2025-12-31 11:30

124:「馬力」について学んで午年を迎えよう

馬力について学んで午年を迎えましょう


■参考URL

https://ja.wikipedia.org/wiki/馬力


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つねぞう

ものづくりが好き。工作機械メーカーで設計をしている。猫を飼っている。


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サマリー

このエピソードでは、馬力の由来や物理的な定義、設計における重要性について話されています。特に、馬力がジェームス・ワットのマーケティング手法から生まれたことや、設計者が馬力の数値だけでなくトルクと回転数も考慮するべきであることに焦点が当てられています。

馬力の由来と定義
こんにちは、つねぞうです。
デザイン・リビューFM第124回目。
このデザイン・リビューFMは、世の中の様々なもの、主に工業製品について、
私の主観で勝手にデザイン・リビューをしていこうという番組です。
はい、本日12月31日、大晦日ですね。
今日もちょっと暇なので、収録していきます。
明日から新年ですね。来年は馬年だそうです。
私は今年はちょっと夢中なので年賀状書いてないんですけれども、
今慌てて年賀状書いている人もいるんではないでしょうか。
そんなあなたの耳のお供に、今日は馬力、ホースパワーの話をしてみようと思います。
馬力について復習して、馬出しを迎えましょう。
まずはですね、そもそも馬力って何なのと、誰が作ったものなのというお話から、
これはですね、蒸気機関で有名なジェームス・ワットさんが考えたものです。
産業革命の時代に、ワットさんは自分が作った蒸気機関を売りたくて、その方法を考えていました。
当時の主な動力源というのは、馬だったんですね。馬です。
馬に何かこう、回るものをぐるぐる回させて、それを動力にするとか。
なので、750Wですとかね、そういう数値で言っても、誰もピンとこないんですね。
そこでワットさんは考えました。馬1匹あたりの力を単位にすればいいんじゃないかと。
そうすれば、サービストークとして、この蒸気機関を使えば、お宅の馬10頭分を首にできますよと。
エスライム浮きますよ。こう言えば売れると気づいたんですね。
つまり、馬力とは物理学者が厳密に決めた単位というよりも、
ワットさんが自分の蒸気機関を売るために発明した最強のマーケティング用語だったんですね。
ちなみに、ワットさんは自分の機械をすごく見せるために、すごいパワフルに見せるために、
実際の馬の平均的な労働力よりも、数値を約1.5倍ぐらい持ったと言われています。
1馬力。今言われている、現在言われている1馬力というのは、
実際の本物の馬1頭には結構きつい数字だそうですね。
じゃあその1馬力って具体的にどれくらいのものなのか。
設計者であれば体感で知っておきたいところですね。
定義。馬力はフランスの馬力とイギリスの馬力があるんですけども、
フランスの馬力PSで言うと、
75kgの物体を1秒間で1m持ち上げる力。
私がちょうど体重が72,3kgぐらいなんですね。
私を1秒間で1m持ち上げると、
私自身が1秒間で階段を3段ぐらい登ると、
それが1馬力という力だそうです。
結構きついですよね。
人間の出力と比較
これを連続でやり続けるのが1馬力。
結構人間には厳しいと思います。
じゃあ実際に人間が出せるパワーってどれくらいだと思いますか。
一般の成人でだいたい0.1から0.2馬力と言われています。
0.1から0.2ですね。
プロの競輪選手が死に物狂いで、
瞬間的にあと1馬力が出せるかどうか。
それぐらいの値だそうです。
そう考えると、
皆さんが設計で選定するときの、
例えば0.5馬力というような小さいモーターでさえ、
人間数人分のパワーを出しているということですね。
機械というのはすごいですよね。
設計するにあたってはまる落とし穴について話したいと思うんですけども、
とりあえず何馬力ぐらいのモーターにしておいてよと言われるときに、
これをそのままに受けてしまうと失敗します。
なぜかというと、馬力というのは結果であって、
機械の性格を表していないんですね。
同じ10馬力というモーターでも、
重いものをゆっくりと動かす力を持っているものなのか、
軽いものを超高速で回す力を持っているのか、
高トルクなのか高回転なのかで全く変わってくるんですね。
例えばコンベアを設計する場合、
大事なのは止まっている重たい荷物を動かせるトルクですね。
ここで馬力だけを見て、計算上大丈夫だからという回転数重視のモーターを選んでしまうと、
スイッチを入れた瞬間に音はするとなるんだけども動かないと。
それは最悪なことになってしまいます。
またポンプやファンの場合、こちらは回転数が命ですね。
流量を稼ぎたいから回転数が命なんですけども、
こちらもその馬力は足りているのに全然その液体を送れないと、
そういう場合が起きてしまうと。
これは設計現場あるあるというか、
設計での注意点
モーターの仕様書でPSだったりHPという馬力の数値を見たときに、
必ず脳内でこれはトルクなのか回転数なのかというのを分解して考える癖をつけてあげる必要があります。
じゃあそんなにややこしいなら全部キロワットに統一すればいいじゃんと思いますよね。
現在その図面も計算書もSI単位のキロワットが正式な単位となっています。
その通りで私が設計している工作機械では、
設計で計算するときに馬力というのはほぼほぼ出てきませんね。
馬力という単位を見るのは、
なんだろうな、オイル温度コントローラーぐらいですかね。
大金とか関東石さんとか。
そういうところのオイル温度コントローラーのカタログに馬力って書いているのを見るぐらい。
じゃあなぜその自動車のカタログとかね、
自動車では全然パワーを表すのに何馬力って使ってると思うんですけども、
そういう渋滞が残っているのか。
なぜなら直感的に強そうだかららしいです。
5.5キロワットのエンジンと言われるよりも、
7.5馬力のエンジンと言われた方がグッてきませんか。
昔からずっと使われているからイメージしやすいと。
何十年前の車と比較するときに同じ馬力で比較した方がイメージしやすいと。
それぐらいのものなんですね。使われる理由というのはね。
お客さんは何馬力何馬力とイメージでね。
馬何頭分というイメージで語るんですけども、
設計者はキロワットとトルクですね。
そういうもので計算すると。
物理単位。
この単位の違いっていうのを翻訳してあげるっていうのも、
設計者の大事なスキルなんですね。
で、ちょっとさっきお話に出たオイルコントローラー。
ちょっと注意が必要なんですよ。
エアコンだったり、その空調設備のエアコンだったり、
そのオイルコントローラーみたいなものにも馬力っていう単位が使われるんですけども。
例えば、このオイルコントローラーは1.5馬力だと書いてたりするんですけども、
これはですね、モーターの馬力じゃないんですね。
空調のその世界で使われている馬力っていうのは、
モーターの出力を表す馬力ではなくて、
冷房、暖房の能力、つまり熱量を基準にした呼び方なんですね。
ざっくり言うと、昔の何馬力クラスの冷凍機と同じぐらいの能力ですよという、
能力のクラスの名称であると。
ここがポイントで、同じキロワットという単位が出てきても、
モーターのキロワットの馬力とは違って、
エアコンのキロワットというのは冷凍能力、暖房能力を表していると。
全く意味が違うんですね。
だからこのエアコン5馬力だから、モーターはこれくらいかなという考えは成り立たないんですね。
オイルコントローラー自体が何馬力分の仕事をするわけでもないし、
何馬力のモーターを持っているわけでもなくて、
あくまで冷凍能力、圧縮機のサイズ、
想定される運転条件、こういったものをまとめた適用範囲の目安、
それがエアコンなどの馬力なんですね。
同じ単位、同じ馬力という言葉でも、業界が違うと意味が変わる典型例となっています。
ちなみにダイキンのカタログを見てみると、
オイルコン相当馬力という風に一番上の方にあって、
オイルコン相当馬力、0.5馬力のオイルコントローラーだと、
冷却能力は50Hzで1.3kW、60Hzで1.4kW、
1.5馬力のオイルコントローラーであれば、
3.8kWから4.3kW、
3馬力のオイルコントローラーであれば、
8kWから9kWの冷却能力があると。
こんな感じで、実際のモーターのkWとは違うんですね。
私が設計でこの馬力、何馬力のものにしようみたいな話をするのは、
本当にこのオイルコンだけですね。オイルコントローラーだけです。
というわけで、今日は馬力についてお話ししてみました。
簡単にまとめてみると、馬力というのはWattさんのマーケティングから生まれたものであると。
人間というのは0.2から0.3馬力ぐらいしか出せませんよと。
設計者はその馬力という言葉を鵜呑みにせずに、
その裏にあるトルクと回転数を意識して設計するべきですよと。
来年職場でこういった仕様書を見るときに、
その馬力の裏にあるものを想像して設計してみてください。
最近はあまりカタログを見ても、あまり馬力は出てこないかもしれないですけども。
そういったところを注意してみてください。
ということで、今日はここまでです。
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それでは年賀状、書くの頑張りましょう。
お疲れ様でした。
お安全に。
11:30

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