合いで頭打ちになってしまうんですけれども、その労働力確保のためにまだまだ割合の少ない女性にも少しでもそのものづくり、製造業に興味を持って業界に入ってきてもらって働いてもらおうと、そういうわけですね。
じゃあね、その製造業の主役であると勝手に私は思っているんですけれども、その工作機械、主役であってほしいと思っているんですけれども、その工作機械を女性にももっと使いやすいものにするにはどうすればいいかというのをちょっと最後に少し考えてみましょう。
男性と女性ではどうしても身体的、体格的な違いがあって、平均的なところで見るとどうしても女性の方が背が低くて、手の大きさも小さくて、筋力も弱いという傾向があると思います。
最近はツイッターXでデカ女という背の高い女性が話題になったり、オリンピックに今ちょうどやってますけれども、オリンピックに出るような身体能力の高い女性ももちろんいるんですけれども、平均的に見ればそういう傾向だと思います。
そういう身体的に背が低いとか、手が小さいとか、そういう女性にも使いやすい工作機械にするにはどうすればいいか。
人間が操作するところ、触るところを変えていく、対応させていく、そういう必要があると思います。
工作機械で言えば操作版ですね、NCの画面。
こちらはJISで、JISというのは日本産業企画なんですけれども、JISという企画でこうしてくださいねというのが推奨という形で出されていて、
JISのZ8907、空間的方向性および運動方向、人間工学的要求事項という項目で、この中でですね、その作業者、オペレーターが何か作業だったり操作をするときの目線の高さ、椅子に座っている場合と立っている場合。
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今、立っている場合を想定しますけれども、立っている場合のオペレーターの目線の高さ、これがですね、床から1370mmから1680mmであることというのを推奨すると書かれています。
1370mmから1680mmと300mmほど幅があるんですけれども、やはりその工作機械というのは今までの流れから使う人に割合として男性が多いよと。
しかもその工作機械というのは70%が海外に輸出されるような状況ですので、外国の方が使うことが多いと。
当然日本人に比べると外国の方というのは背が高いですので、どうしてもその高め高め、規格の上限の1680mmあたりに画面の中央が来るように設計してしまうことが多いと思います。
なので、私の妻なんかは背が1550mmくらいなので、そういう背の低い女性が1680mmの高さにある画面を見ようと思うと、ぐーっと見上げる必要があって長時間作業しようと思うと疲れてしまいますよね。
そういうときは下にステップ、台を置いて使ってくれたりすると思うんですけれども、台があるとそこから落下して足を踏み外して怪我をするリスクがあるというところで、ある工作機械を収めるお客様、メーカーさんの方ではそういう女性にも使いやすいように操作盤の位置を50mmでも100mmでも下げてくれという要求があることもあります。
なので設計する側としては、その工作機械の操作盤の高さを上下に調整できるようにするとか、画面の角度を見やすいように変えられるとか、そういう工夫が必要になってきます。
あとは手の大きさに関わるところで、手歯ですね。手歯。手動パルス発生器というものがついていることがあるんですけれども、ハンドルがついていて、ハンドルをくるくる回すとその機械の軸を動かすことができる。そういうリモコンみたいなものがあります。
これも結構ゴツくて、女性の小さい手だと持ちにくいんじゃないかと思うようなものもあります。結構重たいですしね。これもやっぱり女性でも持ちやすく、でも男性でも使いにくくないような、そういう形が求められるようになると思います。
あとはドアですね。加工するワークだったり、あとは工具。あとはメンテナンスの時に開けるドアとかカバー。あれもですね、やっぱりちょっと大きい機械だとそのドアも大きくなるので、開けるのが大変なんですよね。
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あれもやっぱりその女性でも開閉しやすいように、軽く動かせるようなローラーの配置を工夫するとか、何かそのエアーシリンダーみたいなもので開閉をサポートしてあげるとか、もう自動ドアにしちゃうとかですね、ボタンを押したら勝手に開くような。
そのロボットとの組み合わせなどの自動化に対応するときには、そのオペレーターのドアとかを自動で開閉するようなドアにしますから、そういう構造に始めからしちゃうとか。
ドアについてはですね、軽ければ軽いほど、男性でも楽には開けるようになるので、そこはいいと思います。
という感じで、女性にも使いやすいと思ってもらえるような工作機械になれば、製造業で働きたいと思ってくれる女性ももっと増えるんじゃないかなと思っております。
そのためにはですね、このポッドキャストを聞いてくれる学生さんの中の女性の学生の方がどれくらいいるか、一人もいないかもしれないですけれども、ぜひその工作機械メーカーに入社してもらって、自分が使いやすいと思う工作機械をぜひ設計して作ってほしいなと思います。
やっぱりね、そのおじさんだけだとなかなか想像してみたり、数少ない女性社員に意見を聞いてみたりして作ると思うんですけども、なかなか難しいところもあると思うので、そういうね、自分で使いやすい機械を作ってやるぞという方がいれば嬉しいと思います。
ということで、今週はここまでです。
今日はですね、科学系ポッドキャストの日、8月のテーマ、女性の活躍というところで、製造業、そして工作機械を使う女性が増えるにはどうしたらいいかなという話をしてみました。
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では、お疲れ様でした。
ご安全に。