令和8年度診療報酬改定では、大病院の外来機能分化と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携強化が、引き続き重要な政策課題となっています。現行の連携強化診療情報提供料は、算定対象となる医療機関の組み合わせが限定的であるうえ、算定機会も患者1人につき月1回までと、現場の連携実態を十分に反映できていませんでした。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定における連携強化診療情報提供料の見直し内容を、中医協の資料に基づいて整理します。
連携強化診療情報提供料は、「算定対象医療機関の拡大」「共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加」「算定回数の3月に1回への統一」という3点で見直されます。第1の見直しでは、算定対象が特定機能病院等から許可病床数200床未満の病院および診療所等まで拡大され、紹介元と紹介先のいずれの医療機関でも算定可能となります。第2の見直しでは、他の医療機関からの求めに応じた情報提供だけでなく、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が共同で継続的に治療管理を行う旨の合意に基づく紹介でも算定可能となります。第3の見直しでは、算定回数が患者1人につき3月に1回に統一され、算定機会の整理が行われます。
算定対象医療機関の拡大
第1の見直しは、算定対象医療機関の拡大であり、紹介元・紹介先のいずれの医療機関でも診療情報提供料を算定できるようにする内容です。改定の背景には、大病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が双方向で情報を共有しながら治療管理を行う実態を、報酬上で適切に評価する必要性があります。
算定対象医療機関は、特定機能病院等に加えて、許可病床数200床未満の病院および診療所等まで拡大されます。具体的な施設基準では、「診療所または許可病床数200床未満の病院」と、「特定機能病院、地域医療支援病院、外来機能報告対象病院等または許可病床数400床以上の病院」という2つの類型が設けられます。これら2類型に該当する医療機関の間で患者の紹介が行われた場合に、双方の医療機関で算定可能となる仕組みです。なお、地域医療支援病院および400床以上の病院については「一般病床の数が200床未満であるものを除く」、外来機能報告対象病院等については都道府県が公表した基幹的な病院に限るといった留保条件が付されています。
紹介の方向性についても、現行の「紹介された患者」のみから、「紹介され、又は他の保険医療機関へ紹介した患者」へと拡大されます。この見直しにより、大病院から地域のかかりつけ医機能を担う医療機関への逆紹介の場面でも、算定が可能となります。逆紹介の推進は外来機能分化の中核的な政策テーマであり、今回の算定要件の見直しは、その推進を報酬面から後押しする位置づけといえます。
共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加
第2の見直しは、共同治療管理に係る合意を、算定要件として追加する内容です。算定対象医療機関の拡大とあわせて、医療機関間の連携の質を高めるための要件整備が行われます。
算定要件としては、現行の「他の保険医療機関からの求めに応じた情報提供」に加えて、「共同治療管理の合意に基づく情報提供」が新設されます。具体的には、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が、患者の治療管理を共同で継続的に行うことについて合意し、当該合意に基づく紹介であることを確認したうえで情報提供を行った場合に、算定が認められます。この要件追加により、紹介元医療機関からの個別の求めがなくても、事前の合意に基づく継続的な情報提供を評価できる枠組みとなります。
合意に基づく算定の対象には、一般の患者に加えて、指定難病の患者、てんかんの患者、妊娠中の患者も含まれます。指定難病の患者およびてんかんの患者については、難病診療連携拠点病院、難病診療分野別拠点病院、てんかん支援拠点病院の指定を受けている保険医療機関が、施設基準上の算定主体となります。妊娠中の患者については、当該保険医療機関内に妊娠中の患者の診療を行うにつき十分な体制が整備されていることが、施設基準として求められます。
算定回数の3月に1回への見直し
第3の見直しは、算定回数を患者1人につき3月に1回に整理する内容です。算定対象および算定要件の拡大とあわせて、算定機会の頻度を見直すことで、点数体系全体のバランスが図られます。
算定回数は、患者1人につき3月に1回に統一されます。現行制度では、注1から注4まで(基本ルール、外来機能報告対象病院等、その他の施設基準を満たす医療機関、指定難病・てんかん患者)が月1回、注5(妊娠中の患者)が3月に1回とされていましたが、改定後はすべての算定区分で3月に1回となります。継続的な治療管理の実態に即した、合理的な算定機会の設定といえます。
なお、現行の注5には、産科または産婦人科を標榜する保険医療機関が関わる妊娠中の患者について、頻回の情報提供の必要を認めた場合の月1回算定の例外規定が設けられていました。改定案の注4および注5の本文には、この例外規定に相当する記述が見られません。例外規定の取扱いについては、最終的な告示および関連通知での確認が必要です。
まとめ
令和8年度診療報酬改定における連携強化診療情報提供料の見直しは、「算定対象医療機関の拡大」「共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加」「算定回数の3月に1回への統一」という3つの柱で構成されます。算定対象の拡大により、紹介元と紹介先の双方の医療機関で算定が可能となり、逆紹介の推進が報酬面から支援されます。算定要件への合意要件の追加により、共同治療管理の枠組みに基づく継続的な情報提供が評価されます。算定回数の見直しにより、継続的な治療管理の実態に即した算定機会の設定が実現します。これら3つの見直しは、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が連携しながら共同で継続的に治療管理を行う取組を推進するという、今回改定の基本的な考え方を具体化するものです。
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サマリー
令和8年度診療報酬改定では、連携強化診療情報提供料が大きく見直されます。これにより、算定対象医療機関が拡大され、紹介元・紹介先の双方で報酬が得られるようになり、大病院から地域のかかりつけ医への逆紹介が促進されます。また、共同治療管理の合意に基づく情報共有が評価されるようになり、事務負担を軽減しつつ継続的な連携を強化。算定回数は3ヶ月に1回に統一され、実際の治療サイクルに合わせた合理的な制度へと進化し、患者はより質の高いチーム医療を受けられるようになります。
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