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経皮的シャント拡張術・血栓除去術の適正化|令和8年度改定で初回点数が2区分に
2026-06-07 04:34

経皮的シャント拡張術・血栓除去術の適正化|令和8年度改定で初回点数が2区分に

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人工透析を続ける患者にとって、血液を体の外に出し入れする「シャント」は命綱です。このシャントは狭くなったり詰まったりを繰り返すため、その都度「経皮的シャント拡張術・血栓除去術」(K616-4)で治療されます。現行制度では、この初回治療の診療報酬が病態の重症度を問わず一律12,000点に設定されており、比較的軽い狭窄にも重い閉塞と同じ評価がされてきました。本稿は、令和8年度診療報酬改定でこの一律評価がどう見直されるのかを、改定前後の対比とともに整理することを目的とします。

令和8年度改定では、初回治療の点数を重症度に応じて2区分に分け、軽症側の評価を引き下げます。具体的には、シャント閉塞または高度狭窄に該当する場合(区分イ)は12,000点を据え置きます。一方、それ以外の場合(区分ロ)は9,840点に引き下げます。さらに、高い区分イを算定する際には、超音波検査などの画像所見による医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載することが求められます。

改定の背景:一律評価が見直される理由

今回の改定は、治療効果が病態によって異なるという事実を診療報酬に反映させるものです。経皮的シャント拡張術・血栓除去術は、シャントが完全に詰まった「閉塞」や、強く狭くなった「高度狭窄」に対して大きな治療効果を発揮します。これに対し、まだ血流が比較的保たれている軽度の狭窄では、同じ治療を行っても得られる効果は相対的に小さくなります。それにもかかわらず、現行制度はどちらの病態にも同じ12,000点を割り当ててきました。

この一律評価が、適正化(=メリハリのある評価への見直し)の対象となりました。重症度を問わない評価は、軽症例への過剰な実施を誘発しかねないという課題を抱えていたためです。そこで令和8年度改定では、重い病態とそれ以外の病態とで治療効果に差があるという考え方に基づき、初回治療の算定要件を見直すこととなりました。

改定の中心:初回治療が2区分に分かれる

改定の中心は、これまで一本だった初回治療の点数を、重症度に応じた2つの区分に分けることです。現行の「1 初回 12,000点」は、改定後に区分イと区分ロの2段階へと再編されます。区分イは重い病態を対象に12,000点を維持し、区分ロはそれ以外の病態を対象に9,840点へ引き下げられます。

区分イは、重い病態に該当する場合を対象とし、点数は12,000点で据え置かれます。対象となるのは、透析シャント閉塞の場合か、または超音波検査でシャント血流量が400ml以下もしくは血管抵抗指数(RI)が0.6以上の場合です。これらは血流が大きく損なわれた状態であり、治療効果が高いと評価されるため、現行点数が維持されます。

区分ロは、区分イに当てはまらないその他の場合を対象とし、点数は9,840点へ引き下げられます。9,840点は12,000点から2,160点低い水準であり、軽症例の評価を相対的に抑える設定です。この区分により、病態の軽い症例と重い症例とで支払われる診療報酬に明確な差が生まれます。

算定の条件:高い区分には医学的根拠の記載が必要

高い区分イを算定するには、その病態を裏づける医学的根拠を記載しなければなりません。区分イの対象は、前述のとおり透析シャント閉塞の場合か、または超音波検査でシャント血流量が400ml以下もしくはRIが0.6以上の場合です。これらいずれかの要件を満たす画像所見等の医学的根拠を、診療報酬明細書の摘要欄に記載することが算定の条件となります。

なお、3月以内の再実施(「2」12,000点)の取扱いは、対象病態と摘要欄への記載要件を含め、実質的に現行どおりです。改定後の「2 1の実施後3月以内に実施する場合 12,000点」は、シャント閉塞または超音波検査の基準を満たす病態に限り、1回を限度として算定できます。今回新たに重症度の区分が設けられたのは、初回治療(「1」)です。初回治療を3月に1回に限り算定する点も、現行と変わりません。

まとめ

令和8年度改定では、経皮的シャント拡張術・血栓除去術の初回治療が重症度に応じて2区分に再編されます。シャント閉塞または高度狭窄に該当する場合(区分イ)は12,000点が据え置かれ、それ以外の場合(区分ロ)は9,840点へ引き下げられます。高い区分イを算定する際は、超音波検査などの画像所見による医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載しなければなりません。治療効果の違いを評価に反映させるこの見直しにより、シャント治療の診療報酬は重症度に応じたメリハリのある体系へと改められます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定により、人工透析患者の「経皮的シャント拡張術・血栓除去術」の初回治療における診療報酬が見直されます。これまで病態の重症度を問わず一律だった報酬が、シャント閉塞や高度狭窄の重症例(区分イ)は12,000点、それ以外の軽症例(区分ロ)は9,840点に二分されます。区分イを算定するには、超音波検査などによる医学的根拠の明細書への記載が必須となり、治療効果に応じた適正な評価が求められるようになります。

医療現場の不均衡な評価とシャント治療の現状
車の修理に出した時ですね、ワイパーのゴムを変えただけでも、エンジンを丸ごと分解修理しても、あの全く同じ高額な請求書が来たらどう思いますか?
いやーそれはさすがにちょっと納得いかないですよね。 ですよね。でも実は日本の医療現場、特に人工透析の患者さんを支える超重要な治療においてですね、これまでそれに近いことが起きていたんです。
知識よく旺盛なあなたのために、本日のディープダイブでは、令和8年度診療報酬改定の経費的シャントー拡張術と血栓除去術の適正化について掘り下げます。
はい。今回のミッションは、透析患者さんの命綱であるシャント治療の診療報酬がですね、なぜ、そしてどのように変わるのか、その全貌を解き明かすことです。
シャントというのは血液を出し入れする血管のことですよね。これが狭くなったり詰まったりすると手術が必要になるわけですが、資料によると、これまではどんな病態でも初回治療の報酬が一律1万2000点だったと。
そうなんですよ。
これ水道管で例えると、完全にヘドロで詰まって業者が高圧洗浄機を使うような大掛かりな大掃除と、ちょっと水垢がついたからブラシでさっと擦るだけの軽い掃除が同じ料金だったってことですか。
まあ、まさにそういう状態だったと言えますね。完全に詰まった閉塞の治療と血流が比較的保たれている軽度強削の治療では、得られる効果に大きな差があります。
はいはい、効果が全然違うわけですね。
なのに、効果に差があるのに評価が一律であることはですね、軽症例への過剰な治療実施を誘発しかねないという大きな課題を抱えていたんです。
なるほど。経営目線で見てしまえば、軽い水垢落としを何度もやった方が得になっちゃうわけですね。それは制度として確かに危ういです。だから今回、重症度に応じて報酬が2つの区分に分けられたわけですか?
初回治療の報酬区分と点数の変更
ええ、その通りです。この課題を解決するためにですね、初回治療が2つに再編されました。
ほうほう。
具体的には、重症な区分Eは1万2千点で末置きですが、それ以外の区分ROは9,840点になります。現行より2,160点の引き下げですね。
重症度に応じた算定要件と医学的根拠
結構下がりますね。明確な差がつきましたが、ここでちょっと疑問なんですけど。
はい、何でしょう?
現場で、うちは重症の区分Eですって、客観的にどうやって証明するんですか?これ、いったもの勝ちにはならないですか?
ああ、そこは非常に重要なポイントですね。制度側に新たな算定要件が組み込まれまして、ただ申告するだけでは高い区分Eは算定できないんです。
というと?
超音波検査などの画像書件による医学的根拠をですね、診療報酬明細書の適用欄に記載することが必須となりました。
つまり客観的なエビデンスを出せということですね。資料にあるシャント血流量が400ml以下とか、血管抵抗指数RIが0.6以上というのがその基準ですか?
ええ、そうです。
でも、このRIって実際のところ何を表しているんですか?
あの、RIというのは血液が流れる際の抵抗を示す数値なんです。
これが0.6以上ということは、血管の中がかなり狭くなっていて、血液が流れるのに強いブレーキがかかっている状態を指します。
なるほど。血管がピンチだっていう客観的な証拠になるわけですね。
おっしゃる通りです。
医療制度のパラダイムシフトと今後の展望
ちなみに3ヶ月以内の再実施、これも1回限度で1万2000点なんですが、これも重症基準を満たす病態に限られることになりました。
あ、最終日のルールも厳格化されたんですね。
そうなんですよ。これは単なる医療費の削減ではなくてですね、真に必要な治療に適切な対価を支払うというメリハリのある評価体系へのシフトなんです。
やった作業ではなくて、出した効果と客観的証拠にお金を払うと。
当たり前のことのようですが、医療の世界でこれが徹底されるのは大きなパラダイムシフトですね。
ええ、これからの時代、医療現場に対して効果の可視化を厳格に求めているわけです。
今回のシャント治療の改定は、医療制度が効果の可視化と客観的根拠をより厳格に求める時代に入った象徴なんですね。
まさにその通りです。
もし今後、他のあらゆる医療分野でもデータに基づく報酬の細分化が標準化されたとしたら、日本の医療の質、そして医療現場の在り方はどう進化していくのでしょうか。
あなたが次に病院の明細症をむるとき、その背景にある証拠と対価のシビアな関係について、ぜひご自身でも考えてみてください。
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