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2026-01-11 04:33

令和8年度診療報酬改定における物価対応の全体像:外来・入院別の配分方法を解説

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令和8年1月9日に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第640回)において、診療報酬改定における物価対応の具体的な配分方法が示されました。本稿では、大臣折衝で決定された物価対応分+0.76%の配分について、外来・入院それぞれの対応方法と、施設類型ごとの配分の考え方を解説します。

今回の改定では、物価対応分+0.76%と緊急対応分+0.44%の2つの枠組みで対応が行われます。物価対応分+0.76%の内訳は、令和8年度以降の物価上昇への対応(+0.62%)と高度医療機能を担う病院への特例的対応(+0.14%)です。これに加えて、令和6年度改定以降の経営環境悪化を踏まえた緊急対応分として+0.44%が別途措置されます。外来診療では初・再診料とは別に物価上昇に関する評価を新設し、入院診療では令和元年の消費税補填の手法を参考に入院料ごとの物件費率等をもとに配分額を算出する方針です。

大臣折衝で決定された物価対応の枠組み

令和7年12月24日の大臣折衝において、令和8年度診療報酬改定の物価対応に関する基本的な枠組みが決定されました。物価対応分として+0.76%(令和8年度+0.55%、令和9年度+0.97%の2年度平均)が設定され、診療報酬に特別な項目を設定することで対応する方針が示されています。

令和8年度以降の物価上昇への対応には+0.62%が充てられます。この財源は施設類型ごとの費用関係データに基づき、病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%と配分されます。病院の中でも、担う医療機能に応じた配分を行うこととされています。

高度医療機能を担う病院への特例的対応として+0.14%が措置されます。大学病院を含むこれらの病院は、医療技術の高度化等の進展の影響を先行的に受けやすい特性があります。汎用性が低く価格競争原理の働きにくい医療機器等を調達する必要性から、物価高の影響を受けやすいことが考慮されました。

令和6年度改定以降の経営環境悪化を踏まえた緊急対応分として+0.44%が配分されます。配分に当たっては、令和7年度補正予算の効果を減じることのないよう、施設類型ごとのメリハリを維持することとされています。具体的には、病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%、保険薬局+0.01%の配分となります。

外来診療における物価上昇対応の方法

外来診療に関する物価上昇への対応について、中医協総会では大臣折衝における考え方を踏まえた具体的な方法が提案されました。対応方法は、物価上昇の時期によって2つに区分されています。

令和8年度以降の物価上昇への対応については、初・再診料等とは別に物価上昇に関する評価を新設する方針です。この評価は、初・再診時等に算定できる独立した項目として設定されます。段階的に対応する必要があることを踏まえ、令和8年度に設定された評価は令和9年度には2倍となることが想定されています。初・再診料に加え、訪問診療料や初・再診料の評価が包括される診療報酬項目も対象に含まれます。

令和6年度診療報酬改定以降の経営環境悪化への対応分については、令和8年度改定時に初・再診料等の評価に含める方式が採用されます。これは、令和7年度補正予算による物価上昇支援を診療報酬に置き換えるものです。評価の水準については、医科診療所・歯科診療所の改定率を踏まえて設定されます。

こうした2段階の対応方式により、物価上昇の性質に応じた適切な評価が可能となります。令和8年度以降の物価上昇は継続的な対応が必要であるため独立した評価項目を設定し、経営環境悪化への対応は基本診療料への組み込みで恒久的な措置とする考え方です。

入院診療における物価上昇対応の方法

入院診療に関する物価上昇への対応についても、外来と同様に2段階の対応方式が提案されています。入院料等(入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術等基本料3)の算定時に算定可能な評価を設定する方針です。

令和8年度以降の物価上昇への対応については、入院料等とは別に物価上昇に関する評価を設定します。この評価は外来における物価上昇対応と同様に段階的な対応が行われ、令和8年度の評価は令和9年度には2倍となることが想定されています。評価の水準は、病院の改定率(入院・外来を含む)から外来診療における物価上昇対応の評価を差し引いた規模となるよう調整されます。

令和6年度改定以降の経営環境悪化への対応分については、令和8年度改定時に入院料等の評価に含める方式が採用されます。配分の算出に当たっては、令和元年の消費税補填における対応が参考にされます。グループ分けした入院料毎の物件費率等をもとに、入院料毎の1人1日の入院診療報酬に占める物件費を算出して上乗せする評価を設定することが検討されています。

高度医療機能を担う病院への特例的な対応分については、その趣旨に沿ってそうした機能を担う病院への評価に上乗せする方針です。今後の関係調査において実績等を検証し、所要の対応を図ることとされています。

病院における外来物価上昇対応の補正

病院・有床診療所の外来における物価上昇分への対応については、診療所とのコスト構造の違いを考慮した補正が行われます。外来における物価上昇分の評価は診療所と同一の初再診時の評価が適用されますが、病院における外来は診療所とコスト構造が異なるため、実際の物価上昇分と一致しないことが想定されます。

初再診時の評価での対応で不足する外来における物価上昇分については、入院時の評価に当たって補正する方式が提案されています。具体的には、病院における実際の物価上昇分から外来の物価上昇に関する評価を差し引き、その差額を入院時の評価に含める形となります。

逆に、初再診時の評価が外来で対応すべき物価上昇分より大きい場合には、入院時に対応すべき物価上昇分から差し引いて入院時の評価を算出することとなります。このような補正により、病院全体として適切な物価上昇対応が実現されます。

入院料への配分方法と令和7年度補正予算との整合性

令和6年度改定以降の経営状況悪化に対する対応については、令和7年度補正予算による支援の考え方を踏まえた配分方法が採用されます。大臣折衝において、補正予算の効果を減じることのないよう施設類型ごとのメリハリを維持することが明記されています。

回復期、精神、慢性期については、入院1日当たり定額を配分する方式が採用されます。これは補正予算における1床あたりでの支援の考え方を踏襲したものです。入院料の種類にかかわらず一律の配分となるため、簡潔な仕組みとなります。

急性期については、財源を一体化した上で3つの類型に配分する方式が採用されます。第1類型は特定機能病院の急性期病床、第2類型は急性期病院の急性期病床、第3類型はその他の病院の急性期病床です。各類型への配分額は補正予算の配分額に応じて算出され、さらに入院料ごとの物件費等の額に応じて配分額が決定されます。

補正予算では救急加算として救急搬送件数に応じた支援が行われていました。診療報酬においてもこの考え方を踏まえた対応が検討されており、精神科病院への救急搬送件数に応じた必要な対応についても検討が進められています。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における物価対応は、大臣折衝で決定された+0.76%の物価対応分と+0.44%の緊急対応分を、外来・入院それぞれの特性に応じて配分する方針です。外来では初・再診料とは別に物価上昇に関する評価を新設し、入院では令和元年の消費税補填の手法を参考に入院料ごとの物件費率等をもとに配分額を算出します。病院については外来と入院で一体的に補正を行い、補正予算の効果を維持しつつ施設類型ごとのメリハリある配分が実現されます。



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サマリー

令和8年度の診療報酬改定では、物価高騰に対する医療制度の対応策が解説されています。外来や入院の診療において、将来と過去での対応の違いが具体的な配分方法に反映されており、特に大学病院などへの特別な配慮が考慮されています。

診療報酬改定の背景
さて、今回のテーマは、私たちの医療を支えるお金の話、診療報酬改定です。 特に物価高騰という大きな課題に、制度としてどう立ち向かうのか、手元にある注意書の資料から、その具体的な設計図を読み解いていきたいと思います。
えぇ、これポイントは単なる値上げじゃないっていうところなんですよね。 と言いますと? 物価上昇の性質をですね、将来にわたって影響が続くものと、それからもう一つ、過去の経営悪化を補うための緊急対応、この2つに分けて考えてるんです。 なるほど。将来と過去、時間軸で分けているわけですね。
ええ、その違いが具体的な配分の方法に、こうはっきりと表れてますね。 面白いですね。ではまず、私たちに一番身近な外来、クリニックから見ていきましょうか。 はい、ここが非常に興味深いところでして、対応が2つに分かれています。 2つに? まず、将来の物価上昇への対応ですが、これは初診療や最診療とは別に、新しい評価項目が作られるんです。
ほう、独立した点数になるんですね? そうです。段階的な対応で、令和9年度には今の2倍になる想定ですね。 なるほど。じゃあもう一つの対応というのは? そちらは直近の経営悪化、これを補うためのものです。これは初診療や最診療そのものに直接組み込む形をとります。
令和7年度の補正予算で行われた支援を、診療報酬という高級的な仕組みに置き換えるようなイメージですね。 よくわかりました。では入院についてはどうなんでしょう?同じ考え方なんですか? 基本的な考え方が同じですが、配分の仕方がより巧妙になっています。 特に直近の経営悪化への対応なんですが、ここで令和元年の消費税増税の時の補填方法、これが参考にされているんですよ。
へー、過去の経験を活かしているわけですか? まさに具体的には入院料の種類ごとに人件費以外のいわゆる物件費ですね。医薬品とか医療材料とか。 そうです。その物価費が占める割合を計算して、それに基づいて上乗せ額を決めるんです。
ということは、物価高の影響を受けやすいコストの高い治療ほど手厚く配分されると。 おっしゃる通りです。非常に合理的な仕組みですよね。 でもそれだと全ての医療機関に同じルールが適用されるわけではないということになりますよね。
えー、そこが次のポイントです。特別な配慮というものがあります。 特別な配慮。 はい。まず大学病院のような高度医療を担う機関、ここにはプラス0.14%の特別な上乗せがあります。 なぜです?
彼らが使う医療機器ってやはり特殊で価格競争が働きにくい。なので物価高の影響をより受けやすいんですね。 なるほど。実態に合わせた特例措置ということですか?
ええ。そしてもう一つ面白い調整があります。病院の外来の補正です。 病院の外来?
はい。病院の外来といわゆる町の診療所ではコスト構造が全く違いますよね。 まあ、そうですね。
なので、外来で設定された一律の評価では病院側で過不足が生じる可能性があるんです。 ああ、確かに。
そこで、その差額をなんと入院費の方で調整するという仕組みが導入されます。
えっと、外来の分を入院で?それはすごい仕組みですね。
ええ。病院という組織全体で見て最終的に適切な物価対応がなされるようにするという非常に精緻な設計なんです。
いやあ、すごいですね。つまり、物価高という一つの課題に対して、将来と過去という時間軸、外来と入院という場面、さらに施設の機能や種類という特性に応じてここまで細かく調整された対策だということですね。
まさにその通りです。特に過去の消費税対応の仕組みを参考にしたり、補正予算の効果を損なわないように配慮したりと、過去の経験を生かした非常にたくましい制度設計と言えるでしょうね。
今回は物価という経済の動きに医療制度がどう対応するのか、その舞台裏を見てきました。
このように医療の価格というのは非常に緻密な計算とバランスの上に成り立っているわけです。
この仕組みを踏まえた上で、あなたが考える持続可能な医療制度にとって、次に必要となる調整は何だと思いますか?
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