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こんにちは、爪ゾウです。
Design Review.fm第33回目、始めていきます。
このDesign Review.fmは、世の中の様々なもの、
主に工業製品や、それに関わっていくことについて、
私の主観で、勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
前回は、3月の科学系ポッドキャストの日という企画に参加させていただきました。
3月のテーマは、出会いということでしたので、
私と機械工学の出会い、そのきっかけとなった絵本について話してみました。
今回は、空圧機器設計の勘所、ということです。
空圧、エアー機器の設計するときに、
私が気をつけていること、はじめに考えること、ということを話してみました。
難しい数式の話はしませんので、気軽に聞いていただければ幸いです。
今日はですね、花粉症で鼻が詰まっていて、
いつも以上に聞きにくいかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
では本編をどうぞ。
はい、本編です。
今回は、空圧機器を設計するときの勘所、
何を最初気にしなければいけないのか、
何を気にしながら設計すればいいのか、という話をちょっとしていこうかなと思います。
工場で動く産業機械にとって、空圧圧縮空気というのは、
一番と言っていいほど、よく使う便利な動力源です。
何が便利かというと、出しっぱなしでいいんですよね。
空気って私たちの身の回りに必ずあるものなので、
地球上ではですね、回収しなくていいんですよ。
出しっぱなしでいいんです。
何か吹いたりとかですね、吹き飛ばしたり、何か浮かしたり、
仮に何か漏れちゃったとしても回収しなくていい、
というところがとても使い勝手のいい動力源です。
工作機械のような産業機械で空圧を使う場合、
通常は工場の施設にエアのコンプレッサーがあって、
そこで圧縮空気を作って、工場内にパイプで張り巡されて、
例えば工場の柱なんかに圧縮空気のカプラーがあって、
そこにホースを接続して各機械へ圧縮空気を供給します。
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ここでまず注目、気をつけなければいけないのが、
この圧縮空気の中には細かいゴミだったり、水分油分が含まれているんですね。
コンプレッサーで圧縮空気を作るときに、
コンプレッサーの摩耗とか動作に油が必要なので、
その油というものが圧縮空気の中にも含まれてしまうということです。
なので工場から供給されるエアをそのまま使ってしまうと、
機械の中のエアシリンダーだったりソレノイドだったりという機器を壊してしまったり、
汚してしまったり、錆びさせてしまったり、
水分もありますので錆びさせてしまったりということが考えられます。
なので工作機械だったり産業機械に圧縮空気を取り込んで、
そしてそれを機械のさまざまな機器へ送る前に、
ある処理をしてあげる必要があります。
例えば前田シェルのドライフィルターをかませたり、
エアドライヤーをかませたり、ミストセパレーターを入れたり、
それらを通してあげる必要があります。
人間の体で例えると鼻毛のような役割ですかね。
外から体の中に空気を取り込むときに、
人間は鼻の中の毛である程度のゴミを除去して、
肺の中へ空気を取り込みます。
それと同じような役割をする機器を機械の中でエアを使う前に
設けてあげる必要があります。
これらの機器を選定するのが、
機械の空圧機器ユニットを設計するときのメインの業務です。
そしてこの空圧機器ユニットの設計というのは、
比較的若い設計者が担当することが多いユニットです。
工作機械の中には主軸から始まって、
3軸XYZの送り軸の設計だったり、
テーブルの設計だったり、
ATC、工具交換装置の設計だったり、
パレットチェンジャーの設計だったり、
外装のカバーの設計だったり、
あるんですけれども、
この空圧機器とか、
そういう補給類というのが入れるようなユニットの設計というのは、
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比較的入社して経験の浅い若い設計者が担当することが多いです。
では、あなたがある新しい機械の空圧機器ユニットを設計してくださいと、
上司に頼まれました。
そんなあなたが一番最初にやるべきことは何でしょうか。
それはですね、その機械で使用する圧縮空気の量を見積もることです。
ここで言う量というのはですね、流量ですね。
単位はリッターパーミニッツ。
1分間あたりの流量、何リッター流すか、使うかというのが最初にやるべきことです。
フィルターなどのですね、SMCとかCKDのフィルターなどのカタログを見ると、
だいたいリッターパーミニッツで定格流量が書かれていますので、
リッターパーミニッツで計算するのが良いと思います。
機械で使う圧縮空気の流量を見積もるためには、
その機械全体のどんな場所、どんな用途で圧縮空気が使われているかというものを
把握する必要があって、まずそれをリストアップしていきます。
もしその類似の機械だったり、参考になる機械があれば、
まずはそこからリストをもらってきて、そこから変わるもの、
これはいらない、これはこの機械にはないよとかですね、
これにこんなものが追加されているよという、そこから作れば良いと思います。
例えば私が設計している工作機械では、どんなものがどんなところで圧縮空気を使っているかというと、
大きく分けて3種類あります。
まずは何かを吹き飛ばすため、切りくずだったりクーラントだったりを吹き飛ばすために使うもの。
二つ目がシリンダーという動力源として、シリンダーなどを動かすため。
三つ目がパージーエアーというある箱、入れ物の中に圧をかけて、
その中に外部から油みたいなものが侵入しないようにする。
そういう三つの用途が大きく分けてあると思います。
もう少し詳しく言うと、主軸から出すエアブロー、クリーニングエアー、
カバーを開けたり閉めたり、ATCなどの機構を動かすためのエアーシリンダーに使うエアー、
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スケールなどの精密な機器の中に外部から油を入れたくない時に使うパージーエアーがあります。
自分一人で機械を設計しているのであれば全て把握できると思うのですが、
多くの場合はチームで機械を設計します。
4人、5人、6人、もっと多い場合もあるかもしれませんが、
そういったチームで設計をする場合は各ユニットを担当している方がいると思うので、
そういう担当しているメンバーにも確認して抜けがないように、
そういった機器をまずリストアップしていきます。
空圧機器ユニットは設計の難易度的には簡単な部類だと思うのですが、
今話したように機械全体を知る必要があるので、
若い設計者が機械全体を理解できるようになるため、
そういった目的でOJTとして担当させられることが多いと思います。
先ほどリストアップした空圧機器の使い道ですが、
そこから機械で使う流量を見積もっていくのですが、
常に使うエアとあるタイミングでしか使わないものがあると思います。
当然リストアップしたもの全ての流量を合計してしまうと、
実際に必要な流量よりもかなり多い値になってしまうと思います。
その流量で機器を選定してしまうと、オーバースペックになってしまいます。
実際の機械の動きを考えて、
実際に起こり得る条件での最大の流量を計算する必要があります。
例えば、主軸から出すエアブローは加工中に使います。
ATCを動かす機構であれば、ATCの動作中にしか使いません。
ここで考えるのは、加工をしながらATCを動かすのかということです。
ATCのマガジンの中に次に使う工具を準備したり、
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裏で動いている動作であれば、同時に使うことはあるでしょう。
ただ、実際にATCアームで主軸についている工具を交換するとき、
ATCで主軸についている工具を交換するときに使うエアシリンダーがあったとしたら、
エアブローとは同時に使うことはないと思います。
そういった場合を考えて、
実際に起こり得る条件での最大流量を計算します。
それが分かってしまえば、空圧機器ユニットの設計は終わったも同然です。
その最大流量を流すことができるフィルターやエアドライヤーをカタログから選べば良いわけです。
ある程度機器が決まれば、それを与えられたスペースに配置していきます。
行空圧機器は、
潤滑油のポンプや油圧ポンプと同じ場所にまとめて置かれることが多いです。
お客様が機械のメンテナンスをするときに、
一箇所でメンテナンスができるように、
メンテナンスが必要な機器、
給油や油のタンクの流量、
油のタンクの中に入っている量を確認したり、
メンテナンスが必要なものをまとめて置くようにしています。
そういったものと一緒に合わせて配置を決めていきます。
給油のしやすさ、
潤滑油であれば、
だんだん使えばなくなっていきますので、
給油する必要がありますね。
あまり高いところにあると、
給油がしにくいので、
給油しやすい低い場所にポンプを置こうとか、
そういったメンテナンスがしやすいように、
パズルのように配置していきます。
空圧機器とか補給類のユニットを設計しているときに、
一番楽しいときかもしれませんね。
今回の空圧機器の配置で気をつけないことは、
あまりないですけれども、
フィルターのドレン、
エアフィルターで油とか水分を回収するので、
ドレンをどこで回収するか、
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どこに集めるか。
あとはフィルターというものは、
黄色いフィルターが入ったりするんですけど、
フィルターのカートリッジは、
汚れてきたら交換する必要があります。
なので交換するときのスペースを、
ちゃんと空けておくこと。
下側のプラスチックだったりするんですよ。
プラスチックのケースみたいなものがあって、
それを下に抜いて、
カートリッジを外すので、
メンテナンスのスペースをちゃんと空けておくこと。
あとは圧力計とか、
目詰まりチェック、
ゲージがちゃんと見えるようにしておくこと。
それぐらいですかね。
そして最後に忘れてはいけないのが、
設計が終わって、
出土して、
手配して、
組み立てた後に、
実際の流量を測定することです。
ちゃんと測定しておくことで、
その値を次の設計にフィードバックできます。
最近では省エネな、
エコな機械というものが求められますね。
圧縮空気の使用量、流量というのが、
そのまま電力消費量になりますので、
何に多く空気を使っているかというものが分かれば、
それを減らすにはどうしたらいいかということが、
考えることができるわけです。
そうして、
実際使っている流量が分かれば、
それを何か資料に残しておいて、
次の設計に活用します。
はい、クロージングです。
今週の製造業ニュース、
なんといってもですね、
技術審議試験の合格発表ですね。
3月8日金曜日に、
令和5年度の合格発表がありました。
ツイッターのタイムラインでも合格した方、
残念ながら不合格だった方、
引きこもごもでしたね。
私は令和5年度は引きで不合格でしたので、
今回特に何もなかったんですけれども、
点数の開示請求がですね、
合格発表の日からということでしたので、
この日を待って、
開示請求の書類をポストに入れてきました。
来年はこの3月の合格発表で、
一騎一遊できるようになればいいなと思っています。
ということで、今週はここまで。
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18:00
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ぜひお願いします。
ではお疲れ様でした。
完全に。