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2025-11-10 07:56

中医協第625回で議論されたオンライン診療の評価見直し:3つの診療形態と個別課題を解説

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令和7年11月7日に開催された中央社会保険医療協議会総会第625回において、情報通信機器を用いた診療についての議論が行われました。本議論では、オンライン診療の適正な推進と評価拡大を目的として、3つの診療形態における現状課題と今後の方向性が示されました。

今回の議論の要点は、第一にD to P(医師対患者)における適正推進のための評価のあり方、第二にD to P with D(患者が医師といる場合)の対象拡大と評価見直し、第三にD to P with N(患者が看護師等といる場合)の評価明確化、第四に外来栄養食事指導料等の個別事項についての制度改善です。

D to P:オンライン診療の適正推進に向けた課題と対応

D to Pは医師と患者が情報通信機器を用いて直接診療を行う形態です。この形態では、患者側に医療従事者が同席せず、医師が初診料・再診料・外来診療料、各種医学管理料を算定できます。

情報通信機器を用いた診療に係る報告書によると、「自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性がある場合」として他の医療機関へ紹介を実施した割合は、患者の所在が医療機関と同一の場合で0.49%、患者の所在が医療機関と異なる場合で0.59%でした。この結果から、緊急時や対応困難な症例における他医療機関との連携体制に課題があることが明らかになりました。具体的には、事前合意なく患者に他医療機関への受診を指示していた事例や、医師が国外から診療を実施した事例が報告されています。

オンライン診療の適切な実施に関する指針や医療広告ガイドラインを遵守していない事例も確認されました。これらの課題を踏まえ、中医協では直接の対面診療を行える体制の整備状況について、施設基準の更なる明確化を検討する方針が示されました。

D to P with D:遠隔連携診療の対象拡大と評価見直し

D to P with Dは患者が医師といる場合にオンライン診療を行う形態です。現在の診療報酬では、遠隔連携診療料として、難病患者及びてんかん患者に対する専門医との連携が評価されています。

遠隔連携診療料は令和2年度に新設されて以降、算定回数は限られています。令和6年度入院・外来医療等における実態調査によると、過去1年間にD to P with Dによるオンライン診療を実施した医療機関は1.0%(3,546施設中37施設)でした。遠隔連携診療料を算定できる状況以外でも、医療的ケア児との連携が26.9%、訪問診療における眼科・皮膚科・耳鼻科等の専門医との連携が15.4%の施設で実施されていました。

D to P with D型やD to D型の遠隔医療については、緊急性が高い状況や専門の医師による対面診療が困難な状況下において、有用性が高いことが考えられます。オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針における遠隔医療に期待される役割を踏まえ、中医協ではD to P with D型及びD to D型の遠隔医療の診療報酬上の評価を一定の考え方を踏まえて検討する方針が示されました。

皮膚科領域における活用事例として、日本臨床皮膚科医会及び日本看護協会が実施した調査結果が示されました。この調査では、訪問看護を利用する566名の在宅療養者のうち399名(70.5%)が何らかの皮膚疾患を有していました。そのうち114名(28.1%)が未治療であり、理由として「近くに往診する皮膚科医がいない」「皮膚科は往診しないと思っていた」等が挙げられています。このような地域における皮膚科医療へのニーズに対応するため、オンライン診療の活用により皮膚科の専門的医療へのアクセスを改善することが有益であると考えられます。

D to P with N:看護師等遠隔診療補助の評価明確化

D to P with Nは患者が看護師等といる場合にオンライン診療を行う形態です。令和6年度診療報酬改定では、へき地診療所及びへき地医療拠点病院において、適切な研修を修了した医師がD to P with Nを実施できる体制を確保している場合の評価として、看護師等遠隔診療補助加算(50点)が新設されました。

規制改革実行計画(令和7年6月13日閣議決定)において、D to P with Nにおける診療報酬の算定方法に不明確な部分があるとの指摘がありました。D to P with Nとして想定される診療形態には、看護師等の所属や定期的な訪問の有無等の違いがあります。訪問看護については介護保険との整理に留意が必要です。

令和7年度厚生労働科学特別研究事業の調査によると、D to P with Nで実際に実施している診療の補助行為として、検査では採血、咽頭拭い液を用いた検査、尿検査、心電図等が挙げられました。処置・注射としては点滴注射、創傷処置、皮膚科軟膏処置等が挙げられました。中医協では、看護師等の所属や定期的な訪問時に行われるか等の看護の提供形態の違いを踏まえて、看護師の訪問に係る評価を明確化する方針が示されました。

個別事項:外来栄養食事指導料の評価明確化

外来栄養食事指導料については、令和2年度から初回の情報通信機器等の活用が評価され、令和4年度からは2回目以降も算定可能となっています。しかし、算定回数は極めて少なく、規制改革実施計画において、オンライン診療の特性を十分に活かした活用が進まない算定要件となっていると指摘されています。

外来栄養食事指導料は、管理栄養士が医師の指示に基づき、初回は概ね30分以上、2回目以降は概ね20分以上の栄養指導を行った場合に算定できます。情報通信機器等を用いる場合の要件として、事前に対面による指導と情報通信機器等による指導を組み合わせた指導計画を作成することが求められています。

中医協では、情報通信機器を活用した外来栄養食事指導料の推進の観点から、オンラインのみでの実施も可能であることの明確化や、電話と情報通信機器を同様としている取扱いについて検討する方針が示されました。この見直しにより、栄養指導におけるオンライン診療の活用が進むことが期待されます。

まとめ:遠隔医療の推進に向けた評価見直しの方向性

中医協第625回総会では、情報通信機器を用いた診療について、D to P、D to P with D、D to P with Nの3つの診療形態と個別事項における現状課題と今後の方向性が議論されました。今後の診療報酬改定では、オンライン診療の適正推進と評価拡大により、地域医療における専門医へのアクセス改善や、へき地医療における医療提供体制の充実が期待されます。



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サマリー

中医協第625回では、オンライン診療の評価見直しが議論されており、特にD2P、D2P with D、D2P with Nという3つの診療形態とその課題に焦点が当たっています。このことから、安全性や専門医へのアクセス改善、看護師との連携強化が重要なテーマとして取り上げられています。

オンライン診療の評価見直し
こんにちは。お手元の資料、今回は2025年11月7日の中央社会保険医療協議会、まあ中協ですね。はい。ここで議論されたオンライン診療が今日のテーマです。
スマートフォンとかPCを使った診察、皆さんも利用されたり、これからかなーって考えている方もいるかもしれませんね。
そうですね。身近になってきました。今回はこのオンライン診療のルール、これがどう見直されるのか、特にD2P、D2P with D、D2P with Nという3つの形、それから栄養指導、これに焦点を当てて、中共がどこに課題を感じて、どう買いようとしているのか、一緒に掘り下げていきましょう。
今回の議論は、オンライン診療をより安全に、効果的に使って、さらに広げていくための大切なステップですね。
なるほど。
それぞれの形が持つ課題と、あと具体的な改善の方向性が見えてきました。早速、中身を見ていきましょうか。
お願いします。まずは基本型、医師と患者さんが直接オンラインでつながるD2Pですね。
ええ。
これ、手軽さが魅力ですけど、なんか課題もあるみたいですね。
そうなんです。資料を見ると、オンライン診療の最中に医師が、これはちょっと専門外だなとか、緊急性が高そうだって判断して、他の医療機関を紹介したっていう割合が、わずか0.5%から0.6%、非常に低いんですよ。
えっと、0.5%。それは驚くほど低いですね。
低いですよね。
じゃあ、手軽さの裏で、そのいざという時の連携っていうのが、あんまり機能していない可能性があるということですか。
まさにそこが問題視されてるんですね。
うーん。
事前にちゃんと連携の合意がないまま、他の病院へ行くように指示したり、中には、医師が海外から診療してた、なんていう。
え、海外から。
ガイドライン違反の事例も報告されてるんです。これはやっぱりオンライン診療の信頼性に関わる大きな課題ですね。
なるほど。それは確かに問題ですね。それで、そのギャップをどう埋めようとしているんですか。
そこで注意標としては、オンライン診療を行う医療機関に対してですね、緊急時にきちんと対面診療につなげられる体制、つまり施設基準ってやってですね、これをもっと明確に、ある意味厳しくしようかと検討しています。
ふむふむ。
利便性と安全性のバランスを再調整しようという動きですね。
なるほど。では次に、D to P with D。これは患者さんのそばにかかりつけ医なんかが同席して、専門医がオンラインで見ると。
ええ、そうです。医師同席型ですね。
ちょっと特殊なケースに聞こえますけど。
そうですね、現在は難病とか転換の患者さんとか対象がかなり限られていて、実施している施設も全体の1%程度と少ないのが実情です。
1%ですか。
ただ調査からは、興味深い実態も見えてきました。
例えば、医療的ケアが必要なお子さんとか、あと訪問診療の現場で、眼科とか皮膚科の専門医と連携するためにこの形式が、すでに活用されているケースが少なくないと。
それぞれ約27%、約15%という数字が出ています。
特に皮膚科ですか。何かその理由があるんでしょうか。
ええ、これは注目すべき点だと思いますね。
在宅で療養されている患者さんの7割以上が何らかの皮膚の疾患を抱えていると。
7割以上も。
そうなんです。でもそのうちの約3割が実は未治療というデータがあるんですね。
それはなぜまた。
やっぱり近くに応診してくれる皮膚科がいないとか、そういうアクセスに関する問題が背景にあるようです。
なるほど、アクセス問題ですか。
ここにこのD2P with Dが活用できるんじゃないかと期待されているわけです。
専門医へのアクセスが難しいという課題に対する一つの解決策になれそうですね。
その通りです。このD2P with Dやあるいは医師同士が連携するD2Dも含めてですね、
専門医へのアクセスを改善するための遠隔医療について、診療報酬上の評価、
つまり費用面での後押しを広げる方向で今検討が進んでいます。
新しい診療形態の必要性
なるほど、では今度は看護師さんが患者さんのそばにいるD2P with N、
これは壁地とかで役立ちそうですけど、こちらも課題があるんですか。
はい、こちらはですね、ルールの曖昧さ、これが指摘されていますね。
ルールですか。
ええ、診療報酬、つまり医療費の計算ルールがちょっとはっきりしない部分があると言いますと、
例えば訪問看護ステーションの看護師さんが関わる場合と、
診療所の看護師さんが関わる場合で扱いはどう違うのかとか。
ああ、なるほど。
あと介護保険サービスとの兼ね合いはどうなるのかとかですね、
そのあたりの整理がまだ十分じゃないんですね。
実際にその看護師さんはオンライン診療でどういう役割を。
調査によればかなり幅広いです。
採血とか喉の検査、心電図測定みたいな、そういう検査の補助からですね、
点滴の実施とか、傷の手当、創傷措置までかなり幅広い医療行為を、
医師の指示の下で行っているという実態があります。
へえ、思ったより多岐に渡るんですね。
ええ、ですからこの実態を踏まえて看護師さんの所属形態とか役割に応じた、
より明確な評価基準を作ろうという方向です。
なるほど、明確化が必要だと。
そういうことです。
そして最後に外来での栄養食事指導ですね。
これもオンラインでできるけどあまり使われていないと。
ええ、そうなんです。
算定回数は極めて少ない状況ですね。
それはまだなぜなんでしょう?
これはおそらく初回は対面例とか、
事前にオンラインと組み合わせた計画書が必要みたいな、そういう要件がですね。
ああ、ちょっと手続きが面倒みたいな?
ええ、それが利用のハードルになっている可能性があるんじゃないかと見られています。
うーん、せっかくの便利な仕組みがちょっともったいない感じもしますね。
もっと使いやすくということですか?
そうですね。
オンラインでの栄養指導ってやっぱり生活習慣病の管理とか予防に役立つ可能性が高いですからね。
確かに。
なので中共では最初からオンラインのみでの実習も可能だよと明確にしたり、
あと電話等他の通信機、PCやスマホですね。
その扱いの差を見直すとか、利用を促進するための方策を検討しています。
よくわかりました。
今回の議論をちょっと整理してみますと、まずD2Pでは安全性を確保するためのルール強化。
はい。
D2P with Dでは専門家へのアクセス向上のための評価の拡大。
ええ。
D2P with Nではその看護師さんとの連携をスムーズにするためのルールの明確化。
そうですね。
そして栄養指導では利用促進のために要件を少し緩和すると、こういう方向性が見えてきたということですね。
まさにおっしゃる通りです。
特に地方ですとか、敵地での医療提供体制の強化、それから専門的な医療へのアクセス改善に向けて、
オンライン技術への期待というのはやはり大きいんですね。
ええ。
ですから今回の見直しというのは、その可能性を現実のものとするための重要な布石と言えるんじゃないでしょうか。
なるほど。
こうして医療の形がオンラインでどんどん多様化していく中で、
私たち自身が診察を受けるという体験を今後どう捉えて、どんな医療を選んでいくことになるのか。
うん。
なかなか身近な問題として少し立ち止まって考えてみるのも良いかもしれませんね。
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