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2025-10-14 06:43

人口・医療資源の少ない地域の医療提供体制|派遣元医療機関の評価と基準緩和の必要性

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令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、人口・医療資源の少ない地域における医療提供体制の在り方が検討されました。人口規模が小さい二次医療圏では、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあり、従事する医師の高齢化も進んでいます。この現状は、地域医療提供体制の維持が困難になりつつあることを示しており、持続可能な体制構築に向けた評価の見直しが急務となっています。

分科会では、へき地医療拠点病院等による医師派遣が地域医療の継続に寄与していること、オンライン診療の活用が進んでいる一方で地域特有の課題も存在すること、そして地域の実情を踏まえた評価の在り方の見直しが必要であることが明らかになりました。特に、巡回診療、医師派遣、代診医派遣を実施する派遣元医療機関の機能に着目した評価、人口の少ない二次医療圏における総合入院体制加算等の件数要件達成の困難さへの対応、都市部とは性質が異なる人口・医療資源の少ない地域におけるオンライン診療の特性を考慮した評価が重要な論点として議論されました。

人口・医療資源の少ない地域の現状と課題

人口・医療資源の少ない地域では、診療所数の減少と医師の高齢化が同時進行しており、地域医療提供体制の維持が深刻な課題となっています。人口規模が小さい二次医療圏においては、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあります。この減少傾向に加えて、従事する医師の高齢化も進んでいます。

二次医療圏の人口規模と医療資源には大きなばらつきがあります。全二次医療圏の人口平均値は約28.2万人であり、中央値は約22.3万人でした。全二次医療圏の平均値以下である二次医療圏は268医療圏に上り、全国の人口密度以下である二次医療圏は194医療圏でした。このような人口密度のばらつきは、地域ごとに異なる医療提供体制の課題を浮き彫りにしています。

ヒアリング調査では、地域医療の維持に関する具体的な課題が明らかになりました。地域の外来診療を近隣病院からの医師派遣に頼っている現状があります。へき地で高齢者を対象にオンライン診療を実施する場合には、機器の操作などを手助けするためのコストや時間がかかる現状も指摘されました。さらに、地域の外来診療を、へき地医療拠点病院ではない近隣病院からの医師派遣に頼っている実態も報告されました。

へき地医療拠点病院等による医師派遣の実態と役割

へき地医療拠点病院は、主要3事業を通じて地域医療提供体制の確保において重要な役割を担っています。主要3事業とは、巡回診療、医師派遣、代診医派遣を指します。これらの事業の実施状況について、総合入院体制加算や急性期充実体制加算の届出の有無と実施状況に大きな違いは見られませんでした。ただし、代診医派遣については、届出のない医療機関と比較して、届出のある医療機関の方が多く実施していました。

へき地医療拠点病院の約半数は、20万人未満二次医療圏に所在しています。人口20万人未満の小さな二次医療圏におけるへき地医療拠点病院では、20万人以上二次医療圏のへき地医療拠点病院と比較して、総合入院体制加算や急性期充実体制加算を届け出ている病院の割合が低い状況でした。このような拠点的な病院では、自院における救急搬送受入や手術等の診療に加えて、当該事業等を通じて地域医療提供体制の確保において重要な役割を担っている病院もあると考えられます。

急性期拠点機能を担う医療機関は、地域の医療資源の状況を踏まえた取り組みを行っています。地域医療構想調整会議での協議のうえ、地域の医療機関へ代診医などの医師を派遣することが想定されています。この医師派遣の仕組みは、へき地医療拠点病院に限らず、へき地医療拠点病院以外の医療機関においても実施されているとのヒアリング調査結果が得られました。

オンライン診療の活用状況と地域特有の課題

人口・医療資源の少ない地域におけるオンライン診療の活用は着実に進展しています。情報通信機器を用いた診療の届出を行っているへき地医療拠点病院は83施設、へき地診療所は134施設でした。へき地拠点病院において、オンライン診療による巡回診療を実施した医療機関は7施設であり、実施した巡回診療のうちほとんどをオンライン診療で実施している医療機関もみられました。

情報通信機器を用いた診療により算定可能な医学管理料の算定回数は増加傾向にあります。令和6年度改定前から算定可能な医学管理料の多くで増加が確認されました。都道府県別の情報通信機器を用いた診療による医学管理料の算定回数については、管理料ごとにそれぞれ地域差が見られます。この地域差は、各地域の医療提供体制や患者ニーズの違いを反映していると考えられます。

人口・医療資源の少ない地域におけるオンライン診療は、都市部とは異なる特性を有しています。外来医療について代替手段が乏しく、医療アクセスが困難である地域への補完という特性があります。都市部における利便性向上を目的としたオンライン診療とは性質が異なるとの意見が分科会で示されました。D to P with Nについては、看護師の同席により、オンライン診療では対応困難な検査・処置の実施や、患者の状況把握、生活に即した療養支援が可能となるなどの利点があります。これらの実態を踏まえて今後の評価の在り方を議論すべきではないかとの意見がありました。

診療報酬上の評価と今後の検討の方向性

医療資源の少ない地域については、平成24年度改定以降、継続的に配慮した評価が行われています。医療従事者が少ないことや、医療機関が少ないため機能分化が困難であることに着目し、施設基準の緩和等、その特性に配慮した評価が実施されてきました。急性期から回復期における機能分化が困難である観点から、一般病棟入院基本料や地域包括ケア病棟入院料について要件緩和や混合病棟を認める等の対応が行われています。

令和6年度改定では、新たな配慮措置が講じられました。回復期リハビリテーション病棟に相当する機能を有する病室について、届出を病室単位で可能な区分が新設されました。地域包括ケア病棟入院料2及び4の施設基準における、自院の一般病棟からの転棟患者の割合に関する要件が緩和されました。在宅療養支援病院・診療所に係る24時間の往診体制の要件について、D to P with Nの実施体制を整備することで要件を満たすこととする緩和が行われました。

分科会では、今後の評価の在り方について重要な意見が示されました。巡回診療、医師派遣、代診医派遣は、へき地医療拠点病院やへき地医療拠点病院以外の医療機関においても実施されているとのヒアリング調査を踏まえ、このような派遣元の医療機関が果たしている機能に着目した評価の在り方について検討することは、地域医療の継続的な確保に資するのではないかとの意見がありました。人口の少ない二次医療圏では、総合入院体制加算や急性期充実体制加算の件数要件の達成が困難な場合があるため、地域の実情を踏まえた基準緩和や代替的な評価の検討が必要ではないかとの意見もありました。

地域医療支援病院の役割についても見直しが行われています。地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行うこととされていましたが、令和5年医療法改正において、地域におけるかかりつけ医機能の確保のための研修も含めて研修を行うこととされました。この見直しは、地域医療提供体制の充実に向けた取り組みの一環として位置づけられます。

まとめ

人口・医療資源の少ない地域における医療提供体制の維持には、派遣元医療機関の機能評価、地域実情に応じた基準設定、オンライン診療の適切な活用が不可欠です。へき地医療拠点病院等による医師派遣が地域医療の継続に寄与している実態を踏まえ、派遣元の医療機関が果たしている機能に着目した評価の在り方を検討することが重要です。人口の少ない二次医療圏における総合入院体制加算等の件数要件達成の困難さに対しては、地域の実情を踏まえた基準緩和や代替的な評価の検討が求められます。オンライン診療については、都市部とは性質が異なる人口・医療資源の少ない地域における特性を考慮した評価、D to P with Nの利点を踏まえた評価の在り方を議論していく必要があります。



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サマリー

日本の人口が少なく、医療資源が乏しい地域における医療提供体制の課題が議論されています。医師派遣やオンライン診療の重要性が強調されており、地域の特性に応じた柔軟な対応が求められています。

医療提供体制の現状と課題
こんにちは。 今回深掘りするのは、えっと、あなたから共有いただいた資料ですね。
人口・医療資源の少ない地域の医療提供体制、これに関する調査評価分科会の議論です。 いやー、日本の特に人口が少ない地域で、この医療をどう維持していくか。
うーん、深刻な課題ですよね。 この資料を見ると、2012年から10年間で診療所の数が減っていて、
お医者さんの高齢化も進んでいると。 これ、このまま行くと、地域によっては医療を受け続けるのが難しくなるかもしれない。
そんな現状が浮き彫りになっています。 そうなんです。特に二次医療研と呼ばれる区分の人口規模による差、
これが大きいという点が指摘されてますね。 全国平均がだいたい28万人ちょっとですけど、これを下回る医療研がなんと268もあると。
268も。 人口密度が低い地域も194医療研があって、つまり場所によって課題が全く異なるわけなんですよね。
うーん、なるほど。今回の分析では、こうした地域で医療を支えるための重要な取り組み、
例えば、壁地医療拠点病院とかからの医師派遣、あとはオンライン診療の活用状況、
そしてこうした活動をどう評価していくべきか、というまさにその点に焦点を当てて深振りしていきましょうか。
ええ、お願いします。 まず医師派遣、これ、壁地医療拠点病院が巡回診療とか、医師、大心医の派遣で大きな役割を果たしているのはもちろんそうなんですが、
ちょっと興味深いなと思ったのは、資料を見ると拠点病院以外の近隣の病院も結構医師派遣を担っているという実態ですね。
あ、そうなんです。 これってなんか地域全体で支え合っている、そういう感じなんですかね。
まさにそこが一つ、今回の議論のポイントでして、ただ一方で課題もあるんですね。
人口が例えば20万人未満の二次医療研にある拠点病院、ここでは総合入院体制加算であるとか、旧世紀充実体制加算といった高度な医療機能を示す診療報酬上の評価、
これをですね、得ている割合がひっくりという現状があります。
ああ、なるほど。それはやっぱり規模とか症例数が少ないから、基準に達すのが難しいということですか?
ええ、そういう実情が大きいですね。しかしですね、その派遣元の病院というのは、人員での救急対応とか手術を行いながら、さらに地域へ医師を送るという、これは非常に重要な機能になっているわけです。
機能ですか?
はい。このある意味目に見えにくい機能自体をもっと評価すべきではないかというのが、文化界での重要な論点になっているわけです。
評価基準の見直しと対応
なるほど。基準を満たすのが難しいから評価されない、じゃなくてその地域で果たしている役割、つまり機能に着目すると。うん。オンライン診療についても、これ都市部とまた違う側面があるようですね。
はい。人口、医療資源の少ない地域でのオンライン診療というのは、単に便利になるということだけじゃなくてですね、医療へのアクセス自体が難しい場合の、いわば補完的な手段としての意味合いが非常に強いんです。
補完的手段?
ええ。特にD2P with Nと呼ばれる看護師さんなどが患者さんのそばにいてサポートする形のオンライン診療ですね。
ああ、聞いたことあります。D2P with N。
これは、高齢者の方とかでなかなか機器の操作が難しいという方への支援にもなりますし、あとは簡単な検査とか処置、あるいは生活に即した療養支援も可能になるという利点があります。
この点をどう評価につなげていくかということが議論されていますね。
確かに高齢者の方だと、一人でタブレットとか操作するのは結構大変な場合もありますもんね。看護師さんのサポートは大きいと。
ええ。都市部での効率化とはまた違う価値があるわけです。
こうした地域の実情を踏まえて診療報酬の評価基準自体も平成24年度以降、継続的に見直されては来ているんですよね。
はい、その通りです。例は6年度の改定でもですね、例えば病室単位でのリハビリ病棟の届出を可能にしたりとか、
あとは地域包括ケア病棟の入院料の要件を少し緩和したり、先ほど出たD2P with N、この体制整備を在宅療養支援の要件緩和につなげるといったことが実施されています。
なるほど。少しずつ基準を現実に合わせてきていると。
そうですね。徐々にその学位置的な基準だけじゃなく、現場の実態に合わせた調整が進んでいるという状況です。
というわけで、今回の資料から見えてきたのは、やはり人口・医療資源の少ない地域で医療を持続させるためには、学位置的な基準だけではなくて、その地域の実情に合わせたより柔軟な対応が不可欠だということですね。
ええ、ポイントをまとめると3つになるかと思います。
1つ目は、壁地医療拠点病院に限らず医師派遣を担う派遣元医療機関の機能、まさにこの機能そのものに着目した評価。
2つ目は、人口が少ない地域ではどうしても達成が難しい診療報酬上の基準、例えば件数要件などの緩和、あるいは代替となる評価の導入。
そして3つ目が、都市部とは異なる地域特性を踏まえたオンライン診療、特にD2P with Nですね、これの適切な評価。この3つが重要になってきますね。
なるほど。地域医療構想調整会議での議論ですとか、あとは地域医療支援病院の役割の見直し、例えばかかりつけ医機能を確保するための研修を追加するとか、そういうことも含めて地域全体で支える仕組みづくりが進められているわけですね。
はい。さてここでですね、あなたにも少し考えてみていただきたいんですけれども、こういう制度とか基準を作る際ってどうしても分かりやすい指標、例えば件数とかそういうものが重視されがちですよね。
そうですね。数値化しやすいというか。
ですよね。でも今回の議論のように目に見えにくい機能であるとか、地域の実情というものをどうすれば公平に、そして適切に評価システムの中に組み込んでいけるんでしょうか。
特に資源が限られている中で、その数字にはなかなか現れにくい現場の貢献、これをどうすれば正しく認めて、そして支えていく仕組みをデザインできるのか。
これはもしかしたら医療分野に限らず、他の多くの分野にも通じる、結構普遍的な問いなのかもしれないですね。
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