2025-12-02 14:20

118:【ゼロ】誤差ゼロを目指せ!工作機械の高精度を実現する仕組み

#科学系ポッドキャストの日 おかわり回です

12月のトークテーマ「0」で、もう一つ話したいことがありました


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つねぞう

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サマリー

工作機械の高精度を実現するためには、誤差を最小限に抑えるさまざまな制御技術と部品が必要です。特に、ボールネジやスケールを利用したフィードフォワード制御とフィードバック制御が精度向上に重要な役割を果たします。工作機械の高精度を実現するためのさまざまな対策が紹介されており、特に温度変化や工具の精度が加工に与える影響について詳しく説明されています。

工作機械の基本構造
こんにちは、つねぞうです。
DESIGN REVIEW FM 第118回目。
前回、科学系ポッドキャストの日、テーマゼロということで、
工作機械のゼロについてお話ししたんですけれども、
もう一個話しておきたいなーって思うことがありまして、
ちょっと今日はね、その番外編というか、追加でもう1エピソードを話してみようと思います。
題しまして、誤差ゼロを目指せ、工作機械の高精度を実現する仕組みということで、
工作機械、金属などの材料を加工して部品を作る機械の高精度を実現する仕組みについて、
ちょっと今日はね、話してみようと思います。
まず、あの工作機械、マシニングセンターですね。
工具を回転させて加工するマシニングセンターの一番シンプルな構成というところをちょっと考えてみて欲しいんですけれども、
まず、主軸だったりテーブルを動かしているのはボールネジ、
ネジとナットというものをイメージしてもらえばわかると思うんですけれども、
そのボールネジというものをぐるぐる回すことでナット部分が動くと、
そのナットに固定されている主軸側だったりテーブル側というものが動くんですけれども、
そのボールネジをぐるっと1回転させた時に進む量というのがリードと呼ばれるものですね。
身の回りのネジ、M6のネジであれば、あれはネジピッチとも言いますね。
ピッチが1ですね。なのでM6のネジであれば、ネジを1回転させると1ミリ進むと。
そういう感じで工作機械の送り軸を動かしているボールネジも、
1回転動かした時に6ミリ進むものとか、8ミリ進むものとか、
はたまた25ミリ、30ミリ進むような、そういうボールネジ、いろんなボールネジがあります。
一番シンプルな構成は、そのボールネジを回転させるモーターの回転数で移動する距離というものを制御しているんですね。
そのボールネジを回すモーターが1回転すれば、その先、ボールネジの先にあるナットがリード分進んでいるだろうと。
リード20とすると、モーター1回転した時にその先は20ミリ進んでいるだろうと。
例えばボールネジを回すモーターが半回転、1回転になればリードの半分、10ミリ進んでいるでしょうと。
もっと分解していって、1回転になればリード20の1回転なので、5ミリ進んでいるよと。
という感じで、もっともっと細かいですね。
そのナット部分を、例えば0.1ミリ進ませたいのであれば、そのボールネジを回すモーターの回転角度というものも細かく、何十分の何度みたいな回転だけ動かせば、その先はそう動いているだろうと。
フィードフォワード制御ですね。
モーターをこれだけ動かせば、そのボールネジの先端はこれだけ動いているだろうというフィードフォワード制御をしている。
それが一番シンプルな構成の、工作機械の制御の仕方ですね。
高精度を実現する制御技術
フィードフォワード制御であれば、やっぱりダロー制御なので、その先端が本当に動かしたい量、動いているか分からないんですよね。
当然そのボールネジ自体の加工精度もありますし、バックラッシュとか。
バックラッシュというのは、ボールネジのネジとナットの隙間ですね。隙間だったり、ガタ的な要素がありますので、どうしてもそこが一々にならないんですよね。
それを、やっぱりその一々にならないというところが、高精度を実現させる邪魔になりますので、そこを何とかしたいというところで、
まず、プラスアルファでその高精度を実現するために、工作機械メーカーがつけるものが、スケールという部品ですね。
直線の動作であれば、リニアスケール。
回転する部分であれば、ロータリースケールと呼ばれるスケールというものを追加で、オプションで用意している機械もありますし、標準的につけている機械もありますね。
このスケール、簡単に言うと定規なんですね。
動かしたいものに定規がついていて、定規のメモリを読んで、今モーター側はこれだけ動けよという制御をしたんだけど、
実際のその先端スケールが見ている部分、定規で見ている部分は、実際はこの位置にいるよと。
そこにどうしてもやっぱり誤差が出てくるんですね。
その誤差をフィードバックしてあげると。
実際、100ミリ動けよって命令して、100ミリ動くだけのモーターの回転数を回転させたんだけど、実際その先端側、スケールで見ると99ミリしか動いていませんでしたと。
1ミリの誤差がありますね。
じゃあ1ミリ誤差ありよと、1ミリ行きたりてないよというところをフィードバックしてあげて、NC側にフィードバックしてあげて、
残り1ミリ分動かすように、もうちょっとそのモーターを追加で回してあげると。
そういうことで位置決めの精度を良くしているということですね。
で、このスケールをどこにつけるかというのも非常に重要な問題で、
やっぱり一番欲しいのは主軸先端、工具先端なんですね。
工具先端の位置が一番重要なんですけども、そこにスケールをつけるというのはどうしても無理なんですね。
よく工作機械を設計していると聞く笑い話があるんですけども、
機械を制御するプログラムというか、機械を動かす制御の技術者にメカ設計者がスケールをどこに置いたらいいですかと聞いたときに、
それはもちろん主軸先端につけてくれよと言われたという、そういう笑い話がよくあるんですね。
やっぱり主軸先端の位置を見れるのが一番理想なんですけども、どうしてもそれってメカ的には難しいんですね。
難しいというか無理なんですよね。
なのでどうしてもちょっと離れた位置にスケールをつけることになるんですけれども、
スケールをつけることで少しスケールがない状態よりも精度は良くなるんですけども、
スケールの先ですね、スケールから工具先端までどうしてもやっぱり距離があるんですね。
距離があるということはそこにどうしてもやっぱり誤差が生まれてしまうというところを補正しようと、どうにかしようということもやっていて、
そのスケールを見ながら機械を動かしたときの主軸先端の位置の変化、位置の動きというものをまた外部の測定器を使って測定して、
そのスケールとその主軸先端につけた測定器の値のズレを見て、
そのズレ方というのがある程度再現性があるんですね。
再現性があるのでそのズレ方を覚えておいて、そのズレ分補正してあげると、ピッチ補正とかって言うんですけども、
そういう補正をしてあげることでさらに機械を高精度に動かすことができるようになっています。
例えばスケール上で100ミリ動いたよという時に主軸先端で101ミリ動いてしまっていると、そこに1ミリ誤差がありますね。
なのでその主軸先端で100ミリ動かした時に101ミリと1ミリ多く動いちゃうよということが分かっていれば、
あらかじめ分かっていればスケール側でもう99ミリ動きなさいと命令をすると、
そうすると主軸先端では100ミリ動くという風に補正ができるんですね。
そういう補正をするという技術もあります。
温度管理と誤差
あとは送り軸が正確に動かせたとしても、
基本的に最低限でも3軸あるのが普通なんですね。XYZ。
3軸あるんですけども、その3軸の関係がずれてしまうと正確な加工ができないんですね。
そのずれる要因としては一つ熱変異というものがあります。熱ですね。
鉄というものは1メートルの鉄が一度温度変化すると12ミクロン伸びるというところで、
工作機械はもっと大きいですので1メートル2メートル3メートルとかありますので、
それだけ温度変化があるとどうしてもそこで誤差が生まれてしまうんですね。
なのでなるべくその工作機械の本体の温度を変えないようにする。
高精度を実現するためにはそういう対策が必要になります。
例えばエアコンをつけてあげる。
工作機械の本体の温度を変えないようにその工場、
工作機械を置いている工場の温度がいくら変わったとしても、
工作機械の温度が変わらないようにエアコンをつけてあげる。
もしくは工場の温度が変わったとしても、
工作機械自体の本体の温度が変わりにくいようにしてあげる。
変わりにくくするためにはどうするかというと、
例えば工作機械の本体の芋の中に液体を入れてあげて、
温度変化に対して鈍くしてあげるとか、
また芋の代わりにミネラルキャストを使ってあげる。
そういうことで温度変化に強くするという方法もあります。
あとはもう温度変化はするものだとして、
その変化する分補正してあげようという実も最近はありますね。
工作機械のいろんな場所に温度センサーをつけて、
ここが何度温度変化したらこれぐらい誤差が生まれるよというのを
あらかじめ調べておいて、それをコンピューターに覚えさせておいて、
実際そのお客様の工場で機械を使っているときに、
その温度変化をセンサーで見ておいて、
その温度変化に応じて機械の各軸の動き方を補正してあげると、
そういう風な技術もあります。
あと一番大事なのは本体の剛性ですね。
工作機械本体の剛性。
また例えば軸が動いたとき、加減速で動いたときの変形の量だったり、
ワークの重量による変形、
ワークがない状態と一番重たい最大ワークを載せたとき、
その差がなるべく小さくなるようにしてあげるとか、
あと加工の反力ですね。
どうしてもそのワークを金属を工具で加工するときに、
その反力というものが生まれますので、
その反力に対してなるべく強くなるように、
工作機械の本体を設計してあげると。
そういう本体の剛性というものも、
高精度な加工には重要なものです。
工具の精度
今まで本体の話をしてきたんですけども、
もう一つ大事なのが工具ですね。
実際そのワークを加工する工具側。
これも誤差をゼロに近づけるために、
その高精度を実現する仕組みとして重要なファクターになっていて、
当たり前なんですけども、
加工するための工具の径とか長さが思っているものと違っていれば、
どうしてもそこが完成したワークの形を決めてしまいますので、
そこに誤差が生まれますね。
テーブルの横に測定器がよくついているんですけども、
工具の径だったり長さを測定する測定器ですね。
様々なタイプがあります。
接触式だったり非接触式だったり、
そういったもので今加工する、今から加工するぞという工具を測定してあげて、
そこの工具の径とか長さを補正してあげるんですね。
正しい工具の径と長さを知ることで、また高精度な加工に近づくことができます。
という感じで、加工するものの狙いと実際できるものの誤差をゼロにするために、
工作機械の高精度を実現する仕組みとして様々なものがあります。
ということで、こんな感じですかね。
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では、お疲れ様でした。
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