工作機械と自動化システムの基礎
こんにちは、常蔵です。
Design Review.fm第71回目、始めていきましょう。
このDesign Review.fmは、世の中の様々なもの、主に工業製品について、私の主観で、勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
今回はですね、【科学系ポッドキャストの日】の企画に参加します。
これも毎月恒例となっていますけれども、科学系のポッドキャスターで共通のテーマについて、みんなで話しましょうという企画で、
今月12月のホストは、工業高校農業部さんですね。
そして12月のテーマはですね、システムということで、説明の文章を読んでみますと、
科学や生物、メカニズム、僕たちの身の回りを支える様々な仕組み、システムに関するエピソードを募集します。
ということで、システムとは直訳するとですね、組織、体系、制度、あとは機構、仕組みなど、
それぞれ相互に影響を及ぼし合う要素から構成されるまとまり。
簡単に言っちゃうと、いろんなものがまとまって、一つの塊になって、何か仕事をしているような、
そういうイメージがシステムということですね。
で、ものづくり、その中でも工作機械を中心としたものづくりでのシステムというと、
生産を自動化する部品とか、製品の生産というものを自動化するためのシステムを指すことが多いんじゃないかなと思います。
自動化システムですね。
工作機械、マシニングセンターの自動化で一番ミニマムな最小な構成のものというと、
その2枚のパレットを交換する。
パレットというのはその工作機械の中にあって、
加工するワークをセットしておくものなんですけども、
そのパレットを交換するパレットチェンジャーというのがあるんですが、
そのパレットチェンジャーが付いているものが一番最小な自動化のシステムですかね。
なかなかそのパレットチェンジャーをシステムとは言わないことが多くて、
そのパレットチェンジャーというのはマシニングセンターと一体になっていることが多いですね。
特にその横型の四軸機だと標準と言っていいほどのものとなっています。
縦型機のパレットチェンと言うと結構取って付けた感といったらあれですけども、
もう追加したという感じで、標準では付かないので、
そういうものだとシステムと呼ぶこともあるかもしれないですけども、
だいたいパレットチェンジャーが付いているだけだとあまりシステムとは言わないかなと、
個人的な印象です。
それはやっぱり複数の要素がないように見えるからじゃないかなと思いますね。
もう機械一台という感じで。
ここに産業用ロボット、黄色でも青色でも白色でもいいですけども、
ロボット一台が追加されると一気にシステム味が出てきますね。
パレットチェンジャーで交換されたパレットに対してそのパレットに付いている枠ですね。
だいたいパレットに付いているか、そのパレットに乗っているイケールに対して付いているか。
そういうワークをロボットで、設置されたロボットで取り外して新しいワークを付けると。
そのロボットの周りにはそのワークを置く棚というのが並んでいると。
そういうイメージですね。
ロボットが付いているとシステムと呼ぶかなと思います。
ここからどんどんシステムというものを大きくしていってみましょう。
ロボットと搬送車の役割
マシニングセンターを2台、3台、4台と増やしていく自動化システム。
例えばそのロボット、産業用ロボットを中心にして周りにぐるっと取り囲むようにマシニングセンターを並べます。
それぞれOP1、OP2、OP3という工程を担当するマシニングセンターだとして、
それぞれOP1から取り外したワークをOP2にセットして次の工程を加工すると。
OP2の機械から取り外したワークを今度OP3に入れて次の工程を加工すると。
そういうのをロボットでやりましょうというシステムもあります。
マシニングセンターとこのロボットの組み合わせというものを考えたときに、
違うタイプとしてぐるっと取り囲むんじゃなくて、
マシニングセンターを横一列に並べてしまうと。
その前側にロボットが左右に移動できるような移動軸が1個追加されているようなレールがあって、
レールの上をロボットが走る。
そういう左右にロボットが走ってそれぞれの機械からワークを取り外しするようなシステム。
そういうのもあります。
それはお客様の工場の配置によってどっちを選ぶかとか、
そういうのが決まってくるんじゃないかなという感じですね。
さらにロボットだと持てる重さというのが限られてきますので、
ある程度ロボットでやるとすると小さい機械、小型の機械になると思います。
もっと重たいワーク、何百キロというものを交換しようと思うシステムを考えると、
ロボットじゃなくて搬送車というものを使うことになりますね。
その搬送車、同じくレールがあるんですけど、レールの上を走る車ですかね。
車に上下する軸と前後する軸があって、ワークじゃなくてパレットごと交換するようなイメージです。
これは今年のジムドフの2024でマキノフライスのブースの中で展示してあったPZ-1というものがあるんですけども、
これが搬送車と工作機械、マシニングセンターを並べたようなシステムですね。
ブースの配置的に奥の端の方にあったので、なかなか目立ってなかったと思いますけれども、PZ-1というシステムもあります。
今回のジムドフでは、他のメーカーではこういった搬送車を使ったようなシステムの展示はなかったですかね。
あまりちょっと見た覚えがないですね。
どうよりその機械を横にずらーっと並べるシステムで、ガントリーローダーを使ったものがありますね。
これは自動車部品向けのラインのシステムで、ガントリーローダーを使っているものが多いような印象があります。
ガントリーローダーを使うというのは、機械の上からワークの出し入れをするので、工場のスペースを有効に使えるとか、
あとはパレットチェンジャーがないような機械ですかね。
テーブル上にあるジグから直接ガントリーローダーでワークを取って、新しいのを乗せてみたいな。
そういうシステムが、自動車部品だと多いかなと思います。
はいはい、ちょっと今、うちの猫ちゃんが部屋から出たいよーって鳴いてたので、ドアを開けてきました。
どこまで話しましたかね。
ガントリーローダーというのもありますね。
あと最近増えてきたのが、AGV、AMRを使ったシステムですね。
AGV、AMR。
AGVというのは、ガイドするようなレールが、レールじゃないな。
ガイドするようなマーカーとか、そういったものを目印にして走るのがAGVで、
AMRはもっと自由度があるような、自律的に自分で経路を決めて走るようなものがAMRですかね。
そういうAGV、AMRを使ったシステムも最近増えてきています。
さっき話したような、ロボットとか搬送車のシステムというのは、
自動化システムの必要性
一回それを構成してしまうと、ある程度決まってしまうというか、変更が容易ではないんですね。
マシニングセンターを増やすとか、機械を並べ替えるとかというのが結構大掛かりな作業が必要になってしまいます。
なので、例えばそのシステムの中のマシニングセンター1台が何かのトラブルで止まってしまうと、
そのシステム全体が止まってしまうということもあります。
それに対して自由度の高い工程の組み替えが容易なシステムとして、
AMRを使ったものが最近増えていると思います。
AMRを使った例として、ジムトフではDMG森のほうで、
そのマシニングセンターの切りくずを貯めるバケットをAMRで自動で運ぶような、
自動で運んで満タンに貯まったバケットを機械から取って、
空のものを新しくつけるというシステムが展示されていました。
マキノフライスでは放電加工機の電極を、
放電加工機の電極をそのAMRとそれに乗った共同ロボットで自動で交換しますよというようなシステムを展示していました。
そしてそのマシニングセンターを何台もつなげるようなもっと大規模なシステムになってくると、
お客様も専用に新しく工場を建てるとか、
今その工場の中にあるものをすべて入れ替えるようなイメージになってくるので、
そこまでくるとお客様と一緒に工場を作るようなシステムも、
工作機械メーカーのほうで担当して作り上げていくこともあります。
お客様はその工場の図面をもらって、
柱の位置とかシャッターの位置とか間取りを見ながら、
どういうふうにマシニングセンターを並べていくと、
効率よい作業ができるかと。
機械だけじゃなくて一連の流れですね。
素材、異物の状態とか、
ダイキャストしたものとか、そういう素材から入ってきて、
その素材をハンドリングして、
パレットなりジグなりにセッティングして、
加工をして、
加工が終わったら洗浄ですかね、
切りくずとかを洗浄して、
その後、ちゃんと正しく加工できているかどうかという検査工程、
寸法を測っていたりという検査工程を経て、
最終的に出力として完成したワークを出していくと。
それをまた倉庫に戻したり、
次の工程に流したり、
そういう一連の流れを考えると。
そういうシステムを考えますね。
昨今の少子高齢化による働き手不足というものがあるので、
こういった自動化システムというのは今後もますます増えていくことになると思います。
現状の自動化システムというと、
マシニングセンターに対してワークの交換だったり、
パレットの交換を自動化するシステムというのがメインというか、
底どまりになっていることが多いんですけども、
さっき話したようにDMGの切りくずバケットの交換とか、
あとは工具ですね。
ATCマガジンといって、
加工に使用するいろんな工具を保管しておくものがあるんですけども、
昔、今もかな、
いろんなワークを加工したり、
工具も摩耗していくので、
摩耗したものを交換しないといけませんので、
予備の工具というものをすぐ使えるようにマガジンの中に入れておきたいですね。
そのマガジンの本数というのも、
何百本という工具を入れられるような、
そういう大きいマガジンをオプションとして用意しているんですけども、
いくらその本数が多くても、いつかはそこを使い切ってしまうと。
そういった工具はやっぱり今、人間の手で交換してあげないといけない。
というところを、ロボットとかを使って、
そのマガジンの中の工具も自動で入れ替えていこうと。
そういうシステムとかですね。
そういうどんどん人が必要な作業を減らすような、
自動化のシステムというものの要求が増えています。
ということで、今回は科学系ポッドキャストの日、
マシニングセンターの設計
テーマはシステムということで、
工作機械、マシニングセンターを中心としたシステムの話をしてみました。
実際のところ、私はマシニングセンター本体の設計をしていますので、
システム周りというのはあまり担当したことがないです。
システムを作ってもらっている外中というか、
外の業者さんとやり取りをしたりというのはあるんですけども、
自分自身でそういうシステムの設計というのはなかなかやらないですね。
ということで、今週はここまでです。
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